寺地はるな 『雫』2025/03/14



2025年春、老朽化した高峰ビルの取り壊しのため、リフォームジュエリー会社『ジュエリータカミネ』は営業を終了する。
『ジュエリータカミネ』のジュエリーデザイナー、永瀬珠は次の仕事を決められずにいた。
『ジュエリータカミネ』は、高峰能見が父親の死後、宝石店をリフォームに特化したサロンにしたものだった。
永瀬がデザインしたものを木下しずくが、高峰ビルにあった『コマ工房』の冶金職人として形にしていた。しずくは、今、星母島という離島に住んでいる。
他に高峰ビルに『かに印刷』が入っていた。『かに印刷』には、上司のパワハラによって会社を辞めた森侑が勤めていた。

永瀬、高峰、しずく、森の四人は中学校の美術の授業で同じ班になり、卒業制作で永遠を表す「雫」がモチーフのレリーフづくりをした。
それ以来、30年間、共に過ごした仲間だった。

2025年から2020年、2015年・・・1995年までと五年ずつ時が遡っていきます。
生きるのが不器用な四人が30年間のままならない人生をどのように生きていったのでしょうか。

私がこの物語で一番印象に残ったのが、美術の田村先生です。
彼と出会えた四人は幸運でしたね。

主人公の永瀬珠は独りでしっかりと立っている人です。

「変化しながらゆるやかに繰り返し、続いていくことを「永遠」と呼ぶのだから、終わることも、変わっていくことも、離れることも、なにひとつ悲しいことではない」

「大切なひととふたりで歩くのが幸せな人も、たくさんの人に囲まれることに喜びを感じる人もいるだろう。でもわたしはひとりで歩くほうがいい。誰かとすれちがったら、笑顔で手を振る。そして、どうかご無事で、と祈る」

「晴れてよかった。人々は人生の折々でそう口にする。でも、わたしは雨の日が好きだ」

こういう永瀬は普通の人たちには理解されないでしょうね。
仲間たちがいてよかったですね。

気をつけなければと思ったのが、心配だからと、「・・・した方がいいよ」と相手に言うことです。
言われる方にしたら、自分を否定されていると思ってしまうことがあるのです。
誰にでも変われることと変われないことがありますものね。
気をつけましょう。
あなたはあなたのままでいい。そう言ってもらえると、安心できますよね。

若い人たちにお薦めの本です。人生を肯定的にみることができますよ。


<今週のおやつ>


「台湾人が好きな日本のお菓子」という記事に出てきたお菓子が駅ビルの期間限定ショップで売っていました。
定番といちごを買ってみました。普通に美味しいです。


オスロコーヒーというのがあったので、入ってみました。
プリンとサンドイッチ、カフェオレを頼みました。
プリンは大きく見えますが、普通の大きさで固めでした。
カフェオレはコーヒーの味が強めです。
次回はセムラを食べたいです。