「シェイクスピアの庭」を観る2021/06/17

ケネス・ブラナー監督・主演の映画です。
若い頃の彼しか知らないので、見ただけではシェイクスピアを彼が演じているとわからなかったかもしれません。


1613年、「ヘンリー8世」が上演されていたグローブ座が全焼してしまい、シェークスピアは創作意欲をなくし、筆を折ってしまいます。
20年ぶりに故郷のストラトフォード=アポン=エイヴォンに帰るウィリアム。
20年という月日は重く、妻のアン(ジュディ・デンチ)にあなたはただの客人と言われ、一緒の部屋で寝るのを拒否されてしまいます。
娘にも冷たく、ロンドンで最期を迎えると思っていたわと言われてしまいます。
20年も会っていなけりゃそんなものでしょうが、ウィリアムにしてみれば、俺様の才能で食わしてもらっているくせになんでしょうね。

ウィリアムには三人、子どもがいました。
一人息子のハムネットは17年前に亡くなっており、スザンナとジュディスという娘がいます。
長女のスザンナは町医者に嫁いでいますが、この頃は女性に相続権がなかったので、夫の興味はウィリアムが自分にどれほどの財産を残してくれるかのようです。
次女のジュディスは28歳なのに、なかなか嫁ぎそうもありません。
どうも息子のハムネットのことで家族の間に遺恨が残っているようです。
アンはハムネットの死を創作にかまけて悼まなかった夫に恨みがあるようです。
ジュディスは双子の弟の才能を褒めたたえ、弟にしか関心がないウィリアムに未だに怒りを抑えられないようです。
当時、結婚しない女性には存在意義がなく、男の付属物としてしか見られていなかったのです。
それなのにウィリアムは脳天気にもハムネットのために庭を造ると言い出したのです。

実は家族にはそれぞれ抱えている秘密があったのです。
それがウィリアムの帰還により、明らかにされていきます。

何しろシェイクスピアについてほとんど私生活が知られていないので、大部分が創作だそうです。
偉大な劇作家でも、夫や父親として見ると、家族を顧みない横暴な男でしかありませんね。
驚いたのが、サウザンプトン伯とのことです。
彼のためにソネット(映画で使われたのは29番だそうです)を書いたなんて、まさか…。
映画のサウザンプトン伯(イアン・マッケラン)は美男子じゃないですよぉ、笑。

シェイクスピアのお葬式の時に披露された詩を載せておきます。
『シンベリン』という戯曲の中の葬送歌です。
Fear no more・・・」から始まります。
これ以外にも、もちろんシェイクスピアの作品からの引用もあります。

シェイクスピアを知らなくても、家族の再生のお話だと思って観てもいいし、美しい映像を観る映画だと思って観てもいいですよ。

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