てらいまき 『アイスランド☆TRIP』&『北欧フィンランドー食べて 旅して お洒落して』 ― 2024/11/16
アイスランドに旅行に行くのもいいかなと思って、旅行記を探すと、てらいさんのものが見つかりました。
後で気づいたのですが、私、フィンランドに行く前に、彼女の書いたフィンランド旅行の本を読んでいました。
この記憶力のなさ、情けなくなりますw。

アイスランドと言えば、国土が狭くて、人口も少なく、犯罪が少ないことで有名です。
でも、旅行に行こうと思うと、日本からの直行便がなくて、フィンランドで乗り換えするしかないみたい。
それに、ホテルが異常に高いのです。
レイキャヴィークに行きたいと思ったのですが、アイスランドって都市巡りよりも自然巡りの方がお勧めのようです。
この本ではブルーラグーンで露天風呂、ゴールデンサークル・ツアー、ホエールウォッチング、氷河ツアーなどの様子が書いてあり、読み進むにつれ、私、アイスランドに行ける気がしなくなりました。
だって、揺れる船に乗って船酔いしたり、ウエットスーツを着て潜り、パニックになったり、氷河の上を歩きクレパスに落ちそうになったりしているんですもの。
そんなことする体力も根性もないわ。
アイスランドは体力に自信のある人用みたい。
それとも、てらいさん夫婦の選んだツアーだけが大変なのでしょうか。
もしアイスランドに行かれた方がいたら、教えてもらいたいくらいです。

フィンランドに行く前に読んだと思いますが、全く覚えていません。
てらいさんがフィンランドに行ったのは、大分前みたい。
マリトリ(マリメッコ本社の食堂)でお茶できたっけ?ランチだけだったような?
ヌークシオ公園に行ってハイキングしたり、ロヴァニエミで犬ゾリ体験ハスキーサファリツアーに参加したり、トナカイそりに乗ったり、動物園の坂をそりで滑ったり…。てらいさんって、とてもアクティブ。
若い時の私なら、てらいさんのノリについて行けたけど、今はダメ、できないわぁ。
だからこの本のこと、覚えていなかったのね。納得。
どちらかというと、体力に自信のある方向けの旅行記です。
でも、レイキャヴィークやヘルシンキのことも書いてありますので、役に立ちますよww。
香山リカ 『61歳で大学教授やめて、北海道で「へき地のお医者さん」はじめました』 ― 2024/07/01

香山リカさんというと精神科医でマスコミによく取り上げられていた人ですよね。
なんであれほどマスコミに登場していたのか?
この頃、メディァに出ていないなと思っていたら、北海道でへき地(むかわ町国民健康保険穂別診療所)の医者をしていると知り、どうしてなのか興味を持ったので、この本を読んでみました。
知らなかったのですが、リカさんは北海道の小樽出身だったのですね。
父親は医師でしたが、娘を医師にさせる気は一切なかったようです。
東京の高校に通うために上京し、一浪して医大に入学。
特に医師になりたかったというわけではなく、東大に落ちたけど、医大に受かっていたので…という感じのようです。
もともとは科学好きで、小学生の時に読んだ本が『少年少女科学名著全集』。
中学では古生物学や天文学に興味を持っていたそうです。
大学時代にポストモダン文化に出会い、「香山リカ」の筆名でコラムやエッセイを書いていました。
ここからして、ちょっと普通とは違う感じですね。
詳しくは本を読んでね。
なんでへき地の医者になろうと思ったのかというと、2016年に偶然、地域医療の最前線で働く同級生たちに出会ったことが発端だそうです。
充実した姿の同級生たちを見て、リカさんはいつか私も地域医療の仕事をやってみたいと思ったそうです。
そして2019年、59歳の時に、リカさんは実際に動き出します。
これには「ふたつの死」が関係しています。
ひとつは母親の死。
母親との関係についてリカさんがどう分析して書いているのか、私は知りませんが、共依存?毒親?っぽいです。
もうひとつは、面識はないらしいのですが、アフガニスタンで亡くなった中村哲さんの死。彼も精神科医だったそうです。
色々とあったのですが、詳しくは本を読んでもらうとして、なんで北海道のむかわ町国民健康保険穂別診療所なのかと言うと、面白いですよ。
リカさんの古生物好きが縁になったのです。
古生物というと恐竜です。
「カムイサウルス」って知っていますか。
えらそうに訊いていますが、私は知りませんでした。
カムイサウルスの化石は2003年に北海道むかわ町穂別地区で見つかりました。
この化石は「恐竜博2019」で展示され、リカさんはそれを見て、魅了されたそうです。
たまたま「北海道地域医療振興財団」のHPに「むかわ町国民健康保険穂別診療所」が副所長の求人を出しているのに気づきます。
北海道のどこなのかとグーグルマップで調べてみると、診療所と200メートルぐらいしか離れていないところに「むかわ町立穂別博物館」があったのです。
これで決まりました。
リカさんはすぐに「北海道地域医療振興財団」にメールします。
リカさんは意外とミーハーなんですね。
人生なんて、いくつになってもどうなるのかわからないものです。
特にリカさんのような才能豊かな人なら、色々とチャレンジできるのでしょうが。
本を読むと、わたしでもできるかもと思わせられるところがいいです。
五十歳を過ぎた方が読んでみると、勇気づけられるかもしれません。
スイスイと読める本ですので、時間がない方でも大丈夫ですよ。
「完璧な計画を作ってがんばっていても、人生、何が待っているかわからない。だとしたら、流れにまかせて、そのときやりたいと思ったこと、急に興味をひかれたことをやれば、それでいいんじゃないかな」
「1年後、2年後、そして5年後の自分はどうなっているか。それは誰にもわからない。おそらくあなた自身にも。どんなことが待っていようとも「これでよかったんだ」とそのときの自分にうなずきながら、変化を楽しみつつこれからの日々を生きていってほしい」
う~ん、こうポジティブに考えられるといいですね。
そうそう、弟さん、いいキャラですね。こういう弟ならほしいですわww。
小西マサテル 『名探偵じゃなくても』 ― 2024/01/10
第21回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した『名探偵のままでいて』の続編。

