東野圭吾 『白鳥とコウモリ』2024/12/01



竹芝桟橋近くの路上で不審な車が止められているので、取り締まって欲しいという通報が入る。
最寄りの警察署所属の交通課が出動したが、車の後部座席から男性の遺体が見つかる。
遺体は財布に入っていた運転免許証から五十五歳になる白石健介という弁護士であることがわかる。

スマートフォンの位置情報から白石健介の殺害されるまでの行動がわかったが、白石の妻と娘は彼が訪れた場所に心当たりがないと言う。
どの関係者からも白石を憎んでいた人間がいるとは思えないという話しか出ない。

警視庁捜査一課捜査員の五代と中町は丹念に被害者の足跡を辿っていくうちに、 1984年に愛知で起きた金融業者殺人事件と繋がりがあることを突きとめる。
捜査線上に浮かんで来た男に話を聞きに行くと、その男は二つの殺人事件の犯人は自分だと自供する。

父の死に疑問を持つ娘と父の自供に納得できない息子は、五代の助けを借りながら二人で事件を調べて行く。

自供した段階で事件は解決したとみなされますが、このお話はそこから謎解きが始まります。
『容疑者Xの献身』に似た人間の性みたいなものが書かれています。
実際にはそんな人は滅多にいないでしょうがね。
例え真実がどうであろうが、知ることによって未来が開けていくと信じたくなります。
何があっても親を信じられる子どもは幸福であると思いますよ。

この本の続きに当たるのが『架空犯』だそうです。
私は知らずに図書館に予約していました。今月読めそうです。
これから読む人はこの本を読んでからにしましょうね。
お勧めです。


<週末のわんこたち>
近所のイチョウの木が見事に黄色くなっています。


少し寒くなったので、わんこたちは洋服を着てお散歩しています。


寒がりな弟は昨年(かな?)買った厚いもの、寒さに強い兄は今年買った薄いものを着ています。


アラ、食いしん坊の兄がママの方を見て、おやつを要求しています。
今日はちゅーるにしましょうか。

「チネチッタで会いましょう」を観る2024/12/02

イタリア映画。
現代は「Il sol dell'avvenire(未来の太陽)」。
これまたなんでこんな邦題なのかといいたくなりましたwww。


五年毎に映画を撮っている映画監督のジョヴァンニは、ソ連のハンガリー侵攻を舞台にした政治映画を撮り始めた。
ところが万事が上手く行かない。
出演女優はこの映画は恋愛映画だと言い張り、ジョバンニの演出をことごとく無視する。
音楽家であるジョヴァンニの娘は彼と年のかわらないポーランド大使と付き合い始める。
映画のプロデューサーをしている妻のパオラからは、彼の言動がもう我慢ならないと言われ、離婚を突きつけられる。

そんな頃、映画の資金を出すはずのピエールに金がないことがわかり、映画の資金が足りなくなる。
ピエールはジョヴァンニにNetflixと契約するように勧めるが…。
さて、映画は無事に完成するのだろうか?

ジョヴァンニの映画に対するこだわりはすごいです。
パオラは若い監督と仕事をしていましたが、ジョヴァンニは妻と話すためにその現場に行き、関係もないのにラストシーンにダメ出しをし、持論をえんえんと展開し、一晩をついやします。
ラストシーンが終われば、みんなで打ち上げだと思っていたのに、一晩ジョヴァンニに付き合わされて、みんなグッタリ。ご苦労様ですw。
妻のパオラの気持ちがよくわかりました、笑。
ジョヴァンニは巨匠ではありますが、時代にもはや合っていないんですね。

内容を知らずに見た私は映画と現実がごっちゃになり、最初戸惑いました。
映画監督が映画を撮っていることがわかると、大丈夫でした。
途中にノリのいい曲やゆるいダンスが入り、楽しかったのですが、何を描きたかったのか、私にはわからず、エンディングで睡魔が押し寄せてきました。
イタリア人ってこんなに饒舌でしたっけ?

