ジル・ペイトン・ウォルシュ 『セント・アガサが揺れた夜』2026/02/02

<イモージェン・クワイ>シリーズの四作目ですが、作者がお亡くなりになっていますので、シリーズの最後の作品となります。


セント・アガサ・カレッジの学寮付き保健師イモージェン・クワイの自宅に、フランセス(フラン)・ブリャンとジョシュ・コリフッドのカップルが下宿している。
ある日、フランから演劇クラブ<キッド・プレイヤーズ>の役員会を家で開いてもいいかと聞かれ、イモージェンは承諾し、役員会を傍聴することにした。

<キッド・プレイヤーズ>は、稽古場が火災で焼け、火災保険に入っていないかったため破産目前だったが、大富豪の息子マーティン・モトルが救済を申し出てくれたという。
ところが彼のつけた条件がとんでもないものだった。
これから上演する『ハムレット』をモトルが演出し、主役を演じるというのだ。
困ったことにモトルはひどい大根役者なのだ。
普通に演じると、とんでもないことになる。
そう考えて、急遽、全幕が一時間ぐらいで終わる<粗悪な四つ折本>を使うことにする。

ところが『ハムレット』の公演中、モトルは思いもかけない行動を取る。
昨年、セント・アガサ・カレッジの学寮の塔から<ハーディングの悪ふざけ>をしようとした英文学科のフェロー、ジョン・タレンタイアーが転落死していた。
モトルはタレンタイアーの死は単なる事故死ではなく、殺人だと示唆したのだ。

同じ頃、寮から学生がいなくなる。
イモージェンはいきがかり上、彼女の養母に会いに行く。

何も関係のなさそうな二つの出来事だったが…。

過去の恋人の裏切りを未だに忘れられないイモージェンは、高齢の男性との穏やかな付き合いの中に幸せを見出しています。
しかし、それはいつか来る別れの影がつきまとうものでした。

シェイクスピアのテキストにはいくつかあります。
昔、学んだとは思いますが、記憶が…。
本の中に『ハムレット』に関する蘊蓄など色々と出てきますので、気になる方は読んでみて下さい。
各カレッジにはそれぞれ変な伝統的ないたずらがあるのでしょうか?
<ハーディングの悪ふざけ>は危ないのにねぇ。
後、ネタバレになるかもしれないので、詳しくは書きませんが、イギリスの裁判の…。

最後がとても美しく、いい終わり方です。

<シリーズの順番>
④『セント・アガサが揺れた夜』(本書)

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