読んだ文庫本&漫画2024/02/17



<読んだ文庫本>
中山裕次郎 『外科医、島へ 泣くな研修医6』
三十一歳になった雨野隆治は医者になってもうすぐ七年になる、駆け出し外科医。
四月から半年間の予定で神仙島へ派遣されることになる。
神仙診療所には医師は所長の瀬戸山と雨野の二人、看護師は半田志真と繁田秀子の二人がいる。
島では今までとは違い、あらゆる病気を診なければならず、技量のなさを思い知らされる毎日だが、雨野は瀬戸山や志真たちの助けを借り、なんとかやっていく。
三十年以上もこの診療所で働いている瀬戸山。
彼が人生をかけて築いてきた医療体制と守ってきた島民の命、そして、諦めてきたいくつもの命がある。
あらゆる診療科の、あらゆる疾患を診て、全ての責任を負う瀬戸山の姿は、雨野には本当の医者の姿に思えた。
雨野は瀬戸山みたいな医者になりたいと思う。

人として、医者として、一回り大きくなった雨野くんです。
Dr.コトーを思い出しますが、雨野くんは島に残らず帰ってしまったのが残念でした。

喜多みどり 『弁当屋さんのおもてなし 巡り逢う北の大地と爽やか子メロン』
第一話 氷雪の下の幸を揚げる
札幌の弁当屋くま弁を夫婦で経営するユウと千春は、一泊二日でサロマ湖畔へ旅行に行く。宿泊した民宿はくま弁のお客だった華田将平が働くところだ。
宿で食事をしていると、将平が一人の女の子のことを気にしている様子がうかがえた。彼女は食事にあまり手をつけていないのだ。
次の日、将平と待ち合わせをしていたのに、将平が現れない。
将平はユウたちに食べさせる昼食の下見に出かけたらしいが…。

第二話 夕張小旅行とテッカメロン弁当
ドラマやバラエティで人気の有名人になった黒川茜がくま弁に現れる。一人の女性に後を付けられているという。その女性がくま弁の中にまで入ってきて、茜を探しているようだ。千春が声をかけると、店を出て行った。彼女は夕張市で開催されている映画祭のフライヤーを落としていく。
彼女のことに見覚えがあるような気がするという茜は、実際に夕張に行ってみると言い出す。
千春は明日はくま弁が休みの日なので、業務用バンで夕張まで行くことを提案する。

第三話 イカタコパーティーセット
お土産のイカとタコがあるので、ユウたちは休日に気心知れた友人たちを招いて食事会を開く。どんな料理がいいか訊くが、なかなか意見が合わない。ユウはあきれて厨房へ行ってしまう。
いつもユウに料理を作らせていると気づいたみんなはそれぞれタコとイカを使った料理を作ることにする。

第四話 冬の怪談と北海道巡り弁当
くま弁の近くのパティスリー・ミツで幽霊が出たという噂が…。
幽霊と間違えられたのはパティスリー・ミツのファンの梨之木という女性だった。
彼女は旅行に行けないので、道内で小旅行をした気分になれるお弁当を作って欲しいとユウに頼む。
ユウが作った弁当は…。

このシリーズは時が行ったり来たりします。
今回はユウと千春が籍をいれて数ヶ月の新婚の時のお話です。
お弁当で美味しいと思ったことはあまりありませんが、くま弁のなら食べてみたいです。
財政破綻した頃の夕張に行ったことがありますが、ゴーストタウンみたいでした。今はどうなんでしょう。メロンの食べ放題があるようですね。食べたいわぁ。

<読んだまんが>
大島弓子 『サバの秋の夜長』&『サバの夏が来た』
なんと猫が人間の姿で同じ大きさをしています。猫だけではなく、ノミやカラスなどの動物がみな人間の姿です。面白いですねぇ。
でも、このスタイルは続けず、猫は猫になりましたね。

漫画マキヒロチ 原案まろ(おひとりさま。)『おひとりさまホテル 1~3』
わたし、ホテルが大好きです。いろいろなホテルに泊まりに行きたいのですが、この頃ものすごく高くなっています。インバウンドのせいですね。
海外の旅行者価格と国内の旅行者価格の二つにしてくださいませんかね。
続々と新しいホテルができているようで、この漫画に出てくるホテルにいつか泊まりに行きたいと思っています。

漫画版『グーグーだって猫である』を読む2024/02/01



お散歩に行くと、水仙が咲いていました。


ちょっと寒いので、コートを着てお出かけしています。


散歩の後で行った町の神社では、能舞台の上で結婚式をしていました。
前もそうでしたが、神前だと参列者が少ないのですね。



ドラマで観て、漫画はどうなのか知りたくなり、全巻読んでみました。

一巻目。
グーグーが大島さんの初めての猫だと思っていたら、違いました。
サバがいました。
サバが急に亡くなり、茫然自失状態となった大島さんは、ねこを見に入ったペットショップでケージのすみの方にいた小さい元気のない子ねこが気になり、店員さんに話しかけたところ、その子ねこを買うことになってしまいます。
そのねこがアメリカンショートヘアのグーグーでした。
グーグーを間違ってサバと呼んだりするところ、わかります。

