「パターソン」@アップリンク吉祥寺2019/01/16



アメリカ、ニュージャージー州パターソン市に住むパターソン君の月曜日の朝から次の週の月曜日の朝までの七日間を描いた作品です。
パターソンは実在する町で、有名な詩人のアレン・ギンズバーグとウィリアム・カーロス・ウィリアムが生まれた町です。

パターソンはバスの運転手で詩を書くのが趣味。
毎日、朝の6時過ぎに目覚め、一人でシリアルを食べ、妻が作ったサンドイッチを持って仕事に向かいます。
仕事前に詩を書いていると、同僚が来て話をしていきます。
仕事から帰って食事をして、犬の散歩の途中でバーに寄り、ビールを一杯飲むのがいつもの習慣です。

一緒に暮らしているローラは特に仕事もせず、部屋のインテリアを毎日変えるのが趣味。
家のインテリアと自分の着る物、すべてが黒白。
土曜日には黒白のカップケーキを焼き、バザーに売りにいきます。
自分はカントリーミュージシャンになって有名になるという夢を持ち、200ドル以上もするギターを買ったりします。

そんな何の変哲もない一週間を詩と共に淡々と描いた映画です。
ちょっとクスッと笑える場面なんかが散りばめられています。
特に気に入ったのが、イングリッシュ・ブルドッグのマーヴィン君。
残念ながら映画後、亡くなってしまったそうです。


家の犬たちよりいい子なんです。
散歩の時にリードを引っ張るのは一緒ですが、パターソンがバーに入る時に、ちゃんとお座りして待つんです。
相手をしてくれないと、悪い子になりますが、それもかわいいです。
郵便ポストが何故毎日曲がるのか。
その理由には笑ってしまいましたがね。

永瀬正敏が出てきたのにはびっくりしました。
日本人詩人の役で、服装や英語がもろ日本人。
海外に人は笑えるだろうなと思いました。

なかなか素敵な映画でした。

映画の後にリベルテで遅めのランチをしました。
三種のデリプレート。


サラダが多めで、パンはお変わり自由でした。
野菜ばかりだったからと理由をつけて、デザートにケーキまで食べてしまいました。


カシスのモンブランです。
明日の朝食用にクロワッサンを買って帰りました。


史夏ゆみ 『イダジョ!』2019/01/14



「イダジョ」とは「医大女子」のことです。

サラリーマン家庭の長女である美南は、幼い頃、祖母が心筋梗塞を起こし救急に運ばれた時のことから医者になると決心していました。
無事、私立の医大に入ったのですが、医学部の勉強は大変で、同級生と励まし合い、助け合いながらギリギリの成績で進級していきます。
しかし、後一年で国家試験を受け卒業という時に父親が癌になり、その上、母親はリストラされ・・・。
法学部へ行った妹は大学院進学を諦め司法試験に挑みます。
美南は医学部ですから授業料が半端ではなく、どう計算しても払えない・・・。
勉強が大変だからと今まで家のことをないがしろにしていた美南は妹から甘さを糾弾され、人に頼らず自分で授業料を稼ごうとするのですが・・・。
どうなる、美南。

医大女子の努力と涙と成長のお話だと思っていたら、結構恋愛の要素が強く、そこがあまりにも甘く、残念でした。
作家さんは医学部の人ではないですから、想像の産物か。
医師って医学生に手を出すほど暇じゃないですよね。
医学生より看護婦・・・?
それにご両親、あまりにもいい加減過ぎです。
娘の学費、貯めとかないなんて。

今まで会った医師を思いながら読みました。
こんなことしてるから、ああなったのか・・・と思うこともありました。
大変なお仕事なのは認めますが、人間としての心の成長はどうなっているのかしら。
読んでも医師に対する見方は変わりませんでした(笑)。

