「ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男」を観る2025/04/16

ドイツ語のタイトルが「Führer und Verführer」。
日本語にすると「総統と扇動者」で、ヒトラーとゲッベルスの二人を意味しているようです。


ヨーゼフ・ゲッベルスは1897年にドイツ帝国プロイセン王国ライン州の小都市ライトで生まれる。
貧しいが敬虔なカトリック教徒の中流階級の家の三男で、母は元オランダ人。
4歳の時に小児麻痺を患い、右足は生涯、整形用の靴を履かなければならず、友だちと遊べなかった。そのため部屋に閉じこもり、読書ばかりしていた。
成績は優秀でギムナジウムに通ったが、同級生や教師には嫌われていた。
1917年にギムナジウムを卒業してからボン大学を皮切りに、フライブルク大学やミュンヘン大学などに籍を置き、1921年にハイデルベルク大学で国文学博士号を取得する。
大学在学中にカトリックへの信仰心は薄れたが、反ユダヤ主義的傾向は少なかった。
大学卒業後、職がなく、ライトの家に戻り、銀行で仕事を得るが、不況で解雇され、反資本主義や反ユダヤ主義の思想が芽生えていく。
1924年、友人に誘われて、社会主義者や国会社会主義者の政治集会に参加し、演説をするようになる。
国会社会主義ドイツ労働党(ナチ党)のカール・カウフマンと親密になる。
1925年2月に仮入党し、3月、「ラインラント北部大管区」を設立させ、役員になる。11月、初めてヒトラーと面会し、彼に魅了される。
1926年、ヒトラーからナチ党のベルリン大管区指導者に任命される。
1928年、ナチ党は敗れたが、ゲッベルスは国会議員に当選する。
1932年、ナチ党が第一党になり、1933年にヒトラー内閣が成立し、ゲッベルスは宣伝大臣になる。

映画はゲッベルスが宣伝大臣になった頃から家族と無理心中するまでを描いています。

ゲッベルスは好色な人らしく、1931年にマクダと結婚していますが、次々と愛人がいたようです。(妻もアレですから、同情できません)
1938年にチェコ出身の女優と本気になり、マクダと離婚しようとしますが、模範的ドイツ人家庭としてプロパガンダに利用できなくなるので、ヒトラーに止められ、愛人と別れます。
妻との間は当然冷えきりますが、6人も子どもがいるのはどうしてでしょうww。

ヒトラーがユダヤ人の一掃と侵略戦争に舵を取ろうとするのに、ゲッベルスは反対していたようです。
しかし、浮気も止められ、やることがなくなったからか(嘘)、仕事に没頭していきます。
言語弾圧、文化統制、反ユダヤ主義を強行し、ドイツ人の忠誠心と協力を得るための大規模なプロパガンダキャンペーンを画策していきます。
戦争が始まってからしばらくは冷遇されますが、終末期にドイツ軍が劣勢になるにつれ、引きこもるヒトラーの代わりに精力的に働き続けます。
1945年4月29日にヒトラーは「遺言」で彼を首相に任命しますが、ヒトラーが自殺した翌日、彼の跡を追い、妻子と共に自殺します。

映画には実際の記録フィルムや写真等が所々に挿入されているので、それだけでも見がいがありました。(残酷な場面がありますので、気をつけて見て下さい)
記録フィルムの中に登場するゲッベルスに比べて映画のゲッベルスは女にだらしない、ヒトラーの顔色ばかり見る小者にしか見えませんでした。
外見があまり本物のゲッベルスと似ていませんし、ゲッベルスが何を考え、行動していたのか、彼の内面が描かれていないのが残念です。
後半に多く現れる実際の演説の場面を見ると、ドイツ語は演説に向いた言語と言われているのが納得できます。
演説を聞いていると気持ちがよくなり、私は不覚にも寝落ちしそうになりましたけどww。

今の時代、大量の情報をきちんと取捨選択していかないとダメなのはわかっていますが、多過ぎて大変です。
マスゴミに騙されないようにしないと、ヒトラーの時代のようなことになってしまいかねませんよね。

残された映像やラストに出てくる二人のサバイバーのお話が胸を打つ映画です。