柚月裕子 『月下のサクラ』2021/07/10



『朽ちないサクラ』の続編ですが、読んでなくても問題ないです。
私はすっかり内容を忘れていて、読み終わっても思い出せませんでした、笑。

森口泉は米崎県警に事務職として採用されましたがその後、警察官採用試験を受け、四年前に警察学校に入学しました。
交番勤務を一年経験し、所轄の交通課で実績をあげ、刑事講習を受け、県警本部刑事部捜査二課、知能犯係に配属されました。
それから一年が経ち、県警の捜査支援分析センターで人員の補充があると聞き、志望しますが、実技試験で失敗してしまいます。
しかし実技試験の試験官であった係長の黒瀬が泉を強く推薦したため合格となり、センターへ異動となります。

センターのメンバーは黒瀬を筆頭に最年長の市場哲也、日下部真一、春日敏成、最年少の里見大の5名です。
初っぱなから泉は春日に「スペカン」と言われます。
「スペシャル捜査官の略」で刑事になり県警に配属されたのも、センターのメンバーになったのも、強い引きがあったから、特別扱いという意味だというのです。
泉は精いっぱい努力をしていたのに、それなのにそう揶揄されたのです。
自分は与えられた仕事をするだけだと気持ちを新たにする泉でした。

着任早々、当て逃げ事件の捜査を始め、目途が立った頃に、とんでもない事件が起こります。
会計課の金庫から一億円相当の金が盗まれたというのです。
メンバーたちは総出で捜査を開始します。

金の紛失直前に早期退職をした元会計課の課長が、事件に何らかの形で関わっているのが明らかになってきますが、その彼が謎の死を遂げます。
その影には公安の存在が…。
黒瀬は何か引っかかるようですが、それをメンバーに明かしません。
そんな彼に泉は迫ります。

新人の泉が体当たりで事件に挑みます。
彼女の強みは記憶力と強い正義感です。
男社会の警察組織の中で、劣等生とかスペカンとか言われても、頑張ってやっていきます。

読んでいて恐ろしく思ったのは、如何に私たちの日常生活は見張られているのかということです。
GPSやNシステム、防犯カメラなどを辿ると、どこで何をしていたかということがすぐにわかってしまうのです。
悪いことはできませんわ、というかする気もないですけど、笑。
このシリーズも映画かドラマになりそうですね。

次作は捜査支援分析センターのメンバーたちが一団となって事件に挑み活躍する姿を読みたいものです。