イタリアを代表する監督ナンニ・モレッティが自作自演の映画だそうで、彼のファン向きの映画です。
私は彼の監督した「ローマ法王の休日」を観たかもしれません。
演技も上手くて、多彩な方ですね。



<今朝の兄わんこ>
毛がボッサボッサです。毎日ブラッシングはしているのですが、上手くいきません。


昨夜ママが寝る時にはぐっすりと自分のベッドで寝ていた兄が、1時過ぎにクゥーンクゥーンと鳴き始めました。
仕方ないのでママのベッドまで連れていき、寝せました。
6時過ぎになると餌をくれと、ママの身体の上に上り、起こそうとします。とっても迷惑です。

年を取ったからか、兄は待つことをしなくなりました。
おやつを見せるとすぐに食べようとします。
ご飯もママパパが少し早めに食べていると、自分にもくれと言って鳴きます。
人も犬も年を取ると堪え性がなくなるのでしょうかね。困ったもんです。

一色さゆり 『音のない理髪店』2024/12/04



五森つばめは三年前に恋愛小説系の新人賞をとった。
しかし、デビュー作以来、二作目を書けずにいた。
小中学生を対象にした学習塾の講師をして食いつないでいた。
そんな頃、老舗出版社の駒形という編集者から、デビュー作の感想を添えて、会いたいというメールが届く。
駒形に会いに行ったつばめが今までのプロットを含めた資料を渡すと、駒形は最後の方にあった耳の聞えない両親を持つ男の子の話に目を止めた。

実はつばめの祖父母はろう者で、父親がコーダ(チルドレン・オブ・デフ・アダルトの略称で、ろう者に育てられた聞える子ども)だった。
祖父母は徳島に住んでいたが、祖父は交通事故でなくなり、祖母は徳島市内の介護施設にいる。
祖父は日本の聾学校ではじめてできた理髪科を卒業した一期生で、自分の店を持った最初の人だった。

駒形に祖父のことを書いてはどうかと勧められ、つばめは書いてみることにする。
つばめはろうの祖母、コーダの父と伯母、その他祖父と関わりあった人たちへの取材を始める。
取材をしていくうちに、何故祖父はあれほどの信念を得られたのか、つばめは知りたいと強く思うようになる。

今まで一色さんは芸術に関する小説を書いていましたが、今回はまったく違うジャンルのことを書いています。
不思議に思っていると、朝日新聞(2024年11月6日版)に「小説に登場する耳の聞えない理容師のモデルは、実際に徳島県に住んでいた一色さんの祖父」だと書いてありました。
なるほど、読んでいくと、つばめと一色さんが重なりあいました。

コーダについてはデフ・ヴォイス・シリーズを読んでいたので知っていました。
デフ・ボイス・シリーズはミステリなので、現在のろう者が置かれている状況が多く書かれていますが、この本では主にろう者たちの辿ってきた戦前と戦中、戦後のことが書かれています。
本の中の名もなき路地裏の阿波踊りを踊る場面のような社会が早く来て欲しいと思います。

是非、中学生以上の子どもたちに読んでもらいたい本です。

宮部みゆき 『気の毒ばたらき きたきた捕物帖<三>』2024/12/05

「きたきた捕物帖」シリーズの三作目。


第一話:気の毒ばたらき
北一は文庫屋と岡っ引きの真似事をして暮らしている。
ある日、万作・おたま夫婦が親分の跡を継いだ文庫屋が放火により火事になった。
昼火事だったこともあり、万作もおたまも子どもらも、そして職人も奉公人も近所の連中も無事だった。
しかし、火をつけたのが台所女中のお染だという。
親分の家でお染に世話になった北一は信じられない。
お染の疑いを晴らすために、北一は人々に話を聞いて回る。
その時に北一は焼け出された人たちが暮らす仮住まいに現れる怪しげな男たちに気づく。いったい彼らは何物なのか?
調べて行くと、意外なことが判明する。

