青木祐子 『レンタルフレンド』2021/08/05

いつも面白いお仕事本を書いてくれている青木さんが、今回書いたお仕事は、「レンタルフレンド」。
一般的に「友だち代行」とか「友人レンタル」とか言うのかしら?
本の中では「派遣フレンド」とか「仮友」って書いてあるけど。
大分前のニュース番組で結婚披露宴で出席者が足りない時に、友人・来賓代行を派遣するサービスがあると報道していたので知っていましたが、結婚披露宴だけではなかったのですね。
一見簡単そうな仕事ですが、奥が深くて、私にはできませんわ。


七実は26歳、株式会社『クッキー&クリーム』という女性専用の人材派遣会社に登録しています。仕事はフレンド要員。社員ではなくフリーランスです。自分のサイトがあり、そこでも仕事を請け負っています。
以前は七つ丸商事本社の営業部の事務員でした。最初は会社の先輩に頼まれて結婚披露宴に出席したのですが、その披露宴の後、人材派遣会社の社長・南城与里子からスカウトされたのです。
始めは集団で仕事をこなしていましたが、一年経ってからは依頼人と一対一のデートができるようになり、七実と年間契約を結びたいという女性が現れてから商事会社を辞めて独立しました。

ランクは松竹梅とあり、『梅』は写真撮影や少し会ったりLINEするだけのショートコース。『竹』は二人で楽しく遊びに行きましょうで、時間は四時間、経費別で三万円。『松』は依頼者以外の人と会ったり、さくらとして何かに出席します。

四つの依頼のお話です。
第一話:大学4年生の香住からのデザートブッフェへの同行依頼。
第二話:ヘアメイクアーティストMISAから、女優志願という設定で、一緒に観劇に行くという依頼。
第三話:常連の翻訳家・野枝から検査入院するので、猫の面倒をみて欲しいという依頼。
第四話:26歳の綾音から婚約者のパーティに友人として参加してもらいたいという依頼。
それぞれの依頼人に七実は事前面接をして人物を確かめ、どういうフレンドを求めているのかをリサーチし、当日は求められる人格になりきり、依頼人のピンチの時には臨機応変に介入していきます。

七実のいいところは、友だち代行とはいいながらも、依頼人のことを考えてちょっとおせっかいをしていくところです。
レンタルフレンドを必要とする人にはそれぞれ深い事情があって、友だちに頼めないことってありますからね。
読むと友だちのいない可哀想な人が頼むのねという思い込みが崩されますよ。
私はレンタルフレンドは頼まないかもしれないけど、保証人は頼んでもいいかもと思いました。

簡単に読めるお仕事本です。
レンタルフレンドって何とか、私友だち少ないので頼んでみたいとか、そう思う人も思わない人も興味が持てたら読んでみて下さい。
女性向きかな。男性だったら第四話で、こんな男ばかりではないと怒るかも、笑。


ママと持って来いをしていたら、ポテトが扇風機に乗ってしまいました。


弟は怖くてポテトを取れず、見ているばかりです。
何も怖いことがないのにね、笑。臆病なヨーキーです。