桐野夏生 『天使に見捨てられた夜』2025/12/02

ミロ・シリーズの二作目。


村野ミロは父親の後を継ぎ探偵事務所を始めていた。

多和田弁護士から紹介された「道草舎」というフェミニズム系の出版社を経営している渡辺房江から、『ウルトラレイプ・これであたしも自己否定』というAVに出演している女優一色レナを探して欲しいと頼まれる。
渡辺は「アダルトビデオの人権を考える会」の代表で、このビデオに写っているのは明らかに集団レイプだというのだ。

ミロが父から教えられたレンタルビデオ店の店主に会いに行くと、レナはあのビデオ以外には出ていないことがわかる。
レナのモデルプロダクションとビデオの制作会社に出向くが、誰がレナをスカウトしたかもわからず、履歴書もプロフィールもギャラの支払い調書もないと言われる。

調査は行き詰ったかのように思えたが、レナがあるやばいビデオに出ていることがわかる。果たしてレナは生きているのか。
業界の闇に挑むミロだったが…。

ミロさん、しっかりしていそうで、ある種の男に弱いんです。
味方か敵かわからないのに、関係を持ってしまったり、本当に欲しい相手はゲイだったりと、男運が悪いですね。
でも、それが魅力になっています。
完全無欠で強いだけの女じゃ面白くないものね。
このシリーズはハードボイルドとか言われてますが、私の思うハードボイルドとは違います。
強いて言えば、『ババガヤの夜』が女性版のハードボイルドかな。

AV界のことはまったくわかりませんが、本に書いてあるように「自分が適当に寂しくて不幸だから」、「他人の不幸を見て笑う」ためにAVって見るものなんですか?

ネタバラシをしたくないので、詳しくは書けませんが、色々な女がいるものですね。どの女にも共感はできませんでした。
次にどんな男とミロは関係を持つのかと、変な興味が湧いてきましたww。
三作目は『水の眠り灰の夢』だそうで、このシリーズはタイトルが素敵ですね。
次はミロではなくて義父の村野が主人公なんですって。
どんな内容なのかしら。

嬉しいことと…。2025/12/04



欅と思われる木が紅葉しています。
昨日から急に寒くなり、秋から冬に変わってしまいましたね。
そろそろ暖房を入れようかしら。

今週は嬉しいことがありました。
昨年、台湾から日本にワーキングホリデーに来ていた子が結婚し、ハネムーンで日本に来たのです。
日本語がある程度できるので、オンラインで日本語の会話の練習をしていますが、その時に今度日本に行くのでウエディングケーキを渡したいと言い出し、誰のウエディングかと聞いたら自分のだと言うではないですか。
台湾ではお祝いの色は赤ですが、日本では紅白だと教え、会った時に紅白のお菓子を渡しました。


頂いたウエディングケーキです。紙袋(後)が赤です。
美味しそうなウエディングケーキです。
健康診断が終わってからゆっくり食べようと思いますww。

嬉しいことがあったのですが、悲しいこともありました。
10月、11月と二ヶ月の間で緑内障の手術をした左目が4回も炎症を起こしました。
診察の時にそのことを主治医に告げると、疲れが出たんではないかと言われました。
暑さに弱いので夏バテしたのかもしれませんね。
目を見てもらうと、房水を出すために作った濾過胞が前よりも小さくなっていて、このことで炎症が起きたことがわかるそうです。
房水の排出が減少したらしく、眼圧も上がっています。
もし炎症が続くようなら、開けたところを縫ってとめて、別のところに房水の通り道を作り、いっしょに白内障の手術もするということです。
私は10年ぐらい前に手術しましたが、今は炎症の起こりにくい手術方法があるそうです。
もう二度と手術なんてしたくないんですが、しないと失明と言われると、しないわけにはいけませんねぇ。いやだわ。