高円寺アパートメントへ行く2019/01/13

リノベーションした高円寺アパートに美味しいカレーとクラフトビールが飲めるお店があるというので行ってみました。

高円寺から駅の高架下を歩いて10分ぐらい(膝痛人間の場合)。



人が並んでいます。
が、良く見ると私たちのお目当てのお店ではなく、隣のカフェに並んでいるようです。
ネットで調べてみると、美味しそうなフルーツサンドがある「JULES VERNE COFFEE(ジュールヴェルヌコーヒー)」という珈琲豆焙煎販売店兼カフェのようです。
フルーツサンドは一日24食限定だそうなので、早くから並んでいるのでしょうか?
HPに「コーヒーを楽しんで空間や風景や空気を感じるための(?)コーヒー豆販売店です。日常を意図的に離れるようなつもりで楽しんでご入店ください」と書いてありますが、こんなに混んでしまうと楽しめるのかしら。
小心者の私なら待っている人が気になってしまい、すぐに出てしまいそうです。
平日に来ると楽しめるのかもしれませんね。

他にはバッグのお店(閉まっていて残念)や時計修理屋、飲み屋などがあるようです。

お目当てのカレー&ビールのお店「アンドビール」は写真の左側にあります。
人が座っていて、顔がバッチリわかるので、写真は載せませんが。
テーブル席が2つにカウンター席が7つ(?)ぐらいの小さなお店です。
奥さまがビールを作り、旦那様がカレーだそうです。
三種がけ週末カレー定食とシードルを頼みました。
ビールは250mlで500円、900mlで900円と少し高めのお値段です。
カレーは1200円でした。


手前がシードル。
林檎の果汁が使われているのが見ればわかるという感じです。


カレーは見事な盛り方です。
左が豆のカレーで右がチキンのカレー、ごはんの上がキーマカレー、そして6種類のおかずです。
結構辛目でした。
夜にはつまみっぽいのが出るようです。

カレー&ビール好き夫曰く、「毎週来ようとは思わないけど、たまにはいいな」。
ビールの値段がちょっと高かったので、それが残念だったようです(笑)。

ピーター・スワンソン 『そしてミランダを殺す』2019/01/12



2018年度、年間ミステリ第二位の作品です。
初めの若い女の子の独白で、ちょっとうんざりしたのですが、がんばって読んでいくと、だんだんとおもしろくなってきました。
登場人物たちが交互に語るというのがいいですね。

空港で出会った美女、リリーに、どうせもう二度と会わないのだからと、軽い気持ちで妻、ミランダの浮気のことを話してしまい、ついつい殺したいとまで言ってしまったテッド。
冗談だと思ってくれるかと思ったら、リリーは一緒に殺しましょうと言いだします。

さて、この殺人計画は達成されるのでしょうか。
意外などんでん返しが…。

それにしても簡単に人を殺そうと思うなんて、そういう人もいるんですねぇ。
でも、なんとなく彼女がかわいそうに思えてしまうのは、何故かしら。
このまま逃げ切るか…。

内容的に英語が簡単そうなので英語で読めばよかったと思いました。

佐野香織 『✚永善堂病院 物忘れ外来』2019/01/10



特に介護とか老人医療とかの本を読もうとしているわけではないのですが、目につくのがそういう本です。
老後の自分のことが今一番心配なことですものね。
色々と今から研究しておかなければと思います。
が、この本が役に立ったかどうか・・・。

メラノーマ(悪性黒色腫)を患い、彼にふられ、会社も辞め、未来へ希望の持てなくなっていた佐倉奈美は、引き籠りのような生活をしていました。
奈美のことを心配している親から茨城にいる祖父母の様子を見に行ってみないかと言われ、母から捨てられたと感じた奈美は、祖父母の家に行くことにします。

茨城に行ってから、奈美は道を歩いている徘徊老人を見つけてしまいます。
服に縫い付けられていた永善堂病院の電話番号に電話して、老人を病院に連れて行くと、強引に看護助手として採用されてしまい、奈美は病院で働くことになります。
永善堂病院は永善三兄弟が働く病院で、次男が院長、三男が副院長をしています。
病院には物忘れ外来があり、奈美は主にそこで認知症検査に来る患者と関わることになります。

自分がもしこの病院の近所に住んでいたら、行くかどうか微妙です。
永善三兄弟のどの医師も今一の性格ですもの。
看護助手を名前で普通は呼ばないわよね。
とっても違和感がありました。

