クリスマスの歌・絵本・映画2020/12/04

早いもので、もう12月です。
今年は特に何をしたということがなく、過ぎていきました。
来年はワクチンと治療薬ができ、普通の暮らしができるようになるといいのですが。
そういう期待を込めて、年末は少し派手に(?)行事をしてみましょうか。

クリスチャンではないのですが、まずはクリスマス。
新しいクリスマス・アルバムを買います。
イギリスでMichael Ball & Alfie Boeのクリスマス・アルバム「Together 
At Christmas」がBTSを抜いてチャート1位だそうです。


YouTubeに色々とアップされていたので、興味のある方は聞いてみてください。
オーソドックスな、しっとりした大人のクリスマスソングです。
アルフィーの声がマイケルよりも大きくて迫力がありますけど(笑)。

Michael Ball, Alfie Boe - Together At Christmas Medley
                                   O Holy Night
                                   Silent Night 
                                  
アマゾンでCDを頼みました。
    
  
甥に昨年双子が生まれたので、リクエストされたクリスマス・ツリーと私の趣味の絵本をプレゼントすることにしました。


まだ一歳には早いですが、買ってしまったので、送ります。
小学校低学年までの子ども向けですね。
一番のお勧めは『とのさまサンタ』です。お殿様がクリスマスのことを知り、家来達にプレゼントを用意させ、サンタになって配るという話で、意外性があって子どもに大うけします。
『サンタクロースと50ぴきのトナカイ』は太ってしまったサンタさんとトナカイさんがダイエットをするというのが可愛いです。
『100にんのサンタクロース』は子どもと一緒に100人いるのか数えてみるといいでしょう。色んなサンタさんがいますよ。
他にもいいクリスマスのお話がありますが、今年はこの5冊にしました。



映画は『サンタクロースになった少年』です。
何年か前までクリスマスが近付くと、『ホーム・アローン』や『シザーハンズ』を見ていたのですが、今年はこの映画を観てみました。

クリスマスの夜に家族を失った少年・ニコラスが、村の家族と1年ごとに暮らすことになります。
6年目になり、早霜が畑を覆いつくし、湖から魚が消え、誰もニコラスを引き取れる状態ではありませんでした。
家具職人で子ども嫌いのイーサッキがニコラスの器用さを見込んで、引き取ってくれることになります。
ニコラスは一生懸命働き、夜にはお世話になった村の子ども達のために玩具を作り、クリスマスイブの夜に村の家の前にプレゼントを置いていこうとします。
それを知ったイーサッキも手伝ってくれるようになります。
次のクリスマスの日、他の家族の元へ行こうとしたニコラスにイーサッキはこれからも一緒に暮らしていこうと言います。
それから何年か経ち、老いたイーサッキは実の息子と暮らすと告げ、ニコラスに実の息子のように愛していた、家と貯めた全財産をニコラスに譲ると言って去っていきます。
ニコラスはイーサッキの財産を使い、子ども達に玩具を送ることを生涯の仕事とすることにします。

フィンランド語の響きがいいですね。
82分と短い映画ですが、フィンランドの冬の厳しさがよくわかります。
特に湖が神秘的で、湖は死んだ両親と妹のお墓でもあるんですね。
まあ、大人だと色々と言いたくもなることがあるかもしれませんが、フィンランドのお伽噺だと思って観てください。

クリスマスツリーでも飾ろうかと思ったら、夫から拒否されました。
小さいツリーでも買って、こっそりと飾っておこうかしら・笑。

ドキュメンタリー「おかえり お母さん」&『いつか来る死』2020/11/30

ぼけますから、よろしくお願いいたします。」のその後を描いたのが、「おかえり お母さん その後の「ぼけますから、よろしくお願いいたします。」」です。

アルツハイマー型認知症になった信友直子さんのお母様は、2018年10月、食事中に脳梗塞で倒れました。
お父様は片道1時間かかる道を歩いて病院に通いました。
リハビリに励む妻を見て、自分が介護しようと思ったお父様は体力作りを始めます。
彼は98歳。それより若い私でさえ筋トレなんかやっていません(恥)。
その上、娘の直子さんが「一緒に介護しようか」と尋ねると、「働けるうちは働いていいよ。わしが介護します」と言うんです。

残念ながらお母様は脳梗塞を再発してしまいます。
寝たきりになる可能性がでてきたため、療養型の病院に移ることになり、その合間に家に一度連れ帰ります。
お母様は家に帰ったことがわかるのか、泣いていました。

お母様がまた病院に入院して、お父様は一人暮らしを続けます。
99歳になったというのに、お風呂の残り湯を使い洗濯物を手で洗っています。
腰が曲がっていますが、身体は丈夫なのですね。
なんで全自動洗濯機を買ってあげないのかと、また思ってしまいました。
洗濯機の置く場所がないからかしら?