緑内障の手術をした方、気をつけてくださいね。
くれぐれも疲れをためないように。

暑さに弱い私は夏だけでいいから涼しいところに住むようにするしかないかしら。

何を食べるのかを考えるシリーズ2025/12/06



ヨーキー弟はトリミング先で耳を立てて写真に写るようになったと思っていたら、二枚もらった写真のうちの一枚だけでした。
なんでなんですかね。


兄はちょうど帽子の下にお座りしています。頭にかぶせたいけど、ソフトがないのでできないです。
ヨーキー弟にはちゃんとお座りする兄の爪の垢を煎じて飲ませたいですww。

さて、今週のママは健康診断に行って、とても疲れてしまいました。
いつも思うのですが、病院には人の元気の素を吸うお化けでもいるのでしょうか。
元気のない時は美味しいものを食べたくなりますね。
というわけで、二作品をご紹介しましょう。


有馬美季子 『お葉の医心帖 であいの柚の木』
町医者の道庵の助手を務めるお葉は、道庵が留守の時に頼まれて、修行中の鍼を打ってしまう。その患者は卒中の後遺症で顔面麻痺が起こり、いつも鍼を打ってもらっていたと言ったのだ。しかし、後で道庵が診察すると、違う病であることがわかる。お葉は自信をなくし、しばらく鍼を打てなくなるが、その代わりにお灸を極めようと考える。

霜月のある日、お使いの帰りに稲荷に寄ったお葉は脚を怪我した猫を治療しようとしていた林次郎と出会う。
お葉は猫に会うことを口実に林次郎と待ち合わせをして何回も会ううちに、彼への思いが強くなっていくが、林次郎には何か秘密があるようだった。

妊婦や脚気、狭心症、火傷の患者などが道庵のところにやって来ます。
脚気は「江戸わずらい」と言われ、江戸で大流行しましたが、白米を食べて偏った食事をしていたことが原因だったそうです。
お葉は脚気や狭心症、火傷の患者のために道庵から教わった病気によい食材を使い、料理を考えていきます。
脚気よりも心臓によい食べ物が現代には必要なので、書いておきますね。
いいのは青魚、野菜、果物、キノコ類、大豆から作られたもので、ダメなのはお酒、塩分、甘いもの、脂っこいものです。
お肌には玄米や若布の味噌汁などがいいそうです。
江戸時代からわかっていたのですね。
玄米は脚気にもいいのですが、よく噛まないと消化しにくいという欠点があるので、気をつけましょう。

思いもかけないお葉の初恋ですが、これからいろいろとありそうです。
悲恋にならなければいいのですが。

仙川環 『食べてはダメとは言いません 暮林医院栄養室』
暮林怜奈は祖父が開設した内科医院で管理栄養士として働き始めた。
これまで二つの職場を経験している。
最初の職場は神奈川県西部の中規模病院で、尊敬していた女性上司が突然退職したのをきっかけに辞め、次にフリーの管理栄養士の個人事務所でメディア向けの仕事をしていた。しかし、病院で担当していた肥満症の女性から減量に成功したという暑中見舞いのハガキをもらい、もう一度栄養指導の仕事をしたいと思い始め、捨て犬を拾い、飼おうと思ったこともあり、西荻窪の実家に戻ったのだ。
祖父が亡くなり、大病院の内視鏡部長をしていたが、部下へのパワハラで自主退職を促された父が医院を継いでいる。
父は怜奈が栄養指導をすることに反対だったが、ベテラン看護師兼事務長の今川美佐子を味方につけ、なんとか認めてもらった。
最初は閑古鳥が鳴いていたが、怜奈の頑張りが功を奏し、徐々に栄養室を訪れる患者が増えてきた。

怜奈が栄養指導を行った人たちは高血圧、栄養失調、痛風、貧血、誤嚥性肺炎、糖尿病、狭心症などの患者やその家族ですが、おもしろいことに、色々とあるんです。
例えば、本人は高血圧ではないのに、高血圧のふりをして薬を欲しがったりする人。怜奈はすごいですよ。そういう人の嘘を見抜くんですから。
それ以外にも患者のためにわざわざ近所のスーパーやコンビニに行き、買える食品や食材のリストを用意し、頼まれれば、レシピも考えて用意します。
時間外なのに自宅に行って相談を受けたりもするんです。
患者のために全身全霊を賭けています。
怜奈のような栄養士が現実にいますかね?

