堂場瞬一 『英雄の悲鳴 ラストライン7』2025/03/13

罪の年輪 ラストライン6』に続く、「ラストライン」シリーズの七作目。


五十六歳になった岩倉剛は立川中央署から警視庁捜査一課に復帰し、南大田署時代に指導した愛弟子の伊東彩香とまたコンビを組むことになる。
恋人の赤沢実里は母親の看病や連続ドラマの出演などで忙しく、なかなか会えない状態が続いている。
娘の千夏は大学4年になり、就活のことが気がかりだ。

捜査一課は若い女性ばかりが犠牲になった連続殺人事件の捜査に追われていたが、岩倉は待機状態で関わっていない。
暇を持て余している時に、町田市の公園で三十歳ぐらいの男性の遺体が発見される。
スマホや財布などの遺留品はなく、凶器らしき刃物とネックレスがあったが、目撃者も出ず、防犯カメラにも人の姿が映っていなかった。
厄介な事件になるのではないかと岩倉は思う。

たまたま岩倉が自販機のコーヒーを買いに行った時に、地域課がざわついており、気になったので、地域課長に聞いてみると、怪我して保護した女性が病院を逃げ出し、一度家に戻ったのに、家を出ていったという。
事件か事故かわからないらしい。
岩倉のアンテナが危険信号を受信していた。

やがて車のキーから被害者の身元がわかるが、周辺捜査を続けていくと、被害者の隠された姿が浮かび上がってくる。
しばらくして岩倉はなんの気もなく関わった女性の失踪事件に駆り出される。

三つの事件は思わぬ展開を見せ、絡み合い、意外な様相を見せていく・・・。


意外だったのは、あのおっさん臭い岩倉が、今回、丸くなっていることです。
五十六歳にもなると、定年を踏まえて、後輩を指導しようという気になるんでしょうかね。
時効の果て』では追跡捜査係の西川を振り回していたのに、今回はそれほどパワーが全開になっていません。
どうしちゃったんでしょう。

このシリーズには堂場さんの他のシリーズに出てくる人たちがよく参加しています。
特にイケメン大友鉄が出てくると、私的には嬉しいです。
なんと彼は五十歳を過ぎていてもハンサムですって。
捜査一課強行犯係に復帰し活躍しています。
一人息子は大学を卒業して働いているんですか。
岩倉よりも大友の方の活躍が読みたいです(ごめん)。

今回は岩倉のおっさん臭さはあまり気になりませんし、結構面白い内容になっています。
このシリーズ、このまま岩倉が定年になるまで続くのか、楽しみになってきました。
次回は五十七歳になった岩倉が活躍するんでしょうかね。

コメント

_ ろき ― 2025/03/14 01時20分10秒

複雑そうな事件ですね、どんな決着がつくのだろう。
主人公が年齢を重ねていくと、人の人生を覗き見るみたいで面白いですね。こうなったら定年まで無事に勤めあげてほしいものです。
なるべく大友さんも出してもらって(笑)。

_ coco ― 2025/03/14 11時58分44秒

アメリカの刑事ものだと、捜査中に死んでお終いにできますが、日本だと滅多に殉死はありませんから、定年を待つしかないんでしょうね。
堂場さんは色々なシリーズを書いていますが、主人公が死ぬのってないですし、定年まで書いたものもないです。
大友鉄の時は捜査一課に復帰かという感じで終わったと思います。
このシリーズをどこで終わらせるのか、気になりますわ。

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