「マリー・ローランサンー時代をうつす眼」@アーティゾン美術館 ― 2023/12/14
コロナ禍になる直前に開館(2020年1月18日)し、ずっと行きたいと思っていたアーティゾン美術館に行ってきました。
この前行ったSOMPO美術館は人気のゴッホだったので、人が多くてゆっくり見られませんでした。
しかし、マリー・ローランサンは今はそれほど人気ではないので、人が少なくてよさそうということでネットで予約をしました。
時間間近になっても誰も並んでいませんし、バッグの中まで見られることもありませんでした。危険物検知ゲートシステムを導入しているのだとか。すごいですね。
贅沢を言わせていただくと、海外の美術館のように(大英博物館とかルーブル美術館を除く)もう少し人がいない方がいいのですが。
美術館の入り口です。
素敵なデザインの美術館です。トイレが広くてゆったりしていて、嬉しかったです、笑。
6階まで上がり、降りていきます。
さて、マリー・ローランサンについて簡単に復習しておきましょう。
1883年にパリで私生児として生まれ、1956年に亡くなった、20世紀前半に活躍したバイセクシャルの女性画家。
パリのアカデミー・アンベールで学び、ブラックと出会い、キュビスムの画家として活動を始める。後に、ピカソやアポリネールと知り合いになる。
アポリネールとは短期間付き合い、彼は「ミラボー橋」でローランサンへの思いを歌っている。
1914年にドイツ人男爵と結婚するが、1920年に離婚してパリに戻る。
パリの上流婦人の間で彼女に肖像画を注文することが流行る。
舞台装置や舞台衣装のデザインでも成功する。
73歳で亡くなるまで、制作を続けた。
序章:マリー・ローランサンと出会う
彼女の自画像が4点。
≪自画像≫ (1904年)
この自画像が彼女の本当の顔なんでしょうね。ルッキズムと批判されるかもしれませんが、彼女の描く絵の女性とは全く違いますね。
≪自画像≫ (1908年)
キュビスムの影響が強いですね。
≪帽子をかぶった自画像≫ (1927年頃)
これがもっともローランサンらしい絵といえるでしょうね。
第1章:マリー・ローランサンとキュビスム
これは誰でしょう?
答え:≪パブロ・ピカソ≫(1908年)
彼ってこんな顔をしていましたっけ?年老いた頃の写真しか見たことがないので、ピンときませんが、Wikipediaにある1908年の写真を見ると、似ています。
キュビスムはローランサンに合っていなかったのでしょうね。
≪ブルドッグを抱いた女≫ (1914年)
ローランサンの絵には犬がよく出てきます。猫は今回だけなのかどうかわかりませんが、一枚も描かれていません。犬好きなのかしら?
第2章:マリー・ローランサンと文学
ローランサンは詩も書き、詩人たちとも交流を持っていたそうです。
本の挿絵も手がけており、『スペイン便り』や『小動物物語集』、『椿姫』などの挿絵が展示されています。
第3章::マリー・ローランサンと人物画
≪女優たち≫ (1927年頃)
これぞローランサンという絵になっていますね。
人物画が得意だそうですが、こうなると誰が誰だかわからないのでは?