私は二つの病院で栄養相談をしたことがありますが、一つは役立ち、一つはひどかったです。
この頃思うのは、医師でも看護師でも栄養士でも、隣人でも友人でも通りすがりの人でも、いい人に出会ったら儲けもの。
出会いに感謝しましょう。

もし本に書いてある病気の方、もしくは家族の方は読んでみるといいでしょう。
役に立つことがあるかも。

最後に怜奈の言葉を載せておきます。

「いきなり完璧を目指す必要はない。挫折せず、長く続けられる方法を考え、実践してほしい。コツコツやっていけば、身体はきっと応えてくれる」

桐野夏生 『水の眠り灰の夢』2025/12/08



この頃咲いているピンクの花は山茶花です。この木も茶ノ木同様にツバキ科だそうです。


お散歩後のわんこたち。わざと横を向くヨーキーです。カメラの光がまぶしいのかな。

さて、村野ミロ・シリーズの三作目ですが、今回はミロの義父の村野善三の若かりし頃の話です。


昭和三十八年(1963年)、高度経済成長期の日本。
村野善三はトップ屋<遠山プロ>の一員として『週刊ダンロン』に記事を書いている。
校了日に村野が神田の印刷屋に出張校正に行った後、地下鉄に乗っていたところ爆破事件に巻き込まれる。
ちょうどその頃、連続爆弾魔・草加次郎が世間を騒がしていた。
草加次郎の仕業なのか。
村野は取材を始める。

そんな時に、兄の忠志から甥の卓也を連れ戻しに行って欲しいと頼まれる。
友人の後藤から車を借り、葉山にあるデザイナー・坂出俊彦邸に向かうが、そこではとんでもないパーティが開かれていた。
なんとか卓也を探し、帰ろうとすると、卓也がタキという少女も一緒に連れて行って欲しいと言う。
卓也を家に帰し、タキを送るが、タキの父と兄が暴力をふるったため、村野はタキを自分のアパートに連れていき、一晩泊めることにし、自分は後藤の部屋に泊まる。
数日後、タキの遺体が隅田川で見つかり、首には絞められた跡があった。
タキの父親が警察に村野のことをチクったため、村野は容疑者となり、自らの容疑を晴らすために犯人を追うことになる。

「トップ屋」とは、週刊誌創刊ブームの昭和三十年代に週刊誌のトップ(巻頭)を飾るようなニュースを探り出し、記事にして雑誌社に売り込むジャーナリストやライターのことだそうです。

日本の1960年代って詳しく知りませんでしたが、色々とあったんですね。
草加次郎事件は本当にあった事件で、時効が成立し、未解決事件となっています。
トップ屋集団は梶山軍団がモデルだそうです。
オリンピック前年のなにやらワサワサした感じがいいです。

村野がミロの義父だとは、前作に書いてあったのかどうか記憶にないです。
いい親子関係だと思っていたのですが、そうでもないようです。
そういえば最後の『ダークネス』に村野のことが出てきましたが、なんかその時の村野とこの本の村野が私の中で一致しません。
『ダークネス』の村野は異常な盲目の女に囚われた哀れな老人としか思えなかったのです。
この本の村野は若いので、生き生きとしていてカッコイイのですが、月日が経つうちに変わっていったのかもしれませんね。
なんか村野のイメージが壊れそうで、読み進むのがちょっと怖いです。

そうそう、ミロの誕生の秘密が明かされています。
ミロがどう成長していくのか、次の『ローズガーデン』が楽しみです。

「なんて楽しいクリスマス」を観る2025/12/10

クリスマスが近づくと、クリスマスの映画が観たくなります。
アマゾンからこの映画をすすめられたので、見てみることにしました。
原題が「Oh. What. Fun.」だそうで、そのまま訳したみたいですね。
クリスマス映画ではありますが、反抗期の、小学五年生から高校生ぐらいの子どもがいる家族はいっしょに見ない方がいいかもしれません。
もちろんクリスマス映画ですから、最後はハッピーエンドですがねww。