小学校教師の楓の祖父は元小学校の校長で、「まどふき先生」と呼ばれ、子どもたちに愛されていた。
彼はレビー小体型認知症を患っていて、幻視や記憶障害などがあるが、話を聞いただけで謎を解いてしまうという安楽椅子探偵なのだ。
第一章:サンタクロースを見た男
楓の同僚教師、岩田は小学生の時にサンタクロースを見たことがある。
あるクリスマス・イブの夜、目覚めるとサンタクロースがいて、サンタクロースを追いかけてベランダに行くと、彼は跡形もなく消えていたのだ。
消えたサンタクロースの謎を割烹居酒屋『はる乃』で岩田が楓と四季に話していると、紳士然とした男が話しかけてきた。彼は楓の祖父の教え子だと言う。
第二章:死を繰る男
楓は美咲から連続自殺未遂の話を聞く。
フランソワという若い俳優が自殺し、彼のファンの二人の女性が後追い自殺をしたが、彼らはみな不思議な状態で、不確実な服毒自殺をしていたというのだ。
次なる犠牲者がでないうちにと思った楓は、居酒屋で出会ったK県警の刑事、我妻に連絡する。
第三章:泣いていた男
ある日、我妻は自宅の近くで起った殺人事件に呼び出される。
殺されたのはK県警二課に所属する刑事で、不思議なことが二つあった。
遺体の彼が泣いていたことと、ステンレス製のビールジョッキを手にしていたということ。ダイイングメッセージなのか?
第四章:消えた男、現れた男
この頃、四季の行動がおかしい。連絡がつかないのだ。
ある日、楓と美咲、そして岩田でY基地主催の国際フェスティバルへ行く。
そこで楓は、かつて母のストーカーとなり彼女を殺し、その二十七年後に今度は楓のストーカーになり、拉致しようとした、”親バカさん”こと九鬼を見かける。
彼は無実になり、釈放されていたのだ。
九鬼は楓に「私と楓の邪魔をする男はひとりずつ消していきますからね」と告げる。
終章:時間旅行をした男
美咲から楓はすずという少女に起った”学校の七不思議”を相談され、クリスマス・イブの昼間に祖父のところにすずを連れて行くことにする。
レビー小体型認知症(DLB)のことはよく知りませんが、楓の祖父の主治医がいいことを言っています。
DLBは「あらゆる病気の中で、唯一、時間旅行が可能な病気」で、怖い幻視や苦しい幻視じゃなく、「美しい過去へと旅行できる」限りはいいことなのではないかと。
どうなんでしょうね。少なくとも楓のおじいちゃんは幻視を見ている時は微笑んでいますものね。
登場人物たちにはそれぞれに悲しい過去や現実がありますが、このお話は暗いものではありません。
元小学校教師だったおじいちゃんのキャラクターがそうさせているのではないでしょうか。彼にとって登場人物たちは皆教え子のような、慈しみ、育てていく対象なのですから。
彼が我妻に言った言葉がいいです。
「人生はいつもままならない。それでも前を向き、ハッピーエンドを目指すべきだ。いや、目指さなければならないんだ」
