近藤史恵 『たまごの旅人』2021/10/01



「1st trip たまごの旅人」
高校生の頃家族と参加した台北ツアーの旅行添乗員にあこがれ、旅行添乗員になった堀田遙の最初の仕事はアイスランド。
ひたすら下調べをし、新米だということがバレないかと心配しながらアイスランドへ出発しました。
なんと行きの飛行機であのあこがれの添乗員、宮城さんを見かけたのです。
機内で話しかけてみると、彼女は意味深なことを言います。ちょっと気になる遙。
参加者で具合の悪くなった人がおにぎりが食べたいと言い出し、困った遙は宮城さんに電話してしまいます。

「2nd trip ドラゴンの見る夢」
次なるツアーは『クロアチア、スロベニア九日間』。
スロベニアってどこ?「日本人の九十八パーセントが行かない国」ですって…。
新婚旅行のお客様が一組いて、どう接したら良いのか、ちょっと心配です。
60代の父と30代の娘の参加者の父親の方に問題がありそう。
日本によくいるおじさんのように自分のことは棚上げにして、女性に対して失礼なことを平気で言っています。まずいわ…。
夜、娘さんがホテルからいなくなってしまいます。

「3rd trip パリ症候群」
『パリとイル・ド・フランス七日間の旅』には珍しく五十代後半の母と二十代後半の息子の組み合わせの方が参加しています。
母親は三十代の頃に訪れたパリと今のパリを比べ、どこに行っても文句ばかり。
息子さんが一人で参加している四十代の女性と食事の時に同じテーブルに座れるようにしてもらいたいと言い出します。

「4th trip 北京の椅子」
『西安、北京六日間の旅』では近くだからとちょっと安心していました。
ところが、ロストバゲッジが起ってしまいます。
そんな時に七十代男性の参加者は遥を怒鳴りつけ、半券を探そうともしないし…。
彼は平気で中国が大嫌いとまで言います。なんでツアーに参加したのかしら。
他の参加者から彼の押しつけがましさと愚痴が嫌で一緒に行動したくないと相談され、彼のことは苦手で嫌だけど、遙は彼とできるだけ話をするようにすることにします。
しかし四日目の万里の長城で事故が起ります。

「5th trip 沖縄のキツネ」
2020年、コロナ禍で仕事がなくなり、自宅待機を申し渡されます。
派遣社員では持続化給付金は受けられず、一人暮らしをはじめたばかりの部屋を引き払い、実家に戻りました。
転職するか、旅行添乗員の仕事ができるようになるまで、アルバイトを探すかしなければなりません。
もともと旅行添乗員になることに反対だった両親に責められ、求人雑誌で見つけた沖縄のコールセンターの仕事に飛びつきます。
しかし感染対策のため、休憩は別々、休憩室での会話も禁止で、他のオペレーターと仲良くなることもありません。
そんな時にひょんなことから出会った女性と石垣牛のバーベキューをすることになります。
この出会いから遙は旅行へ出られない人たちにあるプレゼントをすることに…。


旅行添乗員って色々な国に行けていいなぁと思っていませんでしたか。
実はほとんどの添乗員が派遣社員である上に、本の中に書かれているように、参加者たちの体調やら関係を把握し、いかに気持ちよくツアーに参加してもらえるかを考え、突発的な事件や事故に的確に対処していかなければならないのです。
遥は旅行添乗員にあこがれてなりましたが、こう言っています。

「好きなことを仕事にするということは、好きなことの中に痛みや後悔が降り積もることなのだ。好きなことを、好きなだけではいられないということなのだ」

こう思うことがあっても、でも好きだから頑張れるということもあるのではないでしょうか。最後の章の遥にホッとしました。

「パリ症候群」って言葉があるのを知りませんでした。
マスコミで取り上げられるパリのイメージと現実のパリとの違いにがっかりして、落ち込んでしまう人のことを言うらしいです。
私は2回行きましたが、全くそういうことはありませんでした。
フランス語のわからない人にフランス人は冷たいなぁとは思いましたけどね。
他のヨーロッパの国の人は英語で聞いてもにっこり笑って答えてくれていたのに、
まさか、英語がわからないからとか…。

旅行添乗員のお仕事だけではなく、ツアー旅行に対する偏見とか格差社会、派遣労働の問題、介護の問題、女性問題、人種差別なども盛り込まれており、そのたびに胸がチクッとしたり、同意したりして、スルッと読んでいけませんでした。
私が気にしすぎなだけでしょうけど、女性はまだまだ生きにくいよね。
まあ、私のように思わなくてもいいので、旅行に行けない今、読んでみるといいでしょう。
私はアイスランドとスロベニアに行ったことがないので、行きたいです。
特にオーロラが見たいです。
緊急事態宣言が解除されてもしばらくは様子見で、旅行は早くても来年できればいいかな。


