マイクル・コナリー 『鬼火』2021/11/14

ハリー・ボッシュ・シリーズ。ボッシュは69歳になりました。
今回もレネイ・バラードと二人で事件に挑みます。


ボッシュは6週間前に痛めた膝の人口関節置換手術を行ったため、杖をついて歩いています。その上、昔の事件のせいで、生命に関わる病気も発症し、健康面で心配なボッシュです。

ジョン・ジャック・トンプスンはロサンジェルス市警に四十年以上奉職し、おおぜいの悪人を捕らえ、その方法を何世代もの刑事に教えてきました。
彼の教え子の一人がボッシュでした。
ジョン・ジャックが亡くなり、葬儀に参列していたボッシュに未亡人のマーガレットが話しかけてきました。
ジョン・ジャックに頼まれた渡す物があるというのです。
渡されたのは八センチほどの厚さのある一冊の殺人事件調書でした。
それは1990年に起った元服役囚で麻薬中毒者のジョン・ヒルトンがハリウッドの路地裏で停まっていた車の中で撃たれて亡くなっていたという未解決事件のものでした。
おかしなことにジョン・ジャックはこの事件の担当ではありませんでした。
何故彼はこの調書を自宅に持ち帰っていたのか…。

その頃バラードはテント暮らしのホームレス男性の焼死事件に関わっていました。
ボッシュとバラードはいっしょに事件に取り組むという取り決めをしていたため、ジョン・ジャックに託された未解決事件をいっしょに調べていくことにします。

一方、ボッシュはマイクル・ハラーに会いに行った時にたまたま傍聴した裁判の何かが気になりました。
ハラーは上級裁判事ウォルター・モンゴメリーを裁判所近くの公園で刺殺したという容疑のジェフリー・ハーシュタットの弁護をしていたのです。
現場に残されていたDNAがハーシュタットのものと一致しただけではなく、彼はみずから進んで殺害を自白していました。
気になるとほっておけないボッシュは、期せずしてモンゴメリー判事殺人事件にも関わることとなります。

何歳になろうが、ボッシュには「引退」という言葉はないんですね。
「どの事件も個人的なものとして捉える」というジョン・ジャックが教えてくれたルールを忠実に守っているボッシュ。
今回のことが彼に影響を与えないといいのですが。

バラードは睡眠時間2~3時間という生活を毎日続けています。
それも浜辺のテントが彼女の部屋で、そこで寝ているのです。
ボッシュは心配して寝ろと言いますが、バラードにうざがられ、寝ろとは言わないという約束をさせられてしまいます。
最後にボッシュはとうとう彼女のおじさんということになってしまいますが、ボッシュが祖父でもいいよというところが二人の仲の良さがわかり、いいですね、笑。
このまましばらくはバラードとの二人三脚が続き、最後はバラードへとバトンは渡されるのでしょうか。それとも娘のマディが跡を継ぐのかな?

あらすじには関係ないですけど、ボッシュが葬儀に持って行ったチェリーパイが気になりました。


夫のランチのために、この頃はパン屋のパンを頼んでいます。


かわいいハガキにメッセージが書いてありました。
サンドイッチを作りたいので、食パンや甘くないパンが欲しいのですが、好きなパンを選べないのが残念です。

「Father Brown /ブラウン神父」シリーズ1&2を観る2021/11/15



ブラウン神父と言えば、イギリスの人気推理作家G・K・チェスタトンが書いたシリーズ物だそうです。
読もうと思って『ブラウン神父の童心』を買いましたが、原作が難解なのか、翻訳が下手なのか、私の頭が悪いのか、最初の数十ページで読む気がなくなるのです。
私の頭の方に問題がありそうなので、次回は面白くなさそうなところは読み飛ばして読んで見ますわ(恥)。
そんなわけで、ドラマの方はどんな感じなのか観てみると、面白いではないですか。

原作のブラウン神父は団子のように丸く間の抜けた顔で眼鏡をかけていて、チビで不器用、いつも蝙蝠傘を持っています。名前は原作には書いていなくて、「J」から始まるそうです。妹が1人、姪が1人います。
推理法は鋭い洞察力による直感に頼るものが多く、美学的な観察による推理もあるそうです。