今回は主にヒッチコック作品と古典的なミステリ作品が色々と出てきますので、興味を持ったら読んだり、見たりするといいでしょう。
私の覚え書きとして載せておきますが、抜けているものがあっても許してねww。
ミステリ本:
『サンタクロース殺人事件』 ピエール・ヴェリー
『真珠色のコーヒーカップ』 赤川次郎
『僧正殺人事件』 S・S・ヴァン・ダイン
『そして誰もいなくなった』 アガサ・クリスティ
『ヒルダよ眠れ』 アンドリュウ・ガーヴ
『夏への扉』、『輪廻の蛇』、『時の門』 ロバート・A・ハインライン
『ローマ帽子の謎』 エラリー・クイーン
『Xの悲劇』、『ジャム双子の謎』、『顔』、『間違いの悲劇』
エラリー・クイーン
『コーマ、昏睡』 ロビン・クック
『緊急の場合は』、『ジェラシック・パーク』、『アンドロメダ病原体』
マイケル・クライトン
『大鴉』 E・A・ポー
『10月はたそがれの国』 レイ・ブラッドベリ
『J・ハバクック・ジェフソンの証言』 アーサー・コナン・ドイル
『シンデレラの罠』 セバスチアン・ジャプリゾ
『たんぽぽ娘』 ロバート・F・ヤング
アルフレッド・ヒッチコック監督作品:
『舞台恐怖症』、『私は告白する』、『汚名』、『断崖』、『めまい』、『疑惑の影』、『フレンジー』、『ダイヤルMを廻せ!』、『サイコ』、『ロープ』、『裏窓』、『第3逃亡者』、『救命艇』、『鳥』、『知りすぎていた男』、『暗殺者の家』、『スミス夫妻』、『見知らぬ乗客』、『北北西に進路を取れ』
ドラマ:『刑事コロンボ』
絵本:『あのね、サンタの国ではね…』 嘉納淳子作 黒井健絵
読んでいない本や映画が沢山ありますわ(恥)。
小西さんは全部読んで、見ているのですね。すごいわぁ。
「刑事コロンボ」は見ていたけど、「CAT」が出てきたかどうか、記憶がないです。セリフで「うちのネコが」って言っていたら、猫の名がネコってわからないわよね。
今回も全く謎を解けませんでした。すずちゃんだけわかったかな。
楓が岩田先生と四季のどちらを選ぶのか、思わせぶりで終わっています。
私はどうでもいいのですが、楓のどっちつかずが嫌ですわ。いい加減に決めろよと言いたい。
とにかくおじいちゃんが長生きしてくれれば、それでいいです。
三作目でまた「まどふき先生」に会えるのを楽しみにしています。
フィンランドの本 ― 2023/08/09
ミックス犬の兄を飼い始めてから早11年。ということは、11年も海外に行っていないということです。
コロナも終わりそうなので、来年あたりにどこか海外に行ってみたいと思い始めました。
それにこれ以上年を取ると、行くのが億劫になりそうですもの、笑。
どこがいいかというと、ミステリ小説で興味を持った北欧かな。
マリメッコや、そうそう今日、ムーミンの日(原作者トーベ・ヤンソンの誕生日)ですが、ムーミンで有名なフィンランドなんかよさそうということで、フィンランドについて書かれた文庫本などを読んでみました。
まずは可愛い題名の本から。