今週の美味しいもの。
人気のカフェタナカのクッキーとトートバッグ。


トートバッグはいらなかったのですが、クッキーが欲しかったので頼みました。
ネットではなかなか買えないのですよ。


クッキーはこんな感じです。
ハロウィーン缶は気づいたら売り切れでした。

西條奈加 『曲亭の家』2021/10/02

「曲亭」とは『南総里見八犬伝』を書いた「曲亭馬琴(滝沢馬琴)」のことです。
どんな人なのか、簡単に書いておきます。

明和4年(1767年)、旗本・松平信成の用人・滝沢興義の五男として江戸・深川に生まれる。
10歳にして滝沢家を継いだが、主君の暗愚に耐えかね、14歳で主家を出奔。
旗本の間を転々と渡り奉公し、放蕩の生活を送ったが、23歳で官医山本宗英の塾に入り、医を志す。しかし1790年、24歳で戯作で身をたてることを決意し、山東京伝に弟子入り。壬生狂言に取材して、翌年黄表紙『尺用二分狂言』を刊行。
一時、版元書肆蔦屋重三郎の番頭に雇われ、27歳で商屋伊勢屋に婿入りするが、姑の死後商売はやめ、姓を滝沢に復す。一男二女の父となる。
寛政8年(1796)30歳の頃から本格的な創作活動が始まる。
天保4年(1833)67歳の頃から右目に異常を覚え、左目もかすむようになり、天保10年(1839)に失明。このため、息子の妻・お路が口述筆記をすることになる。
代表作の『南総里見八犬伝』は文化11年(1814)から天保13年(1842)までの
28年間を費やし完成させる。
ほとんど原稿料のみで生計を営むことのできた日本で最初の著述家。
永元年(1848)没。享年82歳。


紀州藩家老三浦長門守の医師・土岐村元立の次女・鉄は22歳で曲亭馬琴の嫡子・宗伯に嫁し、路と改名しました。
土岐村家はいつも笑いが絶えず、歌舞音曲を好み、騒々しいほどににぎやかでしたが、馬琴の名に惹かれ嫁いだ滝沢家は全く家風が違っていました。

夫の宗伯は医師としての腕は世間並で、評判も悪くないのですが、何しろ生来病弱故に診察を休みがちで、満足な収入を得ていません。その上、日頃はひ弱で大人しく、荒い真似など決してしないのに、癇性の姑に似たのか、何かのきっかけでいったん怒り狂うと誰も止められない、恐ろしいまでの癇癖持ちなのです。
馬琴はというと、おおらかさに欠け、些細なことも四角四面に始末をつけなければ納得せず、その一方で繊細で傷つきやすく、自らは人と争うことを厭うという甚だ面倒極まりない性格でした。
とにかく家の中が重苦しく、お路は息が詰まりそうなのです。
とうとう婚家を飛び出してしまいましたが、次の日、宗伯が兄の家に来て、舅が倒れたから迎えに来たと言います。
何事も舅のためという宗伯にあきれながらも、子ができたこともあり、お路は嫌々滝沢家に戻ります。

夫婦仲が悪くても、子はでき、夫の暴力で二男が流れたにも関わらず、お路は滝沢家に留まり続けます。
病人の世話をするために、この家に嫁いだようなものだと実母に歎かれながらも、お路はいつしか滝沢家の要となっていきます。

やがて夫の宗伯は39歳で亡くなります。
偉大な父を仰ぎ見るばかりで、手の中にある幸せに気づかない人生でした。
父が偉大過ぎると、特に長男は父へのコンプレックスからか潰れてしまうことが多いですよね。
夫の亡き後、馬琴の意向もあり、お路は子のために滝沢家に留まります。
そのため姑はお路と馬琴の仲を疑い、家を出て行ってしまいます。
夫と姑のいない毎日は、馬琴が相変わらず小うるさいのが玉に瑕ですが、結構穏やかで、のびのびできていいもんです、笑。

しかしそんな暮らしも長くは続きませんでした。
馬琴と宗伯に身を粉にして使えていた娘婿の清右衛門が亡くなり、馬琴の眼疾は進み、失明寸前になります。
馬琴は周りの意見も聞かず、急ぎ孫の太郎が成人するまでの中継ぎだった代養子の二郎を廃嫡し、太郎を数え13歳の若さで元服させ、鉄砲同心の役目に就かせます。
納得しない二郎との交渉は自分ではせず、人に任せるのが馬琴です。
馬琴を動かしているのは、孫への情愛ではなく、滝沢家を存続させるという一念
ではないかと思うお路…。