今年の3月から病院は面会禁止になり、その頃からお母様は少しずつ弱っていきました。亡くなる間近に面会が許され、お父様は毎日お母様の手を握り続けました。
6月、お母様はお亡くなりになりました。91歳でした。
私には羨ましい最期でした。

11月にお父様は百歳になり、市長からお祝い金をもらい、とっても嬉しそうにしています。120歳までは生きるそうです。

本当にお父様はすごい人です。百歳になってもしっかりしています。
120歳と言わず、もっと長生きしてください。
お父様にエールを送りたくなるドキュメンタリーでした。



小堀鴎一郎さんは映画「人生をしまう時間」に出ていた医師です。
糸井さんとの対談が主な本です。
表紙の写真は小堀さんの家の庭のようです。彼の両親(鴎外の娘・小堀杏奴と画家の小堀四郎)の家の跡に家を建てたそうです。
出てくる写真は彼の家で写したそうで、鬱蒼とした木々の生えた広大な敷地のように思えます。家を維持していくために仕事を続けていると言っていますが、冗談ではなく本当なんでしょうね。

糸井さんも若いと思っていたら、もう72歳だそうで、そろそろ死を考えるお年頃ですね。だからこの本を作ったのでしょうね。
彼は性格でしょうか、明るいお葬式を考えています。それだけ人との繋がりを大事にしてきたのでしょうね。
彼の楽観的な死生観と小堀さんの理性的な死生観とが混ざり合って、重すぎない死を語る本になっています。

本の中の心に残った言葉。

「ちゃんと生きてない人は、ちゃんと死ねないんですよ」
「人は生きてきたようにしか死ねませんからね」

「「死に目に会えないのは親不孝者」といった考えは思考停止の一つです」

「本人の希望を叶えても、叶えられなくても、残された家族は何かしら後悔するんです。ああしてあげればよかった、こうしてあげればよかった、と思い続ける。それは仕方のないことで、時間をかけて納得していくしかないんでしょうね」

これらはすべて小堀さんの言葉です。
在宅医療医として400人以上を看取ってきた82歳の人の言葉は、厳しさと優しさのあるものだと思います。

重松清 『希望の地図3.11から始まる物語』2020/10/12

2011年3月11日14時46分18秒、あなたはどこにいて、何をしていましたか。

私は職場で働いていました。
揺れがいつもより長く続いているなと思っていました。
その後、しばらくして、職場の人に東日本の方が地震で甚大な被害を受けているようだと聞き、みんなでテレビを見ました。
東京では地下鉄が止まったようですが、すぐに動くと思っていました。
しかし帰宅時間になっても地下鉄は動きません。
バスが動いていることがわかったので、近くのバス停からどのJR駅まで行けるか、そしてそのJR駅から家の近くまで行くバスが出ていないかを調べました。
バスは遅れてきましたがJR駅まで行けました。
JR駅前は混み合っていて、どのバスも大幅に遅れていました。
バスには何本か乗れず、7時頃にようやく乗れました。
運転手さんは、運賃を払わなくていいですからとにかく乗ってくださいと言っていました。
私は終点で降り、30分ぐらい歩きました。
降りた周辺は何回も家から歩いて来ていたので、迷わずにすみました。
途中で通りかかったホテルの人にトイレが使えますからどうぞと言われ、トイレをお借りしました。
夕食を作る気がしなかったので、スーパーに寄りましたが、すぐに食べられるパンもラーメンも何もありませんでした。
マンションのエレベーターはありがたいことに動いていて、電気もガスも使えました。(この時は20階以上に住んでいたので、エレベーターが動いていなかったら階段で上らなければなりませんでした)
家の中は何も被害がありませんでした。
温かい飲み物を飲み、やっとホッとしました。
夫は職場で夜を明かすことになりました。
この後の原発事故のことは、この時は思いもよりませんでした。


2011年9月、光司は中学受験に失敗し、入学した中学校でいじめに遭い、不登校になっていました。
光司の父親はフリーライターをしている友人の田村章とひさしぶりに会って飲んだ時に、息子のことを話しました。
そうすると、田村は次の日曜日に光司を秋葉原まで連れてくるようにといいます。
東日本大震災の取材をしていて、その取材の様子を見せたいのだというのです。

それから光司は田村に連れられて、被災地を回る旅へと出ることになります。
「「希望」だけでは被災地を語れないし、「絶望」だけでも語れない」。
田村は光司に被災地の「希望」の面を見せていきます。