稲垣美晴 『フィンランド語は猫の言葉』
ミハルは芸大の学生だったときにフィンランドの美術史が面白そうだと思い、卒論を書くためにフィンランドのヘルシンキ大学に入学することにする。
無事ヘルシンキ大学の「フィンランド語と文化」という科に入り、フィンランドの国民的英雄、アクセリ・ガッレン=カッレラについての卒論を書くが、それだけでは終わらないのがミハル。
結局、なんだかんだと合わせて三年間もヘルシンキ大学で学び、フィンランド語をものにしてしまったのだ。
稲垣さんは1952年生まれ。ということは、この本に書かれているのは1970年代のフィンランドです。そんなに昔のことだと思わずに読んでしまいました。
読んでいると英語でさえもまともにできない自分が恥ずかしくなりました。
フィンランド語ってウラル語族フィン・ウゴル語派のフィン・ペルム諸語の1言語だと言われても、ちんぷんかんぷんですわ。エストニア語と似ているそうですが、エストニア語も知りません。
とにかく今のようにフィンランドについての情報もそれほどない時代に、フィンランドンに行ってしまったミハルの行動力と好奇心に感心してしまいます。
フィンランド語ってどんな言語なのかと関心がある人が読むといいかも。

芹澤桂 『ほんとはかわいくないフィンランド』
『やっぱりかわいくないフィンランド』
『意地でも旅するフィンランド』
『それでもしあわせフィンランド』
『やっぱりかわいくないフィンランド』
『意地でも旅するフィンランド』
『それでもしあわせフィンランド』
最初の本が出版されたのが2020年ですから、現代のフィンランドについてのお話です。
芹澤さんは旅行好きのフィンランド人と結婚し、フィンランドのヘルシンキに住んでいます。
一冊目の『ほんとはかわいくないフィンランド』には軽い気持ちでヘルシンキに住み始めてから第一子を妊娠・出産したことが書かれています。
フィンランドでは産まれる間際の兆候が出るまで入院させてくれないのですね。
『やっぱりかわいくないフィンランド』では、医療関係が日本とは大違いで、もし住むことになったら心配です。なんのことのない風邪さえもすぐに診てもらえる日本が特殊なんでしょうかね?
お子さんの保育園事情に驚きました。フィンランドでも保育園探しが大変なんですねぇ。
『意地でも旅するフィンランド』では旦那さんの旅好きには驚かされました。それに付き合う妻もすごいですね。
私、昔山登りをしていましたが、今、キャンプは絶対にいやですわ。
『それでもしあわせフィンランド』では会社員になった芹澤さんの会社の様子などが描かれています。
実際に住んでみたフィンランドのあれこれは読むと面白いのですが、住んでみたいかと問われると…。
あとは図書館で『デザインあふれる森の国 フィンランドへ』、『大自然とカラフルな街 アイスランドへ』、『わたしの北欧案内 ストックホルムとヘルシンキ』など(題名を忘れてしまいました)のガイドブックを5、6冊借り、パラっと見て、フィンランドから船でスウェーデンやエストニアのタリンに行けることがわかりました。
YouTubeでは「北欧のおうち時間」で北欧の家が、「北欧暮らし」では夫婦二人暮らしの様子が垣間見られます。
他にもあるので、探して見てみるのもいいかも。
さて、私の北欧旅行は実現できるでしょうか。
西加奈子 『くもをさがす』 ― 2023/05/27