読んでいくうちに、グーグーだけが主人公ではないことが判明します。
だんだんとねこが増えていくのです。
一巻では公園で拾ってきたビーを途中から飼い始めます。
先住猫と新入り猫が親しくなるまで、色々と大変な様子に、犬も猫も変わらないのだなぁと思いました。

グーグーとビーでそんなこんなと色々とある頃に、大島さんが子宮筋腫と卵巣腫瘍で入院することになります。
近くに住むNさんが猫の世話を引き受けてくれてよかったですねぇ。
うちはどうなるのか…。
自分の身体がどうにもならないのに、それでも猫たちの面倒をみる大島さんには頭が下がります。

二巻目。
三匹目のねこ、クロ、四匹目のホームレスが飼っていた疥癬だらけのタマが登場。
病後間もないのに大島さんは、疥癬が他のねこにうつらないようにタマを隔離し、獣医に言われたように毎日塗り薬を塗り続けますが、このままで行くと共倒れになると思い、別の獣医のところに行ってみます。
そうすると、注射二本、二週間で治っちゃったのです。
ちゃんと病気の治療方法を調べてから病院に行った方がいいですね。

三巻目。
疥癬が治ったタマの目がよく見えないことがわかります。
そして、よせばいいのに、公園に捨てられていた子ねこを五匹保護します。
アラ、ねこが九匹になったわね。でも、このねこはいいところにもらわれていきました。よかったわね。
この頃、大島さんは引越しして広い家に住みたいと思い始めます。
地縛霊(?)に悩ませられながらも、今の家の近くにいい新築物件が見つかり、無事に引越します。

四巻目では、新居に引越し、庭に餌出しし、ねこさん、カモン状態。
グーグーが病気か、と思ったら、変な健康首輪を装着したため具合が悪くなったらしいです。怖いですねぇ。普通の首輪で我慢しましょうね。
ビーが行方不明になり、猫探偵(三日間で十一万円!)に頼むけど、見つからず、三日間で七万円の探偵に頼もうとした時に見つかるということがありました。
わが家の犬探しに十一万円も出せるか…?
庭に来るノラ猫たちを気遣う大島さん、お仕事をしながらですから、猫愛は何物にも勝る。

五巻目。
小心者のミケマルが家族になり、中型犬のタンタンの里親になります。
しかし、タンタンは猫の額ほどの庭しかない自分の家で暮らすよりも、広い庭があり、家族みんなが大の犬好きの家庭の方が幸せに暮らせるのではないかと思った大島さんは、タンタンを手放すことにします。
その一方、庭に来るノラ猫たちが子どもを産むようになり、大島さんは子猫を自分の家に保護して育て、猫好きの人たちにもらってもらうようにします。
しかし、ご近所の猫嫌いな人にとって、大島さんは迷惑な人なんです。

六巻目。
ルチルが出てきますが、八番目ということ。
わたしが知っているのはグーグーとビー、クロ、タマですから、あ、モーモーもいた。いつの間にか三匹も増えたのね。他のねこの名前はミケマルとクリクリ。アレ、クリクリって出てきたっけ?
もう何匹ねこがいるのかわからなくなりましたので、追うのは止めますわwww。
どうも13匹になったようです。
もうここまで来たら、大島さんは天使に見えて来ます。
どう考えても、わたしには出来ないことをしています。

この巻で終わりです。
というのも、題名で使っているわりにあまり出てこなかったグーグーが亡くなったからです。15歳と8ヶ月だったそうです。
ご冥福をお祈りいたします。

猫愛溢れる大島さんと彼女が出会った猫たちとの生活を描いた作品です。
ねこたちにそれぞれ個性があり、可愛いです。
お気づきのように、ドラマとは全く違います。
ドラマは猫よりも主人公の漫画家、小島麻子に焦点が当たっています。
漫画とドラマは別物。
そう考えると、特にわたしには不満はありません。
猫を主役にドラマが作れるかというと、難しいのではないでしょうか。
アニメとか特撮ならいいかも。

読んでから気づいたのですが、サバの漫画もあるんですね。
『サバの秋の夜長』と『サバの夏が来た』ですって。
アレ、サバが少年の姿をしているような…?

犬もいいんですが、この頃、猫といっしょに寝たいと思い始めました。
だって、子どもの頃に飼っていたのは猫なんですもの。
わんこたちにバレるとまずいので、内緒ですよ。

読んだ時代小説(文庫本)2023/11/22



森明日香 『おくり絵師』
おふゆは五年前、母が亡くなる間際に、亡父が江戸の絵師だったので、兄弟子の歌川国藤のところへ行くようにと言われ、仙台から江戸に出てきた。
それから国藤の住み込みの弟子となり、冬女と名乗るのを許されたが、この頃、自分の絵が描けずに悩んでいる。
絵が上手くなりたい思いは誰よりも強い。
だが、何を描きたいのかがわからないのだ。
自分にしか描けないと、胸をはれるものがないのだ。
そんな時に「死絵」に出会う。
一方、幼少時に仙台で知り合い、おふゆの思い人である旅芸人上がりの役者、市之進は浅草の芝小屋の夏興行「東海道四谷怪談」で主役の伊右衛門を演じることになる。