原作とは違いドラマのブラウン神父は堂々たる体格です。どちらかというとお太り気味。
甘い物が大好きみたいで、いつも秘書のマッカーシー夫人の作るお菓子を嬉しそうに食べています。
演じているマーク・ウィリアムズは映画のハリー・ポッター・シリーズでロンの父親役をしていたのですが、全く別人で、最初はわかりませんでした。
186センチも身長があるそうで、愛嬌のある顔と不器用そうな身のこなし、悪人を問い詰める時の厳しさと罪を告白した人に対する温かい眼差しが素敵です。
教会では自動車を買ってくれないのか、いつも自転車で駆けまわっています。
肌身離さず持っている蝙蝠傘が意外と役に立っています。

ブラウン神父以外の登場人物を紹介しましょう。
秘書で教会のお世話係のマッカーシー夫人は小太りの女性。お節介でおしゃべりで噂好き。たまに偏見のある言動をしてブラウン神父を困らせます。
お菓子作りに自信があり、何かあるとストロベリースコーンを作ります。
「私の”award winning scones”はいかが」とみんなに勧めています。
母親はスコーンを国王に献上したそうですが、本当かな?
ストロベリースコーンはスコーンを半分に切り、ストリベリージャムとたぶんクロテッドクリームも挟んだものではないでしょうか。
そんなに美味しいのか、一度食べてみたいです。
よく教会にやって来るレディー・フェリシアはお金持ちですので、いつも素敵なお召し物を着ています。
死体と遭遇する率が高く、捜査に協力しようとしますがマッカーシー夫人に押され気味。
彼女の夫はいつもいなくて、見たことがありません。そのためか愛人がいます。
意外と気さくないい人そうです。
シドは元泥棒。レディー・フェリシアの運転手をしています。
ブラウン神父と仲がよく、昔取った杵柄で、たまに捜査の手伝いをしています。
美人のスージーはブラウン神父の教会で家政婦として料理を作ったり、掃除をしたりしています。
ポーランド移民で、両親を戦争で亡くしているので家族がいなくて淋しいのか、意外と人に騙されやすい性格みたいで、ブラウン神父たちを心配させます。

事件が起るとブラウン神父と敵対するのがバレンタイン警部補(シーズン2はサリバン警部補)。
警察はメンツがあるから、ブラウン神父を邪険に扱います。
それでも食い下がるブラウン神父。
お馴染みの二人の掛け合いが面白いです。

ドラマの時代は「ミス・マープル」と同じ1950年代です。
イギリスの小さな村、kembleford(架空の村)にある教会が舞台です。
撮影はコッツウォルズのBlockleyにあるChurch of St. Peter and St. Paulで行われたそうです。何もない村だそうですので、行ってみるとガッカリするかも。
こんな小さな村なのに殺人事件の発生率が高くないですかぁ、笑。

ドラマは「ミス・マープル」とは違い、一話ずつ解決しますので、安心して観てください。
イギリスでも評判がいいらしく、シーズン8まで放送されているそうです。

おじいちゃんが頑張る映画2021/11/16

観た映画が溜まっているので、4作品一遍に紹介します。
まず最初はアルゼンチンからポーランドまでという長い旅をしたおじいちゃんのお話です。


「家へ帰ろう」
アルゼンチン、ブエノスアイレスに住む年老いたユダヤ人の仕立屋ブルスティン・アブラハムは明日老人ホームに入ることになっていた。
しかし自分の仕立てた最後のスーツを見て、決意する。
第二次世界大戦の時に自分の命を助けてくれた友人にこのスーツを渡すのだと。
アブラハムは一人で飛行機の手配をして、ブエノスアイレスからマドリッド、パリを経由してポーランドへと旅立つ。
旅の途中で様々な人に出会い、助けてもらう。
はたして故郷の町ウッチで友に会えるのだろうか。