訪れた場所は、宮古、陸前高田、釜石、大船渡、仙台、気仙沼、南三陸、いわき、南相馬、飯舘・・・。
取材した先は、『写真救済プロジェクト』や『りんごラジオ』、石巻日日新聞、『アクアマリンふくしま』、『被災地からの声』、「希望学」プロジェクト、『スパリゾートハワイアンズ』、『浄土ヶ浜パークホテル』、『復興ダコの会』、岩手県北自動車、『ケセン語訳 新約聖書』、株式会社阿部長商店、大正大学のボランティアたち、『青空コンビニ』・・・。

被災地を回るたびに光司の心に少しずつ変化が起こってきます。

田村はこう言っています。
誰もが胸の奥に、「希望をたくわえる器」が備わっていると。

「希望とは目的地ではなく、歩くことそのものの中にあるのだ。先は長い。休んでも、歩くのをやめるわけにはいかない。希望の大きなかたまりを一つ拾って器が満杯になるなら話は早い。でも、たった一つの希望でしか満たされない世の中というのは、なんだか怖くないだろうか?
小さな希望でいい。その代わり、感動やよろこびや涙や微笑みなどに姿を変えているはずの希望のかけらを、たくさん。さまざまな色や形のものを、こまめに」

人が生きていけるのは、「希望」があるから、胸の奥に「希望の器」があるからこそ、生きていけるのです。

重松さんは実際に被災地に赴き、この本を書いています。
ルポにしないで、田村と光司たちに被災地を語らせているのは、彼の何らかの思惑(照れ?)が働いているのでしょうね。

あれから9年が経ち、いつの間にか被災地のことはあまり報道されなくなりました。
実際に被災地がどうなっているのか、興味を持って探さないと知ることはできません(知らないのは私だけ?)。
コロナ禍の現在、国の支援の遅さや考えの浅い(?)政策が色々批判されていますが、東日本大震災の頃から何も変わっていないようです。
例えば雇用調整助成金。申し込みの手続きが複雑をきわめ、支給は四ヶ月後だったそうです。
何やら近頃同じようなことを聞いたような感じですよねぇ。
もっとスピーディに支援ができるようにならないのでしょうか。
何かあっても省察せずにすぐに忘れてしまう、そのことが怖いです。
コロナのことも、終わると忘れ去られてしまうんでしょうね。
そしてまた同じことを繰り返すのでしょうか。

この本で一番心に残ったのは、次の言葉です。

<ぼくらは、世界に対して無力さを感じることに負けてはいけない>

コロンバイン高校銃乱射事件を起こした少年の友人であるブルックス・ブラウンが言った言葉らしいです。(参考文献がなかったので、違っていたら教えてください)
まだまだ今までの日常は戻ってきませんが、希望を持って生きていきましょう。

ブレイディみかこ 『花の命はノー・フューチャー』2020/09/07

絶版だったものが再度出版という運びになったようです。
本屋大賞受賞のよい影響ですね。15年ぐらい前に書かれた本のようです。


イギリスのブライトンというと、港町で避暑地の落ち着いた街なんじゃないかと思っていました。
彼女によると超高級住宅街あり、億ション街あり、貧民街あり、定年後の老人たちがフラットを買ったり、老人ホームにはいったりする、何でもありの街。
浜辺にはトレンディなナイトクラブがあり、ゲイ人口が多い街なのだそうです。
そんな街でトラック運転手の夫と共に暮らしている、みかこさんのパンクな生活が描かれているのが、この本です。

パンクって何?と思う方がいるでしょうね。
パンクは元々「パンク・ロックを中心にしたサブカルチャー」なのだそうです。
パンク・ロックというと、私でも知っているのがセックス・ピストルズです。
彼らが「No Future(god save the queen)」という歌を歌っていますので、どんなもんか聞いてみてくださいませ。
パンクって個人の自由を重んじる、反体制的な生き方かなっと私なりに思っていますが、違っていたらすみません。

アガサ・レーズンの本を読んでいて、イギリスの中年女性の恋愛に対する積極性にびっくりしています。
日本女性と言っても若い女性限定ですが、昔「イエロー・キャブ」と呼ばれていたことがありますよね。
みかこさんによると、イギリス人女性は地中海及びエーゲ海沿岸のリゾート地で「イージー」キャブとしてその名をとどろかせているそうです。
彼女たちは小麦色で黒髪に黒い瞳のラテン系・アラブ系に弱いそうです。
この(みかこさん名付ける)「ホワイト・キャブ」たちは、若くない方もいるのだとか。
その中には英国の夫と子供を捨て、移住し、結婚する人もいるのだそう。
少なくとも日本女性、それも40過ぎ、が金髪碧眼やブラックに夢中になって、今までの生活を捨てて逃避行などという話は聞いたことがありませんね。(私だけ?)
本に出てくる、40歳でトルコに遊びに行き、トルコ人の男性と恋に落ち、英国での結婚生活を精算して、トルコに移住した女性があっぱれです。
彼女曰く、「他人に何と言われようと幸福になったもん勝ちよね」
「日本も英国も、男がつまんないからだと思うわ」。
このバイタリティ、見習いたいですわ。