ローランサンの目指した絵というものは、モデルに似ているかどうかは関係ないのですねぇ。
1920年代にココ・シャネルがローランサンに肖像画を依頼しますが、似ていないと、肖像画の受け取りを拒否し、描き直しを要求します。
しかし、ローランサンは描き直しを拒絶します。
同族嫌悪ですかね、笑。
ちなみにこの肖像画です。(この展覧会にはありませんから、お間違えなく)
第4章:マリー・ローランサンと舞台芸術
バレエリュスのために衣装や背景画を制作していました。
第5章:マリー・ローランサンと静物画
初めて見るローランサンの静物画です。生涯を通じて描いていたそうです。
≪レモンのある静物≫ (1919年)
これなんか、一見すると誰が描いたかわかりませんね。
≪花を生けた花瓶≫ (1950年頃)
ローランサンらしい花です。
終章:マリー・ローランサンと芸術
≪三人の若い娘≫ (1953年頃)
晩年の作品。
左上にあるのがミラボー橋。
ローランサンは遺骨の心臓の上にアポリネールの手紙を置いてほしいと遺書に書き残したそうです。
展覧会の他に特集コーナー展示で野見山暁治の絵と石橋財団コレクション選が見られますので、展覧会だけではなく、是非ご覧ください。
1階にカフェがあったので、入りたかったのですが、電車が混む時間になりそうだったので、今回はパスしました。
次回は早めの時間帯を予約して、カフェでゆっくりお茶をしたいです。
<今日のわんこ>
おやじですが、ピンクが似合います。
最初にグイグイいくので、最後の方はペースが落ちます。
「あのね、昨日、パパが珍しく花を買ってきたよ。ぼく、びっくりして吠えちゃった」
花が欲しいと言ったら、こんなのを買ってきました。どうしちゃったんでしょうね。
「ゴッホと静物画ー伝統から革新へ」@SOMPO美術館 ― 2023/10/25
ランキングがこの頃おかしいです。
昨日が三位で、今日は十二位。誰がどこから見に来ているのかしら?
そのうち落ち着くでしょう。
パスポートを申請しに行くついでに、美術館にも行って来ました。
安田火災海上本社ビルの42階に東郷青児美術館があったのですが、別東を建てて移転し、SOMPO美術館として2020年にオープンしたそうです。
建物の入り口でチケットを持っているかどうかチェックされ、中ではバッグの中身までも見られました。こんなこと初めてです。
入場予約ができ、入場制限があるので、それほど人がいないと思っていたのですが…。
入り口の撮影スポット。
エレベーターで5階に行き、会場に入ると、開場間際にもかかわらず、思ったよりも混雑しています。
この展覧会は写真を撮っていい絵が沢山あります。
音声ガイドが導入された時も思ったのですが、写真を撮ってからその場で絵を見るので、人がなかなか絵の前から動かなくなっているようです。
寒くなったからか、右膝の痛みが出てきていたので、私はさっと流して見ました。
ゴッホの絵の中では、私は植物を描いたものが好きです。
彼の静物画はあまり見たことがないので、どういうものか興味がありました。
この展覧会は「17世紀から20世紀初頭まで、ヨーロッパの静物画の流れのなかにゴッホを位置づけ、ゴッホが先人達から何を学び、それをいかに自らの作品に反映させ、さらに次世代の画家たちにどのような影響を与えたかを探る」ものだそうです。
名だたる画家たち(クラウス、ドラクロワ、マネ、モネ、ピサロ、ルノワール、ゴーギャン、セザンヌ、ヴラマンク、シャガールなど)とともにゴッホの静物画が紹介されています。
1:伝統ー17世紀から19世紀
一番最初に飾られている「麦わら帽のある静物」(1881年)。
ゴッホの初期の静物画です。
ピエール・クラース 「ヴァニタス」(1630年頃)
静物画というとこんな(↑)のが浮かびますが、ゴッホが描くと…。
「骸骨」(1887年)
骸骨を描いてもゴッホらしさがありますね。
「野菜と果物のある静物」(1884年)
他に「コウモリ」とか「燻製ニシン」、「鳥の巣」とかの静物画が展示されています。
もともとデッサン力のある人なので、こういう絵を見てもそれほど驚きはないです。
ルノワールの「アネモネ」(1883年~1890年)
いかにもルノワールという「ばら」の絵もあります。
「野牡丹とばらのある静物」(1886年~87年)
「青い花瓶にいけた花」(1887年)
人の後ろから撮っているので、トリミングしないとこんな感じですwww。
これらの花の絵は後の「ひまわり」に続く習作なのでしょうね。
2:花の静物画ー「ひまわり」をめぐって
クロード・モネ 「グラジオラス」(1881年)
