杉井光 『世界でいちばん透きとおった物語2』2025/02/02



藤阪燈真が小説家デビューしてから一年。
短編を二本書いただけで、長編二作目は未だに書いていない。
それでもデビュー作が売れているので、暮らしていける。
ミステリ作家や書評家などが加入している社団法人推理小説協会に入っているが、
実務の人手が不足しているというので、月一くらいで協会事務所に顔を出して、手伝いをしている。

ある日、いつものように推理小説協会の手伝いをしていると、K社が発行しているミステリ専門誌の『月刊アメジスト』の話になる。
コンビ推理作家「翠川双輔」の『殺導線の少女』という作品が、菊谷博和の死により連載三回目の未完で終わってしまうという。
アイディアを出していた菊谷が、いつもぎりぎりにプロットを送ってきていたので、続きを書けないらしい。
連載小説に興味を持った燈真は、彼の担当編集である深町霧子に頼んで『月刊アメジスト』を持ってきてもらい、読んでみる。

九月の終わりにK社の『月刊アメジスト』編集部から燈真に原稿依頼がある。
不思議な縁を感じる燈真に、『月刊アメジスト』の堀越は菊谷がどのような結末を用意していたか推理できないかと尋ねる。
『世界でいちばん透きとおった物語』の推理はすべて霧子がしたことを話し、彼女に頼むが、燈真自身も考えてみると答える。

霧子は燈真に二点、確認してほしいと言ってくる。

小説に込められた故人の思いを知った燈真は、『殺導線の少女』の第四回目を書き始める。

「ビブリオミステリ」というジャンルがあったんですね。
本を題材にしたミステリ小説のことらしいです。
『ビブリア古書堂の事件手帖』などがこのジャンルにあたります。
書店や図書館が舞台になっているミステリもこの中に入るようです。

一作目は電子書籍にはできないと思いましたが、二作目は電子書籍でも売っていたので読んでみました。
題名を変えてもよかったのではないでしょうか。
なにしろ本の中の連載小説が気持ち悪いです。
嘘をついてまで秘密にしようとする気持ちは素敵でしたが、他にやりようがなかったのかと思いました。
なんか驚きもなく、そうなんだで読み終わってしまいました。
燈真君、ちゃんと自分の頭を絞って書きなさいといいたいですわ。
このまま霧子さんがホームズで行くのでしょうか。

一作目とは別物と思って読んでくださいね。

節分は落花生2025/02/03

2025年の本屋大賞ノミナート作品が発表されましね。
一応書いておきます。

早見和真 『アルプス席の母』
阿部暁子 『カフネ』
山口未桜 『禁忌の子』
一穂ミチ 『恋とか愛とかやさしさなら』
野﨑まどか 『小説』
金子玲介 『死んだ山田と教室』
恩田陸 『spring
朝井リョウ 『生殖記』
宮島未奈 『成瀬は信じた道をいく』
青山美智子 『人魚が逃げた』

悲しいことに、一冊しか読んでいません。(途中で止めたのが一冊です)
今から図書館に予約しても、読めるのは来年かもしれませんね。
文庫になるのを待ちますわ。

昨日、節分で思いだしました。
東京に来て驚いたのが、節分に大豆を食べることです。
大豆をまいて拾って食べるのは、汚いなぁと思いました。
たぶん、食べる豆と投げる豆を別にしていますよね。
我が故郷、北海道では落花生をまきます。
殻がついていますから、拾って食べても大丈夫。
昨日、スーパーで落花生を買ってきて、夫を鬼にして投げてから食べました。
(投げても1、2個よ、笑)
物価高のおりですから、落花生をまいてはどうでしょうか。
ア、節分が終わってますね。来年、覚えていたらどうでしょう。
(落花生の写真を撮ろうと思ったら、夫が全部食べていました。落花生を投げられた腹いせでしょうかww)


<久しぶりのわんこ>


兄は夜にできるだけ眠らないようにしています。
というのも、ママのベッドで寝たいからです。
でも、眠たさに負けることが多々あります。
昨夜も寝てしまい、朝にママのベッドにきました。
いつもは犬用の毛布の上なのですが、珍しく布団の中に埋もれています。


