中山七里 『特殊清掃人』2022/12/15



『部屋には住む者の性格と嗜好が現れる。片づけ具合からは精神状態が、ゴミからは生活水準が窺える』

「特殊清掃」とは、ゴミ屋敷や死体が発見された部屋などの事故物件のハウスクリーニングを指す。

秋廣香澄は勤めていた事務機メーカーが倒産したので、就職活動を始め、六社目に応募したのが<エンドクリーナー>。
仕事は特殊清掃の他に供養・遺品整理・家具の買い取り・リフォーム・物件の買い取りまでを請け負う。
会社の代表は五百旗頭亘(いおきべわたる)で、社員として前にイベント会社に勤めていた白井寛がいる。

1・祈りと呪い
32歳の女性が亡くなっているのが見つかる。死後一ヶ月半だった。
部屋はゴミで埋もれていたが、クローゼットだけは整然としており、中に派手な色合いのジャケットと山高帽があった。
床には「みんな、滅びろ」とボールペンで書かれていた。
香澄は何故か彼女のことが気になり、遺品整理を口実に彼女のことを調べて行く。

2・腐食と還元
入浴中に亡くなった四十代半ばのベンチャー企業社長の男性は、複数の女をとっかえひっかえしていたという。
遺品整理のため、五百旗頭は付き合っていたという女たちに会いにいくが…。

3・絶望と希望
1Kの部屋で29歳の独身男性が熱中症で亡くなっていた。
彼は白井の学生バンド仲間で、作詞作曲兼ベースギターを担当し、音楽センスがよく、バンドのリーダーを任じていた。
バンドはボーカルの女性にレコード会社から声がかかり、彼女がソロデビューしたので、結局空中分解に終わった。
遺されたパソコンの中に音源があったので、白井はそれを形見わけすることにする。
連絡先のわからないボーカルの女性のことを調べてみると…。

4・正の遺産と負の遺産
一戸建てに住んでいた<平成最後の相場師>と呼ばれた男は、家政婦が夏季休暇を取っている間に亡くなっていた。
五百旗頭たちがハウスクリーニングを終える寸前に、娘の三姉妹がやって来て、我が物顔で屋敷に入り込み、遺品をあさり始める。
五百旗頭は介護ベッドの下に隠し金庫を見つけ、鍵も暗証番号もわからないので壊すと、中に遺言状が二通見つかる。
弁護士を呼び、遺言状を開けてみると、一通目には全財産を姉妹三人で均等に分けるようにと書かれており、二通目には家族の誰かが自分を殺そうとしているので、不慮の死をむかえることがあれば、他殺を疑ってほしいと書かれていた。
警察が呼ばれる。
五百旗頭は乗りかかった船ということで、弁護士に協力することにする。

嬉しいことに『鑑定人 氏家京太郎』の氏家さんが登場します。
特殊清掃のことですので、描写が真に迫っています。こういうのが苦手な方は読まない方がいいでしょう。私は意外と平気です。

下手をすれば誰にでも可能性があるのが、死後何日かで発見されるということです。
特殊清掃人の方々には頭が下がります。ありがとうございます。
人に迷惑をかけないように、今から施設に入るか、どこかの会社と契約して、見守りをしてもらうか、考えておきますわ。
その前に断捨離してすっきりしなければ。なかなか捨てられないのよねぇ。
今がやり時なので、頑張りますわ(たぶん)。
そういえば昨夜夫に「皿を売れば」と言われたわ。いっぱいあるのよ、笑。

特殊清掃人のお仕事を垣間見られ、亡くなった方々の隠された生き様と思いを知ることのできるお話です。
氏家さん同様にシリーズ化してくれると嬉しいです。

<今日のおやつ>


アドベントカレンダーの中身です。
あ、知りたくない人は見ないでね。6日ごとにクマさんが出てくるみたいです。
同じクマさんでちょっと残念。
子どもは一日ごとに食べてしまうので、同じとはわからないか。
私は他に食べたいものがあるので、夫にあげようかしらww。

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