中山七里 『ヒポクラテスの困惑』2025/02/11

「ヒポクラテスの誓い」シリーズの六作目。


2020年4月。
新型コロナウイルスが猛威を振るい、政府は緊急事態宣言を行い、外出自粛を要請していた。
治療法も治療薬もワクチンもなかった。

埼玉県警刑事部捜査一課の古手川和也が浦和医大法医学教室に現れる。
捜査一課に昨日、新型コロナウイルス感染症で急逝したオンライン通販の<KAYABA TOWN>の創設者、萱場啓一郎の姪と名乗る女がやってきて、新型コロナウイルスのワクチンを数回接種している叔父が新型コロナウイルスに罹るはずがないので、死因を捜査してほしいと頼まれたというのだ。

光崎藤次郎教授が執刀し、判明した直接の死因は、砒素だった。

その二日後、第二の事件が起こる。
犠牲者は人気YouTuber<サッシー>こと笹森茂留。
交際相手が笹森と連絡が取れず、浦和区にあるマンションを訪れ、部屋で死体を発見したのだ。
被害者がセレブで死因が一見、病死に見えるということで、萱場事件との関連が疑われた。

浦和医大法医学教室で解剖すると、死因は砒素中毒死。
光崎は使われた砒素の成分分析を命じる。
捜査をしていくと、笹森も未承認の偽ワクチンを打っていたことがわかる。

そんな時に、<埼玉日報>の記者が法医学教室にやって来る。
偽ワクチンの正体を教えてほしいというが、断る。

SNSで萱場と笹森に対する誹謗中傷が激しくなり、火元のひとつが<埼玉日報>だった。

やがて火の粉は浦和医大法医学教室にも・・・。

コロナ禍のことを思い出しました。一体、あれは何だったのでしょうね。
偽ワクチンは報道されたかどうかわかりませんが、あったと思いますよ。
誰も死ななかったので、問題になっていなかっただけではないでしょうか。
コロナ禍以降、マスコミが感染症で大袈裟に煽ることが多くなったと思いますが、どうでしょう。

今回は法医学教室があまり活躍していません。
もっと光崎教授が出てきてほしいです。
古手川が後半から警視庁捜査一課の犬養と共に事件を追っていくのは、嬉しかったですがね。

この頃、思うのですが、本の出版が増えたせいか、中山七里さんの作品の質がイマイチです。
今回も最後の数ページで事件が解決してしまうし、犯人も動機も驚きが全くありませんでした。
次に期待しますわ。

「ヒポクラテスの誓い」シリーズの順番
⑥『ヒポクラテスの困惑』(本書)

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