内藤了 『BLOOD 警視庁特捜地域潜入班 鳴瀬清花』 ― 2025/07/09
『DOLL 警視庁特捜地域潜入班 鳴瀬清花』に続く、シリーズの六作目。
今までは日本の民俗学を基に書かれたミステリでしたが、今回は海外の伝説や事件を基に書かれているようです。

警察庁特捜地域潜入班に出向中の鳴瀬清花は追うべき案件がないため、警視庁の資料室でボスの土井火斗志と過去の未解決事件の資料を当たっていた。
そんな時に、清花たちが前に身柄を保護した犯罪関係者である江口裕真から連絡が来る。
先週末のゲリラ豪雨で浸水した大田区の家から棺桶らしき箱が見つかったので、来てくれという。便利屋のバイトで片付けに行った先の地下室で見つけたという。
早速、出向く潜入班。
地下室からはエログロポルノを売りにした雑誌や絵、写真、トルソーなどのコレクションが見つかっていた。
箱は重く、チェーンで取っ手が縛られていた。
チェーンを切って中を開けると・・・。
箱は液体で満たされ、全裸の少女が浮いていた。
家の持ち主は妻が亡くなってから様子がおかしくなり、妻を生き返らせようとしていた節がある。娘によると、自殺したという。
三百万の領収証が見つかり、そこには『特殊水槽』と但し書きがあり、発行人は
Wemptiとなっていた。
箱に入っていた少女は妊娠初期で、年齢は十四、五歳。
頸動脈のあたりに小さな穴があり、体内にはほとんど血液がなかった。
監察医は薬で眠らせて頸動脈から血を抜いたのではないかと推測していた。
土井は潜入班の面々に話をする。
2003年と2004年に死斑が薄い、もしくは出ていないいくつかの変死体が見つかった。
土井は何かおかしいと気になり調べて始めたが、妻が末期ガンであることがわかり、捜査一課をやめたため継続して捜査ができなかった。
土井は二十年前の事件と今回の事件の間に何らかの繋がりがあるのではないかと思っているのだ。
人の血を抜く吸血鬼がまた活動を始めたのか。
それとも土井の妄想なのか。
潜入班は一致団結して捜査に乗り出す。
今回は珍しく潜入班は東京から動かず、現代的な問題、機能不全家族やトー横キッズ、発達障害などを扱っています。
行き場のない子はどこに行けばいいんでしょう。
最期がこんな風とは、悲し過ぎます。
潜入班に飛ばされたという思いにとらわれていた清花はやっとふっきれて、立派に潜入班の一員となりました。
残念なのが通信官の福子さん。彼女の異常さが増幅してきましたww。普通の人でいいのに。
土井は悔いの残る事件が一応解決し、彼なりに心の整理ができたのではないでしょうか。
「警察官は完璧じゃない。そして警察官は一人じゃないのだ」
いい感じになってきた潜入班です。
次回の『SOUL』は郡上八幡が舞台らしいです。
一度行ったことがありますが、今度は郡上おどりを見に行きたいです。
*ちなみに江口裕真は『COLD』に出てきた人かな。
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