テキサスに住むクレアは夫ニックとの結婚生活が35年になるママで、毎年クリスマスに家族が集まるのが楽しみで、はりきって用意をしている。
彼女は家族の誰かが自分たちのママを自慢する「ホリデー・マム・コンテスト」に応募してくれないかと願い、子供と夫にリンクを送るが無視される。

長女で小説家のチャニングが夫のタグ(中東系)と双子のルーシーとベンを連れてやって来る。
実はチャニングたちは両親の家に行くのが面倒になってきている。
来年は自分たち家族だけでスキーに行くと言おうと思っている。

次女のテイラーはヘアスタイリストで、毎年違った女性の恋人を連れてくる。
今年の相手はミネアポリスのDJスエットパンツ。

無職の末っ子のサミーはポートランドで恋人と同棲していたが、クリスマス前にフラれてしまい、独りでやって来る。

隣人のジーン・ワン・ワッサーマン(中華系)は「完璧」な人で、毎年クリスマスにちょっとしたプレゼントを持ってくるが、クレアはそれが尺の種。
今年はクレアが用意した一つの芯のロウソクよりも芯が多い、芯が三つのロウソクを持って来た。
さあ、大変。彼女のロウソクよりも芯の多いものを探さなくては。
チャニングを連れてモールに行って、芯が四つ以上のろうそくを探す。
あったけれど、会計に人が並んでいるので、クレアは会計もせずに持って行く。
(窃盗よね。この場面はクリスマスの映画にふさわしくないわよね)
だってみんなでダンス・ショーに行くんですもの。遅れたら大変。

クレアはジーンにプレゼントを持っていくが、ろうそくは止めた。だって盗んだんですもの。代わりに手作りだと嘘を言って市販のチョコレートを渡す。
ジーンの家から戻り、気が付くと、家には誰もいない。
クレアが一人、残されていた。

クレアはふと思う。
一体今までの私の頑張りはなんだったのかしら。
家族のためにやってきたのに、家族はそれを当たり前だと思い、感謝もしてくれない。「ホリデー・マム・コンテスト」に応募してもくれない。
そこでクレアは家出をすることにする。

家族はショーの最中にクレアがいないことに気づき、すぐに家に戻るが、クレアはいない。
警察に捜査願を提出するが、明日まで様子を見るように言われる。
家族のみんなはクレアがいないがために、クリスマスだというのに険悪なムードに陥る。

一方、クレアは様々な困難に遭いながらも、なんとか参加したかったザジー・ティムズ・ショーの「ホリデー・マム・コンテスト」の会場に入り込み、テレビに映ってしまう。
それだけではなく、今回あったことを洗いざらいしゃべってしまう。

一躍時の人になるクレア。
ザジーに気に入られ、次の日にも彼女の番組に出るが、そこに現れたのは…。

クレア役のミシェル・ファイファーがとても綺麗で、楽しみながらクレアを演じているようでした。
年齢が67歳ですって!そんなに見えないです。
クリスマスの装飾がされた家の中がとても素敵で、眼福です。
やはり本場は違います。

ザジーがクレアたちとお酒を飲みながら言う言葉には家族がいる女性ならその通りと叫びたくなるでしょう。
「ここでは私は女ボス。家じゃ召使」
ザジーの番組でクレアが自分の母親に言いたかったと言った言葉が、「Can I   help?」だというのもわかります。
子どもは母親からそうされるのが当たり前と思っちゃうんですよね。
私もそうでした。今から考えると、家族の面倒をみるということは大変なことです。年を取ると体の方もついていかなくなりますからね。
私も「手伝おうか」と言っていればよかったとつくづく思います。
実家に帰るのを負担に考えているのは娘や息子たちだけではなく、親たちもそうなんですよね。
どちらにも負担のかからないような帰省を考えていくといいのでしょうね。
親はいつまでも生きているわけではないですからね。