「死絵」とは人気の高い「死んだ役者の姿を描いた絵」すなわち『追善の絵』のことです。
女であるが故に絵師として悩み苦しむおふゆでしたが、「死絵」と出会い、自分がどういう絵を描きたいかがわかります。
お話の展開はすぐに分ってしまいますが、涙なくしては読めませんでした。

山本巧次 『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう<10> 抹茶の香る密室草庵』
現代から江戸へタイムトラベルしている女親分・おゆうこと関口優佳。
彼女が今回挑むのは密室殺人。茶問屋の清水屋が根津の寮の茶室で殺される。
この時、同じ株仲間の茶問屋の三人が冥加金のことで相談があると招かれていたが、その誰もが清水屋を殺せたはずがないのだ。
切羽詰まったおゆうは友人で江戸では千住の先生と呼ばれている宇田川聡史の助けを借り、真相に迫る。

宇田川も大胆になって、今回は穴開け用ドリルとファイバースコープ、超小型ロボットなどを江戸時代に運びこみます。大がかりな割にあまり役に立っていないような気もしますが、笑。
宇田川は南町奉行所定廻り同心の鵜飼伝三郎の秘密に気づいたようです。
さて、互いの秘密を知った伝三郎と宇田川はどうするのか。
おゆうとの三角関係はどうなるのか。楽しみですね。
ア、今回遠山の金さんが特別出演です。

坂井希久子 『つばき餡 花暦居酒屋ぜんや』
前回、大変な目にあったお花も落ち着き、やっとぜんやに日常が戻ってきた。
しかし、お梅と俵屋の若旦那との縁談は進まず、やきもきするお花。
彼女の気持ちを揺るがせかねないことが起こるが、どうやらお花も少し大人になったようだ。
そんな時に大奥勤めをしているはずの只次郎の姪のお栄がぜんやに現れる。
上様のお手つきになりそうだったので、病を得たということで暇をもらったと言う。お花は自分とは違う型破りなお栄をどう扱ったらいいのか戸惑うばかり…。

お花がだんだんと素直になり、落ち着いてきたと思ったのですが、お栄と接してから、またいじけの虫が出てきたようです。まあ、そんなに人は変れないですよね。お花が主人公のはずですが、ぜんやはこれからしばらくお栄に振り回されそうです。

有馬美季子 『おぼろ菓子 深川夫婦捕物帖』
齢二十六のお純は深川蛤町で飯屋<川野>をやっている。齢三十一の亭主の弥助は同心の林田に仕える岡っ引き。二人は七年前のある事件がきっかけで知り合い、その二年後に夫婦となった。
<第一話 花魁慕情>
ある日、吉原の妓楼の仮宅で花魁が殺された。現場には血文字の「月千」と菓子と思われる塊が遺されていた。弥助はお純の味覚と食の知識を頼りに捜査を続ける。
<第二話 つなぐ縁>
お純は十二の時に吉原に売られたが容姿に難点があり、台所の下働きにまわされる。しかし、いつの間にかお純の作る料理が評判になり、十六の時に仕出し料理屋へ移る。そして十八の時に、米問屋、栄口屋の大旦那に料理の腕と素直な人柄と気配りが認められ、身請けされ、栄口屋の台所で働くことになる。
ある日、栄口屋の孫、遙太郎が行方不明になる。その時、やって来たのが同心の林田誠一郎と岡っ引きの弥助だった。
お純は遙太郎のことが心配で、自ら思いあたるところへ行って調べてみる。

第一話の夫婦の会話が何やら不自然で、読むのを止めようかと思いました。
岡っ引きのくせに妻に相談し過ぎです。これならお純が岡っ引きをした方がいいんじゃないですか、笑。
第二話は夫婦になるきっかけになった事件の話なので、不自然な夫婦の会話がなくて読みやすかったです。
シリーズになるのでしょうが、たぶん続きは読まないな…。

<おまけの漫画>
小説ではないですが、漫画で怒りっぽい方に参考にしてもらいたいものがあります。『Shrink ~精神科医ヨワイ~11巻』です。
アンガーマネジメントに関するお話で、ここに出てくる男性のような人が職場や家庭にいませんか?
この漫画はパニック障害や鬱病、発達障害、PTSD、産後うつ、摂食障害、パーソナリティ障害、アルコール依存症など現代の心の病をわかりやすく描いています。
気になったら是非読んでみて下さい。

「天狗の台所 第一話~第六話」を観る2023/11/17

なんか具合がパッとよくなりません。
熱は一日で終わったのですが、胃の辺りにくすぶっている感じです。
軽いからといってもインフルエンザは普通の風邪よりもたちが悪いですね。
世間でも流行っているようで、今週末に遊びにくるはずだった子どもたちの保育園では半数以上がインフルエンザで休んでいるそうです。
子どもたちが熱を出さないかとヒヤヒヤしていたら、なんとママさんがコロナになっちゃっいました。
普通の日常生活が戻ったといっても、感染症はなくなっていませんから、気をつけて過ごさなくてはいけませんね。