「ひまわり」(1881年)と「アイリス」(1890年)が並んでいます。
何故なのかわかりませんが、「アイリス」の前に誰もいません。
やっぱり「ひまわり」の方が人気があるのですね。
こうして並べて見てみると、「ひまわり」も悪くはないのですが、私は「アイリス」の方が生き生きとしていて好きです。
「結実期のひまわり」(1887年)
正面から写真を撮っていないので、ちょっと斜めっていますが、こんなひまわりも描いていたんですね。
他にも様々な画家が描いたひまわりの絵があります。
その中に好きな絵があったのですが、撮れませんでした。
3:革新ー19世紀から20世紀
「靴」 (1886年)
意外と好きなのが、靴の絵です。この絵だけでも色々なことが想像できます。
ポール・ゴーギャン「りんごのある静物」(1895年)
ゴッホといえば、この人がいなけりゃいけません(ということもないのですが)。
ポール・ゴーギャン「ばらと彫像のある静物」(1889年)
ゴーギャンらしい花の絵ですね。私はあまり好きではないですが(ゴメン)。
ゴッホの静物画、結構よかったです。
人がもっと少なければ、じっくり見られたのですが、日本の美術展では無理ですねぇ。
出展作品が全69点で、ゴッホの油彩画が25点です。
早めの時間よりも遅めの方が人が少なくていいのかもしれません。
11月17日と12月8日の金曜日は20時までやっているらしいので、狙い目でしょう。
そういえばカフェがやっていませんでした。土日祝日のみだそうです。
新宿駅に近いので、いいのですが、ちょっと残念でした。
「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画ー横山大観から現代の作家まで」@ポーラ美術館 ― 2023/08/23
箱根での二日目は暑いので観光地には最初から行く気がなく、ポーラ美術館がすぐ近くなので、展覧会を見てからランチを食べるために、短時間わんこたちを置いて行くことにしました。
美術館の駐車場が新しくなっていて、思っていた以上に車が止っています。
この通路を歩いて行くと、入り口があります。
入場料は1800円(ホテルに置いてあった美術館のパンフレットを見せると100円割引き)です。
「明治政府のお雇い外国人として来日していたアーネスト・フェノロサは、当時、日本国内で目にした絵画を総じて”Japanese Painting"と呼び、この英語を日本人通訳が「日本画」と翻訳したことから、明治以後に「日本画」という概念が社会的に定着していった」と言われているそうです。
「シン」とは何か。たぶん「革新」の「新」なんでしょうね。
展覧会の構成は以下です。
プロローグ:日本画の誕生
第一章:明治・大正期の日本画
第二章:日本画の革新
第三章:戦後日本画のマティエール
第四章:日本の絵画の未来ー日本画を超えて
日本画が西洋絵画と出会い、どのように進化していったのかがわかる展覧会です。
洋画と日本画との違いは、使われている絵の具などの材料や道具の違いだと思っていましたが、だんだんと境目が曖昧になってきているようです。
見ながら現代作家さんたちの作品が漫画チックになっているな、と思いました。
印象に残った作品を紹介しましょう。
入り口にあった杉山寧の≪慈悲光≫には心が洗われる思いでした。
60円切手になっている岡田三郎助の≪あやめの衣≫の原画がとても色っぽかったです。昔の女性の肌はこのようにツルツルしていたのでしょうかね。
収蔵してあるという黒田清輝の≪野辺≫も見たかったです。
野口哲哉の≪Clumsy heart≫は壁にハートを描いている鎧兜をつけた武士のフィギュア(?)。一見作品に見えませんでした。
山本基の絵の気泡のようなものはどうやって描いたのか知りたいです。ひとつひとつ描いたのなら、相当な時間がかかったでしょうね。
山本太郎の≪紅白紅白白梅図屏風≫の右上を見ると、アラ、まあ。
これは尾形光琳の≪紅梅梅図屏風≫をモチーフにしていますが、同じ頃に杉本博司も≪月下紅白梅図≫を描いていたそうで、同じモチーフの二人の作品が並べて展示されるのは今回が初めてだそうです。
金魚絵師と言われている深掘隆介の≪方舟2≫の金魚たちは本当に精巧に作られています。≪緋ノ魚≫に描かれている金魚が勢いがあっていいです。私、この屏風欲しいです。
天野喜孝の≪増長天≫、≪広目天≫、≪多聞天≫、≪持国天≫なんかは『北斗の拳』かと言いたくなったぐらいです、笑。
後は「よくよく見ると日本」、「画家さんがいっぱい、誰かわかるかな?」、「山かと思ったら…」とか色々と面白いものがありました。
