読んだ本と漫画2021/12/06



今日、兄犬はワクチンをうちに動物病院に行ってきました。
近所のおじいさん先生の病院に行ったら休診でした。お年なので、いつまで休診かわからないので、少し遠い、今度トリミングをしてもらう予定の病院に行ってみました。
動物は人間と違って医療費が決まっていない上に保険がきかないので、行く病院によってはとんでもない費用になることがあります。
前にちょっと近い病院で五種のワクチンをしたら一万円以上取られてびっくり、なんてことがありました。
今回は6種で6500円、一般的な費用だと思うのですが、どうでしょう。
前の病院は歩いて行くのが辛いぐらいのちょっと遠い場所だったのですが、今度の病院はそうでもなさそうです。
犬も人も年を取りますから、近くがいいですわ、笑。
弟のワクチンは今度のトリミングの時でいいと言われました。
そうそう、体重は3.5㎏で、少し痩せたようです。



溝口智子 『万国菓子舗お気に召すまま 10 婚約のお菓子と最後のガーデンパ    
      ーティ-』
変った名前のお菓子屋『万国菓子舗』は注文されたお菓子はなんでも作るというお店です。今日も荘介に作ってもらいたいお菓子を求めてお客さんがやって来ます。
店主の荘介のお菓子に惹かれ、アルバイトを始めた久美は、今や荘介の婚約者。
いよいよ荘介と久美は結婚することになります。彼らの選んだ結婚パーティーとは…。

読むのを止めようと思っていたら、最終巻だというので、読みました。
ほっこり、楽しい結婚のパーティの様子はいいですね。私も若かったら、こんなパーティを開きたかったわ。

里見蘭 『古書カフェすみれ屋とランチ部事件』
古書カフェというのですから、カフェに本屋がついている感じです。
古書カフェすみれ屋はオーナーの玉川すみれが脱サラして店を開き、奥の五坪ほどのところに古書スペースがあります。
古書の店長は紙野貢と言い、すみれに賃料と光熱費を払っています。
紙野は本屋のみならずカフェも手伝っています。
仕事上のつき合いなのですが、実はすみれは彼のことを意識しているようです。
紙野には不思議な力があり、カフェに来る悩みを持ったお客さんに一冊の本を紹介します。その本を読むとお客の悩みが解決するという素晴らしさです。

今回出てきた本は読んだことのないものばかりでした。
クリスマスが近いので、カポーティーの『クリスマスの思い出』でも読もうかと思います。
知らない本に出会える本です。

椹野道流 『ハケン飯友 3 僕と猫の、食べて喋って笑う日々』
気づいたら、私、結構椹野さんの本読んでますね。
ホント、しょうもない話なんですけどね、笑。

失業してしまい歎いている時に神社で神様にお願いしたらやってきた「猫」。
彼は夜な夜な人間になり、坂井の家にやって来て、一緒にご飯を食べてくれます。
彼のおかげで元気になり、茶房「山猫軒」の雇われマスターになり、オーナーの沖森さんから頼られ、パン屋で宮司の猪田さんとも仲良くなり、何とか生きている坂井です。
私も「猫」さんに来てもらいたいわ。

≪漫画≫
沖田×華 『お別れホスピタル 7』
△×病院の終末期病棟のお話。
様々な最期を迎える患者たちと関わる危ないヘルパーとナース。
こんな人たち、本当にいるの。絶対に会いたくないですわ。

東元俊哉 『プラタナスの実 4』
父の小児病院で働き始めた鈴懸真心と兄の英樹。全く正反対の二人。
ある日、小児白血病患者のともりんが病院を抜け出します。
救急車で帰ってきた彼女は、稀な好中減少性腸炎を発症していました。
手術は避けたいと思う真心。しかし小児外科医の英樹も父のセンター長も手術を推す…。

阿部潤 『忘却のサチコ 17』
最初はいなくなった彼を探していたのですが、この頃は彼のことは忘れ去られ、編集者としてのサチコが前面に出ていますね。
有能なんです、サチコは。一仕事終えた後の食事が、とっても美味しそうです。

六月柿光 『警視庁犯罪被害者支援室の女 4』
犯罪被害者と真摯に向き合う静。
彼女の夫は勤務中に謎の死を遂げていた。
今回その死の真相が明らかに…。

なんと、今回が最終回。もっと話を続けていけるのに、人気がなかったので打ち切りになったのかな。残念。

この他に『しっぼ街のコオ先生 11』とか『サターンリターン 6』を読んでいます。
この中でお勧めは『プラタナスの実』と『警視庁犯罪被害者支援課』かな。
『しっぽ街のコオ先生』もいいですよ。
漫画ばかりですが、漫画は日本の誇るべき文化です、笑。

読んだ本と漫画2021/11/20



井上荒野 『あちらにいる鬼』
瀬戸内寂聴さんがお亡くなりになりましたので、ご冥福をお祈りいたします。
彼女と不倫関係にあった男性と彼の奥様をモデルにして娘が書いたということで評判になった小説を読んでみました。
残念ながらどの人にも私は魅力を感じませんでした。
3人共にまだ深く描き切れていないという感じです。

井上さんの恋愛体験がどのようなものかは知りませんが、彼女の本より瀬戸内寂聴が瀬戸内晴美だった頃の本の方がお勧めです。

山本巧次 『大江戸科学捜査八丁堀のおゆう 8 ステイホームは江戸で』
東京はコロナ禍。関口優佳は江戸へ避難することにします。
もちろん江戸にコロナを持ち込んではならないので、二週間の自主隔離をしました。
江戸では十手持ちの女親分である優佳ことおゆうは、読売が書いていた深川門前仲町の信濃屋の跡目争いに興味を持ちます。
同じ頃、南町奉行所同心・伝三朗からこのひと月ほどの間に、歳が三つぐらいの子どもが消えて、二、三日で戻っているということが続いているので、調べて欲しいと頼まれます。
一見関係なさそうな二つの出来事でしたが…。

なかなか進まないおゆうと伝三朗の仲です。
読んでいてまさか江戸時代に…と思わずにはいられなかったですわ、笑。

友井羊 『スープのしずくの謎解き朝ごはん 7 朝食フェスと決意のグヤーシュ』
理恵は今まで働いてきたフリーペーパー・イルミナの編集部が移籍したため、新しい会社で働き始めました。
仕事内容は同じだと思っていたら、会社主催の朝食フェスの運営をするようにとの業務命令が…。スープ屋しずくも出店することになり、戸惑いながらも、頑張る理恵でしたが、出店を頼んでいたお店から出店を考え直したいという連絡がきます。
スープ屋しずくの店長、麻野の出番です。彼は謎解きが得意なんです。