2021年、コロナ禍の中、カナダのバンクーバーで暮らしていた西さんは、足に大量の赤い斑点ができ、クリニックに電話をします。
写真を送ると帯状疱疹ではないかと言われ、対面の診察では蜘蛛か何かに噛まれたのではないかと言われます。
実はこの頃、西さんは胸のしこりが気になっていました。
思い切って医師にそのことを告げると、その場で三週間後の超音波検査とマンモグラフィ、そしてその一ヶ月半後の針生検を予約できました。
結果は浸潤性乳管がんでした。
たいていの人は言葉やシステムがわからない外国で治療を受けるよりも日本でと思うでしょうが、コロナ禍では戻るに戻れません。
西さんはカナダで治療を受けることになりますが、治療が軌道に乗るまで、様々な困難に遭遇します。
例えば、がんセンターから電話がかかってくると言われたのに、かかってこない。
吐き気止めの薬をいつ飲んだらいいのかわからない。
薬が薬局に届いていない。
白血球を増やす注射を自宅で自分で打たなければならない。
両方の乳房を切除したというのに、手術は日帰り。
しかし幸運なことに西さんには頼りになる知人と友人たちがいました。
看護婦たちは皆優しく、驚くほどのケアをしてくれました。
カナダでは看護師と患者は対等な関係です。
「カナコ。がん患者やからって、喜びを奪われるべきやない」
「あなたの体のボスは、あなたやねんから」
彼女たちはそう言って必要な時には手を差し伸べてくれます。
西さんも書いていますが、「日本では家族のことは家族だけでなんとかしないといけない、という考えが、私たちの心身にしみついている」ため、人に頼ることをよしとしません。
もし私ががんになったら、たぶん人には頼らずに、家族だけで頑張るでしょう。
家族には仕事があるからと、一人で病院まで行って検査や治療に耐えるでしょう。
ご飯のことなんかできそうもないから、コンビニ弁当にでもなるのだろうなぁ…etc.。
でも西さんの場合は違いました。
電話で埒が明かない時は知人が代わりに電話をしてくれました。
Meal Trainというものがあり、西さんのがんがわかってから手術を終えた後まで、半年も友人たちが毎日順番にご飯を届けてくれました。
病院に行くときには、付き添ってくれる人がいました。
カナダで皆西さんのようなサポートが得られるわけではないでしょうね。
「私は人に頼るのが得意な方だ」といえる彼女のような人だからこそ医師や看護師などと温かい交流ができ、友人たちからのサポートが得られたんじゃないかしら。
人に頼れない私じゃダメだわねぇ…。
この本は闘病記ではありますが、日本とカナダの文化論でもあります。
「日本人には情があり、カナダ人には愛がある」
と西さんは書いています。どちらがいい、悪いではないですが、カナダに暮らすとストレスが少ないかもしれませんね。
実は私、関西弁があまり好きではないのですが、西さんの書いているカナダ人医療従事者たちの関西弁には愛を感じました。(もちろんカナダ人が関西弁を話すわけがないですが)
実際は大変だったのでしょうが、書いてあるように、何事もよい面を見て、前向きに、パワフルに、明るく生きて行けたらいいなぁと思いました。
西さん、お体に気をつけて、執筆を続けて下さいね。
そうそうタイレノールってそんなに万能な薬なのでしょうか?
カナダ人、飲み過ぎよ、笑。
<今日のわんこ>

パパが部屋の移動を始めたので、わんこたちは興味津々で見ていました。

とにかく物が多すぎです。
断捨離をしなければ…。
サエタカ 『ワンコ17歳―老いゆく愛犬と暮らしたかけがえのない日々』 ― 2023/05/07

サエタカさんが新聞の投稿を見て芝系雑種犬を貰って来てからワンコが15歳の老犬になりました。
そんな頃に「Twitter#秘密結社老犬倶楽部」というハッシュタグを見つけ、自分もやってみようと思い、Twitterを始めました。
この本はTwitterを始めてからワンコが17歳11ヶ月で亡くなるまでの生活を描いています。
犬を飼ったことのない人はわからないでしょうねぇ。なんで犬ごときにこんなに夢中になるのだと思うでしょう。
とにかく可愛いいんです。子どもと比べたら怒られるでしょうが、あえて比べますと、同じように可愛いいんです。
犬は永遠の三歳児と言いますからね。
サエタカさんは犬が高齢になってできないことが増えていくごとに、可愛いも増えていくと言っています。わかるわぁ。
犬の介護もこの可愛いの気持ちでやっていけるんですね。
うちのわんこは今年で11歳と9歳になります。
もう立派なシニア犬です。
10歳を超えた頃からだんだんと、いつお別れの時が来るのか、それが気になってしょうがなくなりました。

8月に9歳になるヨーキーの弟。
抱かれるのが大嫌いで、遊ぶのが大好き。

6月に11歳になるミックス犬の兄。
この頃、朝から夕方まではママと一緒にいたい甘ったれでツンデレ性格。

コロナ禍が終わったので、これから沢山思い出作りをしようと思います。
「にっこり、ほっこり、ちょっとほろり。老犬介護は大変だけどやさしい気持ちにもなれるー。」
そんな本です。
読んだら少し、これから来る老犬介護が楽しみになりました。
<今日のおやつ>

甥にもらったよしやのバームクーヘンと夫が欲しいといったゆべし。
バームクーヘン、美味しかったです。よしやってバームクーヘンの専門店なんですね。
群ようこ 『たりる生活』 ― 2023/01/31