第二話:化け物屋敷
北一は貸本屋・村田屋治兵衛から貸本と朱房の文庫を組み合わせて新しい商いをしようと持ちかけられていた。
北一は乗る気になっていたが、作業場の職人頭の末三じいさんが治兵衛を嫌っていた。
というのも二十八年前の治兵衛の妻殺害事件と数年前の村田屋と親しかった若い浪人の惨殺事件の二つを重ねて、凶事に見舞われる者は業が深いと末三は思い込んでいたのだ。
末三が治兵衛を嫌がる気持ちを薄めるために、北一は治兵衛の妻の身に何が起きたのか、下手人は誰なのか突きとめようと決意する。

もちろん、北一は長命湯の釜焚きをしている喜多次の協力を求めます。
どうも喜多次は忍びの者と何やら関係がありそうです。
その他、新しいメンバーとして二匹のワンコ、シロとブチが登場します。
うちのワンコたちに爪の垢でも飲ませたくなりました。
富勘長屋のみんなや長命湯の爺ちゃん婆ちゃん、沢井と栗山の旦那、おでこさんなどいつものメンバーも元気です。
千吉親分のおかみさんにすごい能力があるのがわかりました。
目が見えないからとあなどってはいけませんよ。
そうそう、長崎にいる弓之助は暗号解読でちょこっと登場。いつ江戸に帰ってくるのかしら。

お話の結末はすっきりとはせず、しんみりとした悲しいものですが、北一の成長が感じられます。
喜多次に鍛えられ、北一がムキムキになっているかどうか、次のお話が楽しみですわwww。
本の厚さが気になりませんので、是非読んでみて下さい。

きたきた捕物帖・シリーズ
②『子宝船 きたきた捕物帖<二>』
③『気の毒ばたらき きたきた捕物帖<三>』

ローラ・チャイルズ 『レモン・ティーと危ない秘密の話』2024/12/06

「お茶と探偵」シリーズの25作目。


チャールストンにあるインディゴ・ティーショップのオーナーのセオドシア・ブラウニングは「レモンのお茶会」を主催していた。
会場は本物のレモン畑で、採りたてのレモンが積み上げられ、レモン風味のお茶の香りがただよい、レモンのスコーンが一品目に出された。
そして、今回のお茶会の目玉、<レモン・スクイーズ・クチュール>という新しいファッションブランドのファッションショーが始まろうとしていた。
ところが、有名ブティック<コットン・ダック>のオーナーであるデレインと<レモン・スクイーズ・クチュール>のクリエイティブ・ディレクターになった彼女の姉のナディーンは、ショーで見せる衣装の順番を巡って大喧嘩をしていた。
セオドシアはなんとか二人をなだめ、喧嘩を止めさせた。
しかし、その後、とんでもないことが起る。
レモンカードを補給しようと、セオドシアがウォークイン冷蔵庫の扉を開けると、レモンカードのボウルに頭をつっこんでいる遺体が現われたのだ。
その遺体はナディーンで、後頭部を銃で撃たれていた。

セオドシアはナディーンの娘のベッティーナから犯人を突きとめて欲しいと頼まれ、ドレイトンといっしょに犯人捜しに乗り出す。

セオドシアはチャールストンのミス・マープルとか少女探偵ナンシー・ドルーとかトリクシー・ベルデン(1948年から1986年に書かれた「探偵」ミステリ・シリーズの主人公だそうです)とか言われて、その気になっていますねww。
今回はチャールストン・ファッション・ウィークという一大イベントが開催されていたり、クラッシックカーのイベントなども行われていて、いつも以上に華やいだ雰囲気です。
チャールストンって楽しそうな町ですね。

さて、いつも楽しみにしているお茶会ですが、セオドシアたちは「レモンのお茶会」の他に「スターリングシルバーのお茶会」や「アイルランド風クリーム・ティー」、ティー・トロリー・ツアーでのランチのお茶会などを催します。