ママが写真を撮っているのに気づくと、顔を伏せてしまいました。


たまに弟のおもちゃを取ることがあります。


歯が多いだけあって、弟の方がしっかりとおもちゃをかんでいます。
フィンランド土産で唯一音のするニワトリちゃんです。
もう一匹は一日ももちませんでした。
恐るべし弟の歯。(弟はいい子なので、人の手も他の犬も噛みません)

堂場瞬一 『交錯』&『策謀』2025/02/04

警視庁追跡捜査係シリーズの最初の方を読んでいないことがわかったので、読み始めました。
まずは第一作目と第二作目です。

『交錯 警視庁追跡捜査係』

沖田大輝は一年前に強行班から未解決事件を主に捜査する追跡捜査係に異動してきた。
その異動は彼にとっては不本意なことで、自分は「飛ばされた」、いつか強行班に戻ってやると思っている。
沖田は考える前に走りだす、古いタイプの刑事。
がさつな性格で、喧嘩っ早く、そのためか独身だ。
同僚で同期の西川大和は書類とコンピュータで捜査記録の行間に隠れた失敗や顧みられなかった証拠、突っ込みきれなかった証言などを探し出すのが抜群にうまい。常に効率を求め、冷静沈着であろうとしている。
定時に仕事を終え、妻と中学生の息子がいる家に帰り、家族団欒が終わると、自室で資料や報告書を読んでいる。
沖田も西川も互いに馬が合わないと思っている。
顔を合わせると、いつも言い合いになる。
係長の鳩山は元強行班の係長だったが、激務が祟りウィルス性肝炎で入院し、二カ月前に復帰してからリハビリとして追跡捜査係に回された。
洋梨型の体型故か、彼がゆったりとした口調で話すと周りの緊張を削ぐという稀な人だ。

沖田は新宿で起きた通り魔事件の犯人を刺した男、通称「名無し」、を探している。
刺されたのは大山公人という男で、意識の回復が望めない状態だ。
大山は三人を刺し、四人目の小学校六年生に覆いかぶさる形で襲いかかろうとした時に、何者かにより刺された。
不思議なことに目撃者が一人も出てこない。
間一髪で難を逃れた本多啓介は名無しを見ていないと言っている。

西川は一ヶ月前に青山で起きた貴金属店強盗の件を洗い直している。
警備員が軽い怪我をしだけだったが、主に時計が盗まれており被害総額が大きかった。
手際の良さから、計画的な犯行と思われる。

沖田も西川も捜査に行き詰まる。
しかし、思わぬところから二つの事件が交錯していく。


『策謀 警視庁追跡捜査係』
西川のところに五年前、渋谷区内で人を殺したとして国際指名手配されていた元代議士秘書の船田透が潜伏先の韓国から帰国するという情報が入る。
成田空港で船田を逮捕するが、取り調べで船田は無実を主張する。
絶対的な証拠である指紋があるが、被害者、犯人それぞれの周辺捜査が杜撰で、当時の捜査でも、西川の捜査でも、犯人と被害者の関係が明らかになっていない。
危機感を持つ西川。

沖田は五年前に渋谷署管内で発生し15人が犠牲になった五階建てビル放火事件の再捜査を始めていた。
関係者への聞き取りを始めると、火災で死亡したオーナーの会社の社員が一人、所在不明であることがわかる。
関係者を押さえておくことは基本中の基本だと思う沖田は苛立つ。
放火事件の直後、現場近くで西川が担当している殺人事件が起きたため、二つの現場が相当混乱していたからだとは思うが、納得がいかない沖田。
強行班から応援に寄越された三井さやかとともに、所在不明の社員の行方を追う。

やがて二つの事件が意外なところから交錯していく。

基本、追跡捜査係は個々が興味を持った事件を再捜査していくんですね。
ツートップの西川と沖田はそのつど若手を従えて捜査していきます。
二人はライバル心満載で、互いにいけ好かない奴だと思いつつも、相手が何をしているのか気になるようです。
両極端な性格とアプローチのやり方ですから、相互補完関係になってよさそうですけどね。

沖田は恋人の響子さんとは通り魔事件で出会ったのですね。
40歳まで独身だから尚更、結婚するのを躊躇しそうです。
沖田は意外と恋愛関係には疎いんです。
私が思うだけかもしれませんが、警察官、特に刑事は独身や離婚が多そうだから、時間をかけるのはいいのですが、それにしても決断できないのは何でかしら。