おゆうたち同様になかなか進まない二人の関係ですが、娘が懐いているので、そろそろどうにかなりませんかね。

≪漫画≫
よしながふみ 『きのう何食べた?(19)』
映画になっちゃったわね。来年あたりにテレビで放送されるのを楽しみにして待ちますわ。ヒットしたのも俳優さんたちが良かったからですね。
レモンパウンドケーキとミートソース、作ってみたいです。

高口里純 『グランマの憂鬱 9』
本当にこういう村があったら、面白いですね。
今回は今流行のYouTuberが村にやって来るということで、危ないことにならないように、村総出で見守るというお話です。
無知は怖いよね。こういう人たちが結構いそうです。
ちょっとマンネリしたかなという感じです。

水凪トリ 『しあわせは食べて寝て待て 2』
一巻で期待したのですが、二巻は肩すかしでした、残念。
もっと薬膳のお話が欲しかった。

広田奈都美 『ナースのチカラ~私たちにできること 訪問看護物語~6』
コロナ禍で葛藤しながらも活躍する訪問看護師たち。
そこにやってきた研修ナースの深原は何故か持田に絡みます。
彼女の母親は難病で亡くなっていますが、そこに何か深い闇がありそうです。

富士屋カツヒト 『19番目のカルテ 徳重晃の問診 4』
総合診療科の必要性が問われます。さて、どうなるのか。
患者が多くて、診察が流れ作業のようになってしまいがちですが、医師が忙し過ぎですよね。

コロナ禍で働いている医療従事者の方々、ありがとうございます。
コロナ患者が少なくなった今、十分お休みになってください。

何と言っても『きのう何食べた?』は大好きです。
ドラマもいいけど原作も読んでくださいね。
医療を扱った漫画はどれもいいですよ。


弟犬はカモシカが気にいっています。


こういう風に噛みついています。
歯が鋭いのですが、このおもちゃは破れません。
兄はかみずらいのか、見向きもしません。
もっぱらハンカチです、笑。

読んだ本と漫画2021/11/06

この頃海外ドラマを見るようになったので、なかなか本が読めません。
原則としてミステリー以外の文庫本はまとめて紹介します。


坂井希久子 『すみれ飴 花暦居酒屋ぜんや』
ぜんやシリーズはお妙と只次郎が結婚をした前回で終わったと思っていたら、続きが出たようです。
新しい主人公はお妙と只次郎が養い子として引き取ったお花です。
お花の母親は鬼畜のような人で、お花に心理的かつ肉体的虐待をしていました。
娘を吉原に売れば金になるのに売らなかったのは、娘が衣食住に困らなくなるのが許せなかったかららしいです。変な理由ですね。
最後にはお花を捨て、男と駆け落ちですから、呆れた人です。
善人を絵に描いたようなお妙と只次郎ですから、お花を大事にしてくれますが、お花は母親に虐待を受けていたため、彼らの気持ちを素直に受けとめられません。
いつ嫌われ、捨てられるかとビクビクしながら暮らしています。
いつもお妙たちのことばかり考え、彼らの役に立ちたいと思い行動します。
そういうお花がお妙たちには痛ましいのです。
何でも好きなことをしたらいいと言われても、何が好きなのかもわからないお花。
これからどういう風に成長していくのかが今後の楽しみです。

椹野道流 『モンスターと食卓を 3』
法医学者の杉石有は恩師から託された美青年・シリカと暮らしています。
彼には辛い過去がある様子が見られ、自らも過去のトラウマを抱いた有はシリカのことを黙って見守っていくことにしていました。
しかし…。

不思議な青年シリカの過去がだんだんと暴かれていきます。
美味しいお料理が出ると思って手に取りましたが、椹野さんの本ですからだんだんと怪奇じみてきました。
このままで最後までいくのか、どんでん返しがあるのか…?

喜多みどり 『弁当屋さんのおもてなし(9)しあわせ宅配篇3』
6月の北海道。『くま弁』の配達の仕事も順調な雪緒。
店長のユウと千春の結婚記念日が近付き、店の常連たちが集まり結婚記念パーティを開催することになります。黒川が発起人となり、ユウと千春が料理を作り、雪緒が二人を喜ばせるサプライズを考え、楽しいパーティになりそうです。

こんなお弁当屋さんがあれば、週に一回以上使いたいですね。
雪緒は一体何をやりたいのかがよくわかりません。回りを見回せば、彼女のことを思ってくれているいい人がいるのにね。

次は漫画です。

荒川弘 『百姓貴族 7』
北海道の農業高校の様子を描いた『銀の匙』の作者で、自らも農業高校を卒業し、七年間自宅で農業に従事していた荒川さんが描いた北海道の農家のあるあるです。
これを読むと、農業って面白そうと思いますが、体力のない私には無理だ・・・とも思います(軟弱)。
農業にあこがれるあなた、一度読んでみてください。

堀田あきお&かよ 『おふたりさま夫婦、老活はじめました。どうなる!?わたしたちの老後』
そろそろ老後のことを考えなければと読んでみました。
コロナ禍でよかったことの一つはお葬式が簡素になったことです。
昨年親戚に家族葬をするから葬式に来なくていいと言われました。コロナ禍だから人数を少なくするために、家族以外は断ったようです。これがスタンダードになればいいのですが。
うちは直葬で、お墓はいらないから樹木葬にしようと話しています。
話すだけではなくて、ちゃんと遺言書にでも書いて置かなければ…。

二階堂ヒカル 『あおざくら 防衛大学校物語22』
夏季定期訓練が始まり、いよいよ船の上での訓練になります。
近藤をライバル視する嫌な奴の登場で、近藤ピンチ!
真のリーダーシップとはなど色々と考えさせられます。
自衛隊について知りたい方、読んでみてください。

福丸やすこ 『一杯のしあわせ 1&2』
食べ物に潜む思い出を描いた作品。
思い出すたびに幸せな気分になったり、ちょっぴりおセンチになったり…。
こころに染みる物語です。

石塚真一 『BLUE GIANT EXPLORER 4』
アメリカ大陸を巡る旅で、いよいよロスに到着。
ヨーロッパで認められていたのに、アメリカでは大のような音は嫌われるようです。ロスは耳障りのいいジャズ好みなんですね。
いつアメリカで大は認められるのか、次回に期待します。

医療関係の漫画
荒井ママレ 『アンサングシンデレラ 7』
水谷綠 『こころのナース夜野さん 4』
薬剤師と精神科ナースのお話。どちらもお勧めです。

幻想的な世界の漫画
猪川朱美 『鵺の絵師 10』
今 市子 『百鬼夜行抄 29』
こういう感じの漫画、大好きです。妖魔のいる不思議な世界が好きな方向きです。

漫画はどれも面白かったです。


トリミングで顔の毛を短くしてもらったら、ちょっと目がぎょろ目になって、可愛くなくなった犬たち。


弟は相変わらずトナカイを咥えていますが、咥えたままだとママが遊んでくれないことを覚え、トナカイを持ってきては床の上に置くようになりました。
(唾液がベットリついているので、ジュータンが汚れますぅ)
こうなるまでに二、三週間かかりました(ママは疲労困憊、笑)。