群さんのエッセイ集。他のエッセイ集を読んだかどうか記憶にありませんが、彼女の本では「パンとスープとネコ日和」シリーズが好きです。
2020年以降続きが発売されていないので、そろそろお願いしますね。
どうしてこのエッセイ集を読んだかというと、引越のお話だったからです。
私は今まで10回以上も引越しをしています。
この頃、引越の虫が騒ぎ出しています。
今の場所は大きい公園が近くにないので、次は大きい公園のそばに住み、犬たちと公園でまったりしたいのです。
群さんは賃貸物件にずっと住んでいるそうです。
前のマンションには27年(だったかな?)も住んでいたそうで、すごいですね。飽きっぽい私には無理ですわ(恥)。
飼い猫が亡くなり、前期高齢者(群さんは1954年生まれ)の仲間入りをし、友だちの弟さんが五十四歳で亡くなった後の騒動のことを聞いて、自分の行く末のことを考え、今のマンションは広すぎるので、断捨離をしてもっと狭いところに引越そうと思ったのです。
本が多くて、なかなか捨てられないというのは、よくわかります。
私も昔は引越屋さんに本が多いと言われました。引越屋さんは重いので本が嫌でしょうね。
この頃はもう一度読みたくなったら図書館で借りればいいと思うようにし、単行本はできるだけ図書館で借り、文庫本はkindleにし、紙の本はなるべく買わないようにしています。
本が溜まらなくなったのはいいのですが、その代わりに食器や洋服が溜まっています。
群さんは気にいった物件に出会い、一応断捨離をしてから引越をすることになるのですが、それでも段ボールが130個もあったそうです。(多いのかどうか、私にはわかりませんが)
引越した先でも物を捨てています、笑。
捨てられないというのは、人間の性なのかしら?
わが家では親が亡くなり、屋根裏部屋に沢山物が残されていたので、業者に頼み全部捨てることになりました。
私の時もそうなりそうなので、できるだけ物は減らしたいとは思います。
そうは思いながら、捨てようと思う物を見て、これってどうやって捨てるのかと迷うことが多々あります。
迷うと面倒なので、そのままにしておくという無限ループにはまってますwww。
そこでふと思いました。
捨てられない人は処分にかかるお金と手間賃を残しておけばいいんじゃないかしら。
いくらかかるのかしら?
引越してから1年経ち、やっと床に物を置かないで済む部屋になった群さん。
余計なお世話ですが、落ち着いてから、また物が増えるのではないかと心配です。
私ならそうなりますが、群さんは大丈夫よね。
そこのところがどうなったのか、次のエッセイ集に書いていただけるとありがたいです。
<今週のおやつ>
おやつはなるべく買わないようにしていますが、ついつい美味しそうなのを見ると買ってしまいます。

2022年度トレンドグルメ2位(1位というところもある)のカヌレです。

冷凍なので、外側のカリカリ感があまりありませんでした。
上にチョコのかかっていない方が好みです。
北大路公子 『お墓、どうしてます? キミコの巣ごもりぐるぐる日記』 ― 2023/01/12

久しぶりの北大路さんです。
前に読んだ本では雪かきとビールしか印象に残っていませんでしたww。
今回は彼女のお墓探しかと思って読んでみたら、びっくり。
あのお父様が亡くなっていたのです。
ご冥福をお祈りいたします。
というわけで、お墓はキミコさんのではなくて、お父様のなのです。
キミコさんによると、墓を買うという連載にしようと思って、何故か仁徳天皇陵とかの有名な墓地を巡り、「人にとっても墓の意味や死後の身の振り方を考え」ようと思っていたら…2020年2月、コロナがやって来ちゃいました。
残念ながら、どこにも行かずに北海道で考えなければならなくなります。
しかしキミコさんですから、お墓のことを真剣に考えるわけがない(失礼)。
成り行きで市営墓地の抽選に当たってしまい、三年以内に墓石を建てなければならなくなります。
なのになかなか動かないのは流石キミコさん。
お墓どころではなく、お父様が何もしないで亡くなってしまったので、彼の会社の後片付けまでしなければならないなんて、可哀想に…。
でもそれもなかなか進まないのはキミコさんの性格か。
相変わらず変わらないのは、雪との格闘です。
私は高校まで北海道にいましたが、雪かきをしたことがありません(ゴメン)。
知らなかったのですが、雪かきをするスノーダンプ(と言う名前だというのも知らなかった)のことを「ママさんダンプ」って北海道で言うんですって。
商品名にもなっていますね。
私が北海道で暮らしている時は「ママさんダンプ」なんて言っていなかったような気がします。
いつから言い出したのでしょうね。
そうそうこの頃北海道も暑くなり、父の葬儀の時に私は大汗をかいていました。
お年寄りあるあるで、本の中でキミコさんのお母様が8月だというのにフリースの割烹着を着てたりして、大丈夫かぁと言いたくなりました。
クーラーがないのは当たり前だったのですが、今はどうなんでしょうね。
かわいい猫さんが家族になるという微笑ましお話もありましたが、結局最後までお墓は建っていません。
一体どうなるのかしら…。
そのうちお父様の遺骨は人知れずどこかに埋められてしまうか、粉骨されて、知らないうちに撒かれていたりして…なんてことはなくて、次の本が出る頃にはきっとお父様のお墓が建っていることでしょう。たぶんね(笑)。
いせひでこ 『グレイのものがたり』 ― 2022/12/21