頑固なアブラハムに何故みんな優しいんでしょうか。
マドリッド行きの機内で隣に座った男性、ホテルの女主人、パリの駅で困っているアブラハムに話しかけてきたドイツ人女性、ポーランド人看護師など出会った人はみな彼のために力を貸してくれます。
特にドイツ人女性のことが印象的です。彼女は文化人類学者でイディッシュ語を話せますが、彼女がドイツ人だとわかった時にアブラハムは頑なな態度を取ります。
それでも彼女は乗り換えのホームでドイツの地に足をつけたくないと言うアブラハムのために知恵を絞ってくれます。
ヨーロッパでは戦争から何年経とうが、戦争の記憶は薄れていないんですね。
そういえばアブラハムが勘当した末娘が腕に囚人番号(たぶんアブラハムの番号だと思います)を入れ墨していました。彼女の本当の気持ちはそこに現れています。
是非ハンカチを持って観てください。


「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」
ウディ・グランドが一人で高速道路の脇の歩道を歩いていると、警官に声をかけられる。
彼は「100万ドルが当たりました」というインチキ広告を信じ、100万ドルをもらいにネブラスカまで歩いて行くと言う。
長男のロスは父親を老人ホームに入れた方がいいと言うが、次男のディビッドはそうもできず、警察から連絡が来るたびに父親を迎えに行っている。
口やかましい母のケイトはそのたびに激怒する。
父が言うことを聞かないので諦めたディビッドは、父をネブラスカまで車で連れて行くことにする。
旅の途中でウディは頭から血を流したり、入れ歯をなくしたりして困らせた上に、故郷にいる兄弟家族に100万ドルのことを話してしまい、彼が大金持ちになったという噂が町中に広まり、面倒なことに様々な人がウディに会いにやって来る。
さて旅の終わりにウディは納得できたのか…。

ちょっと気が弱そうだけど、心根の優しい息子がお父さんの故郷に行き、知らなかった父と母のことと100万ドルに固執する父親の気持ちを知ります。
なんてことのないお話ですが、お母さんのお下品さと町の人々の強欲なところがとっても印象に残りました、笑。
最後の息子の心意気が憎いです。


「グラン・トリノ」
クリント・イーストウッド監督・主演の映画です。
グラン・トリノとはフォードが1972年から1976年の間に生産した車だそうです。

ウォルト・コワルスキーは朝鮮戦争に従軍後フォードの組立工をしていたが、今は引退して悠々自適の生活をしている。
愛想の悪い頑固で偏屈な老人で、妻は亡くなり、2人の息子たち家族とは上手くいっていない。ヴィンテージ・カーのグラン・トリノを大事にしている。
どうも隣に住むモン族の人たちを苦々しく思っているようだ。
ある日、隣の息子のタオがグラン・トリノを盗みに来るが、ウォルトがライフルを持っていくと逃げていった。タオは不良グループに入っているいとこたちにそそのかされたようだった。
不良たちはしつこくやって来てはタオを連れていこうとし、タオの家族はそれを阻止しようとしていた。
たまたまウォルトの家の敷地に入ってきたので、ウォルトはライフルを持っていって彼らを追い返す。
その翌日、ウォルトの家の玄関前に隣の家族からのお礼の印の花や食べ物が置かれていた。
迷惑に思うウォルトだったが、タオの姉のスーが3人の黒人に絡まれているのを助けてから、だんだんとタオたちと親しくなっていく。
やがてタオはウォルトの紹介で建築現場で働くようになる。
しかしそれをよく思わない不良たちがタオに絡み、顔に根性焼きをする。
それを見つけたウォルトは激怒し、不良たちを痛みつけ、タオに手を出すなと脅しつけた。
不良たちはその報復としてタオの家にマシンガンを撃ち込み、スーを拉致して酷い暴力を振るった。
ウォルトは自分の軽はずみな行為を反省し、老い先短い自分のことを考え、タオたちのためにどうすればいいのかを決める。
彼のとった行動とは…。

おじいさんになってもイーストウッドは格好いいですね。
命を懸けて大事なものを守るというのは男の美学ですか。
何故モン族の人たちがアメリカに移住しているのかが気になりました。