では、「アイルランド風クリーム・ティー」を紹介しましょう。
緑色のシャムロック柄がついた白いリネンとドニゴール・パリアンのアイリッシュローズ柄の食器を使い、貝殻サルビア(別名アイルランドの鐘)をベリークの花瓶にいけ、各テーブルに白いピラーキャンドルと焼き物の羊、アイリッシュハープとシャムロックを置きます。
ランチの一品目はベーキングソーダを使ったアイルランド風スコーンにアイルランド産のクリーマリーバターとイチゴジャムかオレンジマーマレード。
二品目はジャガイモとリーキのスープ。
三品目のメインディッシュはブラウンシュガーをまぶして焼いたサーモンのグリルに付け合わせのアスパラガスのキャラメリゼと在来種のトマトを使ったサラダ。
デザートはアイリッシュ・アップルケーキ。
お茶は<シンプソン&ヴェイル>のアイリッシュ・ブレックファーストです。
書かれていませんが、アイリッシュ・ミュージックが流れているんでしょうね。

あとがきにも書いてありますが、このシリーズは29作目が来年の三月に出版されるようです。
26作目の『Honey Drop Dead』では、セオドシアが「ハニー・ビー・ティー」を催している時に偽りの養蜂家が現われ、パーティは混乱し、州議会候補が殺されるという事件が起ります。
だんだんと事件が大きくなってないですか。
チャールストンの警察は何をしているんでしょうねぇ。


「お茶と探偵」シリーズの順番。
①『ダージリンは死を招く』
⑬『ローズ・ティーは昔の恋人に』
㉕『レモン・ティーと危ない秘密の話』

読んだ文庫本2024/12/08



ほしおさなえ 『銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に』
旬平はブラック企業に就職し、仕事の疲れから新宿駅のホームから落ちて入院する。不運なことに、入院している最中に会社が潰れ、不本意ながら彼の一族が経営している軽井沢の銀河ホテルで働くことになる。
銀河ホテルは、昭和初期に富豪が別荘として建てた洋館を曾祖父が買い取りホテルに改装した、部屋数が三十ほどの小さなホテルで、今は母親が社長になっている。
ホテルに苅部文彦というアクティビティ部門の長がいる。彼はこのホテルの居候で、ホテルの裏山に建つ小屋に住み着いている。彼は蔵書室のとなりにある「手紙室」で手紙を書くワークショップを開催している。このワークショップは風変わりなもので、ワークショップを受けると、心の奥に隠されたほんとうの気持ちが見えてくるのだ。
旬平もホテルにやって来たお客たちもワークショップに参加し、自分たちの人生と向き合うことになる。

ほしおさんの新しいシリーズです。二作目が11月に発売されているようですが、まだkindleでは読めないようです。
今回は手紙がテーマで、ほしおさんお得意のインクの蘊蓄が読めます。
「言葉の園のお菓子番」シリーズ、古着を扱う琴子シリーズ、そしてこのシリーズの三つをこれから書いていくのでしょうか。今のところ新しいシリーズは様子見という感じです。

中山祐次郎 『迷うな女性外科医 泣くな研修医7』
佐藤玲は三十一歳の牛ノ町病院の外科医。医師として七年目で、外科医としては五年目になる。上司の岩井修造から責任のある仕事をさせてもらい、四学年下の雨野隆治が研修医から外科に残っているという恵まれた職場だ。手術の腕を上げることに生きがいを感じているが、時として女で外科医であることに憤ることもある。
そんなある日、研修医の時にお世話になり、四年前までいっしょに働いていた東凱慎之介の主治医を命じられる。東凱は四十三歳という若さで、ステージ4の直腸癌だった。