太郎が滝沢家の九世として跡目を継いだ次の年、お路は馬琴から『八犬伝』の口述筆記を頼まれます。
一切の妥協は許さない馬琴にいったい何人の人が追い出され、怒って出て行ったことか。
お路には家婦としての役目があります。それなのに馬琴は他人では駄目だ、お路しかいないと言うのです。
「馬琴の生への執着を繋げたのは、八犬伝だ。周囲の生を吸いとってまで、大きく成長した物語は、いまも作者の頭の中で、いまかいまかと、早く出せと出番を催促している」。
「馬琴の中からあふれ出る物語を、受け止めることができるのはーー物語の声を、馬琴の口述を紙に焼きつけ、この世に留め、世間に示すことができるのはーー江戸広しと言えど、お路だけ」なのです。
馬琴こだわりの難読な字と馬琴独特のふりがなに苦心しながらも、なんとか代筆原稿ができあがり、姑のお百が亡った半年後に八犬伝の口述筆記は終わります。

『八犬伝』完成の影に、お路という女性がいたことは知りませんでした(恥)。
NHKの連続人形劇「新八犬伝」しか知りませんもの、笑。


DVDがありました。特撮がなかったので、人形劇にしたのかな?

昔の女性には凛とした強さがありますね。
今だったら我慢なんかせずに、それこそ早々に離婚をしてしまっていますよね。
女性作家たちがこのような女性たちを発掘し、書いてくださることに感謝の念に堪えません。

読んだ本と漫画2021/10/03



内藤了 『EVIL 東京駅おもてうら交番・堀北恵平』
堀北恵平は無事に警察学校を卒業。正式に東京駅おもて交番に配属されました。
初めて作った名刺を今までお世話になった人たちにお礼と共に渡していきます。

恵平と先輩刑事の平野・桃田は「東京駅うら交番」の謎を解くために、都市伝説になっている警察官・柏村の息子で現在高齢者施設で暮らしている柏村肇と連絡を取りました。
柏村が警察官時代に記録していた資料が柏村の妻が暮らした群馬県前橋市の家にあるということなので、彼らは受け取りにいくことにします。
資料に謎を解く鍵が残されているのか…。

そんな頃、恵平の交番の前でとんでもない事件が発生します。
恵平が白蛇神社に行きたいという大きな荷物を抱えたおばあさんと話している時に、通りを歩いていた若い男が次々と歩行者に切りつけたのです。
恵平は現場に突っ込んで行き、男と対することに…。

なんとか男を取り押さえますが、事件現場に持ち主不明の風呂敷包みが置いてありました。
開けてみると…。

益々謎が深まる「うら交番」です。
読んでいて知った言葉、「ケーシング」。私はあれがこう呼ばれているのを知りませんでした、恥。
「ハム・ソーセージの肉を包み込む、薄い膜状の袋」のことだそうです。
何と言っていたのか、覚えていません。この頃魚肉ソーセージなんて食べませんもの。

志賀家泰弘 『京都祇園もも吉庵のあまから帖4』
第一話:
元芸妓・美都子のお客様は埼玉県から来た修学旅行の中学生。
昔はタクシーで観光なんてなくて、迷いながらも地図を見ながら歩くことが面白かったですけどね。
四人の中で一人、元気のない女の子がいました。何か事情がありそうです…。
第二話:
無銭飲食で捕まろうとする男の真意とは。
第三話:
老舗和菓子店「風神堂」で社長秘書をしている朱音に茶道「桔梗流」の次期家元・夢遊が惚れて、一緒になりたいと言い出します。
姉の楓は大反対。もも吉に相談しに来ますが…。
第四話:
「吉音屋」の前に佇む女性が気になったもも吉は、彼女に声をかけます。
第五話:
「風神堂」にまつわる兄弟のお話。

好きな京都が舞台なので、毎回読んでいます。もも吉のお節介が心地良い時と、ちょっと…と思う時がありますが。今回はいい感じのお節介でした、笑。

安田依央 『出張料理亭おりおり堂 こっくり冬瓜と長い悪夢』
恋愛ゾンビ山田が仕事に出向いた老舗旅館で、仁と似た男・カゲオに山田は誘拐され、連れて行かれた洞窟で何故か口説かれ、次の日旅館に帰ると、誰も山田のことを心配していませんでした。
旅館では相続人であるきょうだいたちが集まり、旅館を続けるか、廃業するか、話し合っています。
仁は先代と約束した『弔いの料理』を作りますが、そこにカゲオが現れ…。

美味しいお料理が出てくるからと読んでいましたが、今回で読むのを止めます。
わけのわからない男の登場で、これはホラー小説なのか…?