現代の日本画ってどうなっているのかなっと思っていたので、現代作家さんたちの作品が色々と見られてよかったです。
(どんな絵が展示されているのか知りたい方はこちらをご覧下さい)
展覧会の作品以外に、ピカソやルノワール、モネなどの有名な作品も展示されていました。
外国人観光客が増えていると聞いていたのですが、美術館には1組ぐらいしかいませんでした。あまり観光客には知られていないのか、交通の便がよくないからかもしれませんね。
売店に集めているりんごの置物があったので、買い求めてから食事をすることにしました。
レストランに行ってみると、予約機械があり、待っている人は誰もいないようです。2名と入力してしばらく待っていましたが、なかなか呼び出しが来ません。
中に入ってみると、席が半分以上も空いているのに、お席を用意しますからお待ちくださいと言われてしまいました。
ちょっと嫌~な予感がしてきました。
窓際の席に通されたのですが、隣の関西親子四人組のおしゃべりが五月蠅く、緑はホテルで見られるから後ろの席でよかったのにと思いました。
夫はカレー、私はランチセットの鶏の香草パン粉焼きを頼みました。
給仕の男性が残念な上に、料理も焦げる寸前という感じ…。
食い意地がはっている夫は接客と食事がイマイチだと途端に不機嫌になってしまいます。これならホテルに戻って食べればよかったねと言い合い、次回は展覧会だけにすることにしました。
帰りに駐車場の出入口の精算機に車のナンバーを打ち込むと、車の画像が現れ、車を特定してから駐車料金500円を払いました。(前はタダだったんじゃないかしら?)
口直しに早く帰ってわんこたちと遊ぶことにしました。
クレートから出るとにすぐに、にわとりの奥さんを咥えるヨーキーです。
「小林古径と速水御舟 ー画壇を揺るがした二人の天才ー」@山種美術館 ― 2023/06/07
久しぶりの美術展です。
大きい美術館は人が多いので、山種美術館ぐらいの規模ならゆっくり見られるかと思い、誘われたこともあり、行って来ました。
初っぱなから時刻表で見たはずの電車がなくて、ギリギリに到着しました。
あまり近代日本画は知らないのですが、速水御舟の有名な「炎舞」(1925年、ポスターの右側)は見たことがあります。
第二展示室に入った真っ正面に飾られています。
照明のおかげで、炎が特に美しく際立っていました。
この絵を描くために、御舟はよく焚き火をしていたといいます。
蛾を描いた他の作品、「昆虫二題 葉蔭魔手・粧蛾舞戯」(1925年)がありました。
あまり蛾を描く人はいないと思いますが、御舟は意外なところに美を見いだす人だったのかもしれませんね。
牡丹などを見ても、古径は普通の描き方ですが、御舟は違います。
「牡丹花(墨牡丹)」 1934年
水墨画みたいです。
亡くなる前年に描かれたようです。
紫陽花の季節なので、御舟の紫陽花の絵を載せておきましょう。
古径と御舟は、古径の方が10歳以上も年上ですが、「互いに尊敬し合い、切磋琢磨した仲でもあった」そうです。
素人が思ったことですが、古径よりも御舟の方が真の天才と言っていいんじゃないかと思いました。
40歳の若さで亡くなったのが惜しいです。
もっと生きていたら、どれほど素晴らしい作品を残してくれたことかと思います。
それでなくても、寡作な人なのに、気に入らないものを燃やし、関東大震災で作品が焼けたりとしたようです。
訪れる人がそれほど多くないので、ゆっくりと絵が見られる美術館です。
ネットで入場予約が出来ますが、予約しないでも混むことはないようです。
カフェで展覧会のオリジナル和菓子が食べられるということなので、ランチの前に食べてしまいましたww。
お茶セットで、和菓子は「はすはな」といい、古径の描いた「蓮」(↓)を参考にしたものです。
杏入り練り切り、こしあんです。杏がいい仕事をしていました。
美術展の後にちょっと遅めのランチをしました。
よくよく考えてみると、旅で外食をしましたが、東京で外食をするのはコロナ禍以降初めてです。
久しぶりのイタリアン。時間が遅かったからか、お店はこじんまりしていて、お客は私たちだけでした。
前菜。たっぷりあります。
二人で頼んだパスタを分けてくれました。
アクアパッツァ。
この三種にデザートです。
デザートはちょっと残念でしたが(和菓子食べてるもんね、笑)、お料理は美味しかったです。
<今日のおやつ>
いただいたM&Sのショートブレッド。
紅茶ではなく麦茶とともにいただきました。軽い食感のショートブレッドです。
これまた久しぶりのショートブレッドは美味しかったです。
(久しぶりを何回使ったのかしら?)