読んだ本と漫画2021/10/03



内藤了 『EVIL 東京駅おもてうら交番・堀北恵平』
堀北恵平は無事に警察学校を卒業。正式に東京駅おもて交番に配属されました。
初めて作った名刺を今までお世話になった人たちにお礼と共に渡していきます。

恵平と先輩刑事の平野、鑑識の桃田は「東京駅うら交番」の謎を解くために、都市伝説になっている警察官・柏村の息子で現在高齢者施設で暮らしている柏村肇と連絡を取ります。
柏村が警察官時代に記録していた資料が柏村の妻が暮らしていた群馬県前橋市の家にあるということなので、彼らは受け取りにいくことにします。
資料に謎を解く鍵が残されているのか…。

そんな頃、恵平の交番の前でとんでもない事件が発生します。
恵平が白蛇神社に行きたいという大きな荷物を抱えたおばあさんと話している時に、通りを歩いていた若い男が次々と歩行者に切りつけたのです。
恵平は現場に突っ込んで行き、男と対することになってしまいます。

なんとか男を取り押さえますが、事件現場に持ち主不明の風呂敷包みが置いてありました。
開けてみると…。

益々謎が深まる「うら交番」です。
読んでいて知った言葉、「ケーシング」。私はあれがこう呼ばれているのを知りませんでした、恥。
「ハム・ソーセージの肉を包み込む、薄い膜状の袋」のことだそうです。
この頃魚肉ソーセージなんて食べませんものねぇ。

志賀家泰弘 『京都祇園もも吉庵のあまから帖4』
第一話:
元芸妓でタクシードライバーの美都子のお客様は埼玉県から来た修学旅行の中学生。
昔はタクシーで観光なんてなくて、迷いながらも地図を見ながら歩くことが面白かったのですけどね。
四人の中で一人、元気のない女の子がいました。何か事情がありそうです…。
第二話:
無銭飲食で捕まろうとする男の真意とは。
第三話:
老舗和菓子店「風神堂」で社長秘書をしている朱音に茶道「桔梗流」の次期家元・夢遊が惚れて、一緒になりたいと言い出します。
姉の楓は大反対。もも吉に相談しに来ますが…。
第四話:
「吉音屋」の前に佇む女性が気になったもも吉は、彼女に声をかけます。
第五話:
「風神堂」にまつわる兄弟のお話。

好きな京都が舞台なので、毎回読んでいます。もも吉のお節介が心地良い時と、ちょっと…と思う時がありますが。今回はいい感じのお節介でした、笑。

安田依央 『出張料理亭おりおり堂 こっくり冬瓜と長い悪夢』
恋愛ゾンビ山田が仕事に出向いた老舗旅館で、仁と似た男・カゲオに山田は誘拐され、連れて行かれた洞窟で何故か口説かれます。次の日旅館に帰ると、誰も山田のことを心配していません。
旅館では相続人である兄弟たちが集まり、旅館を続けるか、廃業するか、話し合っています。
仁は先代と約束した『弔いの料理』を作りますが、そこにカゲオが現れ…。

美味しいお料理が出てくるからと読んでいましたが、今回で読むのを止めます。
わけのわからない男の登場で、これはホラー小説なのか…?

望月麻衣 『わが家は祇園の拝み屋さん 14 渓谷に散る紅葉と陰陽師の憂鬱』
今回澪人と小春たち『OGM』が関わるのが、心霊動画。
心霊スポットに行く動画配信者のことは、組織の本部長や宗次郎は当人の問題として放っておくしかないと言っていますが、小春は心配です。
そんな頃、学長から今は使っていない幼稚舎の除霊を頼まれます。

東京編で終わってもよかったのに、いつまで続くのか。陰陽師とかはそれなりに面白いのですが、高校生の恋愛話が出てくるとバカバカしくなります(ゴメン)。
洋風羊羹食べたいわぁ。

篠綾子 『弟切草 小烏神社奇譚』、『梅雨葵 小烏神社奇譚』
    『蛇含草 小烏神社奇譚』
葛城山一帯を支配した古い名族加茂氏の血を引く竜晴は江戸・上野にある小烏神社の宮司で、先祖には神を使役したという役小角や世に知られた陰陽師安倍晴明の師匠だった賀茂忠行、保憲父子もいます。そのため人ならぬモノたちの言葉を聞き分けることができます。彼には抜丸という白蛇と小烏丸というカラスの、二柱の刀の付喪神が使えています。彼らは竜晴の亡き父竜匡から竜晴の教育を任せられていました。
彼の唯一の友人が医者で本草学者の泰山。彼は神社の土地を借り、薬草を育てています。
彼らのつき合いは二年前、たまたま通りがかった泰山が神社の庭に蓬が生い茂っているのを見て、薬として使いたいので分けてくれないかと声をかけたことから始まります。
それから泰山は何日も続けて蓬を採りにきて、他の薬草も植えたらどうかと言い出します。
人付き合いが悪くて無愛想な竜晴でしたが、泰山の熱意に負け、泰山が薬草の面倒をみることとして土地を貸します。

ある日、上野山を偵察に行った小烏丸が目に見えぬ強い力に引き寄せられ、侍を追って寛永寺に行ってしまいます。庫裏近くの木の枝にとまっていると、不吉だと人が集まり騒ぎ始めました。
そこに天海大僧正が出てきて、小烏丸と目を合わせると、小烏丸は金縛りにあい動けなくなってしまいます。

竜晴は寛永寺の天海大僧正から書状をもらい、寛永寺に向かいました。
天海は付喪神が見える人で、彼はカラスが竜晴のものであることを知っており、カラスを返すから事件が解決するまで力を貸してくれるように頼みます。
この後から竜晴は天海からたびたび呼びつけられるようになります。

『わが家は祇園の拝み屋さん』が中・高校生用だとしたら、『小鳥神社奇譚』は大人用って感じです。

森鴎外 『カズイスチカ』
『鴎外青春診療録控え 千住に吹く風』を書くときに参考にされた作品です。
父のことを老人と言い、「老人のつまらないのは当然だと思った」りする花房は鴎外のことでしょうか。

「自分が遠い向こうに或物を望んで、目前の事を好い加減に済ませて行くのに反して、父はつまらない日常の事にも全幅の精神を傾注していることに気が附いた。宿場の医者たるに安んじている父のrésignationの態度が、有道者の面目に近いということが、朧気ながら見えて来た。そしてその時からにわかに父を尊敬する念を生じた」(résignation:諦め、諦観)