このシリーズは雨野が主人公かと思っていたら、今回は彼の指導医で同僚になった佐藤玲医師が主人公です。まあ、雨野は研修医じゃなく、ちゃんと免許のある医師になったのでいいんですけど、副題を変えた方がいいかも。
女性で医師であることに悩む佐藤医師に頑張れと言いたくなりました。
次は岩井医師のことが書かれるのでしょうか。期待して待ちますわ。

②『逃げるな新人外科医』
⑦『迷うな女性外科医』

藤野千夜 『団地のふたり』
桜井奈津子と太田野枝は同じ団地にすむ友だち同士。
奈津子は同居している母親が親族の介護で郷里にかえっているため今はひとり暮らしをしている。イラストレーターをしているが、依頼が少ないので、ネットでの取り引きやご近所さんに頼まれたおつかい、優待株の売り買いをして暮らしている。
非常勤講師をしている野枝ことノエチは両親と同居しているが、口うるさい親から逃れるためにしょちゅう奈津子の家に入りびたっている。
こんな二人の日常生活を描いた作品。

テレビドラマで評判ということで、読んでみました。まあ、なんの変哲もない、まったりしたお話です。同じ団地に住んでいるからいいですね。それじゃなきゃ、なかなか友だちとも会えませんものね。
10月に二冊目の『また団地のふたり』が発売されています。

友井羊 『スープ屋しずくの謎解き朝ごはん お茶会の秘密と二人だけのクラムチャウダー』
「第一話:ダイヤモンドは消えない」
片山節子は町内の大きな洋館で暮らしているセレブのおばあさん。彼女のお茶会に理恵と夏織が招かれるが、そのお茶会で片岡家に伝わるダイヤが紛失する。いったい誰が盗んだのか?
「第二話:あなたにトムカーガイを」
浜口美智は自宅で料理教室を開いている。料理教室の広告を最寄り駅を中心に配布されているフリーペーパーに出していた。しかし、他の地域にも配ることになったらしく、理恵たちが問い合わせてきた。
理恵たちの料理教室の日以来不思議なことが起こる。夫が亡くしたカードケースが変なところに置いてあり、夫のクロスバイクが彼が嫌いなはずのタイ料理屋の前にあったり…。夫が何か隠しているのではと疑心暗鬼になる美智。
「第三話:ビル清掃は誘惑だらけ」
大学生の大塚マリアはアルバイトで早朝のオフィス清掃を始めた。不思議なことに現金がゴミ箱に捨てられていることが数回あったり、社員から付き合わないかと誘われ、断った後、大事な書類が見つからないことをマリアのせいにされたりする。バイトを辞めないといけないのかと悩むマリアだった。
「第四話:禁酒運転の証明方法」
理恵の友人の澄佳には悟という恋人がいる。ある日、悟が友人と山登りに行った日に、悟の妹から連絡が入る。悟の浮気現場を目撃したというのだ。
悟に確かめると、その日は酒を呑んだので、運転はできなかったという。
悟の言うことは本当なのか?

スープ屋しずくの店主、麻野暁がお店のお客さんが持ち込む謎を解いていくというお話です。理恵はしずくの常連で、麻野とつき合い始めたばかりです。
出てくる美味しそうなスープが目的で読んでいます。
例えば「クレソンとくるみのポタージュ」とか「バジルのポタージュ」、「ボンゴレロッソのスープ」、「ポトフ・ド・ラメール」とか。
スープにも色々な種類があるんですねぇ。

②『スープ屋しずくの謎解きごはん 今日を迎えるためのポタージュ』
③『スープ屋しずくの謎解きごはん 想いを伝えるシチュー』
④『スープ屋しずくの謎解きごはん まだ見ぬ場所のブイヤベース』
⑤『スープ屋しずくの謎解きごはん 子ども食堂と家族のおみそ汁
⑥『スープ屋しずくの謎解きごはん 心をつなぐスープカレー
⑦『スープ屋しずくの謎解きごはん 朝食フェスと決意のグヤーシュ
⑧『スープ屋しずくの謎解きごはん お茶会の秘密と二人だけのクラムチャウダ   
  ー』

