時代小説シリーズ(文庫本)2024/11/27



山本巧次 『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 殺しの証拠は未来から』
関口優佳のところに宇田川聡からLINEで連絡が来る。彼曰く、「江戸の骨が出た」。詳しく聞いてみると、四谷の建設現場で一週間前に人骨が発見され、科捜研によると、概ね二百年程度は経過したもので、警察が取り扱うものではないと判断されたとのこと。優佳が骨を見に行くと、傷があり、刺殺されたようだ。文政丁銀と何に使われたかわからない金属板の切れ端の遺留品があった。
宇田川は偉そうな科捜研の連中の鼻を明かしたいという子どもみたいな理由を言って優佳に江戸で調べろと言う。優佳はこの「起きていない事件」を調べてみることにするが、行方知らずになっている男はなかなか見つからない。

相変わらず進まない南町奉行所定廻り同心・鵜飼伝次郎とおゆうこと優佳の仲です。
さて、彼らが未来から来た同志だとわかるのはいつでしょうね。その時が物語の終わりの時なのでしょうか。

森谷明子 『源氏供養 草子地宇治十帖』
寛仁三年、道長大殿は出家し、刀伊の賊がもたらした恐ろしい病が広がっていた。
そんな時に賢子の母の香子(紫式部)が亡くなる。香子の庵には物語はなかった。
晩年、香子は指の痛みで筆を持って文字を書くことが困難になっており、彼女の周りでは猫や人に毒を盛った出来事が起っていた。
一方、香子の侍女だった阿手木は夫とともに筑紫に渡り、「刀伊の入寇」に巻き込まれる。

私ったら、間違って王朝推理絵巻の三巻目を読まずに最終巻を読んでしまいました。
『千年の黙 異本源氏物語』から『白の祝宴 逸文紫式部日記』、『望月のあと 覚書源氏物語『若菜』』の次にこの本をお読み下さいね。
阿手木がこの物語の中で一番好きなキャラだったのですが、何があるのかわからないのが人の世ですからなぇ(溜息)。
『源氏物語』等の素養があった方がより面白く読めただろうなと思いました。
今からは読む気力がありませんがねww。

風野真知雄 『わるじい義剣帖<四> やってない>
女絵師・お貞殺しとおぎん殺しは未だに解決していない。
そんなある日、愛坂桃太郎は女武会の幹部三人と対決する。もちろん桃太郎が勝つのだが、どうも三人は桃太郎がお貞を殺したのではないかと疑っていたようだ。
お貞とおぎん殺しに精力を傾けたい桃太郎のところに次々と相談ごとがやって来る。犬小屋で寝起きをするご隠居の謎、息子の女が化粧して別人になる謎、尻尾屋あるじの店じまいの謎、<若虎屋>の隠居殺害…。
桃太郎の閃きから殺人事件は解決しそうになるが…つづく。

桃子ちゃんが尻尾をつけたのを見て、みんなが真似をするというのが可愛いですね。そういえば尻尾、流行ったことがありましたよね。あれはシッポ型フェイクファーチャームというのだそうです。みんなつけて歩いていました。
変な相談事にかまけているうちに、桃太郎、ピンときちゃいます。物事が煮詰まったら、他のことをしてみるというのが意外と役に立ったりするようです。

阿部順一 『まんぷく旅籠 朝日屋 もちもち蒸しあわびの祝い膳』
「第一話 あわびの両思い」
朝日屋に祝い膳の予約が入るが、おふさは乗る気ではないようだ。ちはるはおふさの様子が気になる。おしのが担当となり、みんなで色々と案をだしあうが…。
「第二話 異変」
朝日屋に目付の新倉格之進が怜治に会いにやって来る。火盗改の柿崎詩門の兄、安岡左門が広田屋に押し入った賊の一人だと言われており、詩門の最近の様子を聞いてくる。
翌朝、詩門が現れ、左門も困っているというが…。
「第三話 新風」
伊勢に向かった茶々丸から紹介されたと言って世之介という宮大工が朝日屋にやって来る。茶々丸から朝日屋のみんなの噂を聞いているというが、とんでもない作り話ばかり。世之介は普請場に行き、五日間働き、木材をもらってきて、土間の隅に飾ってもらえるもんを作ると言う。彼の作ったものは…。
「第四話 朝茶」
狭山の茶を世の中に広めるため尽力している五平が朝日屋に泊まる。
彼のお茶の淹れ方は無造作で雑ともいえるような気軽な淹れ方だったが、飲んでみるとまろやかな甘みとさわやかな渋みが心地よく舌の上を駆け巡った。
ちはるは無料で茶葉を配り、試し飲みをしてもらうことを提案する。
朝日屋も泊まり客に飲み比べしてもらうことにする。
しかし、なかなか道行く人は飲んではくれない…。

読んでいると、伊勢うどんが出てきて、食べたくなりました。
おかげ犬の獅子丸は元気だそうです。また逢いたいですね。
この頃日本茶を飲んでいませんが、ちゃんと茶葉から淹れて飲みたいなと思いました。ティーバッグは手ごろですがね。
今回はお仕事をする上で大切なことを教えてくれるお話になっています。

「美味しいものって、本当に心を豊にしてくれますよねぇ」
「美味しいものの力は、すごいですよねぇ」

食いしん坊の私は同感です。

軽い時代物を読みたい時に手に取ってもらいたいシリーズです。

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