二人が再捜査している事件が交錯するというのが多いですね。
実際にそういうことは少ないんじゃないでしょうか。
まあ、このシリーズはそういうものだと思って読むといいですね。
意外と面白くて、はまりました。
眼精疲労があるのですが読むのを止められず、今は六作目を読んでいます。

堂場瞬一 『謀略』&『標的の男』2025/02/05

警視庁追跡調査係シリーズの三作目と四作目。


『謀略 警視庁追跡調査係』
追跡捜査係は連続強盗殺人事件の特捜本部に派遣された。
あてがわれたのは、普段は倉庫として使われている、窓がひとつもない、狭い会議室。
派遣は鳩山が決めたのだが、「後から出てきて引っ掻き回すな」という感じだ。

二つの事件はほぼ一ヶ月の間隔を置いて都内の運河沿いの側道で発生した。
犠牲者は二人とも、二十代のOLで、帰宅途中に襲われ、殺された。
同一犯のように思われたが、解決の糸口がないままに半年が経っている。

調書を読んでいて西川は第二の事件現場に落ちていた靴のことが引っかかり、特捜本部の管理官の阿部に聞くが、細かいことを気にし過ぎとけんもほろろの扱いだった。
一方、沖田は犠牲者の二人が歩いたルートを辿ってから徹底した聞き込みを開始する。

事件は通り魔によるものなのか、それとも・・・。
沖田と西川は誰も着目していなかった被害者二人の共通点を探す。
すると・・・。

『標的の男 警視庁追跡調査係』
服役中の男が刑務官に告白した。
五年前に起きた墨田区の不動産業者の強盗殺人事件の犯人は熊井悦司だというのだ。
墨田区の特捜から追跡捜査係に動向監視の要請が来て、沖田が派遣される。
しかし、沖田は警察に気づき疾走してきた熊井を止められず、熊井は逃走してしまう。

沖田は足首を骨折し、しばらく入院する。
沖田は大嫌いな書類仕事をあてがわれ、彼の代わりに西川が聞き込みに行く。
だが、大人しくしている沖田ではない。
無理やり退院し、静岡刑務所で服役者に会ってくるという。

そんな時に熊井が自殺する・・・。


追跡調査係はそうとう捜査一課から嫌われていますね。
捜査一課の刑事たちはプライドが高いですから、自分たちのあら探しをされていると思うと許せないのですね。
もっと謙虚になった方がいいと思います。
そうすると未解決事件もなくなり、追跡調査係も出ばる余地がなくなりますよ。

追跡調査係には西川と沖田以外に若手が三人います。
極端に無口な大竹といつもどことなくうわの空だけど真面目な庄司基樹、外回りが好きで、明るく素直な三井さやか。
庄司と三井は犬猿の仲というか、さやかが庄司をものすごく毛嫌いしています。
何故なのか、西川も沖田もわかりません。
私はそんなさやかが好きになれません。

テレビドラマを見ないので、知りませんでしたが、『交錯』が昨年、ドラマになっていたんですね。
沖田役が遠藤憲一で西川役が高橋克典。
ごめん、二人とも私のイメージとは違います。
響子が観月ありさだって、沖田と年齢違い過ぎませんか。
ドラマを見ると違和感がないのかもしれませんがね。

五作目の『刑事の絆』はアナザーフェイス・シリーズとのコラボ作品です。
イケメン大友刑事が登場します。
私のブログにどんな事件を扱うか書いていないので、出版社のあらすじを抜粋してここに書いておきます。
大友が「ベンチャー企業が開発した、次世代エネルギー資源を巡る国際規模の策謀に巻き込まれた」のだそうです。
興味のある方は『凍る炎』からお読みください。
その方がお話がわかりやすいでしょう。

「ブラックバード、ブラックベリー、私は私」を観る2025/02/06

ジョージア映画。新進女性作家タムタ・メラシュビリの大ヒット小説が原作だそうです。誰か訳して下さい。


48歳のエテロはジョージアの小さな村に住む、日用雑貨店を営む女性。
母親は彼女を産んだ後、すぐに亡くなった。
父親はそのことで彼女をなじることはなかったが、彼女に対して冷淡だった。
兄がいたが、父も兄ももう亡くなっていない。
ずっと独身だが、そんなことは気にしていない。