本多孝好 『こぼれ落ちる欠片のために』2024/12/09



県警刑事部捜査第一課強行二係の和泉光輝はある殺人事件で中山署刑事課の女性警察官、瀬良朝陽巡査と組まされる。
瀬良は警察官にあるまじき美女だが、いつも自分の手元を見ていて、人とは目を合わせず、話もしない、コミュ障かと思われる不思議なキャラ。
瀬良の最初の印象は最悪だったが、彼女は県内で噂になるほどの「職質の女神」だった。

「イージー・ケース」
和泉と瀬良が組んだ最初の事件。
マンションの一室でアイドル好きの訪問介護員の男性が殺されていた。死因は失血死。職場でも友人関係でも特にこれといった被疑者が出てこなかったが、瀬良の一言から事件は動く。

「ノー・リプライ」
110番通報があり、現場に向かうと、アパートの一室に手が血だらけの女と倒れている男がいた。
女は四十二歳、独身のスーパーで働くパート店員。男は十七歳年下の美容師。
五ヶ月前に知り合い、ひと月後につき合い始めたらしい。
女は取調室で雑談には応じるが事件に関する供述を拒否している。
男が十五年程前に芸能活動をしていたことが判明し、メディァで大きく取り上げられたため、県警から指導係員として和泉と瀬良が派遣される。

「ホワイト・ポートレイト」
学校の校長からの通報で、小学五年生の少年が家に帰って来ていないことがわかった。両親の婚姻関係は破綻しており、父親は一年以上も家に寄りつかず、母親は二週間近く家を空けており、そういう状態が珍しくないという。
空き家や空きビル、空き地、大規模公園、鴨井川沿いの土手や緑地などを中心に捜査が行われたが、何も発見されなかった。
失踪四日目に県警本部捜査第一課強行犯第一係熊井班と第二係宮地班が投入されたが、少年の行方はわからず。
関係者による犯行なのか、それとも…。

瀬良は今までにないキャラです。
観察眼がすごいですが、こんなキャラで刑事をやっていけるのかどうか疑問です。
彼女がそんなキャラになったのは、何かあったのでしょうね。
いっしょに組んだ和泉君はよく彼女の考えていることがわかりますね。
そうか、だから次なる取調官として期待されているんですね。

どのケースも真実は悲しいものです。
最初と最後で事件の様相がガラリと変ります。
被疑者に代わって警察官は『罪を最大化する』とはいえ、本当にこれでいいのかと思うところがありました。
瀬良をまだ上手く使っていないなと思いました。
本多さんの初めての警察小説らしいです。
次回も期待して待ちます。

本多さんのインタビューがあったので、興味がある方はご覧下さい。
お勧めのミステリです。

トリミングに行く♡2024/12/10

本当はもう少し遅くトリミングに行きたかったのですが、一月にお泊まりに行く予定だったので、トリミングに行ってきました。
ちなみにお泊まりはパパの仕事の都合でキャンセルになりました。
わんこたちはトリミングに行くとはわからずに、ものすごい勢いで歩き、いいえ走り始めます。
途中にトリミングに行くと気づいたと思いますが、全く勢いはおさまりません。
というのも、トリマーさんが優しい方なので、兄わんこがトリマーさんのことが好きで、会うのが嫌じゃないんです。
わんこたちを預けて、ママは帰ります。

ゆっくり休んで、お迎えに行くと、兄の機嫌は悪くはなかったです。
兄は獣医さんに言われたのですが、顔に脂肪腫みたいなものが2つできています。
大きくなるなら生検をした方がいいようです。
前に後ろ足にできていたので生検しましたが、腫瘍ではなかったです。