望月麻衣 『わが家は祇園の拝み屋さん 14 渓谷に散る紅葉と陰陽師の憂鬱』
今回澪人と小春たち『OGM』が関わるのが、心霊動画。
心霊スポットに行く動画配信者のことは、組織の本部長や宗次郎は当人の問題として放っておくしかないと言っていますが、小春は心配です。
そんな頃、学長から今は使っていない幼稚舎の除霊を頼まれます。

東京編で終わってもよかったのに、いつまで続くのか。陰陽師とかはそれなりに面白いのですが、高校生の恋愛話が出てくるとバカバカしくなります。
洋風羊羹食べたいわぁ。

篠綾子 『弟切草 小烏神社奇譚』、『梅雨葵 小烏神社奇譚』
    『蛇含草 小烏神社奇譚』
葛城山一帯を支配した古い名族加茂氏の血を引く竜晴は江戸・上野にある小烏神社の宮司で、先祖には神を使役したという役小角や世に知られた陰陽師安倍晴明の師匠だった賀茂忠行、保憲父子もいます。そのため人ならぬモノたちの言葉を聞き分けることができます。彼には抜丸という白蛇と小烏丸というカラスの、二柱の刀の付喪神が使えています。彼らは竜晴の亡き父竜匡から竜晴の教育を任せられていました。
彼の唯一の友人が医者で本草学者の泰山。彼は神社の土地を借り、薬草を育てています。
彼らのつき合いは二年前、たまたま通りがかった泰山が神社の庭に蓬が生い茂っているのを見て、薬として使いたいので分けてくれないかと声をかけたことから始まります。
それから泰山は何日も続けて蓬を採りにきて、他の薬草も植えたらどうかと言い出します。
人付き合いが悪くて無愛想な竜晴でしたが、泰山の熱意に負け、泰山が薬草の面倒をみることとして土地を貸します。

ある日、上野山を偵察に行った小烏丸が目に見えぬ強い力に引き寄せられ、侍を追って寛永寺に行ってしまいます。庫裏近くの木の枝にとまっていると、不吉だと人が集まり騒ぎ始めました。
そこに天海大僧正が出てきて、小烏丸と目を合わせると、小烏丸は金縛りにあい動けなくなってしまいます。

竜晴は寛永寺の天海大僧正から書状をもらい、寛永寺に向かいました。
天海は付喪神が見える人で、彼はカラスが竜晴のものであることを知っており、カラスを返すから事件が解決するまで力を貸してくれるように頼みます。
この後から竜晴は天海からたびたび呼びつけられるようになります。

『わが家は祇園の拝み屋さん』が中・高校生用だとしたら、『小鳥神社奇譚』は大人用って感じです。

森鴎外 『カズイスチカ』
『鴎外青春診療録控え 千住に吹く風』を書くときに参考にされた作品です。
父のことを老人と言い、「老人のつまらないのは当然だと思った」りする花房は鴎外のことでしょうか。

「自分が遠い向こうに或物を望んで、目前の事を好い加減に済ませて行くのに反して、父はつまらない日常の事にも全幅の精神を傾注していることに気が附いた。宿場の医者たるに安んじている父のrésignationの態度が、有道者の面目に近いということが、朧気ながら見えて来た。そしてその時からにわかに父を尊敬する念を生じた」(résignation:諦め、諦観)

若さ故の見方ですね。

ここからは漫画です。

山口つばさ 『ブルーピリオド 11』
山口八虎はさえき絵画教室でバイトをすることになります。なんと佐伯先生は高校で八虎に美術を教えてくれた人でした。何故か橋田までバイトをすることに…。
様々な子どもと保護者と出会う八虎。
しばらくして八虎は橋田から海外旅行に誘われます。
来年、イタリアのヴェネチア・ビエンナーレ、スイスのアート・バーゼル、ドイツのドクメンタが同時に開催されるというのです。
4月に八虎は2年生になります。

恵三朗 『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見 21』
AITL(血管免疫芽球型T細胞リンパ腫)の天羽ひなたは移植前の処置の副作用で苦しみます。何よりも患者を優先しようとしてきた主治医の朝加は自らの無力さを思い知ることになります。
ケア医の稲垣は朝加に手を差し伸べようとしますが、朝加は拒絶します。
しかし天羽のために、看護師、介助士、管理栄養士、病棟薬剤師、理学療法士が一丸となって、より「質の高い療養生活を送れるように、身体的精神的な苦痛に対するケアを提供できる体制」を作り上げていきます。
移植後、天羽は皮疹と腹痛、発熱で苦しみ出します。
困った朝加は岸がまだ返っていないことを知り…。

チーム医療とは何か。こんな風に一丸となってどんな患者のためにでもしてくださるのなら、安心して任せられますがね。

ヨンチャン 『リエゾン 6ーこどものこころ診療所ー』
今回は摂食障害とゲーム依存症、自閉症スペクトラム障害、カサンドラ症候群、性同一性障害が取り上げられています。
七海仁 『Shrink~精神科医ヨワイ~6』
アルコール依存症がテーマです。次回は産後うつのようです。