「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」
ヘルシンキで小さな美術店を営むオラヴィ・ラウニオは引退を考えていた。
オークションの下見に行った先で、サインがなく作者不明とされていた一人の男の肖像画に目を奪われる。名のある画家の作品ではないかと思ったのだ。
その頃、音信不通だった娘のレアから息子のオットーの職業訓練を店でさせてくれないかと頼まれる。
例の肖像画を誰が描いたかをオットーと共に調べ、やがて二人はロシアの巨匠イリヤ・レーピンが描いたことを突きとめる。
オークション当日、オラヴィは一万ユーロで肖像画を落札する。
しかし絵を売ろうとすると、絵の価値に気づいたオークションハウスの社長が邪魔をし、売ることができなかった。
失意のオラヴィに美術館から連絡が来る…。

仕事に邁進し、一人娘をないがしろにしていたオラヴィですが、最期にやっとオットーを仲立ちにして仲直りができてよかったですね。
なんでレーピンがサインをしなかったのか。それには理由があったのです。
何故かは映画を観て確かめてください。ロシアと一人の男というところでわかる人にはわかるでしょう(たぶん)。
フィンランドのヘルシンキの街並みが美しい映画です。

どの映画もおすすめです。

「最高の花婿」&「最高の花婿アンコール」を観る2021/11/17

フランスのコメディ映画で、フランスでは5人に1人が観たと言われているそうです。
フランス社会に混在している多様な人種や文化、宗教などがよくわかる映画です。


フランスのシノンに住んでいるクロードとマリーのヴェルヌイユ夫妻には4人の娘がいます。
上の三人の娘は結婚していますが、夫たちはそれぞれ人種も宗教も文化も違う外国人です。
弁護士の長女イザベルの夫はアルジェリア出身のアラブ人弁護士ラシッド。
歯科医の次女ジュリアの夫はイスラエル出身のユダヤ人のダヴィッド。ダヴィッドは起業家ですが、事業に失敗し今は無職です。
画家の三女エゴレーヌの夫は中国出身の銀行員シャオ。
四女のロールは大学を卒業後、テレビ局の法務部に勤務予定で、コートジボワール出身の黒人の舞台俳優のボーイフレンドがいます。
パパのクロードはカトリック教徒でドゴール主義者。婿たちのことに頭を悩ませ、ついつい差別的なことを言ってしまったりして、マリーに止められています。
婿たちも仲がいいんだか、悪いんだか。
互いに差別的なことや偏見とかを言い合っています。
とにかくよく喋ること。

そんなある日、四女のロールが結婚することになります。
普通のフランス人、白人でカトリック教徒と結婚か、と思って喜ぶヴェルヌイユ夫妻でしたが…。


娘たち四人も結婚し、クロードも定年なので、ヴェルヌイユ夫妻は四週間の旅、それもわざわざ婿たちの国、四カ国(アルジェリア、イスラエル、中国、コートジボワール)を一週間ずつ巡る旅に出ることにします。
帰ってきてすぐにフランスが最高と、チーズやらなんやらにガッツク二人(笑)。
娘たち家族も集まり、旅の話を始めると…相変わらずのヴェルヌイユ家です。

これからクロードは詩人の伝記を書き、マリーは孫たちと会うことを楽しみにしようと思っていましたが、新たな問題が発生します。
四家族がすべてフランスから他の国に移住すると言い出したのです。
長女家族はアルジェリアへ、次女家族はイスラエルへ、三女家族は中国へ、四女家族はインドへ。
フランスはいいけれど、でもね、彼らなりに色々と不満があるのです。

ショックを受けたヴェルヌイユ夫妻は移住を阻止しようと説得に当たりますが、うまくいきません。
困ったマリーは一計をめぐらします。

こんな中、四女の夫シャルルの妹が結婚すると言い出します。
喜ぶシャルルの両親でしたが、実は妹の結婚相手は…。

フランスでは四人に一人が異なった人種間で結婚しているのだそうです。
多いですね。日本にそういう日が果たしてくるのでしょうか。

如何にもフランス的な笑いが満載の映画です。
色々とあるけど、ヴェルヌイユ家はいい家族です。

堂場瞬一 『刑事の枷』2021/11/19



交番勤務から川崎中央署刑事課に異動した新米刑事の村上翼。
刑事一年目は周りの刑事からするとお荷物でしかありません。
ある日、公園でホームレスが親子を襲い、子どもを人質にトイレに立て籠もります。現場に行っても、どう動いたらいいのかもわからず、焦るばかり。
そんな所に現れ、サッサと事件を解決してしまったのが景山康平。
彼は同じ刑事課の刑事らしいのに、滅多に刑事課に顔を出さなく、周りは関わるなと言うだけ。
しかしそんな景山に何故か目をつけられたのが村上でした。