ある日、いつものようにブラックベリーを摘みに行くと、美しく囀るブラックバードを見つける。
じっと聞いていたため、足元がおろそかになり、崖から足を踏み外してしまうが、かろうじて助かる。

九死に一生を得た日に、店に商品を卸ろしに来た配達員のムルマンと関係を持つ。
初めての経験だった。
その日からエテロの人生は変わっていく。

独身で太ったエテロをバカにする女性たちに言い返し、気まずくなる。
その一方では、ムルマンとの逢瀬を楽しむ。

しばらくして、ムルマンは配達員を辞めて、トルコまで荷物を運ぶトラックドライバーになり、しばらく会えなくなる。

ある日、エテロは体の異変に気づく。
母が癌で亡くなっていたので、自分も癌にかかったと思い、知り合いの女性に医師を紹介してもらい、トビリシの病院に行く。
そんな時にムルマンが現れ、トルコでいっしょに暮らそうと言う。
断るエテロに、考えてくれと言ってムルマンは去る。

病院で検査をしたエテロは、医師から思いもかけないことを告げられる。


ジョージアは元グルジア。トルコとロシアの間にある国です。(地図は外務省HPより)


首都がトビリシで、公用語がジョージア語。南コーカサス語族で、総話者数が約
410万人だそうです。文字が独特です。

映画が私の思っていたのとは違いました。
ジョージアに生きる女性のたくましい生き方が描かれているのだと思っていたのですが、ちょっと方向が違いました。

いつの時代のお話かと思いましたが、トビシアの町の様子を見ると、現代のことみたいですね。
それなのに未だに地方の村の女性たちは古い価値観に囚われているのですね。
独身だっていいじゃない。
こどもがいなくたっていいじゃない。
太ってたっていいじゃない。
有閑マダムっぽい女性たちがエテロに言うことを聞いていると、何様なのよと言いたくなりました。
まあ、あなたがたは夫がいて、こどもがいて、痩せてますけどね。
だからって何なの。
エテロはひとりでもしっかりと生きてますよ。
あなたたちは全然幸せそうじゃないんですけど。

最後は途中から予想できたので、それほど驚きませんでしたが、エテロはどうするのでしょう。
村に戻るのか、トルコに行くのか、それとも別の所で新しい人生を歩むのか。
描かれていませんが、エテロならどこででもどうにかやっていけそうです。
ひょっとしたら、エテロを蔑んでいた女たちが助けてくれるかも。

万人向けの映画ではないと思います。
中年男女のあけすけな恋愛模様を見たくない方は見ない方がいいでしょう。

そうそう、ナポレオンパイが美味しそうでした。


こんなに大きいのです。
カロリーがすごそうですけど、食べたいわ。


<今週のおやつ>
久しぶりに美味しいクッキーを頼みました。


カフェタナカのバレンタイン用のクッキー缶です。
私の勘違いかもしれませんが、缶が少し小さくなった?
右上のチョコが半分ついているクッキーが好きです。

髙森美由紀 『ちゃっけがいる移動図書館』2025/02/08



三十五歳の小田桐実は青森県三津町の図書館で働く非正規職員。
心の病で退職した前任者の代わりに、先月から移動図書館の担当になった。
元館長で運転をする和田肇と正職員で司書の佐藤諒太が移動図書館のメンバーだ。

実は非正規職員であることに負い目を感じている。
大学入試にも就職活動にも失敗し、父親のコネで就職した会社は体調を崩して退職した。
その後、正社員になろうとしたがかなわず、今の仕事を始めた。
母親はその歳で独身で非正規なんて世間に恥ずかしいという。
優秀な他人の情報を出しては、あたなとは大違いという。
非正規の人間に問題があるという。
いつまで否定され続けなければならないのか。
努力が足りない?そうかもしれない。
でもいつまで努力すればいいのか。
自分にはないものを得るための努力に、ゴールはあるのか。

そんな実に転機がやってくる。

ある日、午後からの移動図書館を終え、図書館に戻る途中の山道で、茶色い子犬を見つける。
首輪もない、痩せた子犬で、放っといたら死ぬ。
でも、誰がこの子犬の面倒をみるのか。
和田さんも佐藤さんも引き取れないという。
実のアパートの大家のてつさんがいいと言ってくれたので、実が里親が見つかるまで面倒をみることになる。
実は子犬に「小さい」という意味の方言の「ちゃっけ」と名づける。