この中で興味があるものがあったら読んで見てください。参考になることがあると思います。

漫画はすべておすすめです。
この頃、医療系漫画は面白いものが増えましたね。

ジャナ・デリオン 『ハートに火をつけないで』2021/10/05

10月だというのに、30℃近い日が続いています。歩いて隣町まで行き、色々とお買い物をしたいのですが、もう少し涼しくなってからにします。
東京のコロナ感染者も減ってきて、ちょっと一息できますね。
私は半年ぶりに美容室に行って髪をカットし、カラーリングをしてきました。
都心に行って人に会うのは来年までお預け。まだまだ気を抜けませんわ。


CIAの秘密工作員であるフォーチュンは、身元がバレて武器商人アーマドに命が狙われてしまい、身分を偽り、潜伏することになります。
ルイジアナ州のバイユーが流れる人口300人ほどの小さな町・シンフルで、「元ミスコン女王の司書で趣味は編み物」になんて、なれるはずないわ。
バレないように誰とも接しないで静かに暮らすつもりでしたが、町の婦人会のおばあちゃん、アイダ・ベルとガーティの二人と知り合ったことが運のつき。
1週間に1件の割合で次々と殺人事件に遭遇し、解決しちゃいます。
おばあちゃんたち、すごいですよ。

フォーチュンはあのイケメン保安官助手・カーターからディナーに誘われます。
もちろん喜んだのはアイダ・ベルとガーティたち。
フォーチュンをどう料理しようか、頑張りますが、脱毛ワックスが燃えたりと、相変わらずのポンコツぶり。
バレないように会話を控えているというのに、カーターはわざわざ遠いニューオーリンズのレストランまで行こうとします。困ったわ。
しかし友人のカフェ店員アリーの家が火事になったという連絡があり、急遽行き先変更。
アリーは無事でしたが、放火であることがわかり、心配したフォーチュンはアリーを自分の家に泊めることにします。
そしてカーターが止めるのも聞かずに、フォーチュンとアイダ・ベル、ガーティの三人は放火犯捜しを始めます。

このシリーズ、人気らしく、21巻まで出ているようです。
前巻3冊は面白かったのですが、4巻目のこの本はあまり笑えませんでした。
彼女たちのハチャメチャ振りに慣れてしまったのかしら?
1巻で1週間進むみたいですから、フォーチュンが町にいるはずの三ヶ月なら何巻?アレ、勘定が合わないですねぇ、笑。
読む本が溜まっていますが、そろそろ英語のお勉強も始めないと…。
アガサ・シリーズの次に原語で読むのはこのシリーズにしようかしら。

今回の私の推しは、フォーチュンのフッカー姿とアイダ・ベルのバイク乗りです。
アイダ・ベルは銃は撃つわ、バイクに乗るわ、悪知恵が働くわ、凄いおばあさんです。

だんだんと町に馴染んでいき、去るときのことを考えると悲しくなるフォーチュン。彼女の行く末が気になります。

「BOSCH/ボッシュ」シーズン7を観る2021/10/06

シーズン6までは10話まであったのですが、コロナ禍のせいなのかシーズン7は8話です。
私は飽きっぽいので、ドラマは続けて観られないのですが、このドラマは面白くて最後まで観てしまいました。
シーズン7で終わるのが残念です。でもスピンオフドラマが作られているようなので、楽しみです。


4ヶ月後、2019年12月31日大晦日。
マディとアントニオはチャンドラーのパーティに、ハリウッド署のみんなはグレイス・ビレッツのパーティに、そしてボッシュは判事のドナ・ソベルとジャズを聞いていました。

低所得者層のメキシコ移民が住むアパートが放火されます。
亡くなったのは妊婦と10歳の少女を含む5人。
少女はソニアと言い、鍵のかかった非常扉の前で亡くなっていました。
そのアパートは高級化がはかれられおり、立ち退き問題が発生していました。
亡くなった管理人は麻薬を扱う地元のギャングと対立していたようです。
住民たちは犯人を見ているようですが、報復を怖れ、誰も証言しようとしません。

この頃、マディはチャンドラーの弁護士事務所で再度インターンとして働いていました。
チャンドラーはヴィンセント・フランゼンによるネズミ講詐欺事件の弁護をすることになっていました。
フランゼンは服役したくないので、巨額なインサイダー取引の情報と引き換えに司法取引をしようとしますが…。

前回、アブリールを射殺したエドガーは罪悪感にさいなまれ、酒びたりの毎日。
踊り子のいる店に入り、アララ…。イメージが崩れたわぁ。
元妻も彼にはあきれ果て、当てにしなくなります。
放火の会った日は酔い潰れていたため現場に駆けつけることができませんでした。
ボッシュは最初はエドガーをかばっていましたが、ミスが続くにつれだんだんと苛立つようになり、マディの命に関わる重大な過ちを犯してからは…。
その後、立ち直り活躍してくれました。よかったです。

