ネレ・ノイハウス 『母の日に死んだ』2021/12/12

ホーフハイム刑事警察署捜査十一課第一首席警部オリヴァー・フォン・ボーデンシュタインと首席警部のピア・ザンダー・シリーズの九作目。
今回はピアが主役です。


ピアも49歳になり、それなりに老いを感じ始めている。そのためか農場暮らしに快適さを感じなくなり、住んでいる白樺農場を売却することにする。
たまたま同じ時期に、夫のクリストフがかつて住んでいた家が売りに出たので、渡りに船だったが、問題なのは姉妹のあいだだった。
妹のキムが五年前に署長とパートナー関係になってから連絡をしていない。
署長とも微妙な感じだ。

一方、オリヴァーはサバティカルから戻り、勤務時間を通常の80%にするという条件で捜査十一課課長に復帰。昨年カロリーネと結婚した。
元妻のコージマはあいかわらず世界を股にかけて活動している。
娘のゾフィアに関する取り決めを今のところは守っている。

そんなある日、マンモルスハインにある邸宅の中に男性の死体があるという通報が入り、ピアが現場に向かう。
死んでいたのはその邸の主人のテオ・ライフェンラート。
いなくなった飼犬を探したところ、犬はケージの中で瀕死の状態だった。
その上、ケージ中に人骨があり、ケージの床下からラップフィルムにくるまれ、死蝋化した三体の若い女性の遺体が見つかる。
邸は女子修道会が運営していた元孤児院で、テオ・ライフェンラートの父親が買い取り、テオは妻のリタと共に三十年近く孤児院から大勢の児童を引き取り育てていた。
1995年5月にリタは行方不明になるが、鬱病を患っていたため自殺したと見られていた。
テオ・ライフェンラートがこの三人を殺したのか。
調べていくとライフェンラート家の周りには、不審な死と壮絶な虐待があった。

この事件と同じ頃、21歳になるフィオーナ・フィッシャーは母親を癌で亡くした。
長年音信がなかった父親に会いに行くと、衝撃の事実を知ることになる。
子どもが欲しかった母とスイス国籍が欲しかった父が偽装結婚をし、チューリヒ大学病院の医師と密約し、フィオーナを実の子どもとして引き取ったというのだ。
フィオーナは実の母親を見つけようと決心する。

一見関係なさそうな母親探しが、後で連続殺人事件と関係していきます。
私は名前を見落としていました(恥)。
子どもに関する問題は世界的なもので、解決への道は遠いですね。
何かよい解決策はないものでしょうか。
空港での捕物劇の後、ピアとキムの関係も改善しそうです。
次回はまともになった「伯爵」オリヴァーの回ですが、どんな事件が起るのか楽しみです。