若さ故の見方ですね。

ここからは漫画です。

山口つばさ 『ブルーピリオド 11』
山口八虎はさえき絵画教室でバイトをすることになります。なんと佐伯先生は高校で八虎に美術を教えてくれた人でした。何故か橋田までバイトをすることに…。
様々な子どもと保護者と出会う八虎。
しばらくして八虎は橋田から海外旅行に誘われます。
来年、イタリアのヴェネチア・ビエンナーレ、スイスのアート・バーゼル、ドイツのドクメンタが同時に開催されるというのです。
4月に八虎は2年生になります。

恵三朗 『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見 21』
AITL(血管免疫芽球型T細胞リンパ腫)の天羽ひなたは移植前の処置の副作用で苦しみます。何よりも患者を優先しようとしてきた主治医の朝加は自らの無力さを思い知ることになります。
ケア医の稲垣は朝加に手を差し伸べようとしますが、朝加は拒絶します。
しかし天羽のために、看護師、介助士、管理栄養士、病棟薬剤師、理学療法士が一丸となって、より「質の高い療養生活を送れるように、身体的精神的な苦痛に対するケアを提供できる体制」を作り上げていきます。
移植後、天羽は皮疹と腹痛、発熱で苦しみ出します。
困った朝加は岸がまだ帰っていないことを知り…。

チーム医療とは何か。こんな風に一丸となってどんな患者のためにもしてくださるのなら、安心して任せられますがね。

ヨンチャン 『リエゾン 6ーこどものこころ診療所ー』
今回は摂食障害とゲーム依存症、自閉症スペクトラム障害、カサンドラ症候群、性同一性障害が取り上げられています。
七海仁 『Shrink~精神科医ヨワイ~6』
アルコール依存症がテーマです。次回は産後うつのようです。

この中で興味があるものがあったら読んで見てください。参考になることがあると思います。

漫画はすべておすすめです。
この頃、医療系漫画は面白いものが増えましたね。

読んだ本とまんが2021/09/13



早見和真 『店長がバカすぎて』
書店のお話です。題名では店長をおちょくっているようですが、読んでいくと違うことがわかります。バカでも愛すべきおバカです、笑。

谷原京子、28歳、吉祥寺にある書店、<武蔵野書店>吉祥寺本店の契約社員です。時給998円という薄給に耐えています。
店長の山本猛、推定年齢40歳が「非」敏腕で名前ばかり勇ましく、人を苛立たせること世界一という奴です。苛立ちも朝礼でピークになります。
自己啓発本にどハマりしていて、朝礼で紹介するなよ!書店なのに本を貸してやるって、ふざけんなぁ~!
「辞めてやる!」と何度思ったことか…。でも本に対する愛が強すぎて(?)辞められない京子です。

書店員のお仕事、とんでもない神様(お客様)たち、覆面作家は誰かとか、濃いキャラばかりでしたが、結構読んでいて面白かったです。
読んでいくと、店長が本当に天然のおバカなのかどうか、わからなくなります。
京子さんはそんな店長にちょっと愛着が湧いたようですけど、私は絶対に無理だな。
ドタバタコメディタッチ+ちょっとミステリー。
仕事に煮詰まっている女性が読むといいかも。

平岩弓枝 『花ホテル』
南仏エズでリゾートホテルを経営する朝比奈杏子にマネージャーとして雇われた佐々木。
彼はホテル業は初めてながら、ホテル経営の専門書や知人のホテルマンに訊いたデータなどを参考にし、やがて杏子の頼れる片腕となっていきます。

何かの本にこの本のことが書いてあったので、読んでみました。海外旅行ができない今、風光明媚な南仏に行ったつもりになれるのですが、ホテルの宿泊客たちがあまり好きにはなれなかったです。
1983年の作品なので、少し古い感じで、ラストがなんだかなぁ…。

金子成人 『かぎ縄おりん』『初手柄 かぎ縄おりん』
日本橋堀留の「駕籠清」の娘のおりんは目明かしに憧れています。いつも町に騒動が持ち上がると真っ先に駆けつけ、捕縛の道具のかぎ縄を持ち歩き、せっせと練習に励んでいます。祖母にはもう18歳なのだから早く婿を取って商売を継いでくれと言われています。
ある日、罪人を得意のかぎ縄で捕らえたことから、父の目明かしの嘉平治におりんはやっと自分の気持ちを伝えられます。
とりあえず下っ引きとなり、目明かしとしてやっていけるか、嘉平治が見極めることとなります。
果たしておりんは目明かしになれるのか。

おりんが浮ついたところのない娘なので、目明かしとしてなんとかやっていけそうです。
目明かしって男性ばかりかと思っていましたが、女性もいたということでしょうか。他の本にも女目明かしが出ていましたものね。
おりんの成長が楽しみなシリーズです。

ジェシカ・ブルーダー 『ノマド 漂流する高齢労働者たち』
映画「ノマド」を観たので、原作はどうかと思い読んでみました。
本では様々な背景を持ったノマドたちが紹介されています。
映画ではその人たちのことを少しず取り上げていってキャラクターを作っていったという感じです。

日本も年金が減らされ、アメリカと同じように年金だけでは暮らしていけなくなっているようです。私がもらえるようになる頃にはどうなるのか…。
高齢者の仕事ってどんなのがあるのかしら。アメリカのノマドたちと同じような低賃金の季節労働のようなものしかないのかしら。
私のような体力のない、病気持ちには無理ですわぁ。

ノマドたちの最期がどうなるのか、この本の続きを読んでみたいです。

キャシー・アーロン 『トリュフチョコと盗まれた壺』
『やみつきチョコはアーモンドの香り チョコ職人と書店主の事件簿』の次の本です。

ミシェルとエリカが経営する書店併設のチョコレートショップ<チョコレート&チャプター>でレセプションパーティが開催されました。
町の名家、リバー家がボルティモア人類博物館にマヤ文明の出土品を寄贈したことを発表するパーティで、多くの人たちが集まりました。
しかしその夜、出土品が博物館に輸送中に盗まれてしまい、ミシェルとエリカは容疑者になってしまいます。それだけでも大変なのに、過去にエリカと何かあったらしい博物館のキュレーターのアディソン・ムーディが遺体で見つかります。
自分たちの無実を証明するために、ミシェルとエリカは再度事件解決に乗り出します。

ごめんなさい、チョコレートとヒロインたちがあまり私の好みではなかったです。
高校生がやったマヤ文明のフラッシュモブが観たかったです。
そうそう、猫のココが出てきました。次回も出てきて欲しいですわ。

ここからは漫画です。

ジョージ朝倉『ダンス・ダンス・ダンスール 21』
アニメになっているようですね。原作の絵が今一ですが、あのままなのかな?

