読んだ本2021/06/26

軽い、すぐ読めるものをご紹介します。


ほしおさなえ 『菓子屋横丁月光荘 歌う家』
日本の近代文学専門の大学院生の遠野守人には不思議な力があります。古い家の声が聞こえるのです。
複雑な家の事情から今住んでいる家を空けなければならなくなり、指導教授の木谷に紹介され、川越の菓子屋横丁にある古民家の住み込み管理人をすることになります。
古民家に関わる人たちと知り合い、人との付き合いを避けてきた守人の世界は広がっていきます。

幼い頃に川越に行ったことがあります。
今のように観光地化されていなかったので、全く印象に残っていません。
でも唯一、美味しい鰻を食べたことは覚えています。私、幼い頃から食いしん坊でした(笑)。
ほしおさんらしい優しいお話です。

太田紫織 『涙雨の季節に蒐集家は、』
これはミステリー?ホラー?どっちつかずのお話です。
変っているのが、涙を蒐集するということだけです。ナンなんだ。

雨宮青音は京都大学を休学し、札幌の実家に戻って引きこもりをしていました。
旭川に住む、昔仲のよかった叔父が亡くなったことを聞き、久しぶりに母と旭川を訪れます。叔父の遺品整理に立ち会うのです。
旭川で幼い頃青音は「悪魔」に出会い、それ以来叔父の家に行けなくなったのです。
遺品整理士と会って、青音は驚きます。
その顔があの「悪魔」と同じだったのです…。

紹介をこれぐらいで終わっておくと、興味が持てるでしょう。
でもね、最後まで「悪魔」が何をやっていたのかわからず、本を捨てたくなりました。最初からシリーズにするつもりだったのですね。
涙の蒐集家って何?という感じです。『櫻子さんの足下には死体が…』の時も思いましたが、ちょっと不気味な感じがこの作家さんの持ち味なんでしょうね。
私はもう読まないと思います。

渡辺淳子 『おでん屋ふみ おいしい占いはじめました』
彼氏にフラれ、おもしろい女になってやると、会社員をしながら夜におでん屋を始めた千絵。全然お客が来てくれず、どうしようかと思っていたら、今日で仕事を辞めるという占い師がやって来て、そのまねをしておでん占いをやることにしました。そうすると色々なお客がやってくるようになりました。
来て欲しくなかったけど、元彼まで。
今夜はどんなお客が来るのかしら?

主人公は定番の彼にフラれてるんですが、思っていたよりも面白かったです。
脇役たちがいい人で、彼らにはまた会いたいです。

柏井壽 『鴨川食堂ごちそう』
毎回色々な訳ありな人がやって来る鴨川食堂です。
思い出の料理を探して欲しいと言われても、普通は探せないって。
とにかくお料理が美味しそうです。一流料亭よりも腕がいいなんて、すごいぞ流さん。娘のこいしは何もできないようですが、父親が死んだら何をして暮らすのかしら?と余計なことを考えてしまいました。
変らない雰囲気がお好きなら、どうぞ。

竹岡葉月 『おいしいベランダ 午前10時はあなたとブランチ』
やっと最終巻です。
いつもいつもしょうも無いまもりの独り言に付き合ってきました、笑。
今回は結婚式と披露宴がほっこりしていていいですねぇ。
私も神戸のそういう所でやりたかったですわ。
作家さんはサブタイトルの数字縛りが限界だったとのことですが、笑。
番外編で母になったまもりと葉二に会えると嬉しいです。よろしく。

最後に面白かった漫画を紹介しておきましょう。

水凪トリ 『しあわせは食べて寝て待て ①』
38歳、独身の麦巻さとこは免疫系の難病に罹ってしまいます。
正社員だった職場にいずらくなって辞めてしまい、今は週4回パートのお仕事をしています。今いる部屋の家賃が高いので、隣に住む面倒見のいい老女のオーナーがいる団地に引越すことにします。
その老女の家に居候をしている漢方を独学している司に興味を持ったのですが…。

さとこさんの今後がどうなるのか、気になります。
一番のお勧めです。