この映画は大人になった息子や娘世代に見てもらいたい映画です。
親に感謝しつつ、これからどういう接し方をしていくのがいいのか考えるきっかけになる映画です。
ラストにはクレアが羨ましくなりますよ。
ああいうクリスマス、日本ではお正月か、いいですねぇww。

中山七里 『とどけチャイコフスキー』2025/12/11

岬洋介シリーズのスピンオフ版も入れて、十作目。


ヴァレリー・ガガリロフは2010年のショパン・コンクールで五位入賞を果たし、演奏活動を続けていたが、2015年にモスクワ音楽院の客員教授に招聘され、ピアノを教えている。

2014年にロシアがクレミア半島を併合して以来、文化的鎖国状態が続いていた。モスクワ音楽院の中では鬱屈が溜まり、生徒たちの間では欲求不満が臨界点に達しつつあり、ロシア人生徒とウクライナ人生徒との間に小競り合いのようなものが見受けられるようになっていた。

そんな中でヴァレリーは岬洋介がロシアでコンサートツアーを行うことを知る。
さっそく会いに行き、岬にモスクワ音楽院で生徒のために曲を一曲披露してくれないかと頼むと、岬はすぐに承諾する。
しかし、学部長会議で、海外アーティストの招聘を認めない親大統領派のボリス学部長の強硬な反対により、岬のコンサートは頓挫する。

会議の翌日、学院内でボリスの死体が発見される。
ボリスの死により岬のコンサートは開かれることになるが、ヴァレリーはロシア警察により厳しい尋問を受ける。

ボリスを殺したのは誰なのか。
岬が突き止めた真実とは…。

ヴァレリーは教師としてはもちろんのこと、音楽家としての自分にも自信がありません。
ショパン・コンクールで五位でもいいじゃないですか。五位も取れない人の方が多いんですから。
それなのに、優勝できなかったからとヴァレリーを咎める人たちは真の音楽家ではないですね。
コンクールなので一応順位は決めますが、そもそも音楽は順位を決められるものではないはずです。
「音楽では人を砲弾から身を護ることはできん。所詮はお遊びに過ぎん。そんなものと国家的使命を同列に語るな」と言うロシア警察にはゾッとしました。
今のロシアの状況がどうだかわかりませんが、中山さんの書いたような感じなのかもしれないですね。

ロシア音楽院のコンサートで岬が弾いたのはチャイコフスキーの<ピアノ協奏曲 第一番 変ロ短調 作品23>です。
リヒテルとカラヤンの演奏をお聞きください。こちら
岬のピアノは「客観的な鑑賞を許してくれないのだ。評価や批評をしようとする前に、彼のピアニズムに吞み込まれて主観的な感情しか見出せなくなる」そうです。
どういうものか想像できますかねww。

今回は犯人当てよりも岬とヴァレリーの意外な関係に驚くお話です。
是非とも<ピアノ協奏曲 第一番>を聞きながら読んでみてください。

<シリーズの順番>
①『さよならドビュッシー』
③『さよならドビュッシー前奏曲 要介護探偵の事件簿』(スピンオフ)
⑤『どこかでベートーヴェン』
⑩『とどけチャイコフスキー』(本書)

近藤史恵 『オーロラが見られなくても』2025/12/13

外国への一人旅で人生の仕切り直しをした人たちのお話、五篇。
嬉しいことに美味しそうな現地の食べ物が出てきます。


「遠くの縁側」
橋本乙葉はアムステルダムで行われた見本市が終了し、みんなでお祝いをしている時に、パスポートと財布を入れたショルダーバッグがないことに気づく。
たった一人、オランダに残り、デン・ハーグの日本大使館まで行き、帰国のための渡航書を発行してもらうしかない。
残念なことに金曜日だったので、渡航書は月曜日に発行されるという。
乙葉は独りでどうやって過ごそうかと憂鬱になる。