ゲイリーから留学の資金援助を得られることになり、潤平はビザ取得のため、日本に一時帰国します。
12月には『くるみ割り人形』の王子を踊り、3月には『コッペリア』のフランツを踊ることになります。日本人が不得意だと言われているマイムをものにできるのか、潤平。
ゲイリーの知り合いから映画の代役の話が来ますが…。

潤平の今後に目が離せません。

小玉ユキ 『青の花 器の森8』
青子と龍生は一緒に暮らすまでになっていました。しかし龍生が展示会でフィンランドに一ヶ月行くことになり、青子は苦しみます。
かつての元彼が北海道へ行って帰って来なかったことがあり、それがトラウマになっていたのです。
龍生の今後のことを考えるとフィンランドに行ってもらいたい青子。
青子のためにフィンランド行きを断念しようと思う龍生。
二人はどうするのか…。

たった一ヶ月ぐらい、いいんじゃないと思うのですが、最初の男が悪かったのね。
一緒にフィンランドに行ってしまえばいいのに。そうなれば話が続かないか。
陶芸の話かと思って読み始めたら、恋愛話でした。

みやうち沙矢 『DOG SIGNAL 6』
佐村未祐は神業ドッグトレーナーの丹羽に弟子入りし、やっとお店の初心者コースの担当になりました。
自分の犬のサンジュを使い、見本を見せていますが、そんなある日、サンジュが言うことを聞かなくなります。未祐はサンジュが何故そういう態度を取るのかわかりません。丹羽はわかるまで店に来るなと言います。

犬を飼う参考になる漫画です。
これから犬を飼おうと思っている人は読んでから飼ってもいいかも。

桜井海 『おじさまと猫 8』
びっくりしました。なんとおじさまの家族が登場します。
奥様だけかと思っていたのに…。

いつも癒やされる漫画です。犬もいいけど、猫もいいわぁ。

いくえみ稜 『おやすみカラスまた来てね 1~6』
十川善十はひょんなことから、亡き先代マスターの娘・一葉とふたりで、とある札幌のバーを営むこととなります。

「最強にふがいない男子と、タイプも異なる女子たちの恋愛劇」だそうです。
善十、一体誰が本命なのかわかりません。ホント、ダメダメ男です。
幽霊マスターも気になります。なんで彼は店を善十に託したのか?
最後は一葉と?気になるお話です。

お勧めは『店長がバカすぎて』と『かぎ縄おりん』、『ノマド』、漫画はどれもいいですが、私の一番のお気に入りは『おやすみカラスまた来てね』です。

読んだ本2021/08/14

雨が続く嫌な毎日で、古傷が痛み、相変わらずの引き籠もり生活です。


そんな人間にはお構いなしに、この子は遊べと五月蠅いです。
兄はパソコンを使っているとかまってもらえないことがわかっているので、私の膝の上で横になって寝ています。

さて、読んだ本ですが、また溜まってしまいました。
一番のお勧めが『水族館ガール8』です。


木宮条太郎 『水族館ガール8』
最初の頃は由香ちゃんの妄想が邪魔だったのですが、この頃は妄想もなくなったので、気にせずに読めるようになりました。

結婚することになった由香と梶でしたが、どうも両方の家にはそれぞれ問題があり、すんなりとはいかないようです。
そんな頃、水族館では色々な問題が起こってきます。
地元の人たちと連携しての自然保護活動やイルカの赤ちゃんの離乳食トレーニング、そしてパークの存続の危機。
由香と梶の結婚と仕事はどうなるのか…。

自然保護と声高らかに言ってはいても、それが本当に動物たちのためになっているのかの判断は難しいですね。人間達のよかれと思ってしたことが、種を絶滅させることになることもあるのです。
お子さんの離乳トレーニングで困っている方に。

「どうして、こっちは食べるのに、あっちは食べないのか。赤ん坊の反応は、理屈では説明しきれねえところがあってな。よく分かんねえのが、離乳。それを肝に銘じて、トレーニングしてくんな」

個体差があるので、じっくりゆっくりやっていきましょうね。
帯を見てビックリ。教育出版の『伝え合う言葉 中学国語2』でこの本が紹介されているとのこと。
小学生高学年ぐらいから読める本なので、是非YAたちにも読んでもらいたい本です。

山本由布 『寄り添い花火 薫と芽依の事件帖』
     『風待ちのふたり 薫と芽依の事件帖』
こんなことは実際にはなかったとは思うのですが、札差の娘が岡っ引きで、同心の娘が札差の娘の下っ引きというシリーズです。
札差の娘は薫、同心の娘が芽依と言います。
二人は大の仲良しで、推理力抜群ですが、人と上手く接することができない薫を芽依がフォローするという感じです。ともすれば二人の関係はGL(百合)かぁと思うほどですが、『寄り添い花火』の最後の章で何故二人がこんな関係になったかがわかりますので、GLとは関係ないですので、安心して(?)下さい。
時代物ミステリーですが若い15歳の女の子が活躍するので、それほど本格的ではなくて、読み進めるのが私にはちょっと辛かったです。

赤星あかり 『居酒屋こまりの恋々帖 おいしい願かけ』
亡くなった祖父の営んでいた酒蔵・水毬屋を再建するために、出戻りのこまりは江戸に出て来て居酒屋で働いていました。
しばらくして店主の栄蔵から店を継ぎ、小毬屋と名づけて酒と美味しい料理で客をもてなしますが、やってくるのはとんでもない客ばかりで…。

シリーズ化されるようです。
これから元夫とのことや水毬屋再建に奮闘するこまりが見られるでしょう。

「薫と芽依の事件帖」やこの本は女性向きの時代小説なんでしょうか。こういう本って時代小説好きの男性は読まないような。
ちょっと私の好みと違いました。

柊坂明日子 『おばさん探偵ミス・メープル』
あの、これは「ミス・マープル」ではなくて「ミス・メープル」ですので、お間違えなく。私だけかしら、「ミス・マープル」だと思ったのは(恥)。

東京都世田谷区のお屋敷(子ども達にはお化け屋敷と言われている)に住むミス・メープルこと森野楓子は小説家。それもSFバイオレンス・アクション・エログロ・超ハードボイルド作家なのです。もちろんペンネームがあり、大河ショー和という男性名で、覆面作家として『新宿魔法陣幼獣伝』シリーズを書いています。このシリーズ、出版不況を吹き飛ばす大ヒットだそうです。すごいですねぇ。どんなお話でしょうね。
パーティに出席する時は出版社の彼女の担当編集者、27歳の吉井君が変装して大河になります。
吉井君は好青年で、楓子さんのお屋敷に来るときはいつも大量の美味しいお土産を持参します。
実は楓子さんは元々絵本作家としてデビューしていたので、いつかまた絵本を書きたいという夢がありました。
こんな彼女が次々と起こる事件に挑みます。