あの…、家の電球が切れてしまったので、とっても暗い写真です。ごめんなさい。


乱れ髪ww。


アラ、舌が出ていませんね。


疲れたのでしょうかね。


先月に続きおすましのヨーキーです。


相変わらず間がある二人の関係ですw。


すみません、次までに電球を替えておきますね。

二匹共に3.1㎏で、痩せすぎみたいです。
新しいドッグフードのカロリーは前のよりも低いようです。
もっと食べさせなければ。
「ママばかりクリスマスのお菓子を食べて太っています。プンプン」
わんこたちが怒っています。ゴメン。

写真の質が悪かったので、ついでに、ママのベッドで寝る兄の様子をご覧下さい。


いつもは横に寝ていることが多いです。


今朝は寒かったからか、丸まっていました。


シャッターの音がうるさかったので、目を覚ましてしまいました。
兄を贔屓しているのではなく、弟はすぐにベッドから飛び降りようとするので、危ないので寝せません。

大崎梢 『百年かぞえ歌』2024/12/11



坂口由佳利は故郷の黒海町の町役場の観光促進課に勤務し、地元の作家の貴地崇彦生家館の担当をしている。

ある日、役場に二人の刑事がやって来た。
生家館の収蔵物について聞きたいというのだが、質問ばかりして、何も教えようとはしない。
加山市にある貴地崇彦文学館にも行ったようなので、由佳利が親交のある副館長の窪田功一に電話をしてみると、詳しいことを教えてくれた。

数日前に群馬県の山中で身元不明の遺体が見つかり、ポケットに一枚の、消印が昭和三十五年の、古い葉書が入っていた。
差出人が『よしだたかし』で、それは貴地の幼少時代の本名だった。

警察の来訪から二日後に由佳利が一度会ったことのある、貴地の愛人だったと言われている仲村艶子がやって来る。
彼女は生前、貴地からやり残したことがあり、いつかひょっこり手がかりが現われたときに、真実を明らかにしてほしいと頼まれていたので、その葉書について詳しく調べたいから、由佳利に手伝ってほしいと言うのだ。
艶子の勢いにのまれ、由香利は艶子を手伝うことになる。

調査の過程で、中学高校の同級生だった小林夏央と再会し、三人で葉書の謎を解き明かしていくが…。

最後に百年にも渡る秘密が明かされますが、わかってしまえば、な~んだってことです。
横溝正史が好きで、『悪魔の手鞠唄』をモチーフにしたらしいんですけど、横溝ほどのまがまがしさもなく、「かぞえ歌」が活かされていません。
由香利が婚約破棄された人となっていますが、どうでもよくない?
公務員が勤務時間中に私的なことをしてはいけませんよねぇ。地方だと許されるのかしら?
元気なおじいさんとおばあさんが出てきて、すごいなと思いました。

横溝正史風では全くないので、気にせずにお読み下さい。
いつもの大崎さんのように、ほっこりした終わり方です。
難はあっても、私は好きなお話です。


<今日のヨーキー>
昨日はチワマル兄の寝姿を載せたので、今日は弟ヨーキーの可愛い顔を。


持ってこいをしていると、こんなにいい顔になります。
トリミングは嫌いなので、ムッツリしていたのかもねww。


<今週のおやつ>


ママパパはクリスマス前に小さいホールケーキを食べました。
ワンコたち用にもケーキを買ってあるので、クリスマスに食べましょうね。

C.A.ラーマー 『ライルズ山荘の殺人』2024/12/13

早いもので、もう12月。今年が終わろうとしていますね。
年を取ると、ホント、一年が早く過ぎていきます。
特に12月は健診やら歯医者、眼科に行かなければならなくて忙しいです。

眼科は前の主治医のところに戻りました。
手術をした左目は真ん中が見えないので、正常に見える高眼圧症の右目は、何かあってからでは遅いので、今から眼圧を下げておくといいとのことです。
目薬もミケランよりも効き目の強いキサラタンを点すように言われました。
左目に白内障があるとは言われていたのですが、右目も軽い白内障があると言われました。だから眩しいのかしら。
白内障にならないように、緑内障がわかった三十代からサングラスをするようにしていたのに。
目の老化ですね。悲しいですわ。
色々と検査をしたのに、前の病院よりも治療費が安かったです。
原発性アルドステロン症の方も病状の変化はないので、普通のクリニックに通った方がいいかもしれません。
今後の暮らしのことを考えて、無駄な経費を削るようにしていきたいものです。