村上が聞いたところでは、景山は本部の捜査一課にいた頃に同僚の不祥事を内部通報したため「裏切り者」として疎まれおり、希望して川崎中央署に異動してきたようです。
彼は十年前に起った会社員の平野玲香が帰宅途中に数カ所を刺され殺さたという未解決事件を単独で勝手に調べているのです。
そんな景山に村上は連れ回され、景山と一緒に行動することに危惧の念を抱きながらも、だんだんと未解決事件に深く関わっていくことになります。

村上の刑事としての成長物語。
正義感の強い村上が警察組織の中でこのままやっていけるのか心配です。
景山と同じような立場になったら、村上はどうするのか。
何しろ身内に甘い警察では内部告発すると干されますからねぇ。

なんで景山が十年前の事件に固執するのかが気にかかりましたが、予想できる、ありきたりの、それほど大した秘密ではなくて、ちょっと残念でした。
私は村上よりも景山が気になり、続きがあるとしたら、彼を主人公にしたものを書いてもらいたいです。村上と景山の二人のバディ物でもいいですけど。
いつもの堂場さんの外れのない作品です。


月に2回ぐらいの頻度でお取り寄せをしたいと思ったのですが、週一ぐらいで頼んでいそうです。
今回は私の一番好きなサブレ・エシレとサブレヴァニーユ、ガレット・エシレとフロランタンの二缶です。


何年か前は丸の内のお店に行くと買えたのに、この頃はなかなか買えないようなので、ネットで頼んでいますが、ネットでもすぐになくなってしまいます(T.T)。

読んだ本と漫画2021/11/20



井上荒野 『あちらにいる鬼』
瀬戸内寂聴さんがお亡くなりになりましたので、ご冥福をお祈りいたします。
彼女と不倫関係にあった男性と彼の奥様をモデルにして娘が書いたということで評判になった小説を読んでみました。
残念ながらどの人にも私は魅力を感じませんでした。
3人共にまだ深く描き切れていないという感じです。

井上さんの恋愛体験がどのようなものかは知りませんが、彼女の本より瀬戸内寂聴が瀬戸内晴美だった頃の本の方がお勧めです。

山本巧次 『大江戸科学捜査八丁堀のおゆう 8 ステイホームは江戸で』
東京はコロナ禍。関口優佳は江戸へ避難することにします。
もちろん江戸にコロナを持ち込んではならないので、二週間の自主隔離をしました。
江戸では十手持ちの女親分である優佳ことおゆうは、読売が書いていた深川門前仲町の信濃屋の跡目争いに興味を持ちます。
同じ頃、南町奉行所同心・伝三朗からこのひと月ほどの間に、歳が三つぐらいの子どもが消えて、二、三日で戻っているということが続いているので、調べて欲しいと頼まれます。
一見関係なさそうな二つの出来事でしたが…。

なかなか進まないおゆうと伝三朗の仲です。
読んでいてまさか江戸時代に…と思わずにはいられなかったですわ、笑。

友井羊 『スープのしずくの謎解き朝ごはん 7 朝食フェスと決意のグヤーシュ』
理恵は今まで働いてきたフリーペーパー・イルミナの編集部が移籍したため、新しい会社で働き始めました。
仕事内容は同じだと思っていたら、会社主催の朝食フェスの運営をするようにとの業務命令が…。スープ屋しずくも出店することになり、戸惑いながらも、頑張る理恵でしたが、出店を頼んでいたお店から出店を考え直したいという連絡がきます。
スープ屋しずくの店長、麻野の出番です。彼は謎解きが得意なんです。

