堂場瞬一 『交錯』&『策謀』 ― 2025/02/04
警視庁追跡捜査係シリーズの最初の方を読んでいないことがわかったので、読み始めました。
まずは第一作目と第二作目です。
『交錯 警視庁追跡捜査係』

沖田大輝は一年前に強行班から未解決事件を主に捜査する追跡捜査係に異動してきた。
その異動は彼にとっては不本意なことで、自分は「飛ばされた」、いつか強行班に戻ってやると思っている。
沖田は考える前に走りだす、古いタイプの刑事。
がさつな性格で、喧嘩っ早く、そのためか独身だ。
同僚で同期の西川大和は書類とコンピュータで捜査記録の行間に隠れた失敗や顧みられなかった証拠、突っ込みきれなかった証言などを探し出すのが抜群にうまい。常に効率を求め、冷静沈着であろうとしている。
定時に仕事を終え、妻と中学生の息子がいる家に帰り、家族団欒が終わると、自室で資料や報告書を読んでいる。
沖田も西川も互いに馬が合わないと思っている。
顔を合わせると、いつも言い合いになる。
係長の鳩山は元強行班の係長だったが、激務が祟りウィルス性肝炎で入院し、二カ月前に復帰してからリハビリとして追跡捜査係に回された。
洋梨型の体型故か、彼がゆったりとした口調で話すと周りの緊張を削ぐという稀な人だ。
沖田は新宿で起きた通り魔事件の犯人を刺した男、通称「名無し」、を探している。
刺されたのは大山公人という男で、意識の回復が望めない状態だ。
大山は三人を刺し、四人目の小学校六年生に覆いかぶさる形で襲いかかろうとした時に、何者かにより刺された。
不思議なことに目撃者が一人も出てこない。
間一髪で難を逃れた本多啓介は名無しを見ていないと言っている。
西川は一ヶ月前に青山で起きた貴金属店強盗の件を洗い直している。
警備員が軽い怪我をしだけだったが、主に時計が盗まれており被害総額が大きかった。
手際の良さから、計画的な犯行と思われる。
沖田も西川も捜査に行き詰まる。
しかし、思わぬところから二つの事件が交錯していく。
『策謀 警視庁追跡捜査係』
西川のところに五年前、渋谷区内で人を殺したとして国際指名手配されていた元代議士秘書の船田透が潜伏先の韓国から帰国するという情報が入る。
成田空港で船田を逮捕するが、取り調べで船田は無実を主張する。
絶対的な証拠である指紋があるが、被害者、犯人それぞれの周辺捜査が杜撰で、当時の捜査でも、西川の捜査でも、犯人と被害者の関係が明らかになっていない。
危機感を持つ西川。
沖田は五年前に渋谷署管内で発生し15人が犠牲になった五階建てビル放火事件の再捜査を始めていた。
関係者への聞き取りを始めると、火災で死亡したオーナーの会社の社員が一人、所在不明であることがわかる。
関係者を押さえておくことは基本中の基本だと思う沖田は苛立つ。
放火事件の直後、現場近くで西川が担当している殺人事件が起きたため、二つの現場が相当混乱していたからだとは思うが、納得がいかない沖田。
強行班から応援に寄越された三井さやかとともに、所在不明の社員の行方を追う。
やがて二つの事件が意外なところから交錯していく。
基本、追跡捜査係は個々が興味を持った事件を再捜査していくんですね。
ツートップの西川と沖田はそのつど若手を従えて捜査していきます。
二人はライバル心満載で、互いにいけ好かない奴だと思いつつも、相手が何をしているのか気になるようです。
両極端な性格とアプローチのやり方ですから、相互補完関係になってよさそうですけどね。
沖田は恋人の響子さんとは通り魔事件で出会ったのですね。
40歳まで独身だから尚更、結婚するのを躊躇しそうです。
沖田は意外と恋愛関係には疎いんです。
私が思うだけかもしれませんが、警察官、特に刑事は独身や離婚が多そうだから、時間をかけるのはいいのですが、それにしても決断できないのは何でかしら。
二人が再捜査している事件が交錯するというのが多いですね。
実際にそういうことは少ないんじゃないでしょうか。
まあ、このシリーズはそういうものだと思って読むといいですね。
意外と面白くて、はまりました。
眼精疲労があるのですが読むのを止められず、今は六作目を読んでいます。
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