私が具合が悪い時に観ていたのが「天狗の台所」というドラマです。
イケメン二人にガキンチョ一人がメインの出演者です。
このドラマ、景色も音楽もとてもよくて、観ていると心地よくて、しばらくすると寝ています、笑。
こういう所にしばらく滞在したいなと思うのは、疲れているからかもしれませんね。


ドラマではこの三人は天狗の末裔という設定なんです。
天狗の家系には14歳の一年間に世俗を離れて隠遁生活を送るというしきたりがあります。
物語は写真の右端の男の子、オンが14歳になって初めて自分が天狗の末裔であることを知らされ、ニューヨークから兄、飯綱基(中央)のいる日本にやって来たところから始まります。

基も14歳の時に日本に来て隠遁生活を送りましたが、15歳になる一ヶ月前に高熱を出し、背中に羽が生えました。今や羽のある天狗なんて皆無。
天狗会連盟ってのがあって、彼らが基を保護しようとしますが、先代の当代、(祖母か?)式子が断固として断り、それ以来基は式子の跡継ぎとして日本で暮らしています。
彼はとんでもないほどの食いしん坊で、趣味が素朴な生活と食といってもよく、毎日田畑を耕し、収穫し、美味しいものを作り食べることに生きがいを感じて暮らしています。仕事はしていないみたい。
地域の人々とも馴染んでいて、田植えや稲刈りなどの時には手伝ってもらっています。

オンは明るい現代っ子で、当初は田舎暮らしに不平不満をもらしていましたが、だんだんと慣れてきています。
犬のむぎの言葉がわかりますが、この力も15歳になったらなくなると聞き、残念に思っています。
基のように羽が生えるといいなと思い期待していますが、どうでしょうね。

一番左にいるのが基の友人で同じく天狗の末裔の愛宕有意。
彼の祖父が天狗会連盟の会長です。
基が機械音痴なので、オンのためにWi-Fiを設置したのが彼のようです。
東京のIT企業に勤めているのですが、週末によく基たちの様子を見にやって来ます。

景色が美しいといいましたが、その他に食べ物を作る様子も見所です。
田畑でとれた食物を丁寧に扱い、作るお料理はなんて事のないものですが美味しそう。
唐揚げのおにぎりとか水餃子、うどん、春雨の入った鍋、柚子のケーキ…etc.
見てるだけで涎が…。
どれもオンが「うまっ」というのがわかります。

一年でオンがどれだけ成長するのか、楽しみです。

基役は誰かと調べると、駒木根葵汰(こまぎねきいた)と言う人だそうです。
ドラマなど滅多に見ないので、知らない方ですが、羽がよくお似合いですww。
なんでいつも黒パンに白シャツなんでしょうね。作業しずらいと思うのですが。

実はこのドラマには原作があります。


田中相さんの描いた『天狗の台所 ①~③』です。
もちろん読みましたが、ドラマはそれほど原作と違いがありませんので、安心して観ていけます。
でもドラマの方が先に終わりそうですね。
これから天狗会連盟と何やらありそうな雰囲気ですし、オンは一年が過ぎたらどうするんでしょうね。NYに帰るのでしょうか。
私は基と一緒に日本で暮らすような気がします。

そうそう犬のむぎは何歳なんでしょうね。大昔から生きているようです。
ドラマのむぎ役はホワイトシェパードで、一話撮影時には生後七ヶ月で、大和君とスピカちゃんのWキャストだそうです。
大きい犬は小型犬ほどチョコマカしていなくていいですね。


「ママ、ぼくたちをディするのは止めてください」
トリミングから一週間なのに、何故か汚らしいわんこたちです。
「だから…」
わんこたちが五月蠅いので、ここら辺で失礼いたします。

ドラマも漫画も面白いので、特に日常生活に疲れている方は是非みてみて下さい。

読んだ漫画2022/12/09



中山有香里 『泣きたい夜の甘味処』
連作短編漫画。
熊と鮭が営む真夜中だけ営業している甘味処は、毎日一品だけスイーツを提供している。
毎日の生活に疲れた人がふと店の前で立ち止まると、優しい店主が店に誘ってくれ、出されるスイーツが心を癒やしてくれる。
誰でも泣きたくなる日はある。一時、スイーツに身を委ねると、また進んで行ける。

レシピはそれほど難しものではないので、誰でも作れそうです。
疲れて何もかも投げ出したくなる時や心が傷ついた時、悲しい時…などに読むと泣けてきますよ。

中山有香里 『疲れた人に夜食を届ける出前店』
今度はクマの夜食の出前店のお話。従業員はサケ、ゴリラ、ネコ。
頼みもしないのに、夜食が届くのがいいですね。
家にも来てくれないかしら。
レシピはご飯もので、卵を使うものが多いみたいです。
私としては野菜が少ないのが気になりますww。
内容は『泣きたい夜…』の方が心に響きます。