画家で絵本作家でもあるいせひでこさんがスケッチとエッセイで綴った、シベリアンハスキーのグレイといせさん家族のお話です。
『グレイが待ってるから』と『気分はおすわりの日』、『グレイのしっぽ』の三冊の合本です。
絵描き(いせさん)が友人からハスキーの子犬が生まれたからもらってくれないかと言われ、見に行ってすぐに決めたのがこの子。
名は子どもの大きい方のM(姉)が決めた。
人にそれぞれ個性があるように、犬にも個性がある。
グレイにもグレイの個性がある。
「甘えん坊なのか気が強いのか、おく病なのか、繊細なようで楽天的で、人のふところ具合も考えないでよく食い日ごとにふくれんでいく大きな存在」
そんなグレイにおびえはじめた絵描きさんは道で声をかけてくれた夫人から訓練士をつけた方がいいと言われ、訓練士に来てもらうことにする。
よくあることだが、訓練士の言うことはきくけど、家族のは…笑。
ところがある日、散歩の途中で突然グレイは吐き、倒れそうになる。
てんかんの発作だ。
それからグレイは三週間周期で発作に悩まされるようになる。
やっと薬で抑えることができるようになると、今度は紫外線アレルギーになる。
食欲がすごくなり、以前のグレイはいずこ…。
「食べてねてグレイはドアストッパーになった」(笑)
家は絵描きがチェロを弾くので、音楽に溢れている。
グレイが好きなのはバッハのゴルドベルク変奏曲。(犬のわりにいい趣味しているね)
グレイが四歳になり、一年以上も発作がなかったので安心していたら、絵描きが出かけるという日の夜に大きな発作を起こす。
絵描きはグレイのために引越す。
1戸建ての庭付きでアトリエが一階にあり、いつでも庭にいるグレイが見える家。
ところが引越した後すぐにグレイはまた倒れてしまう。
脾臓が異常に腫れ、肝臓も…。
グレイは退院し、少しずつ元気になっていくが…。
「私とグレイは、フラトレス(兄弟)で、お互いのタブラ・サラ(空白)をうめるために、なくてはならない相手だった」
そう自分とグレイのことを語る絵描きの気持ちが痛いほどわかります。
大型犬は小型犬ほど長生きをしないとはいいますが、二歳でてんかんを発症し、五歳でこの世を去ってしまうなんて…。
「時の観念も死への不安も、ヒトが作り出したものにすぎないから、イヌは臨終かもしれない今日を平気なカオして生きていられるのです」
こう獣医が言ったそうです。
私もいつかみえない犬と暮らし始めるだろう。
その日まで、一日一日を大事に犬と暮らしていきたいと強く思った。
小堀鴎一郎・養老孟司 『死を受け入れること 生と死をめぐる対話』 ― 2021/07/18
この本はそれほど生と死については語っていません。
どちらかと言えば、二人の辿った人生について語っていると言った方がいいようです。