グレイス・ビレッツへの嫌がらせがひどくなっていきます。
車への差別的いたずら書きから始まり、顔がグレイス、下半身が別の女性の加工した写真がsnsで出回ったり、車のトランクには宝石店から賄賂で貰ったという宝石が入っていたり…。ヴェガらの捜査により、ある男が逮捕されます。いい気味。
彼女のパートナーは警察を訴えるように言いますが、グレイスはそうすると自分は警察に残ることができない、まだキャリアを手放したくないと断ります。
「自分の権力を使って署内でできる限りのものを手にいれる」とまで言います。
でもねぇ、女性に対する嫌がらせを署内にとどめ表沙汰にしないと、同じようなことが続いていくと思いますよ。他の女性たちのことよりも、自分が一番なんですね。意外とちゃっかりしているグレイスです。

新しく市長になったロペスはアーヴィングの本部長再任を阻もうと画策していました。それを知ったアーヴィングはロペスの身辺を探るように指示を出します。
彼は放火事件ではFBIに協力し、文句を言うボッシュに「大義のために妥協しろ」とまで言い放ち、ボッシュの怒りを買います。
誠に残念な人です。やることがだんだんと汚くなっています。これからもLA警察の腐敗は続いていくでしょうね。

マディは看護師の彼とラブラブです。
娘が決めたわと言った時、ボッシュは結婚かと返していました、笑。
彼女は自分の進むべき道を決めます。
私は彼女には合っていないと思うのですけどね。

最後なので印象的なボッシュの言葉を載せておきます。彼のことがよくわかる言葉です。

「エピソート1」より。
彼の机の上に三人の若い女性ーー中国人、フィリピン人、ラテン系ーーの写真があります。ビザなし不法滞在で本名もわからず、特定されず、遺体は引き取り手がなく、捜査願いも出されず、未解決の殺人事件となっています。
「なぜ写真をとっておくの」と聞いたマディにボッシュは言います。
「すべての人が平等に大切だと忘れないためだ(Everybody counts or nobody  counts)」。

「エピソード5」より
シーズン1で白骨死体を調べていたゴラー博士とボッシュは話しをします。博士は引退するそうです。彼のことが気になっていたので、最後に出てくれて嬉しいです。
「アーサーの折れた骨を見ながら、どこかによりよい世界があると信じて仕事をしていると言っていたが、今もそう思うか」と聞くボッシュ。
「残念だが信仰は危機的状況だ。心のガンだな」と答える博士。
「君はよりよい世界はなくとも正義はあると信じていると言ったが、ソニア・ヘルナンデスにはあるかな」と聞く博士に「評決はまだだ」と答えるボッシュ。

「エピソード7」より
葬式に行く用意をしているマディとボッシュ。
「いい天気ね」とマディ。「LAの一月にかなうものはない。雨がよかった。寒くて湿って惨めな天気が。葬式だってのに、雨も降らない」と言うボッシュ。
今回のガールフレンドはいいなと思ったのに、最後まで女運の悪いボッシュでした。

最後にボッシュは重大な決断をします。
その後のボッシュが観られるのがいつになるのかわかりませんが、楽しみに待つことにします。
次はチャンドラーと組むらしいですよ。

僕たちは元気です♫2021/10/07



お散歩しているとツマグロヒョウモンというチョウのカップルがランタナの蜜を吸っていました。
ケバケバしいオレンジ色なので、蛾の一種かと思ったら、チョウなんですね。

久しぶりの犬たちです。


「みなさん、お久しぶりです。僕たちは元気に暮らしています」


「僕はパパが仕事に行った後、ママの寝床で寝るのが好きです」


「こうやってまったりしています」

1時間ぐらい経つと満足したのか、自分の寝床に戻ってお昼まで爆睡しています。
兄は抱かれたり、膝の上にのったりするのが好きで、何時間でもいます。


「ママ、早く遊びましょうよ」

一方テリア系の弟はこういうことができません。
小さい頃から落ち着きのない弟は膝やソファに乗ったと思ったら、すぐに他のところに行ってしまいます。
とにかくせわしなく動き回ります。暑さに弱く、体力はないですけど、笑。


鼻の横の毛が目に入るので、切ろうとすると、顔を動かすので危なくて困ります。
なんとか切ってこれくらいになりました。
ジッとしていることが苦手なんですねぇ。


おやつを前にしてマテの練習をやると、兄はずっと待っています。
弟は隙があったら食べてしまうので、弟のおやつは1メートル以上離して置きます。


「ママ、ひどいな。僕にもおやつ側に置いてよ。すぐに食べてしまうから」


「ママ、お腹が空きました…」

兄はこの頃、食べ物に執着心が出てきました。
9歳になったので太らないようにシニア用の餌を与えているから、物足りないのかしら?
夜、果物を冷蔵庫から出したり、ビニール袋のカサカサいう音がしたら、寝ていたはずなのに駆け出してくる兄犬です、笑。