ゆざき さかおみ 『作りたい女と食べたい女 1~3』
小食の野本さんは一人暮らし。料理を作るのが大好きで、いつかゲームに出てくるレシピの再現やデカ盛り料理、大量に作る系の料理を作りたいと思っていた。
ある日、隣の隣に住む女性、春日さんがフライドチキンを大量に持っているのを見かける。たまたま話をすると、彼女が一人で食べると言う。
別の日、野本さんは料理を大量に作り過ぎてしまい、処理に困って春日さんに助けを求める。そうすると春日さんは見事に全部平らげてしまう。
それから二人は予定が合えば一緒に食事をするようになる。もちろん野本さんが作って、それを春日さんが食べるのだ。

取り上げているテーマがジェンダーとLGBTQです。
野本さんも春日さんも家族から強いられている役割から逃げだそうとしています。
まだまだ日本は遅れていますからねぇ。
二人の関係がどうなっていくのか。これからの展開が楽しみです。

オノ・ナツメ 『僕らが恋をしたのは 1~3』
教授、キザ、ドク、大将の四人は定年後、山奥の暮らしを楽しんでいる。
そこにひとりの女神がやって来る。彼女は一人旅の途中で、蕎麦屋にあった貸家の張り紙を見て来たという。その家は教授が借りているので、完成間近のログハウスを貸すことになる。
男たちは彼女を「お嬢」と呼ぶことにする。
お嬢は元女優らしいが、一体何のために山奥までやって来たのか。
疑問に思いつつも、お嬢の魅力に翻弄される男たち…。

謎めいた女性の過去が気になります。
男四人の楽園は続いて行くのか、それともこの女にメチャクチャにされるのか。
年老いたイケメンはいいですね。私の好みは…。

今回の漫画はすべてオススメです。

鷹野久 『午後3時 雨宮教授のお茶の時間 4』2022/06/22



私立青葉学院大学の雨宮教授は文学に出てくるイギリスのお菓子を作るのが趣味。
イギリスから日本に来た姪のサヤが日本の学校に溶け込めないのが心配でした。
サヤはイギリスのおばあちゃんにお菓子作りを教えてもらっていたので、雨宮はイギリスの物語の中に出てくるお菓子をサヤに教えて貰うことにします。
(1・2巻はこちら

今回のお菓子は次のものです。
『クマのプーさん』から「バースデーケーキ」
『ツバメ号とアマゾン号』から「バースバンズ」
『エマ』から「アップル・ダンプリング」
『指輪物語』から「ブラックベリータルト」
『サイラス・マーナ』から「ポーク・パイ」
『おちゃめなふたご』から「ヴィクトリアサンドイッチ」

三巻の本とお菓子を書いていなかったので、書いておきます。
『花の魔法、城のドラゴン』から「コーニッシュパスティ」
『ポケットにライ麦を』から「チョコレートケーキ」
『ダレン・シャン』から「ストロベリーチーズケーキ」
『クリスマス・キャロル』から「ミンスパイ」
『グリーン・ノウの子どもたち』から「クリスマスプディング」
『ハリー・ポッター』から「ロックケーキ」
番外編:『秘密の花園』から「クランペット」

サヤも中学校に入学し、どうにか学校や学校外でも友だちができ、日本の生活に慣れてきたようです。
そんなわけで、このお話も今回が最後となります。
この巻で私が作ったことがあるのは、ヴィクトリアサンドイッチ。
材料さえ用意できれば、すぐに簡単にできます。

小学校以上のお子さんに何を読ませればいいのかわからない方はこの漫画を参考にして、出てくる本を読ませるといいと思います。
本にレシピが載っているので、お子さんと一緒に作ってみるのもいいでしょう。
もっと詳しいレシピが知りたかったら、ネットで調べると載っていますよ。

このブログでも紹介していますが、「ブリティッシュ・ベイクオフ」を見ると、イギリスのお菓子のことがよくわかりますので、是非ご覧ください。

ずいの・系山冏 『税金で買った本 (1)~(3)』2022/06/04

公共図書館のお仕事マンガ。図書館の実態がリアルに描かれています。


司書に興味があったので、公共図書館や学校図書館に勤めている友だちに仕事の話を聞いたことがあります。
その時の話を思い出しながら、読んでみました。

久しぶりに図書館にやって来たヤンキーの石平君。
図書カードを作ろうとすると、なんと十年前に借りた本を返していなかっため、作れません。
色々とあったのですが、結局、本を買って返すことになります。
文句タラタラだったくせに、何故か石平君は図書館でアルバイトをすることにしちゃいます。
それほど図書館が好きだったのねぇwww。

図書館で石平君が遭遇するアレコレ、図書館あるあるをわかりやすく描いた漫画です。
私が聞けなかったことも描いてあって、図書館の仕事をしたいと思っている方や図書館を利用している方、これからしようと思っている方には是非とも読んでいただきたい漫画です。