問診って考えてみると変よね。
「一日のうちで、朝が一番気分がよい」とか、「食欲がある。食べ物を美味しいと感じる」、「自分は社会の役に立つ、働ける人間だと思う」、「毎日が楽しく充実している」。
こんなんで何がわかるのかしら?
朝が気分いい日と気分悪い日があるんだけど。
社会の役に立つ・・・立っている人、どれだけいるの?
老人にこれ、聞くか。
毎日が楽しいって、普通の人の何%が感じるのかしら?
真面目に考えていくと馬鹿らしくなりますわ。

認知症といっても一絡げにできないことがわかっただけでも、この本を読んだ甲斐がありました(たぶん)。
でも、あまり認知症のことで参考にはならないので、そのつもりで読んで下さい(笑)。

宮部みゆき 『昨日がなければ明日もない』2019/01/09

用事で代官山に行ったついでに蔦屋に行ってみました。


本の並べ方とか素敵です。


Anjinでお茶をしました。
メニューはタブレットで見ます。
タブレットでAnjinにある蔵書の検索ができたり、朝日新聞とかが見られます。


抹茶と柚のケーキ、美味しかったです。
日本人だけではなく、外国人(たぶん中国系?)が沢山来ていました。



杉村三郎シリーズの五作目。三作品が収録されています。

離婚した後、探偵事務所を開業した三郎。
やってくる事件はどれも気持ちのいいものではありません。
まず、一つ目。
自殺未遂をして病院に入院したというのに、娘に会わせてもらえないと相談に来た母親。
娘の夫に毒親とまで言われたそう。
調べていくと、娘の夫の大学のサークル関係のどんでもないことがわかってきます。

二つ目は、大家さんの竹中夫人に頼まれて運転手兼荷物持ちとして赤の他人の結婚式にいったら、信じられない騒動に巻き込まれてしまう三郎のお話。

三つ目は、16歳で子供を産んだシングルマザー、29歳の自己チュウのバカ女とその女に悩まされていた妹のお話。
バカ女は自分の息子が交通事故で怪我をしたというのに、息子の心配ではなく、どうやって金をぶんどるかを考えています。
そんな女が悲劇を招きます。

感心するのは、三郎がどんなに嫌な女でも、冷静に対処しているところです。
彼のおかげでどんなに後味の悪い事件でも、どうしようもないよなぁという気になります。
宮部さんの描く三郎の独特の雰囲気がそうさせるのでしょうねぇ。
いい探偵ではないけれど、いい人だものね。
そうそう、大家さんちの人たちもいい人たちだわ。
それに<侘助>。
そうか、周りがいいから、とんでもない人が登場してもなんとかなるのねぇ。

渡辺一史 『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』2019/01/08



映画になった『こんな夜更けにバナナかよ』を読んでみました。
この本は映画のノベライズの方ではなく、2003年に出版され講談社ノンフィクション賞と大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した本です。

1959年生まれで札幌に住んでいる筋ジストロフィー患者、鹿野靖明(2002年に48歳でなくなっています)は施設を出て自立して暮していくことにします。
当時、障害を持った人は施設で生活するか、実家で一生世話になるかの2つしか選択肢はありませんでした。
彼には親に自分の介護のためにだけ人生を費やして欲しくない、自分も人として普通に生きていきたいという思いがありました。
筋ジストロフィーは全身の筋肉が衰えていく病気で、自分一人だけでは暮せません。
そのため無償・有償のボランティアに頼るしかないのです。
様々なボランティアたちが鹿野のところにやってきます。
鹿野は彼らに遠慮せずに、ともすればわがままと思われるようなこともやってもらいます。
題名になっているように、夜中にバナナが食べたいから買ってきてくれというように。
私ならそんなお願いはしません。
私だけではなく、多数の人もしないでしょう。
鹿野は違います。
普通の人と同じように暮らし、仕事し、恋し、結婚し、喧嘩し、思い通りの生き方をしようとします。
彼の生きようとするバイタリティがボランティアたちの心を動かしているように思います。