岩木一麻 『がん消滅の罠 暗殺腫瘍』 ― 2021/09/10
イグ・ノーベル賞(人びとを笑わせ、考えさせた研究や業績に贈る賞)の動力学賞を日本人研究者が受賞しました。日本人が受賞するのは15年連続とか。
色々な研究があって、面白いですよね。
「イグ・ノーベル賞の世界展」というのを福岡市でやっているようです。
『がん消滅の罠 完全寛解の謎』の続編です。
築地がんセンターの呼吸器内科医師・夏目典明のところに大手保険会社、大日本生命の調査部課長職の森川雄一が部下の水嶋瑠璃子を連れてやって来ます。
住宅ローンのがん団信を利用した保険金詐欺が相次いで起っているというのです。
約1億円の物件で住宅ローンを組んだあと、がんと診断されるケースが5件。
5件ともローンを組んでから1年以内にメラノーマに罹ったというのです。
がん団信の場合、余命診断は必要なく、特定の条件さえ満たせば、がんと診断されただけで未支払い分の住宅ローン支払い義務がなくなるのです。
そんな頃、埼玉県内では医師殺人事件が2件連続して起っていました。
殺された医師は代替医療に何らかの点で関係していました。
夏目のところに埼玉県警の刑事がやってきて、がんを人工的に発生させることができるかと聞いてきます。
ある国会議員に脅迫状が届き、その中で言うことを聞かないとがんで命を落とすことになると書いてあったと言うのです。
同じ時期に無色素性メラノーマが肺転移した患者がやってきます。
彼は健康食品会社を経営しており、国会議員と同じように脅迫を受けていたと言います。
それからすぐに国会議員が無色素性メラノーマに罹り、肺にも転移していることがわかります。
夏目はがんセンターの研究所に勤めている羽鳥悠馬の助けをかり、2人の無色素性メラノーマのDNA型鑑定をすることにします。
そしてわかったことは、2人のメラノーマは他人の細胞ががん化したものでした。
保険金詐欺と医師殺害、そして人工的がんの発生。
この3つがどう関係していくのでしょうか…。
本当にこういうことができるようになると、恐ろしいですね。
事件の黒幕は誰かは最初からわかってしまいますけど、笑。
「当たり前のことを、きちんとこなしている」いい医師である夏目がなんでいつも絶体絶命の危機に陥るのか。悪に染まらない夏目に嫉妬しているのかもね、笑。
前回のあの方が今後どう動くのか、ちょっと不気味です。
次作で暴れてくれる(たぶん)のが楽しみです。
「ハプスブルク展」@国立西洋美術館 ― 2020/01/17
そろそろ終わりに近づいたので、「ハプスブルク展」に行ってきました。
平日でも人が多く、じっくりは見られませんでした。
最初の部屋にあった甲冑が格好よかったです。
私が一番気にいったのが、このシンプルな甲冑。
他の甲冑は装飾が過多です。
この甲冑なんか服みたいです。
なんでウエストが絞ってあったり、スカートみたいになっているのかわかりません。
戦いに使用するというより、人に見せるためのものという感じです。
日本の鎧もそうですが、重そうです。
これを着て戦うことなんかできないでしょう。
一番最初の部屋だから混んでいるのだと思ったら、どの部屋も混んでいて、落ち着いて見ていられませんでした。
そんなわけでサッと見たので、お決まりのものだけ見てしまいました。
青い服が有名ですが、緑色の服のもあったのです。
何故か青い服に人が群がっていました。
マリア・テレジア、偉大なるお母様。
貫禄があります。
おバカな娘。
よくよく見ると、それほど美人ではないわね。
美人というと、こちら。
若い頃ですか、ウエストの細いこと。腕二本分より細いようです。
他にも絵やなんやらがありましたが、並んでまでも見ることはないとパスしてしまいました。