あの~、本場のミス・マープルとは雲泥の差がありますので、同じようなものを期待して読まないで下さい。私はKindleのお勧めにしつこいぐらい出てくるので、ついつい買ってしまい、後悔しました。
コージー・ミステリーとも全く違いますので、あしからず。

井上ねこ 『花井おばあさんが解決!ワケあり荘の事件簿』
第17回『このミステリーすごい!』大賞・優秀賞受賞作品だというので読んでみました。ごめん、私、『このミステリーがすごい!』大賞とは合わないみたい。
何冊か読んだのですが、中山七里とか柚木裕子、海堂尊のお三方以外にいいと思った作家さんはいません。
ホームズ役の花井おばあさんの設定はいいと思いますが、もっと魅力的に描けなかったかしら。
主人公らしきワトソン役の独居老人専門アパート「若鮎荘」管理人、27歳の若泉歩美が全くダメでした。この人なんなの。お嬢様らしくもないし、仕事もしていないみたいだし、暇なので入居している老人たちを見張り、余計なお世話をしているだけに見えます。
文章が硬い感じで、もっとどうにか出来なかったのかしら?
書き方によってはもっと良くなったのにと残念に思いました。

ここからは漫画です。

西田ヒガシ 『やさしいあなた…』
もろBLでした。裏社会に生きる男たちが出逢ってしまい、恋に落ちる。
なんとも言えない世界ですが、嫌いではないです、笑。

鷹野久 『午後3時 雨宮教授のお茶の時間3』
楽しみなシリーズです。
今回のお菓子はコーニッシュパスティ、チョコレートケーキ、ストロベリーチーズケーキ、ミンスパイ、クリスマスプディング、ロックケーキ、クランペットです。
亡くなった妻に対する雨宮教授の愛情が素敵ですね。
「ブリティッシュ・ベイクオフ」に出てきたものばかりで、どんなものかすぐにわかりました。

キリ 『豆しば こつぶーーはじめまして』
あの~、豆柴って種類はありません。柴犬の中で小型な犬のことを豆柴って言っているだけです。
ホント、犬はどんな犬でも可愛いですよ♡。
犬好きの人も犬をこれから飼いたい人も楽しめる内容です。

他にもシリーズ物がどれもよかったです。
読んだのは『リエゾン5』、『こはる日和とアニマルボイス6』、『忘却のサチコ16』、『プラタナスの実3』、『BLUE GIANT EXPLORER3』、『ましろのおと28』、『屍活師19』、『モーメント13』、『絢爛たるグランドセーヌ18』、『舞妓さんちのまかないさん16』、『あおざくら 防衛大学校物語21』、『ナースのチカラ5』、『七つ屋志のぶの宝石14』。
そうそう『傘寿まり子16』が終わりました。なんとか家族も一つになり、まり子は八百坂さんに会いに行きます。これからまり子は死ぬまで書き続けるでしょう。

読んだ本では面白いのが『水族館ガール8』だけだったので、ちょっと残念でした。

柳瀬みちる『神保町・喫茶ソウセキ文豪カレーの謎解きレシピ』&春河35『文豪ストレイドッグス 1~2』2021/07/11

たいした意味はないのですが、文豪繋がりということで、この本と漫画を一緒に紹介します。


表紙からおわかりのように、軽いミステリーです。

元フレンチのシェフ・千晴は神保町の一角にある四階建ての雑居ビルの一階東側で≪喫茶ソウセキ≫を開店します。
もちろん店名は大文豪・夏目漱石からです。
開店してから七日目、お客は少なく、誰もいない時間帯もあります。
生まれてから26年の人生で「間違っていなかった」ことが一度でもあっただろうかと思う毎日。
目玉は「漱石カレー」。
神保町でカレーを出すなんて、とんでもないことですよ。
美味しいカレー屋が軒並みですから。
それなのに何故と聞かれると、大家さんからふたつ出された条件の一つだからとしか言いようがありません。
「夜遅くまで営業すること」と「カレーを出すこと」の二つを守れば、破格の賃料で貸してくれるというのです。

そんなある日、店に小説家・葉山トモキがやってきて、漱石カレーを食べて、「このカレーの、どこがどう『漱石』だ」とつっこまれます。
そのため千晴は店に置いてあった『三四郎』を読む羽目になります。
この本は千晴の母の形見でした。
本の中にレシートが入っていて、誰かの書いた手紙らしき文が…。
そこにまた葉山が現れます。
彼は『三四郎』を読み始めた千晴に漱石関連の資料を貸そうと言い、連れて行かれたのが、同じビル内の4階でした。
葉山が「カレーを出すこと」という条件をつけたオーナーだったのです。

レシートから始まる謎解きの合間に次々と新しいカレーをあみ出す千晴です。
「漱石カレー」以外に「百閒カレー」、「子規カレー」、元は「石油カレー」ですが美味しくなさそうなので、名づけて「エラリー・クイーン風ラム肉のカレー」など。
各作家の著書の中にカレーのことが載っているらしいので、内田百閒や正岡子規、エラリー・クイーンのファンの方はカレーの中身の推理をしてから読むといいかも。

思っていたよりも面白いミステリーでした。
シリーズにするとなると、カレーのことを書いている作家さんは他にいるかしら?


文豪ストレイドッグス」は「現代横浜を舞台に、中島敦、太宰治、芥川龍之介といった文豪たちが繰り広げる異能アクションバトル漫画」だそうです。
賛否両論の意見がある作品のようですね。
文豪をこんな風に使うなんて、けしからんと思う人もいるのはわかります。
私なんか、文豪たちをこのようにキャラクター化するという発想が面白いと思うのですが、不謹慎でしょうか?