ジェイン・ハーパー 『渇きと偽り』2021/10/08



「ぼく、びっくりして、ちびりそうになっちゃった」by ヨーキー


「みなさん、昨夜は大丈夫でしたか?僕はびっくりして飛び起きちゃった。チキン野郎の弟は震えていたよ。僕は全然怖くなかったけどね。エヘン」by 兄犬

地震、結構大きかったですね。
私は兄犬が寝床から飛び起き、走り出てきたので、そっちの方にびっくりしましたけど、笑。
おさまると兄はすぐに寝てしまいましたが、弟は震えていたので、撫でてやると安心して寝床に入っていきました。
怖いもの知らずの兄とビビりんの弟です。


初めて読んだオーストラリア・ミステリーです。
オーストラリアというと、カンガルーやコアラ、グレートバリアリーフやウルル(エアーズロック)、オペラハウス、オージーボールなどが有名ですよね。
日本とは季節が逆で、日本が夏でもオーストラリアは冬。(海流の関係なのかメルボルンが寒くてもシドニーはそれほど寒くないですが)
日本語教育が盛ん、日本人女性と結婚したがっている男性が結構いる、人よりも牛の数の方が多い、砂漠を縦断するとき、日本と同じ感覚で車に乗るとガソリンスタンドがなく、ガス欠で立ち往生することがある etc.。
まあ、こんなもんですね、私のオーストラリアに関する知識は。
そういえば昨年森林火災が続き、コアラが犠牲になったというニュースがありましたね。異常気象で起った干魃が原因と言われています。
奇しくも今年のノーベル物理学賞は地球温暖化の予測モデルを開発した方が取りましたね。これから益々地球温暖化は進んでいくのでしょうか。

干魃が二年目に入った頃、メルボルンから車で五時間という小さな故郷の町、キエワラに、二十年ぶりにアーロン・フォークは帰ってきました。
友人のルーク・ハドラーの父・ゲリーから、ルークが妻と息子を殺して自殺し、赤ちゃんが一人残されたことと意味深な言葉が書かれた手紙が来て、フォークは葬式に呼び出されたのです。

二十年前、十六歳だったフォークとルーク、グレッチェンの三人と仲のよかったエリーが遺体で見つかります。
彼女のジーンズのポケットに本人の筆跡で失踪した日付と「フォーク」と書かれた紙が入っていました。
その日、フォークは一人で釣りをしていたためアリバイはなく、ルークが嘘をついてアリバイを提供してくれました。
しかしフォークがエリーを殺したのではないかという疑惑はなくならず、フォーク親子に対する嫌がらせが続き、フォークと父は町を出たのでした。

今や連邦警察官であるフォークはルークの親たちにエリーとルークの事件の真相を突きとめて欲しいと頼まれ、地元のレイコー巡査部長と協力しながら調べていくことにします。

キエワラは田舎町特有の確執やしがらみ、偏見に満ちた町で、何年経とうが住民たちはフォークを疑い、冷たく当たります。
環境の過酷さ故に心までも蝕まれているのか…。
現在と過去が様々な視点から語られていき、最後にすべてが明かされ、意外な真実にやるせなくなりました。
お勧めのミステリーです。

夏川草介 『始まりの木』2021/10/09



『神様のカルテ』など医療系の小説を書く夏川さんが書いた民俗学者とその弟子のお話です。

藤崎千佳は東京にある国立東々大学文学部で民俗学を学ぶ大学院生です。
指導教官は偏屈で変わり者として知られている准教授の古屋神寺郎。
彼は左足が悪く、いつも学生に荷物を持たせ、ステッキをつき日本国中をフィールドワークで歩き回っています。

古屋との出会いは大学二年生の時でした。
図書館から出たときに雨に降られ軒先に立っていると、年齢不詳の男が出てきて、鞄から取り出した折りたたみ傘を千佳に差し出したのです。
傘を返しに行くと、千佳が持っていた『遠野物語』が濡れないように貸したと言うのです。
傘と引き換えに渡されたのは、『民俗学と遠野』という手製のテキストで、講義は毎週水曜日二時限目。
この出会いで千佳は初めて民俗学を知り、古屋に強く惹かれたのでした。

フィールドワークで弘前、京都、長野、高知など様々なところに行き、そこで古屋が語る言葉が千佳に民俗学という学問を究めることを促していきます。
彼は「人生をかけて」民俗学をやっており、民俗学は「人生の岐路に立ったとき、その判断を助ける材料は提供してくれる学問」だと言います。
現在の「精神的極貧状態とでも言うべき時代」に「神を感じることができなくなった日本人は、どこへ行くのか」…。

