髙田郁 『あきない世傳金と銀 十三 大海篇』2022/08/16

毎回読むのを楽しみにしていたこのシリーズが、終わってしまいました(泣)。


宝暦元年に浅草田原町に江戸店を開いた五鈴屋は呉服商いに復帰しましたが、武家を顧客に持つことで豪奢な絹織も扱うようになります。
そのため今までのお客が気後れするようになり、どうしたらいいのか考える幸。

吉原の衣装競べが始まりました。
五鈴屋は花魁ではなく、初めて吉原で芸者になった歌扇の衣装をそろえます。
音羽屋との競り合いになるのですが…。
衣装競べの日に、幸は思いがけない人たちが引手茶屋の二階にいるに気づきます。

そんな頃、菊次郎がいい話を持ってきます。
菊栄と五鈴屋がそれぞれ探している売家が間口五間。
菊次郎が呉服町の末広屋から直々に口添えを頼まれたのが、間口十間の売家。
『菊栄』と五鈴屋、二店で分けるのはどうかと言うのです。
菊次郎と末広屋のつき合いは長く、店主も奉公人も間違いがないと言います。

呉服町に新店が開店し、穂積家の嫁荷を依頼され、歌舞伎役者、吉次の色が決まり…五鈴屋は順風満帆でしたが、好事、魔多し。
沽券状(家屋敷の受け渡しを証する書面)が二通あり、沽券帳(沽券状の記録)が一冊しかないことが発覚します。
運の悪いことに「菊栄」所有の沽券帳がないのです。
もう一方の名義人から家屋敷を買い戻そうとするのですが、応じず、立ち退きしてもらいたいとのこと。
五鈴屋呉服町店も菊栄も暖簾を下ろさなければならなくなります。
両店を奈落の底に突き落とした相手は、意外な人でした…。

最後まで気の抜けないお話でした。
人が何を考えているのか、なかなかわからないのが世の中。
惣ぼんはこれで溜飲を下げたのか?
彼が彼なりに納得のいく生き方ができたのならいいのですが、これは淋しい孤独な生き方だと思います。
「生涯をかけて、金を生かす銀となります」と言った賢輔には泣かされました。
是非とも幸と幸せになってもらいたいです。

ちょっと私的には消化不良な終わり方だと思ったら、特別篇ってものが2冊、これから発売されるそうです。
楽しみに待ちますわ。


<今週のおやつ>


夏限定の「Cheesy Poche ナツカン」。
レモンメレンゲ入りの方を食べて美味しいと思ったのですが、ナツカンの方は普通でした。

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