オーストラリア・ミステリ。
「マーダー・ミステリ・ブッククラブ」シリーズの四作目。


<マーダー・ミステリ・ブククラブ>はメンバーが減ったので、新メンバー募集公告を新聞に出した。

初期メンバーは五人。
ブッククラブの主宰者で編集者のアリシア・フィンリーと彼女の妹でウェイトレスでシェフの卵のリネット・フィンリー、ヴィンテージ古着ショップのオーナーのクレア・ハーグリーヴス、シドニー博物館の学芸員のペリー・ゴードン、そして図書館員のミッシー・コーナー。

新しいメンバーは四人。
バルメインの野外上映会で起った事件で出会ったフローことフローレンス・アンダーウッドとロニーことヴェロニカ・ウェステラ。
新聞のメンバー募集にいち早く申し込んで来たサイモン・クリートとメンバーは八人だというのに、しつこく何度も電話を掛けてきて、仲間に入れて欲しいと懇願したブレイク・モロー。

九人のメンバーが集まった初めての読書会に選んだのが、人里離れた山奥の風光明媚な土地に九十年前に建てられた<ライルズ山荘>で、課題書はクリスティの『そして誰もいなくなった』。
山荘は過去にタイムスリップしたような優雅な内装で、改修工事が始まる前にブッククラブが格安で貸しきりで使える。
山荘にはヴェイルという支配人とジョーン・フラナリーという料理長の二人しかいない。
ヴェイルによると、今季はかなり乾燥していて、森林火災の心配があるという。
四十五年前に山火事が起り、山荘の狩猟ツアーの案内人が命を落としたという。

次の日、フラナリーもヴェイルも見当たらない。
何やら嫌な雰囲気だ。
≪支配人室≫でアリシアが見つけたのは、冷たくなったヴェイルだった。
元看護師のロニーによると、ヴェイルは毒殺ではないかという。
外部に連絡をしようとしたが、電話回線は切れており、ネットもつながらない。
携帯の電波も届かない。
山を下ることのできる乗り物はブレイクのベンツしかない。
町に行っているというフラナリーはいつまで経っても帰って来ない。

ブッククラブのメンバーたちはブレイクがベンツで救援を要請しに行った後に、山の中腹で火災が起っているのに気づく。

三日目の朝、地下の貯蔵室を見つけたペリーは貯蔵室で亡くなっているフラナリーを見つける。

山荘に十一人いたのに、残るは八人。
二つの殺人と森林火災の恐怖にブッククラブの面々はどう対処するのか。

この本の題名は『When There Were 9』です。
そうです。クリスティの『And Then There Were None』のオマージュなんです。日本語の題名ではわからないですね。

アリシアは想像力のたくましい人で、常に頭のなかは「めまぐるしいパニック映画さながら」だそうです。
例えば車が普通に道路を走っている場面では、アリシアの目には「狂人が歩道に乗り上げて歩行者たちを轢き殺す場面」が見えるそうです。
かなり変わった人ですね。「大丈夫?」と訊きたくなりますwww。

このシリーズは七巻目まで発売されています。
五巻目は「The Widow on the Honeymoon Cruise」です。
四巻目で仲良くなったクレア・ハーグリーヴスとサイモン・クリートは結婚し、グレートバリアリーフを巡る新婚旅行クルーズに参加します。
そのクルーズ中に殺人事件が起こり、船の持ち主のサイモンがアリシアの恋人のリアム・ジャクソン警部補に相談し、マーダー・ミステリ・ブッククラブが乗り出すようです。

「マーダー・ミステリ・ブッククラブ」シリーズの順番
④『ライルス山荘の殺人』