おゆうたち同様になかなか進まない二人の関係ですが、娘が懐いているので、そろそろどうにかなりませんかね。

≪漫画≫
よしながふみ 『きのう何食べた?(19)』
映画になっちゃったわね。来年あたりにテレビで放送されるのを楽しみにして待ちますわ。ヒットしたのも俳優さんたちが良かったからですね。
レモンパウンドケーキとミートソース、作ってみたいです。

高口里純 『グランマの憂鬱 9』
本当にこういう村があったら、面白いですね。
今回は今流行のYouTuberが村にやって来るということで、危ないことにならないように、村総出で見守るというお話です。
無知は怖いよね。こういう人たちが結構いそうです。
ちょっとマンネリしたかなという感じです。

水凪トリ 『しあわせは食べて寝て待て 2』
一巻で期待したのですが、二巻は肩すかしでした、残念。
もっと薬膳のお話が欲しかった。

広田奈都美 『ナースのチカラ~私たちにできること 訪問看護物語~6』
コロナ禍で葛藤しながらも活躍する訪問看護師たち。
そこにやってきた研修ナースの深原は何故か持田に絡みます。
彼女の母親は難病で亡くなっていますが、そこに何か深い闇がありそうです。

富士屋カツヒト 『19番目のカルテ 徳重晃の問診 4』
総合診療科の必要性が問われます。さて、どうなるのか。
患者が多くて、診察が流れ作業のようになってしまいがちですが、医師が忙し過ぎですよね。

コロナ禍で働いている医療従事者の方々、ありがとうございます。
コロナ患者が少なくなった今、十分お休みになってください。

何と言っても『きのう何食べた?』は大好きです。
ドラマもいいけど原作も読んでくださいね。
医療を扱った漫画はどれもいいですよ。


弟犬はカモシカが気にいっています。


こういう風に噛みついています。
歯が鋭いのですが、このおもちゃは破れません。
兄はかみずらいのか、見向きもしません。
もっぱらハンカチです、笑。

マイクル・コナリー 『レイトショー』2021/11/21



ハワイ出身の三十代、独身、犬とテント暮らしのロス市警ハリウッド分署深夜勤務担当刑事レネイ・バラードの最初の本です。
ボッシュと共同で捜査を行う前です。
深夜勤務(レイトショー)になる前は本部強盗殺人課の殺人事件担当刑事を五年ほど務めていました。
前にも書きましたが、上司のセクハラを告発したのですが、その場に居合わせたパートナーの裏切りにより告発は不問にされ、バラードはハリウッド分署に飛ばされたのです。
それ以来二年ほど、深夜勤務をしています。
深夜勤務には刑事は二人しかいないので、三日はパートナーのジョン・ジェンキンズと共に勤務し、二日は一人です。
主に刑事が必要とされるあらゆる現場、強盗、性的暴行、窃盗、自動車盗難等に行きますが、初動報告書を作成するだけで、翌朝になるとしかるべき捜査担当班に引継がれるので、事件を最初から最後まで担当することはありません。
それがバラードには不満です。

ある夜、ジェンキンズと勤務中に、最初はバラードはクレジットカードの住居侵入窃盗事件に、次に暴行事件を調べるためにハリウッド長老派教会メディカル・センターに向かうように指示されます。
被害者はドラゴン(ドラッグクィーン、異性装者、トランスジェンダーのこと)で、ブラスナックルを使って暴行された後、サンタモニカ大通りにある駐車場に半覚醒状態で遺棄されたようでした。
彼女の名前はラモナで、”逆さまの家”で襲われたと言っていたそうです。
バラードはこの事件を最初から最後まで担当したくなりましたが、ジェンキンズは却下します。バラードよりもジェンキンズの方がパートナーとして上位ですから、彼の判断が優先されるのです。
諦めきれないバラードは看護師から被害者の所持品をもらい、担当医師に電話が欲しいと名刺を渡します。
署に帰ろうとしたところに三件目の事件の連絡きます。
サンセット大通りのクラブ<ダンサーズ>で四人が殺され、五人目の被害者が今いる病院に運びこまれるというのです。
被害者はクラブのウェイトレスで胸のど真ん中を撃たれており、手術をする前に亡くなってしまいます。
<ダンサーズ>に行くと、因縁のオリバス警部補が指揮を執っており、元パートナーのチャスティンもいました。
バラードはオリバスの目をかいくぐりながら、独自に捜査を続けていくことにします。