私は二回オランダに行ったことがあります。
英語は当時から通じていましたが、アムステルダムの中央駅で麻薬を売っているから近づくなとかいう噂がありました。
アンネの家は並ばずに入れましたし、ゴッホ美術館なんて、ガラ空きでした。
運河沿いの家の窓が素敵で、ずっと見ていたかったです。
そういえば、本に出てくるコロッケの自販機やフライドポテトなんて見かけたことがありません。
若くないので、ニシンのサンドイッチの方が食べたいですわ。

「パンケーキとイクラ」
フリーカメラマンの水嶋翔太はラトビアのリーガで働いている妹の未海に会うついでに、リトアニアからラトビアに行くことにする。
本当は咲良を誘う予定だったのだが、振られた。
女はずるいと思う翔太だったが、妹に指摘され色々とわかってくることがあった。

本の中で一番行きたいと思ったのが、リトアニアのビルニュスの十字架の丘です。
検索してみると、私が想像したのとはちょっと違います。
エストニア、ラトビア、リトアニアと周ってみるのがよさそうです。
翔太君はイクラのパンケーキなんてと嫌がっていましたけど、美味しそうではないですか。
どちらかというと男性の方が女性よりも食に対する苦手意識がある人が多いように思いますが、なんでなんでしょうね。

「ジブラルタルで会えたら」
小学校からの親友の優來が結婚した。
岬は優來のいちばんが自分ではなくなったことに傷つき、一人でモロッコへ旅立った。
優來たちは新婚旅行でスペインにいる。
たまたま岬のsnsを見た優來から連絡が来て、スペインとモロッコは近いと言われ、納得できない岬だったが、あることをきっかけに考えが変わる。

ちょっと岬は幼い感じがしますね。あくまでも私の偏見ですが、彼女のような子は自分に彼氏ができると、友人をないがしろにしそうに思います。
モロッコ料理が一番美味しそうです。
モロッコからフェリーでスペインのタリファに行って、そこからイギリス領ジブラルタルに行くというのはやってみたいです。
モロッコに行く方、挑戦してみてください。一遍に三カ国に行けるなんてお得です。

「オーロラが見られなくても」
広畠佳奈は二十年ぶりの海外旅行でアイスランドに行く。
ずっと家族の介護をしていて、やっと時間ができたのだ。
しかし、自分の未来を考えると暗澹たる思いになるが、ある人との出会いで気持ちが変わっていく。

アイスランドに行ってみたいと思いましたが、遠いし、ホテル代が物凄く高くて、諦めました。でも、そのうち行きます。
フィッシュアンドチップスやホットドック、ポテトが美味しいなんて、アイスランドに合わないように思いますけど、そういえばアイスランドって何が名産なんだろう?
このお話を読んでいて、「なんて楽しいクリスマス」を思い出しました。
佳奈もクレアと同じように家族からの拍手が欲しかったんですね。

「マイナス十二度のアイスキャンデー」
ある事件の後、会社を辞めた畑野真衣は元同僚の郭の故郷、ハルビンに遊びに行くことにする。
郭は冬がおすすめだというので、本当は嫌だったけど冬に行くことにした。
北京で働いている郭が週末にハルビンに来てくれて、ハルビンを案内してくれる。
郭とハルビンを巡るうちに、真衣の頑なだった心は溶けていく。

北京と西安、上海を巡る旅に行ったことがあります。三十年以上も前でしたから、個人旅行は難しく、同僚と一緒にマイクロバスにガイド付きでした。
驚きに溢れた旅でした。
餃子は食べたので、春餅を今度中華料理屋に行った時に食べてみたいです。
真衣が思ったことを載せておきます。

「嫌いになったものをもう一度受け入れることはできなくても、嫌いなものを他の嫌いなもので薄めたり、好きなもので和らげたりしながら生きていくことはできるかもしれない」

