天童荒太 『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』2022/06/25

今日のGoogle Doodleは「アンネ・フランクを称えて」です。
アンネの誕生日でもないし…と不思議に思ったら、『アンネの日記』の初版発行が今日で、出版されてから75周年だそうです。
アンネの誕生日は1929年6月12日ですから、生きていたら93歳になります。
(過去のDoodleはここに載っています)


包帯クラブ』が発売されてから16年が経ったそうです。
そんなに経ってから続編が書かれるとは思いませんでした。
この本は街の景観を汚していると非難されてからのその後と、包帯クラブのみんなが大人になってからを描いています。

包帯を巻いて欲しいというリクエストに応じ、人が「傷ついた場所に包帯を巻く」活動は周囲の無理解や反発により自粛せざるおえなくなります。
ディノ、ワラ、リスキ、ギモ、タンシオ、テンポの六人は大っぴらに会えなくなりったので、リスキがバイトしているレゲエクラブ『ワン・ワールド』を使わせてもらい、秘かにそこでミーティングをすることにします。
時間を持て余した6人はディノの「包帯の代わりに、バンドを巻こうぜっ」の一声で、「ザ・バンデイジ・クラブ・バンド」をやることにします。
ディノはギター、ワラはベース、リスキはドラム、タンシオはサックス、テンポはキーボード。何も楽器が弾けなくて、音痴のギモはマネージャー、笑。
ヴォーカルとして『ワン・ワールド』を経営しているユンの妹・ミンジョンが参加します。
彼らは自分たちで曲を作り、『ワン・ワールド』での年越しフェスや野外ステージでの春フェス、そして特別支援学校のコーラス部とダンス部たちと連『ダイバシティ・ワールド』を結成し、パレード・コンテストに参加します。
彼らは自分たちのやり方で自分たちの思いを表現し、人と繋がっていきます。

大人になった彼らはそれぞれの道を歩んでいます。
バンデイジ・クラブの活動は世界中に知られるようになり、各国に支持者がいます。ギモが国内外のバンデイジ・クラブの活動の連絡係をしています。

ワラは国際医療団の看護師として活躍しています。
ある日、ワラに紛争地域に赴くフォトジャーナリストになったディノが、アジア南西部の紛争地帯で取材中に撃たれたという知らせが来ます。
ワラはディノのもとへ駆けつけようとしますが…。

印象的な言葉を載せておきます。

「逃げたいときは逃げればいいよ。大事なのはさ……逃げないことじゃなく、逃げたくない、って思える仕事や場所や人に出会うことだ。(中略)逃げたくないって人に出会うために、逃げることを悪く思う必要はないよ」

「ふつうは成績って、自分だけのためでしょ。けど、わたしの成績がいいってことが、みんなを助けられることもある、とわかった。自分のためだけだと、むなしいと感じることがある。けど、誰かのためになる、って思ったら、力が湧いてきたんだよね」

「場所のほうが、人を望むことがあるからね。望まれた場所で、一生懸命生きることも大事だよ」

「ワラは、おれの包帯になってくれ。おれは、ワラの包帯になるから」

「わたしたちは生きていれば、きっと何かしらの傷を負う。その傷を一人で抱えて生きていくのは限界がある。疲れ果て、痛みに耐え切れなくなって、つづけていた生き方をあきらめざるを得なくなることもある。でも、なぜ傷ついたのか、理由や意味を理解してくれる人がそばにいれば、それだけで力になる。
傷をいたわり、痛いね、少し休もうか、と言ってくれる人、甘えさせてくれる腕や胸があれば、これからもがんばっていける。
わたしたちは、それぞれの傷の理由や意味を理解し、回復するまで包み合う……そんな「包帯」だった。そしてこれからも、傷ついたらまた戻ってゆきたい、戻っておいでと言える存在でありたいと願っている」

今、包帯を世界中で巻いていったら、一体どうなるのかしらと思いながら読んでいました。

天童荒太さんのインタビューもお読みください。

<今週のおやつ>


アイスコーヒーが飲みたいので豆ではなく液体コーヒーを頼んでみました。
チョコチャンククッキーがついていますが、少しなのでwww。

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