澤村御影 『准教授・高槻彰良の推察 4~6&EX』2021/09/20

清和大学文学部史学科民俗学・准教授・高槻彰良の活躍するシリーズ。
高槻はイケメンで生徒たちの評判も高く、「一度見たものは決して忘れない絶対記憶能力」を持ち、「怪異現象が起きるとハイテンション」になり、尚哉がいつも止めます。12歳の時に神隠しに遭い、それ以来鳥を見ると気を失うことがあります。
清和大学文学部の学生の深町尚哉は十歳の時に遭遇したある出来事の後、他人が嘘を言うと声が歪んで聞こえるようになりました。そのため常に耳に音楽プレーヤーのイヤホンをつけ、周りの声を聞かないようにしており、周囲とは距離を置いています。彼の特殊能力を知った高槻からバイトとして助手をしないかと言われ、今や高槻とは切っても切れない仲になっています。
この二人とよく行動を共にするのが、高槻の幼馴染みで警視庁刑事部捜査一課の刑事の佐々倉健司。とにかく「でかく」て、顔が怖いのですが、実はとても友だち思いです。


『准教授・高槻彰良の推察 4 そして異界の扉がひらく』
四月に尚哉は大学二年生になりましたが、小柄で垢抜けない尚哉は1年生に思われサークルから誘われる始末、笑。
史学科の専門科目の『現代民俗学講座Ⅰ』という高槻の講義を選択しています。
高槻の講義は有名な都市伝説の『きさらぎ駅』から始まりました。
(注意:講義の内容やこれから出てくる怪異相談について詳しく知りたい方は本を読んでね)

高槻が開設している『隣のハナシ』というサイトに届いた依頼は「四時四十四分の呪い」に関するものでした。
『遠山建築設計事務所』で次々と起る「4」の呪いを高槻は解けるのか。

そしてもう一つ。「江ノ島に人魚が出た」という噂を確かめに、高槻と尚哉、佐々倉、高槻のおじの渉は江ノ島に行きます。そこでお母さんが人魚になったという男の子と沙絵という謎の女性に出逢います。

今回の本のメインは何と言っても高槻彰良の過去です。過去と行っても神隠し後ですが。
イギリス住んでいる高槻渉という彰良のおじさんが日本にやって来ます。
高槻は15歳から18歳までイギリスの渉のところでお世話になっていたのです。
尚哉は渉からその頃の彰良の話を聞きます。

『准教授・高槻彰良の推察 5 生者は語り死者は踊る』
夏休みになりました。
夏休みの楽しみというと、そうです、百物語です。(違うか…)
大学の集会室を借りて、百物語を開催することになります。
参加者は二十五名、一人四話ずつ語り、ろうそくの代わりにキャンドル型LEDライトを使います。さて、語り終わった後に何が起るのか…(怖)。

この回のクライマックスでは、いよいよあの祭りの夜の謎が解かれます。
8月14日から16日まで高槻と尚哉、そして佐々倉は長野の旧小山村の尚哉の耳に異常が生じるきっかけとなった死者の祭の調査に行きます。
果たして高槻たちは死者の祭の謎を解くことができるのでしょうか。

『准教授・高槻彰良の推察 6 鏡がうつす影』
長野から無事に生還した尚哉たちでしたが、高槻はその間の記憶をなくしていました。
あれから一週間が経ち、高槻のところに行ってみようかと思っている時に佐々倉から電話がきて、高槻が熱を出したらしいので様子を見てきてくれと言われます。
行ってみると、高槻は熱はあるのですが元気で、『隣のハナシ』に来ている相談メールのことを気にしていました。
相談とはお化け屋敷に本物のお化けがいるかもしれないというものでした。
早速そのお化け屋敷に行ってみる高槻たちです。

やがて夏休みも終わり、学生たちが大学に戻ってきました。
高槻の講義の一発目は『ジェットババア』。
その講義の後に、高槻からバイトの話があるというので行ってみると、今回はなんと高槻の従弟からの依頼でした。彼の婚約者に「人面瘡」ができたというのです。

十月の講義のテーマのひとつが『紫鏡』の都市伝説でした。
『隣のハナシ』に届いた相談メールはこの講義を聞いた女子学生からで、彼女の家に紫鏡があるというのです。彼女は今19歳。二十歳になるまで紫鏡を覚えていたら死ぬという話が怖くて、この鏡が本当に『紫鏡』であるのか調べて欲しいという依頼です。

『准教授・高槻彰良の推察 EX』
今回はちょっといつもとは趣の違うスペシャル番外編です。
高槻のイケメンぶりを紹介しましょう。
「大きな二重の目に、すっと綺麗に通った鼻筋。甘く端正な顔に柔らかな笑みを浮かべ、すらりとした長身を仕立ての良い三つ揃いのスーツで包」んでいるそうです。こんなにカッコいい大学教授っていないですよね(偏見です)。
彼がいつも飲んでいるのが、甘~いマシュマロココアっていうのが、ちょっと難ですが、笑。

今回紹介するキャラの濃い、変人教授は史学科日本史専攻の三谷孝行教授です。
彼は市松人形のコレクターで、研究室にたくさん置いているため、院生が気味悪がって近付かないらしいです。
新しい子をお迎えすると、いつも高槻に見せに来るそうです。
市松人形ってちょっと不気味ですよね。見て喜ぶのは高槻ぐらいよねぇ。
今回の一つ目のお話は三谷教授の市松人形に関するお話です。ブログに新しい人形の写真を載せたら、うちの祖母が大切にしていた市松人形かもしれませんとメールがきたとか。三谷から頼まれた高槻たちがその人に話を聞くと、その市松人形が動くので、気味悪がった母親に捨てられたのではと言うのです。

二話目は尚哉とわんこの切ないお話。
何故尚哉がレトリーバー柄のマグカップを使うのかが明かされます。
尚哉の飼っていたわんこはゴールデンレトリーバーのレオと言い、十歳のあの日以降もずっと側にいてくれたのです。孤独な彼の唯一の友だちでした。人間とは違い、わんこは嘘をつかないものね。

三話目は尚哉のお友達の難波要一君と尚哉のことです。
十歳のあの日から人間に対して心を閉じていた尚哉の数少ない、いいえたった一人の友だちが難波君です。いつかあの日のことを難波君に話せるといいですね。

四話目は佐々倉健司と高槻の仲の良さがわかるお話。
佐々倉の高槻愛は強いです。
どうも高槻は警視庁捜査一課異質事件捜査係から目をつけられているみたいです。
異捜は高槻に昔起ったことを知っているのか…?
激辛赤唐辛子煎餅でむせる健司が可愛いです、笑。

テレビドラマになっているようなので、写真を見てみると…高槻のイメージが違い過ぎます。なんで伊野尾君なの。尚哉役だったら合ってたのに。
せめて『ここは今から倫理です。』の山田裕貴ぐらい似てたら許せたのに。
(山田裕貴さんはこのドラマで初めて知りました。ファンではありませんので、あしからず)

本の中に出てくる民俗学の説明が面白いです。長すぎず、難しすぎず、ほどほどで読みやすいです。私はこの説明を読みたいがために読んでいるといってもいいぐらいです(半分ホント)。
民俗学って何ぞやと思う人がいたら、読んでみると参考になるかもしれません。
怪奇現象や都市伝説などが好きでなくても楽しめるシリーズです。