小堀さんと養老さんは学校は違いますが、それぞれ1938年、1937年生まれなので同級生です。
小堀さんは森鴎外の孫に当たり、鴎外の娘・杏奴の子です。
小・中学校と自由な教育をすることで有名な成城学園で学びます。
成城学園には試験も成績表もなかったそうです。(今はどうなのかしら?)
中学校三年の時に大秀才の同級生に「医者ほど立派な職業はない」と勧められたから医者になることにしたそうです。
戸山高校から東大を目指すことにしたのですが、いかんせん試験に慣れていません。そのため受験に失敗し他の私立高校に入学し、戸山高校へ編入学をすることにします。一年の時はダメで、二年の時に編入学できました。
しかし当時戸山高校は毎年100人ぐらいが東大に入るような進学校だったので、本人曰く、落ちこぼれてしまい、浪人します。
浪人二年目に東大に合格しますが、医学部に入るためにまた一年浪人したそうです。結構苦労したのですね。東大医学部にそこまでこだわったのは何故なのか?
外科医として食道癌を専門にし、東大医学部付属病院、国立国際医療研究センター病院に勤務し、定年退職後、埼玉県新座市の堀之内病院に赴任し現在に至っています。堀之内病院でのことは、映画「人生をしまう時」を観てください。
養老孟司さんは4歳の時に父親が亡くなり、医者だった母親に育てられます。
小学校四年生から虫取りに夢中になり、それからずっと続けているそうです。
カトリックの修道会であるイエズス会が運営する栄光学園中学校・高等学校で学び、ストレートで東大に入学し、医学部に進み卒業します。
彼が医学部に行ったのは、農家に生まれ、婿をとらされて家業を継ぐのが嫌で、家を飛び出し医者になった母親が、手に職を持った方がいい、医者になったほうがいいと言ったからだそうです。
でもインターン中に三回医療事故を起こしかけ、人って簡単に死ぬんだと怖く思い、医者に向いていないことを悟り、解剖学の道に進んだそうです。
虫取りも解剖も一人でやるので、自分は組織には向かないと言っています。
57歳で退官し、それ以来ハッピーだそうです。
二人で東大の思い出を語っています。
養老さんは昆虫のことを勉強したかったのですが、東大の農学部にあったのは「害虫学」で、虫を見れば害虫と思えというようなところだったそうです。
医学部には変った先生が多かったようです。
例えば、ある教官が「ここから(東大病院)紹介できるのは天国しかない」とか信じられないような傲慢な発言をしたり、東大病院の重みを過大評価して、命が軽く扱われるようなことがあったそうです。
女医も歓迎されていなく、ソ連の医者の半数が女子であるから、ソ連の医療は程度が低いという先生もいたとのこと。
東大に女子学生が少ないのは、東大が女性にあまり向かないからという面があると養老さんは言っていますが、今も変っていないのかしら?
80歳を越している二人ですが、健康診断もせず(小堀さんは医師の義務としての最低限の検査のみ)、病院にも行っていないそうです。健康なのですね。
養老さんによると、ホスピスに勤めている女医さんが、ホスピスで一番元気そうにしているのは、その日その日を楽しんで生きている人だと言っていたそうです。
その人たちにとっては今しかないんだから。死ぬことを考えても仕方がない。今日一日どうやって暮らすかを楽しんでいる。要するに、それが生きているということだと。
「人生は遊び半分でいい」というのが彼の言葉です。
小堀さんは「死を怖れず、死にあこがれず」と言っています。
二人共に自分の好きな仕事をして、社会的に認められているからこそ、人生に悔いはないと言えるんでしょうね。
本の中に出てきた茨木のり子の詩「さくら」を載せておきます。
さくら
ことしも生きて
さくらを見ています
ひとは生涯に
何回ぐらいさくらをみるのかしら
ものごころつくのが十歳ぐらいなら
どんなに多くても七十回ぐらい
三十回 四十回のひともざら
なんという少なさだろう
もっともっと多く見るような気がするのは
祖先の視覚も
まぎれこみ重なりあい霞だつせいでしょう
あでやかとも妖しとも不気味とも
据えかねる花のいろ
さくらふぶきの下を
ふららと歩けば
一瞬
名僧のごとくにわかるのです
死こそ常態
生はいとしき蜃気楼と
「死こそ常態 生はいとしき蜃気楼」とは深い言葉です。
若い頃は「自分の感受性ぐらい」や「わたしが一番きれいだったとき」が好きでしたが、老いを感じるこの頃は73歳で書いたといわれる「倚(よ)りかからずに」が心を打ちます。
倚(よ)りかからずに
もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ
「倚りかかるとすれば それは 椅子のせもたれだけ」とはなんと潔いことか。
茨木さんは夫が亡くなった49歳の頃から独り暮らしをしていました。
79歳の時、親戚の人が訪ねてきて、亡くなっている茨木さんを発見。遺書は死ぬ前から用意されていたそうです。
望むらくは、彼女のような死を。
死を選べなくても、自分の望みだけは前もって告げておこうと思います。
後は委ねるだけですよね。どうなることやら。
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