しばらくして、ちゃっけを移動図書館に連れて行ってよいことになる。
ちゃっけは利用者からもかわいがわれ、利用者が少しずつ増えていくが…。

実の母親のことを読みながら、そういえば私も、正社員でしたが、母親に同じようなことを言われたことがあったのを思い出しました。
時代が変わっても、まだまだ古い価値観が残っているんですね。
実の親は最後の方で少し変わりましたが、実際に親の価値観を変えることは難しいと思います。
親と心の距離を置くといいでしょう。
この人と私は違う人格なのだから、分かり合えなくても仕方ない。
そう思えると、少しは楽になるかもしれません。

犬の生活は単純でいいです。
寝て起きて、ご飯を食べて、また寝て、お散歩して、寝て、遊んで、おやつを食べて、また寝て・・・。
なんていい生活なんだと思います。
ちゃっけと暮らし始めてから、実は「握りしめていたものは、案外不要なものかもしれない」と思い、手放すことを覚えました。
いつも無愛想で、眉間にシワをよせていた実が、笑顔ができるようになってよかったです。
犬は偉大ですwww。


寒い中、楽しそうに歩くわんこたち。
癒しを与えてくれることが多いけど、たまにストレスになることもあります、笑。

そういえば髙森さんの別の本を読んだことがあるのを思い出しました。
羊毛フェルトの比重』という本で、この本の主人公も実と似た感じです。
調べてみると、みさと町立図書館分室』や『山の上のランチタイム』、『柊先生の小さなキッチン』など他にも読んでいました。
どの本も、現状に不満があるけど、どうしようもないので、何もせずに甘んじているという人が読むと、少し勇気づけられるかもしれません。

とにかく最初は実のマイナス思考が嫌になるかもしれませんが、ちゃっけがで出てきてから、トーンが明るくなりますので、少しの我慢をww。
犬好きなら絶対に好きになるお話です。

足利に行く2025/02/10

一度、有名なあしかがフラワーパークに行ってみたいと思っていました。
藤の花が咲いている頃は人が多そうなので、イルミネーションの頃はどうかと思い、行ってみました。

まず、最初に腹ごしらえです。
ココ・ファーム・ワイナリーに行きました。


平均斜度38度という急な斜面に葡萄畑があり、その前にショップとカフェがあります。
アラカルトメニューの場合は、ショップの奥の席で、コースメニュー(要予約)は別の部屋になるようです。


コースはここの中で食べます。


こちらはあまりお客さんはいませんでしたが、カフェの方はほぼ満席でした。
季節のコースは4800円です。


前菜。


海老と野菜(忘れました)のリゾット。


メインは豚肉のローストとパン。


デザートはプリン。ちょっと固めでした。
ケーキが食べたかったです。
これにコーヒーか紅茶がつきます。
食欲旺盛な男性にはちょっと物足りないかもしれません。

食事の後にワイナリー見学をしました。
斜面の葡萄畑が開かれたのが昭和33年で、特殊学級の中学生たちと担任教師の川田昇によって2年がかりで開墾されました。
教師でお金がなかった川田さんが買えたのがこの土地でしたが、陽当たりと水はけがよく、葡萄栽培には最適でした。
この畑は過保護にされ、あてにされることのなかった障がいを持った子どもたちに大切な役割を果たしてくれたそうです。
この葡萄畑の麓に、知的障がいをもつ人たちの自立支援を目的に、こころみ学園が設立されたのが昭和44年。
だんだんと葡萄が売れなくなってきたので、葡萄でワインを作るために、学園に賛同する保護者たちの出資によりココ・ファーム・ワイナリーができたのが昭和55年。現在では100名以上の方が働いているそうです。
詳しくはこちらをご覧ください。
ここでは化学肥料や除草剤などを使っていないそうです。
私たちは昔からSDGsを実践してきましたとガイドさんが言っていました。
草取り、大変です。私にはできませんわ。(膝が・・・)


果汁に酵母を入れて発酵させるタンクが並んでいます。


ぶどうを集めて絞る機械。


ここで生徒たちがラベルを貼ったり、箱詰めしたりするみたいです。


左の小さな村入り口から貯蔵蔵に入っていきます。


小さな窓から覗いてみました。Bottling Roomって書いてあるのかな?