そうそう、白井君が若い女性には怒鳴りつけるのに年配の男性には下手に出る男性を見て、「人間も動物なんだ」と悟り、ムキムキマンになったっていうのは、なんか悲しいですね。

「動物は自分より強そうなものとは争わない」

私がおばあさんになったら、どうなるんだろうと思ってしまいました、笑。

読んだ本2022/04/15



佐々涼子 『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』
2011年3月11日、宮城県石巻市にある日本製紙石巻工場は津波に襲われ、機能停止に陥る。しかし工場長は半年で工場を復興させると宣言。誰もが無理だと思うなか、従業員たちは奮闘努力をしていく。

大分前に買っておいて寝かせておいた本です。すぐ読めばよかったと後悔しています。
日本製紙は出版用紙の供給の4割を負っており、石巻工場はその心臓部だそうです。ほしおさなえさんの本で和紙のことを少し学びましたが、この本には洋紙のことが詳しく書いてあり、本や教科書、新聞、雑誌など様々な用途に適した紙を造ることがどれほど大変かがわかりました。
美談だけではなく、報道されなかった震災の負の側面も書かれており、複雑な気持ちになりました。
お勧めの一冊です。

中山裕二郎 『やめるな外科医 泣くな研修医4』
雨野隆治、三十歳。外科医になって三年。受け持つ患者も増え、手術も任されるようになる。しかし同時期に入院した二人の老婦人が手術をすれば助かるのに、手術を拒む。一人は家族への説明も断る始末。
このまま死なせてもいいのかどうか、迷う雨野。
そんな時に手術で失敗してしまい…。

前回は末期ガンの患者を何の用意もせずに富士山に登らせてしまい、唖然としましたが、今回は真摯に患者の死と向き合っています。
でもこういう思いを各医師たちはしているはずなのに、何で患者の心のわからない医師がいるのかしら?

一色さゆり 『コンサバター 失われた安土桃山の秘宝』
修復士ケント・スギモトは狩野永徳の落款が捺された屏風「四季花鳥図」の「春」の復元コンペの参加を依頼される。この屏風は本当に永徳のものなのか。失われた「春」にはどのような絵が描かれていたのか。スギモトは手がかりを得るために助手の晴香と共に京都へ赴く。
一方晴香には恩師の野上から思いもかけないオファーが舞い込む。

『若冲』を読んだばかりだったので、狩野派のことが書かれていて、興味深く読めました。

植松三十里 『レイモンさん』
函館名物「函館カール・レイモン」のハムやソーセージ、ベーコンなどを食べたことのある方は多いでしょう。
そのソーセージを作ったのが、今のチェコ、カルルスバード生まれのカール・レイモンです。この本は彼と妻のコウのことを描いたフィクションです。

レイモンは大正末期に函館にやってきて、宿泊していた旅館の娘コウと出会い、天津まで駆け落ちし、結婚する。チェコに戻り店を開くが、コウは馴染めず、コウの気持ちを慮ったレイモンは函館に帰り、店を開くことにする。
しかしまだ肉食の習慣のない日本人には受け入れられず、やがて戦争が始まる。

レイモンの意固地なところがちょっと嫌でした。コウさんはものすごく苦労したんだろうなぁ。
彼の子孫が誰もソーセージ作りを継いでいないことが残念です。

原田マハ 『まぐだら屋のマリア』
東京の老舗料亭で板前の修業をしていた及川紫紋はある事件を機に料理人としての夢を失い、何もかも投げ出して失踪し、辿り着いたのが尽果というバス停だった。とりあえず崖っぷちにある小屋を目指して歩いて行くと、それは「まぐだら屋」という定食屋で、いつしかそこで働く訳アリのマリアと共に働くことになっていく…。

登場人物の名前を見ると、すぐに何がテーマかわかってしまいますね。
それなりに面白く読めましたが、マハさんとしては今一かな。

望月麻衣 『京都寺町三条のホームズ・18 お嬢様のミッション
ホームズこと家頭清貴は約束の期限が過ぎたのに未だに小松探偵事務所で働いている。仕事始めの日、事務所に上海の大富豪の娘・ジウ・イーリンがやってきて、彼女の父親の仕事相手の娘が京都に来るので、彼女のガイド兼ボディーガードをしてくれないかとお願いしてくる。何故かイケメンであることが大事とのこと。
清貴の出番ですが、葵がいますから、彼はやりたくないです。しかし小松はお金が欲しい。というわけで清貴は金持ちの一人娘で傲慢なお嬢様相手をしなければならなくなります。が、清貴は小松のことなんか頓着しません。断られるように、いつものいけずの彼で行きます。そこは小松、考えます。葵を呼んじゃうんです。
それで上手く行きそうだったのですが、とんでもない事件が起こります。

読んでいて京都に行きたくなりました。今行くと人が少なくていいんだろうなぁ。
外国の観光客が来る前に行きたいなぁ。
あ、本の内容はいつも通り、安定したものですので、ファンの方は安心して読んでね。

