波木銅 『万事快調<オール・グリーンズ>』2021/09/17

第28回松本清張賞受賞作ということなので、読んでみました。
松本清張賞だからミステリーかと思って読んでいったら、いつまで経っても死人はでずに終わってしまいました、笑。
松本清張賞って「ジャンルを問わない広義のエンターテイメント小説が対象」なのだとか。知らなかった…。


なんの変哲もないクソ田舎(東海村)の底辺工業高校機械科に通う、三人の女子。

朴秀実は高校での人間関係なんて卒業したら無意味という感じで、学校では孤立を回避するために、なんとなく同じような立場の岩隈真子とつるんでる。
放課後が彼女の時間。
夜の駅近くの公園で、彼女の名はニューロマンサーことニューロ。
仲間とフリースタイル・ラップで盛り上がる。ラップこそ命!

岩隈真子は目つきも性格も人当たりも頭も口も悪い、周りから浮いてる奴。
図書館だけが唯一の彼女の居場所。人格を否定されることもなく、中心人物としてリーダーシップを発揮でき、ウィットに富んだ冗談も言えるし、知識を披露さえできる。

矢口美流紅(みるく)は女子が三人しかいないクラスの中で的確な立ち回りをもって男子社会に上手く溶け込んでいる。モテるし、教師受けもそこそこよく、陸上部の優秀な選手。よく朴の椅子に尻をのっけて、男子と話してる。

ある日、朴に仲間内では最も名の知れたラッパー画餅児からレコーディング話が舞い込む。友だちに朴のことを話したんだとか。喜んでリリックを書き、音源を作り渡すと、タダでレコーディングもミックスもしてくれるとか。
ただし制服を着てこいだとぉ。
会いに行くと、とんでもないことが…。

やがて朴に誘われ、岩隈と何故か矢口も、それから男子も巻き込み、屋上で園芸同好会やっちゃいます。カネを儲け、こんなクソ田舎、出て行くぞ!
育てるのは…。

波木銅は茨城県日立市出身の21歳。若いからこそ書けた小説ですねぇ。
ホント、「ハチャメチャ」、だけど面白い。
ミステリーじゃなかったけど、一気読みでした。
音楽や小説、漫画、映画などが沢山でてきますが、ほぼ私みたいなおばさんが知っているもので、そこがちょっと今の若者らしくないかも。
それに煙草も。今の高校生は前ほど煙草を吸わないんじゃないかな。そんなお金があったら別のところで使いますよね。
登場人はクレバーだけど、行動はおバカという感じです。若さ故ということで許してあげてね。
伊坂幸太郎の作風や文体に影響を受けたというのがうなずけます。

読む人を選ぶ作品かもしれません。
暴力や反社会的行為に嫌悪感を抱く人は読まない方が良いかもしれません。
私的にはお勧めですが。

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