まだこの展覧会を見ていない方は金曜日の夕方から行かれた方が空いているかもしれません。
そうそうに美術館を引き上げ、ノーガホテル内のビストロでランチを食べました。
コース(3000円)。
アミューズがケーク・サレ(?)の上に生ハムとクリームチーズがのったもの。
前菜がサーモンとクリームチーズ(クリームチーズがかぶってしまい失敗)。
もっとあっさりしたものにすればよかった・・・。
メインにカモ肉を選びました。下にあるのはレンズ豆です。
柔らかくておいしかったです。
これにパン、デザートのバナナのブリュレとキャラメルのアイスクリームと紅茶。
前菜が失敗しましたが、思っていたよりもおいしく、お値段もお安い感じがしました。
上野に行ったらまた利用するかもしれません。
「コートールド美術館展」@東京都美術館 ― 2019/10/19
イギリスのロンドンにあるコートールド美術館のことは知りませんでした。
イギリスに行った時に知っていれば行ったのにと後悔しています。
実業家のコートールドさんは審美眼があったんですね。
10年間という短い期間に彼自身が気に入った、国家的コレクションに入れるべき作品を購入したそうです。
松方さんもこれぐらいの絵を購入してくれていればと思いました。
ゴッホは唯一≪花咲く桃の木々≫という風景画が展示されています。
そういえば上野の森美術館で「ゴッホ展」をやっているようですね。
11月に行きます。
モネの≪花瓶≫と≪秋の効果、アルジャントゥイユ≫。
美しい絵ですね。
セザンヌも沢山あります。
静物の絵は何点か見たことがありますが、≪鉢植えの花と果物≫では植物も描いています。珍しいかも。
独特の色ですね。
ルノワールの≪春、シャトゥー≫は私がこの展覧会で一番好きな作品です。
家の壁に掛けておき、毎日絵の中に入り混んでいつまでも幸せな気分に浸っていたいものです。
こっちの≪桟敷席≫の方が有名でしょうけど。
男性はどこを見ているのでしょうね。
「あいつ、あんな所に座っている。隣の若い女性は誰だ?」とか思っている?
ドガは≪舞台上の二人の踊り子≫など何点が展示されていましたが、私が気に入ったのは・・・。
≪傘をさす女性≫です。
これは未完だそうですが、≪窓辺の女≫と同様に影になっている女性の姿がいいんです。
最後の方には一点だけモディリアーニがありました。
≪裸婦≫を描いたものですが、目を引きつけられました。
ポスターになっているマネの≪フォリー=ベルジェールのバー≫のまわりに人が群がっていますが、他の作品もいいですよ。
あまり混んでいないので、今のうちに見に行くことをお勧めします。
とてもいい展覧会でした。
食事はロシア料理にしてみました。
久しぶりにボルシチ、壺焼き、ピロシキ、ストロガノフを食べました。
壺焼きはコースなので少量。
パンが結構しっかりしていました。
何故かメニューにはフォンデュがあり、ロシアにもあったっけ?と不思議に思いました。
「松方コレクション展」@国立西洋美術館 ― 2019/09/01
どうも松方コレクション展は混んでいるようなので、金曜日の夕方なら空いているかと思い行ってみました。
4時過ぎなのですが、それでも人が多く、昼間に行ったら大変だっただろうなと思いました。
6時か7時ぐらいに行くとのんびり見られるかもしれません。
人気があるのでどうだろうと思っていたのですが、残念ながら絵はそれほどではありませんでした。
松方と仲のよかったというモネの作品が多数、後はポツポツといい作品があるという感じです。
西洋美術館にある松方コレクションすべてが展示されているわけではなくて、常設展示にも松方コレクションの作品がありました。