波津彬子 『ふるぎぬや紋様帳 六』
漫画ですが、好きなシリーズで、今回で終わってしまったので、書いておきます。
「着物を巡り縁をつなぐ、ふるぎぬや」でしたが、世の流れには逆らえません。
現代の人たちは着物を着なくなり、昔のように物に霊が宿るなんて誰も信じなくなり、ふるぎぬやは閉店してしまいます。しかしそこで出逢った伊都子と青砥には縁があったようです。
私は青砥ももののけの一種だと思っていました。人間だったのね。伊都子と上手く行くといいな。
幻想的な漫画がお好きな方、読んでみて下さい。

どの本もすぐに読めますので、興味があるものがあったら読んでみて下さい。

読んだ本2022/03/24

ここ数週間で読んだ漫画と文庫本の紹介です。
まずは漫画から。

<漫画>

本田 『ほしとんで 1~5』
八島芸術大学文学科に入学した尾崎流星が学校から割り当てられたゼミが俳句ゼミ。全く俳句なんて読んだこともないし、興味もない。
ゼミ仲間になった人たちも同じです。
個性的な仲間と共に、流星は講師坂本の指導の元、俳句を学んでいきます。

俳句漫画です。切れ字、季語などを学び、最後には連句まで作ってしまいます。
こんなゼミがあったら入りたいわ。

たらちねジュン 『海が走るエンドロール 1~2』
夫と死別した65歳のうみ子は、久しぶりに訪れた映画館で海という映像専攻の美大生に会う。そして自分は「映画が撮りたい側」の人間だと気づく。
65歳にして、うみ子は映画を撮るために海のいる美大に入学する…。

65歳にして自分のやりたいことを見つけ、挑戦するうみ子。
いい年して何してんのという周りの雑音に負けずに、挑戦することは素晴らしいです。私も何かやろうかしらと思わせてくれます。

シリーズ物の訪問看護師を描いた『ナースのチカラ 7』と子どもの心の診療所の『リエゾン 8』はお勧めです。
もし介護や子どものことで悩んでいたら、読んでみて下さい。参考になることがあるかも。

<読んだ文庫本>
風野真知雄 『いい湯じゃのう 将軍入湯 二』
目安箱の投書を目にした徳川吉宗は実際に湯屋に赴くといいだします。
そのため家来たちはあらゆる事態に対処できるように準備に大わらわ。
湯屋に行ったことのない吉宗のために、予行練習をしようということで、なんと本丸の庭に湯屋を再現することに!
準備万端で湯屋に行った吉宗は湯屋が気に入りますが、ひょんなきっかけから市井で起こる謎を解くことになっちゃいます。
凝りも大分よくなり、揉み治療師の上野銀内が不審に思うほど。
一方、湯煙り権蔵とくノ一・あけびは、「上さまの落とし胤」と噂されている天一坊の出自をさぐるため、吉宗のかつての思い人の行方を追うことに。

なんとまあ、吉宗の気がいいこと。こんな殿様だったら幕府も安泰か?

五十嵐佳子 『星巡る 結実の産婆見習い帖』
結実は14歳で産婆見習いとして祖母の真砂に弟子入りし、早八年。
任されることも増え、やりがいを感じるこの頃です。
同じ見習いのすずは夏に子が生まれます。赤ん坊の世話を引き受けてくれる人がいなければ、夏以降も真砂と結実のふたりだけでお産の立ち会いをしなければなりません。
結実には他に悩み事がありました。医者になる源太郎が好きでしたが、産婆でお産に飛び回る自分が、医者を志す源太郎にふさわしくないと考え、源太郎への思いに踏ん切りをつけなければと思うのですが…。
そんな頃、薬種問屋の跡取娘の紗江が源太郎の働く診療所で押しかけ手伝いを始めます。どうも彼女のお目当ては源太郎のようです。

江戸時代にも「甲斐性のある男と夫婦になって、自分の子どもを育て、楽しく暮らしていくことが女の幸せ」なんて言う人がいたのですね。
産婆をやっている結実をみじめという幼馴染みの女がひどいです。そんなことを言う自分は幸せではないのに。
源太郎と結実の未来に幸あれと願わずにはいられませんでした。

岡本さとる 『八丁堀強妻物語』
日本橋にある将軍家御用達の扇店・善喜堂の娘の千秋は、方々の大店から嫁の声がかかるほどの娘でした。
しかし彼女には、いいえ、善喜堂には人に知られてはいけない裏の顔があったのです。そのためどんな良縁が来ても、千秋には物足りなく、首を縦に振れませんでした。
そんな千秋に出会いがやってきます。
南町奉行所の廻り方同心の芦川柳之助に一目惚れをしたのです。
早速千秋は叔父の勘兵衛のところに行き、柳之助のことを色々と聞きます。
姪の気持ちを知った勘兵衛は後押しをすることに…。