図らずも二つの事件を追うことになるバラードはボッシュと同じように一匹狼で、どんな被害者でも同じように扱います。だからこそボッシュと気があったのでしょうね。
ボッシュとの共演の中で気になっていたのが、居住地です。
予想通り部屋をもたず、職場には祖母の住所を届け、浜辺でテント暮らしでした。
父親はサーフィンで亡くなり、母は音信不通という生い立ちも彼女の一匹狼的な生き方に影響を与えているのでしょうね。

12月には新聞記者のジャック・マカヴォイ・シリーズの『警告』が発売されます。
その次にボッシュとハラーの『The Law Of Innocence』、そしてバラードとボッシュの『The Dark Hours』という順番のようです。
来年には両方とも翻訳されるのかな?待ちましょう。


やっと毛が伸びて、可愛くなった犬たちです。


パパがいると甘えて吼えます。


パパがいると、ママと寝ます。
どうもパパはテレビを見たり、音をたてたりして五月蠅いようで、ゆっくり眠れないのが嫌らしいです。

今日も遊びました♫2021/11/22



銀杏が落ちてしまいました。そろそろ冬になるんですね。

ママが遊んでくれるのをジッと待つ犬たち。
遅いとワンワンと弟、クゥーンと兄が五月蠅く吼えます。
弟はいつものようにおもちゃをくわえて走り回ります。


ママ、取ってみてください。


何をしているんですか。とろいですねぇ。


後ろを向いてますから、取ってみてください。


まだですかぁ。


耳を向けて、聞き耳を立てています。


無視すると、こちらを向きました。


かまってもらいたいんですね。


お兄ちゃんはおやつを狙っています。

おやつを考えもなしに頼んでしまい、次々と届きます。
健康診断が12月初めで、大丈夫かしら…。


これは真ん中が虎屋で、左右にある四角い箱の中に福砂屋のカステラが二切れ入っています。箱の色が違いますが、同じカステラが入っています。
私は羊羹よりもカステラが好きです。一箱食べましたが美味しかったです。

リース・ボウエン 『貧乏お嬢様、追憶の館へ』2021/11/23



ダーシー・オマーラと結婚して王位継承権を放棄してから三ヶ月が経ちました。
ジョージーはサー・ヒューバートから相続人に指定され、アインスレーという彼の屋敷で暮らすようになり、新婚生活を楽しんでいましたが、ダーシーは仕事でどこかに行ってしまいます。
ダーシーがいないと、大きな美しいお屋敷ですることがありません。
友人のベリンダはパリに、母親はドイツのマックスのところにいます。
ロンドンのゾゾのところに行ってみますが、大陸に行ってしまったようです。
おじいちゃんは警察でボランティアをしていて忙しそうです。
がっかりしてアインスレーに戻ると、ベリンダが赤いスポーツカーに乗ってやって来ました。祖母から財産を遺され、大金持ちになったというのです。
遺されたものの中に、コーンウォールの家があり、ジョージーはベリンダと共にその家を見に行くことになります。

コーンウォールはベリンダにとって子ども時代の思い出の場所です。
楽しい滞在になるかと思ったら、天気は最悪、家は廃墟みたい…。
一晩なんとかその家に泊まりますが、一晩で十分です。
次の日、近所に泊まれる場所がないか聞こうと日用雑貨店に入ったところ、ベリンダと幼馴染みの、祖母の元料理人の娘のローズと再会します。
ローズは金持ちの息子だったトニー・サマーズと結婚し、前妻から相続したトレウォーマ・ホールに住んでいるというのです。
ベリンダたちが泊まれるところを探していると知ったローズは自分の屋敷に泊まるようにと招待します。
あまり乗る気ではないベリンダです。というのもベリンダとトニーは一時付合っており、トニーに婚約者がいることがわかり、別れたのです。

