マイクル・コナリー 『素晴らしき世界』2021/11/04

この本ではボッシュとロス市警ハリウッド分署深夜勤務の女性刑事レネイ・バラードの二人が主人公です。

レネイ・バラードはハワイ出身のポリネシアとコーカソイドの混血の三十代の女性。独身でボクサーとのミックス犬ローラと一緒に暮らしています。
パドル・ボードを愛し、勤務の後は浜辺で過ごし、ライフガードの恋人がいます。
かつてロス市警の強盗殺人課に勤務していた彼女が、何故誰も志願しない深夜勤務(レイトショー)になったのかというと、元上司にセクハラを受け、告発したからです。当時のパートナーは現場に居合わせていたにもかかわらず、彼女の証言を裏付けなかったために告発は事実無根となってしまいました。そのため元上司は強盗殺人課に留まり、レネイはハリウッド署のレイトショーに飛ばされたのです。
彼女のシリーズ第一弾は『レイトショー』として日本では2020年に出版されています。私は上巻を買ったのにまだ読んでいないようなので、『鬼火』を読んだら読みますわ、苦笑。

そうそう、題名が内容と合っていないのですが、気にせずに読んでください。
ルイ・アームストロングの「What a wonderful world」が出てきたので、タイトルに使ったようです。


バラードが深夜勤務から戻ると、見知らぬ男がファイル・キャビネットの引き出しを開けて古い事件ファイルを漁っていました。男はボッシュという名前で、昔ここで働いていたと言います。
当直司令官のマンロー警部補から彼の身分を保証されましたが、バラードはボッシュが何を探っていたのか気になってしかたがありません。
ボッシュが会いにきたという巡査部長から話しを聞き、彼が9年前に起ったデイジーという少女の殺人事件を個人的に調べていることがわかります。
バラードは好奇心を抑えきれず、報告書を覗き見し、この事件が六ヶ月前に未解決事件担当刑事のルシア・ソトに委ねられたことを知ります。
キャビネットを現在利用している警官とも話しをしてわかったことは、ボッシュが当時のシェイク・カード(職務質問カード)を探していたらしいということでした。カードは箱詰めされて保管されているというので、バラードはわざわざカードを探し出し、その後ソトに電話をしてこの事件を調べる許可をもらいます。

ボッシュは潜入捜査で出逢ったエリザベス・クレイトンと暮らしています。もちろん男女の関係はありません。しかし娘のマディはエリザベスがいる家には寄りつきません。
ボッシュはサンフェルナンド市警の仕事をする傍ら、エリザベスの娘デイジー・クレイトン殺人事件の捜査をしています。
ある日、裁判所に行く前に旧刑務所に寄ったところ、そこにバラードがいて、デイジー・クレイトン事件の捜査に加わりたい、ハリウッド分署にシェイク・カード十二箱分を押さえていると言います。
ボッシュとバラードは共同で捜査をすることにします。

ボッシュとバラードの章が交互に書かれています。
ボッシュは母のことがあるからか、過去のある女性に惹かれてしまうようです。
そんな女性との間には未来はないのにね。
潜入捜査の時に負傷した膝が良くないようで足を引きずって歩くようになり、ボッシュも年を取ったもんです。
元パートナーのルシア・ソトも勇敢な才能のある刑事でしたが、レネイ・バラードも優秀な刑事のようです。
ボッシュは男性よりも女性と組んだ方が能力を最大限に発揮できるのかもしれません。これからバラードがボッシュの後を継ぐのかしら。

今回はデイジー・クレイトン事件の他に事件がありすぎで、お年のボッシュは大丈夫かと心配になるぐらいでした、笑。
ボッシュはギャング絡みの事件でヘマをしてしまい、サンフェルナンド市警にいられるかどうかの瀬戸際になってしまいます。
次作でボッシュの肩書きがどうなっているのか…。

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