若い人が海外に行かなくなったと言われてから大分経ちますが、そろそろ行ってみるのもいいかもしれません。
この本を読むと、きっと行きたくなりますよ(多分ですww)。


<今週のおやつ>
しばらくおやつを控えていましたが、週末にいくつか届きました。
まず、クグロフ・ド・ノエルです。


私はシュトーレンを頼んだとばかり思っていました。
「栗を練りこんだしっとりした抹茶生地を酸味の効いたフランボワーズチョコレートでコーティングした」ものです。
甘くなく、上品な味です。酸っぱさがいいです。
これから小さなシュトーレンを買うか、ネットで見つけたお店にミンスパイを買いに出かけようかどちらにしようかと迷っています。
食べ物の恨みはいつまでも続くのですwww。

長岡弘樹 『交番相談員 百目鬼巴』2025/12/14



今年はピンクと赤の薔薇をもらいました。

図書館の新刊本が溜まっているので、サクサク読んで紹介しています。
「教場」シリーズとは違った長岡さんの新しいシリーズ(だよね)。


六十代後半の百目鬼(どうめき)巴は警察を定年退職した後、非常勤の交番相談員として交番で働いている。
彼女は一見温厚な普通のおばさん風だが、様々な噂があり、その噂通りに、抜群の洞察力を生かして事件の真相を見抜いていく。

彼女が関わった事件は六つ。すべてに若手警察官が関わっている。
①交番で硫化水素ガスで自殺を企てた警察官
②駅のホームで自殺企画者を助けられなかった警察官
③急カーブでハンドル操作を誤ったため事故を起こし亡くなった警察官
④交番の近くで起こったひき逃げ事件に関わった警察官
⑤沼でゴムボートから落ちた警察官
⑥地すべりで交番に閉じ込められた警察官
交番での出来事なので、警察官が関わるのは仕方ないのですが…。
百目鬼さんは話を聞いて、ちょっと現場を見て、ズバッと真相を解き明かします。

短いのでとても読みやすく、面白い短編集なので、長い警察小説が苦手な人にピッタリです。
これもドラマになりそうです。
百目鬼さんに誰がいいかしらと考えるのもいいかも。

桐野夏生 『ローズガーデン』2025/12/16

村野ミロ・シリーズの四作目。四編の短編集。


「ローズガーデン」
三十歳の河合博夫は日本とインドネシアの合弁会社、アグロ・コウワ電装の営業として、ジャカルタ支社に赴任して二年になる。
カリマンタンのアスラヘロという木材伐採基地に、会社の同僚でエンジニアの城ケ島とともに、たった一個のプラグを届けに行くことになる。
アスラヘロは木材集積地として有名なサリマンダから更にマハカム川を十二時間も上がったジャングルの中にある。
ボートに乗った博夫は高校の同級生だった妻のミロとのことを思い返していた。

「漂う魂」
ミロの住むマンションの四階の部屋で三カ月前に自殺した女の人の幽霊が出るという噂があり、近頃ではその祟りがあると言われるようになっていた。
ビルの管理会社からミロはこの幽霊騒ぎの調査を頼まれる。
マンションには悪意が満ちていた。

「独りにしないで」
ミロに不動産会社に勤める宮下という男から『夢の壺』という上海クラブのホステスの気持ちを確かめてほしいという依頼がある。ミロは断るが、その一週間後に宮下が職安通りで刺殺される。
後ろめたさと共に好奇心を感じたミロは調べてみることにするが…。

「愛のトンネル」
ミロは娘が巻き添え転落事故で亡くなった山神という男から、娘のアパートに行き、何かまずい物が見付かったら処分して欲しいという依頼を受ける。
葬式の時に分かったのだが、娘は『パラダイス』というSMクラブの経営権を持っていて、そこでSM女王をしていたというのだ。
簡単な仕事だと思ったミロは翌日に娘の部屋に行くことにしたが、それが裏目にでる。侵入者が部屋にあったものを持っていったようだ。
山神から何を盗まれたのか、誰が何の目的で盗んだのかを調べ、盗まれた物を取り返すように言われる。
調べていくと、意外な事実が浮かび上がってくる。