古屋は40代らしいのですが、彼の風貌と語り口がおじいさんの様で、ちょっと違和感がありました。
学生にあんなこと言っていたら、セクハラやパワハラで訴えられそうですね、笑。
夏川さんの小説には浮世離れした人が結構でてきますから、現代の『遠野物語』のようなものだと思って読むと良いかもしれません。
(「不思議をめぐる対談 上橋菜穂子×夏川草介 民俗学とファンタジー」)

学内にバーがある大学って本当にあるのかしら?
そう思って調べたら、なんと、東大農学部弥生キャンパスの「東京大学向々岡ファカルティハウス」に「S」というバーがあるということです。
アレ、食べログに閉店って書いてあるわ。東大もオンライン授業になってしまったからかしら。

読んでいると旅に出たくなりました。
「床もみじ」や「紅葉のトンネル」、見たいです。

ジェイン・ハーパー 『潤みと翳り』2021/10/11

オーストラリア・ミステリーの第二弾。


ジララン山脈で行われた企業の合宿研修で五人の女性のうち一人が行方不明になりました。
その女性、アリス・ラッセルは行方不明になる前、早朝の四時半ごろに連邦警察官のフォークに電話をしてきていました。
フォークは着信に気づかず、起きてから折り返し電話をしましたが、呼び出し音が聞こえるだけでした。
フォークとパートナーのカーメン・クーパーはジララン山脈に向かいます。

フォークとクーパーはベイリーテナンツという会計事務所で行われている資金洗浄について調べていました。
従業員であるアリスの協力を得て必要な情報を手に入れていました。
その日アリスから”契約書”を入手し、統轄捜査班に渡すことになっていたのです。
フォークとクーパーは”契約書”の行方を追っていきます。

前回は乾いた大地でしたが、今回は雨続きのジトッと湿った森の中が舞台です。
とにかくオーストラリアの自然は過酷です。
合宿と捜査の様子が交互に時系列に書かれており、メンバーたちの関係性や家族間の問題などが次第に明らかになっていく手腕は見事です。
前回ではまだ解消していなかった父とのことが上手く決着がつき、フォークは新しい一歩を踏み出せそうです。
それにしても女性たちのキャラクターが凄すぎて、主人公のフォークの影が薄いのが難ですけど、笑。
次はオーストラリアのどんな面を見せてくれるのか、楽しみです。

青山美智子 『月曜日の抹茶カフェ』2021/10/12



『木曜日にはココアを』の続編です。

川沿いの桜並木のそばに「マーブル・カフェ」があります。
月曜日が定休日。
その定休日にふと訪れると、「抹茶カフェ」になっていました。

今日はツイていないなとマーブル・カフェに寄ろうとした携帯ショップの店員の美保。
定休日だと気づいて帰ろうとすると、一人の女性が店から出てきました。
声をかけると、「お休みだけど、やってますよ。行ってみたら?」と言われ、行ってみると、マスターがドアを開けてくれました。
抹茶カフェのメニューは二種類、薄茶か濃茶。
よくわからなくて、濃茶を頼んでしまいます。とても飲めたモノではありません。
スマホの使い方を教えたことがきっかけになり、いつしかマスターとお茶を点てていた若旦那と話すようになり、ツイてないから、最高にツイているに変ります。

さて、お話はここから始まり、妻を怒らせてしまった夫、ランジェリーショップのデザイナー兼店主、商社マンとの結婚を止めた女性…と舞台が東京から京都、そして東京となり、月ごとに次々と人と人が繋がっていきます。

コロナ禍で人と接することが少なくなっていますが、この本を読むと、人はいつも誰かと繋がっているんだよと励まされている気がします。
今孤独を感じている人がいたら、美味しいお茶とスイーツをそばに置いて『木曜日にはココアを』とこの本を手にして、人との繋がりを感じてもらいたいです。
短編集で一話が短いですから、すぐに読めちゃいますよ。

マスターが不思議な人で、もっと彼のことが知りたいなと思いました。
今度は彼から始まるか、彼で終わるお話しでも書いてくださいませ。
ココア→抹茶と来たから、次は何だろう?
カプチーノ、ラムネ、パパイアジュース、ミルクティー、ジャスミンティー、梅昆布茶、タピオカミルクティー、ミルクセーキ、テキーラ、ソルティドッグ、ぜんざい、汁粉…?全部長いわね。
『日曜日はテキーラ日和』とかいう題名だったら、雰囲気が変ってしまいますね。ラムネかソーダでお願いしますwww。


「僕たちはお水で大丈夫です」by 兄&弟


ママは午前中は死んでるので、お昼頃になってしまったお散歩です。
暑かったね、ゴメン。
久しぶりの二匹とママ・パパのお散歩で喜んでいる犬たちです。
写真を見ておわかりのように、兄は絶対にカメラの方を向きません。微妙に視線をずらします。
何ででしょうね。まぶしいのが嫌いなのかな?