「わたしに会うまでの1600キロ」を観る2021/08/01

外国の美しい風景を見るための旅ということで、今回はアメリカです。
「星の旅人たち」の若い女性版だと思ったら、ちょっと違いました。

主人公が歩くのは、パシフィック・クレスト・トレイル(Pacific Crest Trail、略称PCT)というアメリカ合衆国の長距離自然歩道。
メキシコ国境からカリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州を経てカナダ国境までの総延長距離4265㎞。(アレ、映画では1600㎏ですね。はしょったのかしら?)
アメリカの三大自然歩道のひとつで、難易度は中級から上級とのこと。
「星の旅人たち」の巡礼の道がお子様の道に思えます。だって宿泊施設は整っているし、ワインと美味しい食事はあるし、沢山の人たちが歩いているから、女性一人でも安心ですもの。
このPCTは違います。原題が「Wild」ですから。
(ネタバレあり)


シェリル・ストレイドは離婚を機に、PCTを一人で歩くことにします。
それまでの彼女の人生は愛する母親が亡くなってからどん底でした。

ウエイトレスをやりながら、やっと娘と同じ大学に入って好きな勉強を始めたという時に母に腫瘍が見つかります。
それまでの母はDV夫と離婚し、独りで娘と息子を育てていました。いつも歌っているような明るい母でした。
弟もシェリルも母の死を乗り越えられず、自暴自棄の生活をするようになっていました。
シェリルは優しい夫がいるにもかかわらず、誰とでも寝て、その果てにヘロインにまで手を出すようになっていました。
夫に助けられ、このままではいけないと思い離婚し、母が誇りに思ってくれていた自分を取り戻すために、たまたま目についたPCTのガイドブックを手に取り、歩くことにしたのです。

彼女の装備を見て驚きました。だってすべてが新品。ハイキングもしたことがないのね。必要だと思う物を何でも買って持って来たという感じです。
箱から出し、ザックに入れると何キロになるの!
担げなくて、床に転がってやっと担いだ姿には、唖然としました。
その上、大事な靴はピッタリしたものを履いているんですよぉ。
元ワンゲル部の私には信じられませんでした。
それじゃあマメもでき、爪も剥がれるわよねぇ。
でもアメリカの良いところは、靴が合わないことを業者に言うと別のサイズの靴をタダで送ってくれるのよ。
もっと笑ったのは、足のマメを治療している時に脱いだ靴を谷に落としてしまうところです。ちょうど山を歩いていたので、靴は取りに行けません。
ゴムのサンダルをガムテープで補強して履くなんて…、信じられませんわ。
他にはテントの張り方を知らなかったり、ガスバーナーのガスが違っていて使えなかったり、水や食料がなくなって困ったりしています。
女一人ですから、ヒッチハイクをしたり、道の途中で人と会ったりしても、用心しなければなりませんよね。どんな人たちかわかりませんからねぇ。
映画では危ない目に遭いそうになっても上手く逃れられたようですが、本当はどうなんでしょうね。

道は険しく、砂漠、山道、岩場、雪道、草原など変化に富んでいます。
いや~ぁ、アメリカは雄大ですねぇ。
こんなところを何もかも初めてで歩いてしまうというのは、すごいことです。
主人公と同じ25歳か26歳の頃の私には絶対にできませんわ。というかやろうと思いませんけど、笑。

興味を持った人は予告編を観てみてください。映画の雰囲気がわかると思います。
映画ではサイモン&ガーファンクルの「コンドルは飛んでいく」が印象的に使われています。
母との思い出の歌で、道の途中で出会った男の子が歌う歌は「Red River Valley」というアメリカのフォークソングです。