晩年のモネが描いた睡蓮をデジタル推定復元したものが入り口にあり、写真撮影OKです。
復元された実物は下の方だけ残っています。
白内障になりながらも描いていたので、色が濁っています。
モネらしい≪積みわら≫です。
意外に思ったのが、ゴーギャンの作品です。
≪扇のある静物≫
≪ブルターニュ風景≫
≪籠の中の花≫
ゴーギャンといえばタヒチですが、タヒチに行く前にはブルターニュが好きだったようです。
こんな絵も描いていたんですね。
ムンクの絵もありました。
≪雪の中の労働者たち≫
ムンクと労働者。
合わないような気もしますが・・・。
新館展示室では「モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち」展が見られます。(写真撮影OK)
松方コレクション展のチケットを持っていれば無料です。
日本とフィンランドの外交関係樹立百周年記念だそうです。
フィンランドは1917年にロシアから独立し、19世紀半ばに最初の美術学校が設立され、創立当初から男女平等の美術教育が奨励されていたそうです。
マリア・ヴィーク ≪教会にて≫
少女の無垢な瞳がまぶしいですわ。
ヘレン・シャルフベック ≪コスチューム画Ⅰ≫
なんとなく浮世絵を思い浮かべました。
「松方コレクション展」の後に時間があれば是非見て下さい。
夕食はキッチンさくらいで洋食を食べました。
ビーフシチューと小さなメンチカツセット。
サラダとスープがついています。
女性にはちょうどいい量ですが、男性には少ないかも。
お料理は美味しかったのですが、パンは微妙。
ご飯の方がよかったかも。
8時過ぎに家に帰ると、パパも帰ったばかりだったらしく、犬たちはご飯を食べていませんでした。
顔を背ける弟犬。
「ママ、遊び歩くのもいい加減にしてください。僕たちのご飯はどうなるのですか」by 弟。
うらめしそうにする兄犬。
「僕はお腹がすきました。早くご飯を下さい」by 兄犬。
実はこの日、朝ご飯は8時ごろだったので、お腹が空いているはずがないのです。
遊んでもらえなかったのがご不満だったようです。
ご飯の後、兄犬はママの膝の上でゆったりしていました。
「マイセン動物園展」@パナソニック汐留美術館 ― 2019/08/19
久しぶりに新橋まで行ってきました。
松方コレクションは混んでいそうなので、あまり人のいない美術館ということで、初めてのパナソニック汐留美術館です。
入り口がわからなくて、地下から階段を上って一階まで行き、エスカレーターで四階まで行きました。
湿気のせいか脚の方があまり調子よくなかったのですが、動かすと痛みがなくなりました。
運動は大事ですね。
あまり大きくない美術館ですが、きれいで私の脚にはいい大きさみたいです。
マイセンには一度行ったことがあり、マイセン博物館を見てきましたが、マイセン博物館から借りてきたものはないようです。
J's collection以外は写真がOKです。
第1章:神話と寓話の中の動物
小さいので分かりずらいですが、すべてお猿さんです。
人間を風刺した≪猿の楽団≫です。
目の見えない仕立屋が目の見えない山羊に乗っています。
≪山羊に乗る仕立屋≫。
奥のは小さいバージョン。
彩色が鮮やかです。
第2章:器に表された動物
スノーボールのカップとソーサー。
スノーボールは白いガマズミの花なのだそうです。
小さな花を型でとり、一つずつくっつけています。
ティーポット。
こういうものは使用するのを躊躇しますよね。
どうやって洗うのかしら?
飾って置くだけの物なのかも知れませんね。
これはいらないと思ったパンチボールです。
狩猟するのが好きな民族だから、こういうのを考えるのかしら?
舌を出していてかわいいと言えばかわいいかも・・・?