孤児院を追われた青年・中島敦は餓死寸前のところ、川の中で流されている男を助けます。その男は自殺をしようとしていた太宰治でした。
そこに太宰を探しに国木田独歩がやってきて、太宰がお金を持っていなかったので、国木田に茶漬けを奢ってもらいます。
彼らは荒事が領分の異能力集団「武装探偵社」のメンバーで、今請け負っている仕事は人食い虎探しだそうです。
敦はその虎のことを知っており、敦から話を聞いた国木田は虎捜しを手伝わないかと言い出します。
お金に目のくらんだ敦は手伝うことにするのですが…。

表紙の一番目立つのが主人公の中島敦で、その隣の長いコートを着たのが太宰治、左上の眼鏡が国木田独歩です。
中島敦が可愛すぎですね。
キャラクターごとに異能があり、中島敦は「月下獣」という、非常に大きな白虎に変身する異能で、太宰治は「人間失格」という、直接触れたありとあらゆる異能を無効化する異能、国木田独歩は「独歩吟客」という、手帳の頁を消費することで、書き込まれたものを具現化・実体化する異能があるそうです。

ショックだったのが、私の好きな芥川龍之介がヨコハマの港を縄張りにするポートマフィアの一員だということです。
悪役じゃないですか、ひどいわぁ。
ポートマフィアの構成員は私の好きな文豪が多いです。
例えば樋口一葉とか中原中也、梶井基次郎、森鴎外、立原道造…。

まだ二巻しか読んでいないのではっきりとはわからないのですが、各文豪たちの生きていた時代もバラバラで、設定も違っていたりするそうです。
まあ漫画でフィクションですから、それほど目くじらを立てなくてもいいと思いますよ。
それが許せないと思う人は読まない方がいいですね。

この漫画が入り口となって、子どもたちが各文豪の本を読むようになるといいと思います。

読んだ本2021/06/26

軽い、すぐ読めるものをご紹介します。


ほしおさなえ 『菓子屋横丁月光荘 歌う家』
日本の近代文学専門の大学院生の遠野守人には不思議な力があります。古い家の声が聞こえるのです。
複雑な家の事情から今住んでいる家を空けなければならなくなり、指導教授の木谷に紹介され、川越の菓子屋横丁にある古民家の住み込み管理人をすることになります。
古民家に関わる人たちと知り合い、人との付き合いを避けてきた守人の世界は広がっていきます。

幼い頃に川越に行ったことがあります。
今のように観光地化されていなかったので、全く印象に残っていません。
でも唯一、美味しい鰻を食べたことは覚えています。私、幼い頃から食いしん坊でした(笑)。
ほしおさんらしい優しいお話です。

太田紫織 『涙雨の季節に蒐集家は、』
これはミステリー?ホラー?どっちつかずのお話です。
変っているのが、涙を蒐集するということだけです。ナンなんだ。

雨宮青音は京都大学を休学し、札幌の実家に戻って引きこもりをしていました。
旭川に住む、昔仲のよかった叔父が亡くなったことを聞き、久しぶりに母と旭川を訪れます。叔父の遺品整理に立ち会うのです。
旭川で幼い頃青音は「悪魔」に出会い、それ以来叔父の家に行けなくなったのです。
遺品整理士と会って、青音は驚きます。
その顔があの「悪魔」と同じだったのです…。

紹介をこれぐらいで終わっておくと、興味が持てるでしょう。
でもね、最後まで「悪魔」が何をやっていたのかわからず、本を捨てたくなりました。最初からシリーズにするつもりだったのですね。
涙の蒐集家って何?という感じです。『櫻子さんの足下には死体が…』の時も思いましたが、ちょっと不気味な感じがこの作家さんの持ち味なんでしょうね。
私はもう読まないと思います。

渡辺淳子 『おでん屋ふみ おいしい占いはじめました』
彼氏にフラれ、おもしろい女になってやると、会社員をしながら夜におでん屋を始めた千絵。全然お客が来てくれず、どうしようかと思っていたら、今日で仕事を辞めるという占い師がやって来て、そのまねをしておでん占いをやることにしました。そうすると色々なお客がやってくるようになりました。
来て欲しくなかったけど、元彼まで。
今夜はどんなお客が来るのかしら?

主人公は定番の彼にフラれてるんですが、思っていたよりも面白かったです。
脇役たちがいい人で、彼らにはまた会いたいです。

柏井壽 『鴨川食堂ごちそう』
毎回色々な訳ありな人がやって来る鴨川食堂です。
思い出の料理を探して欲しいと言われても、普通は探せないって。
とにかくお料理が美味しそうです。一流料亭よりも腕がいいなんて、すごいぞ流さん。娘のこいしは何もできないようですが、父親が死んだら何をして暮らすのかしら?と余計なことを考えてしまいました。
変らない雰囲気がお好きなら、どうぞ。

竹岡葉月 『おいしいベランダ 午前10時はあなたとブランチ』
やっと最終巻です。
いつもいつもしょうも無いまもりの独り言に付き合ってきました、笑。
今回は結婚式と披露宴がほっこりしていていいですねぇ。
私も神戸のそういう所でやりたかったですわ。
作家さんはサブタイトルの数字縛りが限界だったとのことですが、笑。
番外編で母になったまもりと葉二に会えると嬉しいです。よろしく。

最後に面白かった漫画を紹介しておきましょう。

水凪トリ 『しあわせは食べて寝て待て ①』
38歳、独身の麦巻さとこは免疫系の難病に罹ってしまいます。
正社員だった職場にいずらくなって辞めてしまい、今は週4回パートのお仕事をしています。今いる部屋の家賃が高いので、隣に住む面倒見のいい老女のオーナーがいる団地に引越すことにします。
その老女の家に居候をしている漢方を独学している司に興味を持ったのですが…。

さとこさんの今後がどうなるのか、気になります。
一番のお勧めです。

読んだ漫画2021/04/26



三田紀房 『ドラゴン桜2 1~16』
龍山高校を進学校に再建したというのに、なんと東大合格者が0名になってしまった!
そう聞いた桜木健三は元教え子で東大に入り弁護士になった水野直美を引き連れ、龍山高校に乗り込みます。
龍山高校は教職員から「女帝」と言われている瀧野久美子が理事長代行となってから、有名私立大学の合格実績は上がっていましたが、東大合格者は年々減少していました。久美子は密かにあることを画策していました。
桜木は理事となり、「東大専門コース」を設置すると宣言し、全校生徒の前で演説をして生徒を募りますが、今の生徒たちは無反応。
誰も来ないかと思っていたところに、早瀬奈緒と天野晃一郎がやってきます。

前とは時代が違うので、今回はスタディサプリやツイッター、YouTubeなどを駆使しています。
この漫画を読めば誰でも東大に入れるかどうかは定かではありませんが、どうやって勉強をしたらいいのかわからない人には参考になると思います。
16巻ではこれから二次試験いう頃のお話です。
何人合格するのか、楽しみですわ、笑。

にしうら染 『モネのキッチン 印象派のレシピ 1~2』
モネが印象派と言われる前の、妻のカミーユと息子のジャンと三人で暮らしていた、31歳の頃の貧乏生活のお話。
カミーユはモネや彼の友人の画家たちのために美味しいお料理を作ってあげます。
マネやシスレー、ルノワール、モリゾなど錚々たる顔ぶれが出てきます。