ワインを寝かす樽たち。
ワイナリー見学というよりもこころみ学園の成り立ちを聞くという感じでしたが、ワインに興味のない私にはよかったです。


ワイナリー見学の後に試飲もできます。
飲めないので、ジュースです。


古い樽の上にガラス板をのせて、テーブルになっています。


かわいい羽のあるねこちゃんを見つけました。
お土産に夫がフルボディの赤ワインがいいというので、「陽はまた昇ぼる」とカマンベールチーズを買いました。

イルミネーションまでまだ早いので、日本名水百選に選ばれているという出流原弁天池湧水に行ってみました。
磯山公園の中にあるみたいです。


水がとても透きとおっています。


鯉たちもこういう所に住めると嬉しいでしょうね。


涌釜(わっかま)神社。


手水鉢に花をいけるのがいつから主流になったのでしょうか。


白蛇弁天?
蛇がいました。水が出ていますが、飲めないようです。


磯山弁財天は十二年に一度のご開帳のために工事をしているので、行けませんでした。残念。
御朱印張は池のすぐ前にある「ホテル一乃館」で頒布しているそうです。

4時になったので、あしかがフラワーパークに行ってみます。

あしかがフラワーパーク2025/02/10

イルミネーションを見るはずでしたが、なかなか暗くならず、半端な感じになってしまいました。
正面ゲートを入ると、おみやげ売場と花売場があり、通り過ぎるとスープ&フードコーナーになっています。
遅くまでいられる方は最初にレストランに入って暗くなるまでの時間を潰すといいでしょう。
レストランは混んでいるみたいだったので、結局入らず、フラワーパーク内を三周ぐらいしてしまい、膝が痛くなりました。バカですね。


4時過ぎですが、明るいです。


クリスマスローズが咲いていました。造花かと思い、触ってみたら、本物でした。


花の花手水。いくつかありました。


レインボーマジック。なんとなく見えています。


藤の花のイルミネーション。
まだ太陽が沈んでいません。


大藤神社だそうです。


藤の花が咲く頃に来ると、こんな感じなんでしょうか。


「みんなの地球」


「ひかりのピラミッド」


背後に「スノーワールド」


少し暗くなってきました。
梅の花と藤の花のイルミネーション。


私が気に入ったのが「フラワーキャッスル」。


ヴァレンタインデーを意識していますね。


「光のバラ園」
ここもよかったです。


もう少し暗くなると、もっとよかったかも。


背景が変わっていき、奇麗でした。

やっと暗くなってきたというところで明日があるので、帰って来ました。
もっと広いと思っていましたが、そうでもなかったです。
一度見たので、私は満足しました。
カップルか小さいお子さん連れ向きだと思いました。

歩数は一万三千歩以上でした。

中山七里 『ヒポクラテスの困惑』2025/02/11

「ヒポクラテスの誓い」シリーズの六作目。


2020年4月。
新型コロナウイルスが猛威を振るい、政府は緊急事態宣言を行い、外出自粛を要請していた。
治療法も治療薬もワクチンもなかった。

埼玉県警刑事部捜査一課の古手川和也が浦和医大法医学教室に現れる。
捜査一課に昨日、新型コロナウイルス感染症で急逝したオンライン通販の<KAYABA TOWN>の創設者、萱場啓一郎の姪と名乗る女がやってきて、新型コロナウイルスのワクチンを数回接種している叔父が新型コロナウイルスに罹るはずがないので、死因を捜査してほしいと頼まれたというのだ。

光崎藤次郎教授が執刀し、判明した直接の死因は、砒素だった。

その二日後、第二の事件が起こる。
犠牲者は人気YouTuber<サッシー>こと笹森茂留。
交際相手が笹森と連絡が取れず、浦和区にあるマンションを訪れ、部屋で死体を発見したのだ。
被害者がセレブで死因が一見、病死に見えるということで、萱場事件との関連が疑われた。

浦和医大法医学教室で解剖すると、死因は砒素中毒死。
光崎は使われた砒素の成分分析を命じる。
捜査をしていくと、笹森も未承認の偽ワクチンを打っていたことがわかる。

そんな時に、<埼玉日報>の記者が法医学教室にやって来る。
偽ワクチンの正体を教えてほしいというが、断る。

SNSで萱場と笹森に対する誹謗中傷が激しくなり、火元のひとつが<埼玉日報>だった。

やがて火の粉は浦和医大法医学教室にも・・・。

コロナ禍のことを思い出しました。一体、あれは何だったのでしょうね。
偽ワクチンは報道されたかどうかわかりませんが、あったと思いますよ。
誰も死ななかったので、問題になっていなかっただけではないでしょうか。
コロナ禍以降、マスコミが感染症で大袈裟に煽ることが多くなったと思いますが、どうでしょう。