「強妻」ですから、千秋の秘密がどんなものか想像してみてください。と言っても、読んだらすぐにわかってしまいますが、笑。

青木祐子 『派遣社員あすみの家計簿 2』
悪性インフルエンザが流行り始め、世界経済は急激に悪化する。
そんな中、嘘つき彼氏とは別れ、引越しをしたあすみは契約社員の豊加とつき合い始める。
洗濯機が新居に入らず、洗濯機を買うために副業で「ムーバーフード」の配達員をしてみるが、意外と合ってるみたい。でも豊加はよく思っていない。
そんな頃、豊加の正社員採用話がダメになり、自棄になった豊加は仕事を辞めてしまう。それなのに結婚を匂わすし…。
無職の君に色々と言われたくないわぁ、と思うあすみだった。

あすみが高い洗濯機やピンクのリュックサックにこだわったりするのは、私には理解できないことですが、前よりも金銭感覚が少しマシになってきました。
男の趣味が悪いのが難点ですね、笑。

<今日のわんこ>


弟は散歩よりも遊びが大好きです。
飽きもせず、サンタクロースを追います。
ヨーキーは活発ですばしっこく、駆けずり回るのが大好きで、ソファにジャンプしたり、降りたりするのが得意です。エネルギーに溢れていて、興奮しやすく、頑固で自己主張が強いです。
ヨーキーの運動量はテリアの中では少ない方だと書いてありますが、これで少ないのなら、他はどうなのでしょう。
テリア系は心して飼った方がいいですね。


兄はしませんが、弟はサンタを遠くに投げたり、蹴ったりすると、走って取りに行きます。おもちゃを手に持って動かすと取ろうとします。反射神経がいいです。
狩猟犬と愛玩犬の違いなのかもしれませんね。

「リトル・フォレスト」を観てから読む2022/03/13

『リトル・フォレスト』は五十嵐大介による漫画です。
五十嵐さんが岩手県衣川村で実際に生活したときの実体験をもとに描かれているそうです。


漫画は2巻で、主人公は女の子です。
私は映画の方を先に観ました。
映画は「リトル・フォレスト 夏/秋」と「リトル・フォレスト 冬/春」に別れています。


いち子は東北の小さな集落・小森にある古い一軒屋に母の福子と暮らしていた。
しかし五年前に福子はいち子を置いて、いなくなってしまった。
それから都会に出て、スーパーでバイトをしながら男と暮らしていたが、都会になじめず、男とも上手くいかず、いち子は逃げるように小森に帰って来た。
近所には幼馴染みのキッコや2個下の後輩・ユウタが住んでいる。

小森では畑や田んぼで農作業をしながら、自給自足に近い暮らしをしている。
すべて福子に教えられたことだ。
薪を割り、パンを焼き、米サワーやグミのジャム、干し芋、干し柿、自家製のヌテラやウスターソースなどを作り、鴨を締め、クルミをつぶし、栗を煮る。
身体を動かし、汗をかき、自分で食べる物を用意する。

いち子は福子はずぼらだと思っていた。しかし自分で何もかもやることになってから、福子が料理に一手間かけていたことに気づく。
そんな頃、福子から手紙が届く。

いち子はキッコと喧嘩をしてしまう。
キッコから他人とちゃんと向き合ってきたのかと聞かれ、自分は向き合えなくて、小森に帰ってきたのだと思う。

集落の集まりの後、ユウタにも言われる。
いち子は一番大事なことから目をそらしている。それを誤魔化すために一生懸命とりつくっているのではないか。本当は逃げているのではないかと。
ユウタは小森で生きていくと決めている。
しかし自分はまだ小森で生きていくと決意できていないと思う。

福子の手紙を読み返し思う。自分は母にとって本当に家族と言えたのだろうか。
母も自分と同じように悩んでいたのかもしれないと。
「人生は螺旋そのものかもしれない」。
いち子は小森から出て行くことを決意する。

五年後、廃校になった分校で、小さな森の春祭が開かれる。
そこには…。

映画は漫画を忠実になぞって作られています。
主人公のいち子は漫画ではショートカットでワイルドですが、映画では橋本愛で、おとなしめ。ちょっと雰囲気が違うかも。
実際、女性一人で機械も使わず、畑や田んぼをやっていけるのかと思いました。
相当な体力と農業の知識がなけらばやれないでしょうね。
私なら三日ももたないわぁwww。
でも自然がとても綺麗で、畑や田んぼをやらなくてもいいんなら、住んでもいいかなと思いました。
それでももって一年かな(恥)。
とにかく料理の場面が多く、どの料理も美味しそうでした。
実際に橋本さんが作っているそうです。

最後に好きな言葉を。

「自分自身の身体で実際にやったことと、その中で感じたこと、考えたこと、自分の責任の中で話せることってそれくらいだろ。そういうことをたくさん持っている人を尊敬するし、信用もする。何もしたことがないくせに、何でも知ってるつもりで、他人が作ったものを右から左に流してるやつほど威張っている。薄っぺらな人間の空っぽな言葉を聞かされるのにうんざりした」

ユウタの言葉です。都会の会社でこういう人たちばかりと出会い、失望し、彼は小森に帰ってきたのです。

韓国でも映画化したそうです。内容が違うようですが、韓国の田舎がどういう感じか、そのうち観てみようと思います。

ボーと観ているだけでも心の洗われる映画です。
映像と音が綺麗でした。