西條奈加 『六花落々』&『涅槃の雪』&『鱗や繁盛記』2021/05/31

散歩の時に見かけた紫陽花。


新しい種類の花を探しながら歩いています。
今回はピンクが濃いガクアジサイが見つかりました。

読んだ本が溜まってきたので、西條奈加さんの本を三冊一遍に紹介します。
大分前に読んだので、内容がうろ覚えですが。


下総古川藩の物書見習の小松尚七は「なぜなに尚七」と言われるほどの知りたがり。彼は雪(六花)の結晶に魅入られます。
やがて彼の学問への情熱が重臣・鷹見忠常に認められ、藩主の若君の御学問相手となります。
蘭学者らと交流しながら、藩主となった利位と共に雪の結晶の研究に没頭し、『雪華図説』を刊行することになります。

尚七は好きな学問を続けられて、彼の時代の人としては恵まれた人生だったと言えるのではないでしょうか。
『雪華図説』は1832年に刊行、大塩平八郎の乱は1837年に起こります。
こんな昔から雪の結晶を観察していたことに驚きました。
雪の言い方も「六花」、「六華」、「風花」、「雪花」など色々とあるのですね。


天保11年(1840年)、遠山左衛門尉景元が北町奉行になります。
町与力の高安門佑は遠山から「わしの片腕になれ」と言われ、市井のあれこれを遠山に報せる役目を命じられます。
そんな頃、ひょんなことで岡場所の取り締まりで捕まった元遊女のお卯乃を屋敷に引き取ることになります。
やがて天保の改革が発布され、贅沢が禁止され、町人達の鬱憤が溜まっていきます。

天保の改革の始まりから終わりまでが描かれています。
色々なことが禁止されていたのですね。
最後にあることがわかり、嬉しくなりました。お姉さん、やるね、笑。

高校生の頃にこのような本を読んでいれば、日本史に興味が持てたのにと思うと、残念です。


料理番付に載るほどの料理茶屋と言われ、江戸にやって来た13歳のお末が奉公することになった「鱗や」は、味も接客も三流で、料理茶屋とは名ばかりの店でした。
しかし八十八郎が娘婿に入ってから様子が変っていきます。
お末は志を同じくする八十八郎と共に、店立て直しに頑張ります。

店が一流になっていくまでの奮闘記かと思ったら、若旦那には裏の顔がありました。
でも嫌な終わり方ではなかったのでよかったです。
続きがあれば読みたいのですが、出るかしら?

三冊とも、西條さんの本の中では可もなく不可もなしって感じです。
強いて言うと「鱗や繁盛記」がこの中では一番面白く読めました。
武士より若い女の子の方が身近ですもの、笑。