清水ユウ 『鹿楓堂よついろ日和 1~14』
東京郊外にある和風喫茶「鹿楓堂」のお話。
「鹿楓堂」は四人のイケメン男子が営む甘味処。
店主でお茶担当、猫好きな癒やし系男子のスイ、スイーツ担当でお菓子なら底なしの胃袋を所有する椿、料理担当で陶芸の先生をしている老人人気一番のときたか、コーヒー担当だけど、変なラテアートを描き、美的センスが疑問のぐれ。
こんな4人の醸し出す雰囲気が、お客さんに癒やしを与えています。
こんな喫茶店なら、誰もが絶対に行ってみたいと思わせられますよ。

安堂ミキオ 『はたらくすすむ 4』
定年退職後、ピンサロだと思わず面接に行ってしまった長谷部進、66歳。
雇われたのはいいのですが、夜の仕事に戸惑う毎日。働くキャストたちのことを思いやり、真面目に働いていたら、いいことありました。
家族との間も上手くいき、最後にふさわしい内容でした。

ジョージ・朝倉 『ダンス・ダンス・ダンスール 20』
バレエ漫画。アニメ化決定だそうです。私は観ませんが、興味のある方は観てくださいね。

潤平はフランコの元パトロン・ゲイリーから資金援助を得るために、『ジゼル』のアルブレヒトに挑みます。
果たして結果は…。

竹内友 『ボールルームへようこそ 11』
こちらはダンスでも社交ダンスの方です。私、どんなダンスでもやったことはありませんが、観るのは好きです。
ダンスの世界も奥が深いようで…。
『ダンス・ダンス・ダンスール』と共にお勧めのダンス漫画です。

二階堂ヒカル 『あおざくら 防衛大学校物語 20』
一学年が集団脱走か…。
「同期を売ることは絶対にできない。だが、同期を見捨てることも、オレは絶対にしない」という近藤はどう動くのか。
それにしても脱柵の理由がショボかったわ。
まあ、訓練が大変で、自由時間がないですものねぇ。
私には絶対無理な生活ですわ。

小林ユミヲ 『にがくてあまいrefrain 1』
あの『にがくてあまい』が帰って来ました。と言っても、私、前のお話忘れてるわ(恥)。それにしても何故いつも料理ができない、おバカ女が渚のところにやってくるのか?

料理上手なイケメン高校教師・片山渚の暮らす長屋の隣に、大家の孫が引越してくるそうで、喜ぶ渚でしたが、やってきたのは女の孫の五味岡真。
真の面倒をみてくれると、その代わりに家賃と水道光熱費がタダになると聞き、やる気のでる渚でしたが…。

沖田×華 『透明なゆりかご 産婦人科医院看護師見習い日記 9』
最終巻です。
産婦人科にやってくる女性たちは、子どもを産むためだけではないのです。
知らなかった幸せな出産の裏にあるものを描いてくれた作品です。
一読をお勧めします。

他には『かしましめし 4』、『青のオーケストラ 9』、『Papa told me Cocohana ver.~花冠をあげる~9』、『アレンとドラン 5』、『フランス家族ニッポン滞在記』などを読みました。

『Papa told me Cocohana ver.』の知世ちゃんが元気で、よかったです。
いつまでも大人にならない知世ちゃんだけど、彼女の姿が癒やしを与えてくれます。


夫のランチ用に頼んだパンです。


色々なところで頼んでいますが、夫は味の違いがわからないようです。
私はサンドイッチはハム&チーズなんかが好きなのですが、マヨネーズたっぷりのツナとかチキンが好きなようです。
お弁当よりも簡単なので、このままランチはパンでお願いしたいです。

読んだまんが2021/04/06



池辺葵 『私にできるすべてのこと』
近未来のお話。
人と共存していたヒト型AIが人間の労働場所を奪うからと、回収し解体されることになります。
そのAIをゴミ捨て場から回収して、修復している時屋というおばあさんがいました。彼女はAIの博物館を作りたかったのです。
和音も彼女に拾われ、喫茶店でバイトをして暮らしています。彼女の使命は人間観察。レポートを書いて提出しています。
彼女には人間がキラキラと発光しているのが見えます。

池辺さんの作品は裏切りません。静かな感動をいつも与えてくれます。
読んで味わって見てください。

東元俊哉 『プラタナスの実 2』
縁切りしていた父親から連絡が来て、新しく開設する小児科で働かないかとのこと。真心は小児科医だった母の墓参りということにして、再度北海道へ。
そこで「ともりん」という天才ピアニストと出会います。
彼女が母親と同じ病であることがわかり、真心は彼女の担当医として父親の病院で働くことにします。

ちょっと変った小児科医、真心がこれからどのように活躍していくのかが楽しみなシリーズです。「小児科医に悪い人がいない」って本当かしら?

ヨンチャン 『リエゾンーこどものこころ診療所ー(4)』
今回はパニック障害、発達性読み書き障害、番外編として脳外科医の話です。
「社会復帰まで診るのが脳外科医」と言える医師がどれぐらいいるのでしょうか。

三浦エリカ 『処方箋上のアリア 1』
薬剤師のお話。
「亜理亜薬局」には麻生葛という変った薬剤師がいます。
ただ薬を渡すだけではなく、お客の様子から様々なことを感じ取っていきます。
こんな薬剤師が本当にいたらいいのですが、現実にはいないでしょうね。

アミュー 『この音とまれ! 24』
全国大会へ向け、箏曲部の心がひとつになっていきます。
しかし、好事魔多し。チカに昔の仲間が近付いてくる…。
大会前に一波乱ありそうな感じです。

なんか清々しい部活の話かと思ったら、違ってきました。誰も傷つくことなく、終わって欲しいです。

鳥飼茜 『サターンリターン 5』
小説の題材にするために、自死したアオイの謎を追う加治理津子。
編集者の小出も彼女に振り回される羽目になります。
加治理津子とは一体何者なのか?

イタい女の加治理津子。彼女は周りを不幸にする女なの?
なかなか不可解な存在です。

桜井海 『おじさまと猫 7』
神田に電話をしてきたジョフロワは神田にピアノを教えてくれと言います。
彼に教えることなんかあったかと戸惑う神田。
ジョフロワは猫を飼って毎日がハッピーという日比野をバカにしていたのですが、神田の家に行く途中で捨て猫を見つけてしまい…。

猫って頑なな心までも溶かしてしまうんですね。
読むと絶対に猫を飼いたくなりますよ。
私は神田さんを飼いたいです、笑。専属ピアニストっていいなぁ。



猫もいいですが、犬もいいですよ。
猫よりも犬の方が手がかかりますけど。


お兄ちゃんは舐めるのが大好き。なんでもペロペロ舐めます。
弟は滅多に舐めないのに。
犬でも性格が全く違います。