ボランティアって何だろうと思うことがあります。
鹿野のボランティアたちにインタビューしていますが、彼らの言葉がボランティアの意味を教えてくれます。

決して障害者にとって生きやすくはない日本。
どうしたらいいのか、考えるきっかけになる本でした。

小路幸也 『春は始まりのうた マイ・ディア・ポリスマン 2』2019/01/07



東楽観寺前交番に赴任して3年目の巡査・宇田巡は犯罪者が”判る”お巡りさん。
刑事だったのに、何故か交番勤務に回されてしまいます。
彼には高校を卒業寸前のマンガ家の彼女がいて、やっとちゃんとデートができるようになるのが楽しみでした。

そんなある日、幼馴染で音楽事務所社長の市川公太がやってきます。
道を歩いていると白い化け物に出くわして荷物を盗られたというのです。
同じような訴えが3件続けてありました。
早速、捜査を開始する巡。

一方、巡の彼女でマンガ家の楢島あおいは、じつは伝説の掏摸師の孫で、彼女もすばらしい特殊能力を持っていました。
卒業式の帰り道、交番の前にいる男を見つけ、能力を使い身許を調べようとしたところ、その男が警察の者であることに気づきます。
彼は巡を見張っているようですが、その理由は・・・?

2作目なのですが、前作の内容を忘れてしまって、思いだしているうちに読み終わってしまいました(笑)。
今回で巡が交番勤務になった理由がわかります。
警察の闇を描いているのでしょうが、小路さんですから、軽いです。
これが別の作家だったら、もっと重くなるのでしょうね。
すぐ読めて、登場人物たちがいい人たちばかりを望む方用です。

久坂部羊 『介護士K』2019/01/06

実際にあった川崎老人ホーム連続殺人事件や相模原事件を思い出させる内容です。


有料老人ホーム「アミカル蒲田」で老人のベランダからの転落死、ベッド柵に挟まれての窒息死が続いて起きました。
ルポライターの美和は取材に赴き、虚言壁のある介護士の小柳の関与を疑いますが・・・。

介護のことを考えるたびに暗澹たる思いになります。
自分が高齢者になった時、足腰は丈夫だろうか、認知症になっていないだろうかと心配になります。
できるだけ自分のことは自分でしたいとは思いますが、できない時に介護士の方に気持ち良くお仕事をしていただきたいとは思いますが、どうなるのかわかりません。
人の手を煩わすぐらいなら、死んででしまった方がいいと思ったりします。
でも、今の医療制度ではそう簡単に死ねないです。
今は死にたいと思っていても、実際にその時になったら生きたいと思うかもしれませんし。

この小説もモヤモヤとした終わり方ですが、介護に正解はありませんものねぇ。
幸せな老後って夢なのかしら・・・。

森晶麿 『黒猫のいない夜のディストピア』2019/01/05

読んだ本がわからなくなっていますが、とりあえず黒猫シリーズを。
第二部の始まりです。


黒猫の付き人をしていた私は大学院を終了し、博士研究員となりました。
そして、私は今や黒猫のフィアンセ。
黒猫と喧嘩した日、所無駅付近で自分とそっくりの女性と出会います。
白い髪、白い瞳、白いワンピース。
一体彼女は誰?

ちょうどその日、論文のことで学部長の唐草教授に紹介された反美学研究者の灰島浩平に会うことになっており、ついつい彼にその女性のことを話してしまい、一緒に謎を解く羽目になってしまいます。

その頃、所無駅周辺に都市開発計画が持ち上がっており、その計画は白を基調にしていました。

自宅には暗号が書かれたハガキが届き、母の雪絵は自分とそっくりな女性と会っていました。
私の周りで何が起こっているのか・・・?

相変わらず黒猫は何事も見通しています。
私はそんな黒猫の気持ちがわからず、今回は浮気をうたがったり・・・。
もちろん黒猫ですから、そんなことないですけど。
私とドーナツ好きの変人灰島の関係がどうなるのか、続きが楽しみです。