スノーボールに鳥たち。
下の明かりの当たったあたりにの中に青い鳥が入っています。
よくよく見ると、鳥の目が怖いです。
花ばかりかと思ったら、蛾や虫がいます。
第3章:アール・ヌーヴォーの動物
19世紀末から20世紀初頭に、マイセンでは「イングレイズ」という技法を導入したそうです。
「イングレイズ」とは「釉薬の中に絵具を染み込ませ閉じ込める技法」だそうです。
猫たちの模様にイングレイズが使われています。
犬たちも沢山いたのですが、写真は禁止されていました。
第4章:マックス・エッサーの動物
マックス・エッサーは1920年~30年代に活躍した彫刻家です。
アール・デコ様式を確立した人ですが、ベットガー炻器で製作した動物彫刻で知られているそうです。
どぼけた表情のカワウソ君です。
駱駝。
エッサーさんは動物の描写が上手いですね。
常設展示室にはルオーの絵が飾られています。
今回はルオーの描いた「顔」とジェコメが複製画にしたものが展示されています。
おもしろい展覧会でした。
ランチは隣の汐留シティセンター41階にあるイタリアレストランで食べました。
葉っぱだけのサラダと小さなカップのスープが最初にでてきます。
前菜の盛り付けは素敵です。
キュウリ、ゴボウ、カブと日本の野菜が使われています。
生ハムとミョウガの冷製カッペリーニ。
これにコーヒーとちっちゃな焼き菓子1個だけでした。
デザートがなく残念でした。
この後、新橋駅の近くに小川軒があると言うので行ってみました。
サロン・ド・テでフルーツロールとカフェオレを頼み、帰りにレイズン・ウィッチを買って帰ってきました。
原田マハ 『美しき愚かものたちのタブロー』 ― 2019/06/30
国立西洋美術館で「松方コレクション」展をやっています。
前にも美術展とコラボした作品があったのですが、この本もそうなのですね(商売上手?)。
松方コレクションの主の松方幸次郎は川崎造船所の社長で、1910年半ばから1920年半ばにかけてヨーロッパ各地で絵画を買いあさり(失礼)ました。
「美術館っていうのは、たまらなくわくわくするものじゃないか」
「欧米に負けない美術館を創り、ほんものの名画を展示して日本の画家や、青少年の教育に役立てたい」
松方は自ら審美眼がないからと、ちゃんとした目を持った人のアドバイスを受けながら画廊巡りを続け、日本に美術館を建て、本物のタブロー(絵)を見ることのできない人たちに見せるのだという心意気で絵を買っていました。
ちなみに本の中で初めて彼が初めて買った絵というのがこれです。
フランク・ブラングィンの≪造船≫。
ブラングィンは松方と親しくなり、彼の肖像画(↑)も描いていますし、絵画購入のアドバイザーでもありました。
その絵の中で日本に届いたもの(約1000点以上)は、1927年の世界恐慌の後、負債整理のために売りに出され、ロンドンに保管されていたものは火災で焼失し(約900点)、ロダン美術館に預けていたもの(約400点)は戦後フランス政府により押収されてしまいます。
今ある松方コレクションのほとんどはこのフランス政府に押収されていた絵の一部です。
というのも、390点にも上る絵のうち20点は重要作品なのでフランス国外へ持ち出すべからずということで、日本に返還(寄贈?)されなかったのです。
その中の一枚はゴッホの描いた≪アルルの寝室≫です。
今はオルセー美術館にあるそうです。
「松方コレクション」展に展示されているそうです。
物語はパリで松方に付いて画廊巡りをした男性の目から見た松方の人となりと、フランスに残された絵はどうやって守られ、フランスから寄贈返還したのかを描いています。
作品としては、初期のアート小説ほどではないですが、「松方コレクション」を知るという意味で読んでみてもいいと思います。
<昨夜のわんこ>
もう小屋が寝床になってしまいました。
三カ所ある寝床を一日のサイクルで使っています。
ママにかまわれたくない時はクレードルの中で寝て、仕事に行くママの行動を見張る時は一番見えるベッドにいて、それ以外の時は小屋の上に寝ています。
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