ミロの夫の語る高校生のミロは、思いもよらぬ人でした。
私のミロの理解度が浅かったのでしょうかね。
ひとつわかったことは、昔からミロは隠し事が大嫌いだということ。
隠されていたと知ると、ミロのスイッチが入り、後先考えずにとんでもないことをやらかしてしまいます。
夫の博夫は変態で、精神性の低いなんともつまらない男です。
なんで自殺なんかしたのか、彼のことがもっと書かれているかと思いましたが、そうでもなかったです。
義父の村善とのことはミロの虚言と思いたいです。
ミロの男運の悪さは高校生の時からだったことがわかりましたww。

残るは『DARK』のみ。
読み終わるのが惜しい気もしますが、『ダークネス』での謎が解けるのか、楽しみです。
もう一度『ダークネス』を読みたくなるかもしれません。

秋川滝美 『ひとり旅日和 花開く!』2025/12/17

どこかいい旅行先がないかという参考のために読んでいる本です。
シリーズの八作目。
日和ちゃんがどこを回ったか参考にしたい方がいるかもしれないので、簡単に行った場所と食べたものを載せておきます。
興味があったら本を読んでみてください。


「第一話 岩手 中華そばとお餅」
10月下旬に日和は岩手県の一関と花巻に向かった。
東京駅で父推薦の鮭弁当を買い、電車の中で食べ、毛越寺と中尊寺、無量光院跡を周り、あんバターサンドと鰹の塩たたきを食べた。
二日目は厳美渓で「空飛ぶだんご」を見て、サハラガラスパークで時間を潰し、観光タクシーでイーハトーブ館に行く。
夕食は一関駅近くでラーメンを食べ、ホテルの牛タンをお持ち帰りして部屋で食べる。
三日目は猊鼻渓で川下りをし、『酒の民族文化博物館』を見る。
ランチにもち料理、デザートにぜんざいを食べる。

「第二話 三重 牛にぎり寿司と鰻丼」
12月半ばに、日和は周遊券『まわりゃんせ』を利用して伊勢旅行をする。
蓮斗に言われ、二見興玉神社に最初に行き、外宮、内宮を回る。
店が閉まりそうなので、急いでおかげ横丁に行き、松崎牛の寿司と伊勢うどん、コロッケ、メンチカツを食べる。
二日目は鳥羽水族館と志摩スペイン村へ。スペイン村でピザとチュロスを食べ、両親に頼まれたクッキーをお土産に買う。
夕食はわざわざ津市まで行き、炭火焼の鰻丼を食べる。
三日目は雨だったので、名古屋湾水族館に行き、戻る。

「第三話 徳島 絶品ハマチと徳島ラーメン」
三月に徳島と香川へ。
一日目はランチにハマチ定食、道の駅『くるくるなると』でお芋のソフトクリームを食べる。
『阿波おどり会館』で阿波踊りを見て、踊り方を習い、夕食に徳島ラーメンを食べる。
二日目は大塚国際美術館と渦潮『渦の道』へ行く。

「第四話 香川 骨付鶏と讃岐うどん」
二日目の続きで、徳島から香川へ移動する。栗林公園から玉藻公園に行く。ソフトクリームを食べ、夕食は骨付鶏とティラミスを持ち帰ってホテルで食べる。
二日目にタイの餌やりができなかったので、三日目に再度、挑戦しに玉藻公園へ行く。うどんを食べ、金刀比羅宮の階段を上り、下ってからまたうどんを食べて帰宅する。

今回は行ったことのある所が多かったので、あまり参考にはなりませんでした。
残念ながら今は都会以外のどこに行っても交通が不便で、車で回った方がよさそうです。車を運転できない私はどうしたらいいのでしょうか。
大塚国際美術館と『渦の道』には機会があれば行ってもいいかなと思いました。

前回にも思いましたが、日和ちゃんの食べるものが私と合いません。
二十、三十代の人たちと比べちゃいけませんがww。
伊勢で鰻は食べていないので、次回行くことがあったら食べてみようと思います。

だんだんと私の趣味と合わなくなったので、この辺で読むのを終わりにしようと思います。
最後に今までの本を載せておきます。

ひとり旅日和シリーズの順番
⑧『ひとり旅日和 花開く!』(本書)