トレウォーマの屋敷には崖から落ちて亡くなった前妻の影がまといつき、彼女を崇拝している不気味な家政婦がいました。
屋敷の中は張り詰めた雰囲気で、ローズは不安そうです。
ジョージーたちと散歩に行った時に、ローズは前妻は崖から突き落とされたのではないか、そしてトニーは自分を殺そうとしているんじゃないかと言います。

屋敷の雰囲気にいたたまれなくなったジョージーとベリンダは帰ることにします。
しかしその夜、ベリンダのベッドの上でトニーが一糸まとわぬ姿で死んでおり、ベリンダは手にナイフを持っていました…。
ベリンダはトニーの殺害容疑で逮捕されてしまい、ジョージーはベリンダを救うために奔走します。

結婚しても落ち着かないダーシーとジョージーですね。
不幸な出来事があったベリンダがお金持ちになり、幸せを手にするのかと思ったら、今度は殺人事件に巻き込まれてしまいます。可哀想に。
ベリンダにいい人が現れますように、祈っていますわ。

次作は王室との縁も切れたと思っていたら切らせてくれなかったようで、クリスマスだというのにジョージーはまた呼び出され、ある方をスパイするように頼まれるようです。
リース・ボウエンさんは80歳だそうで、そろそろ切りのいいところで終わりにしてもらわないと、アガサ・レーズン・シリーズのように途中で終わってしまい、やきもきしそうです。
ダーシーとの結婚が良い機会だったのに…。

アリスン・モントクレア 『王女に捧ぐ身辺調査』2021/11/24

ロンドン謎解き結婚相談所』の続編です。
2月に刊行されてから11月に次作が発売なんて、速いスピードですね。
評判がよかったのでしょうか。


戦中にスパイ活動をしていたアイリス・スパークスと上流階級出身で息子の監護権を手にするために自立しようとしているグウェン・ベインブリッジは二人で<ライト・ソート結婚相談所>を開業してから四ヶ月が経ちました。
銀行への返済は滞りなくしていますが、思ったほどお客は集まらず、空いた隣のオフィスを借りたくても借りられず、秘書もまだ雇えません。

そんな時に、グウェンのいとこで「王妃の仕事」をしているペイシェンス・マシスンが相談所にやってきます。
彼女はアイリスたちに極秘でしてもらいたいことがあると言います。
それは王女に届いた手紙に書かれていることを調べるということです。
調査がどうなるかによってエリザベス王女の恋の行方が決まります。
アイリスとグウェンは調査を引き受けることにします。

昨日紹介した「英国王妃の事件ファイル」シリーズと同じようにイギリス王室が出てきます。
アメリカのコージー・ミステリーは小さな町に起きる事件が主ですが、イギリスは王室がありますから、王室がらみの事件が結構取り上げられていますね。
少しネタバレすると、今回はこの前亡くなられたフィリップ殿下の生まれにまつわるスキャンダルを探るという内容です。
本とは関係ないですが、フィリップ殿下の若い頃の写真を見ると、イケメンでエリザベス女王が夢中になるのもわかりますよね。
王室やらなんやらは見栄えがいい方がいいよなぁ…(独り言です)。
結婚相談所はどうなったのと言いたくなるかもしれませんが、意外と面白くて気になりませんでした。
グウェンが絶世の美女になったり、アイリスが危機一髪のところを逃れたりするのがお決まりになるのかしら。
次回(『A Rogue's Company』)はいよいよグウェンの義理の父親がアフリカから帰ってきます。そして起る殺人事件と誘拐は相談所絡みのようです。
四作目のハードカバーの新刊(『The Unkept  Woman』)が出るのが来年の6月らしいので、その頃までに三作目が翻訳されるのを楽しみに待ちますわ。


おやつ探しを二匹ですると、弟がものすごい勢いで探します。


兄は弟の勢いに押されたのか、横から探す感じです。


ヨーキーってもともと工員たちの家のネズミを捕る犬だったからか、とっても庶民的な性格です。家では大胆ですが、外に出るとママたちから離れません。
元は船員のペットだったマルチーズとメキシコ産かと言われているチワワのミックス犬の兄はお上品です。
食べ方を見てもわかるでしょう、笑。