今回は法医学教室があまり活躍していません。
もっと光崎教授が出てきてほしいです。
古手川が後半から警視庁捜査一課の犬養と共に事件を追っていくのは、嬉しかったですがね。

この頃、思うのですが、本の出版が増えたせいか、中山七里さんの作品の質がイマイチです。
今回も最後の数ページで事件が解決してしまうし、犯人も動機も驚きが全くありませんでした。
次に期待しますわ。

「ヒポクラテスの誓い」シリーズの順番
⑥『ヒポクラテスの困惑』(本書)

今野敏 『任侠梵鐘』2025/02/12

「任侠」シリーズの七作目。


阿岐本雄蔵組長のところに永神健太郎がやってきた。
彼が来るとろくなことがない。
彼が持ち込んだ相談事のせいで、日村誠司をはじめ阿岐本組のメンバーは、今まで出版社、私立高校、病院、銭湯、映画館、さらにはオーケストラまでの廃業、閉鎖、解散の危機を救ってきたのだ。
日村は今度は何かとヒヤヒヤしていた。
阿岐本によると、永神は明日の同じ時間に大切な客を連れてくるという。

翌日、永神が連れてきたのはテキヤ筋の大御所の多嘉原義一。
彼によると、目黒区にある小さな神社、駒吉神社の縁日に出店していたのが、今年から出店できなくなったという。
多嘉原はテキヤはもう生きていけない世の中になっちまったと諦めていたが、阿岐本は日村に神社に行って話を聞いてこいと命じる。

日村は駒吉神社に行き、神職の大木和喜と話す。
彼によると、警察と町内会から申し入れがあり、今年から縁日は町内会の人が店を出しているという。
大木の愚痴を聞いているうちに、近くの西量寺も困っているというので、日村はそこにも行ってみることにする。

日村が寺にある立派な鐘楼を眺めていると、住職の田代栄寛が詰問してくる。
どうも鐘の音が騒音だと区役所に苦情がきているらしい。

阿岐本に報告すると、彼は田代に会ってみたいと言い出す。
何か引っかかっているようだ。

次の日、阿岐本が田代と話していると、区役所の職員と警察官がやってくる。
相互監視態勢が整っているようだ。
阿岐本は神社にも行き、話を聞いてみる。

事務所に帰ると、そこにいたのは、北綾瀬署のマル暴刑事、甘糟達男。
中目黒署のマル暴から連絡が来たらしい。

阿岐本は日村に若い衆を使って駒吉神社と西量寺に対する苦情や反対運動の音頭を取っている人物を調べるようにと命じる。
そして永神を呼び、駒吉神社の金回りについて調べてくれと頼む。

一体、阿岐本は何が引っかかっているのだろうか。
駒吉神社と西量寺のトラブルの影に何があるのか。
阿岐本は日村たちを使い、トラブルを解決できるのか。

現代の神社やお寺の問題を的確に描いた作品です。
宗教団体って無税だからいいなと思っていましたが、今のご時世ではそうでもないんですね。
そうそう、お寺の鐘に「先祖供養の意味がある」なんて、知りませんでした。
神社やお寺がもっと身近になるといいのですが、都会では無理そうです。

今までとは違い、今回は阿岐本組長が大活躍します。
それはそれで面白いのですが、若い衆たちの働きがなくて残念でした。
神社やお寺の再生にヤクザさんたちというのは、ちょっと無理がありますものね。
次は今までのように若い衆たちの出番を多くしてくださいね。

阿岐本組によく遊びに来る香苗ちゃんの言った言葉がこころに残りました。

「本当に怖いのは、自分のことしか考えていない人だと思う」

香苗ちゃんのおじいさんで喫茶店のマスターの源次さんがいいキャラっぽいので、次回からもっと登場してもらいたいです。

「任侠」シリーズの順番
①『とせい(任侠書房)』
②『任侠学園』
③『任侠病院』
④『任侠浴場
⑥『任侠楽団
⑦『任侠梵鐘』