男と女のことを書いたので、ついでに書いておきます。
「love」は英国ではそれほど深い意味で使われていないようです。
平気で初めて会った人にも、「Thanks, love」って使うそう。
このloveの名詞形、おばあさんが使うかと思ったら、そうでもなく、若い男性も使うことがあるようです。
「I love you.」なんか、親兄弟間で平気で言ってますよね。
英国で異性に「love」と呼びかけられても、「I love you.」とか言われてもそんなに喜べないようです。
じゃあ、どの言葉を英国限定ですが、異性に言われたらいいのかというと、
「I fancy you」。
動詞の「fancy」って英国ではそういう意味だったのね。
まあ、これから私が英国に行って、素敵な男性とそういうことにはなりそうもありませんから、知っていても役に立たない言葉ですけど・・・。

題名の「ノー・フューチャー」ですが、未来がないということは希望がないということで、希望がない未来なんで生きる甲斐がないじゃないかと思う人がいるでしょう。
しかし、みかこさんはこう言っています。

「生きる甲斐がなくても生きているからこそ、人間ってのは偉いんじゃないだろうか。最後には各人が自業自得の十字架にかかって惨死するだけの人生。それを知っていながら、そこに一日一日近付いていることを知っていながら、それでも酒を飲んだり、エルヴィスで腰を振ったりしながら生きようとするからこそ、人間の生には意味がある。そういう意味だったら、わたしもまだ信じられる気がする」

コロナ禍の今、未来が全く見えません。
自暴自棄ならず、時には羽目を外して、私の人生、ノー・フューチャーと叫びながらもささやかに暮らしていく。
そんな人生、世捨て人のおばさんには良さそうです(笑)。

北大路公子 『いやよいやよも旅のうち』2020/09/04



抱腹絶倒の旅行記です。
北大路さんは北海道に暮らすエッセイストです。(小説も書いているかしら?)
前に読んだ本で垣間見られた日常生活が、雪かき→ビール→雪かき→ビールの繰り返しでしたね(笑)。
面白いお父さんがいらっしゃいましたが、この本によるとお亡くなりになられたようです。
ご冥福をお祈りいたします。

今回、北大路さんは無理矢理旅行に行かされています。
ビールを飲んで、ぐーたらするのが生きがいの北大路さんですから、わざわざ旅行には行きたくないはず。
編集者の「元祖K嬢」のおかげで、地元札幌→山梨→岩手→三重→香川→沖縄と無理矢理(?)引きずられていきます。
「元祖K嬢」は本当は普通の人なのでしょうが、北大路さんが書くと「鬼」のような人になっていますわ。

旅行に行けば、誰もがしたいこと、行きたいところがありますよね。
北大路さんにはないのです。しいていえば風呂に入ってビールを飲んでテレビを見るぐらいかしら(笑)。
旅行の計画はすべて「元祖K嬢」が立てます。
北大路さんは何をするか知らずに参加。
いつも旅行に行く時に手配やらなんたらかんたら、すべてやらなければならない私には羨ましいんですけどぉ。
それなのに、旅行嫌いの北大路さんは「いやだ!いやだ!」の大盤振る舞い。
いいじゃないですか、犬ぞりやアルパカ飼育体験なんて、一度は私も経験したいです。
え!「サソリ姿揚げ」、「コガネムシ姿揚げ」・・・いやです。
富士急ハイランドの『ドドンパ』、お化け屋敷ですとぉ・・・ぜ、ぜったぁ~いにいやです。
共感するところ10%、別にいいじゃない90%かな?
人それぞれですからねぇ、自転車に乗るのが不得意だったり、水に濡れるのがいやだったり、長く歩くのが苦手だったりするのは。

何かをするたびにこんなに様々な言い回しができるのかと感心しきりです。
普通の観光地が輝いて見えました。
さすが北大路さんですねぇ。私が行った時はこんなに面白くなかったですわ。

彼女の自虐と妄想に付き合える方、どうぞ読んで笑ってください。

木宮条太郎 『水族館ガール7』2020/08/17



前巻でイルカのルンが出産をしました。
水族館では出産後も気を抜かず、「緊迫の三日、警戒の七日、魔の十日」といい、この間は赤ちゃんを二十四時間ウオッチをするようです。

そろそろ十日が過ぎようという時に、ルンが病気になってしまいます。
そのためルンと赤ちゃんは別々のプールに入れられ、離ればなれになってしまいます。
由香は人工のイルカミルクを与える係になりますが、結構大変です。
自分たちでイルカミルクを作らなければならないし、授乳の間隔が短く、気を抜く暇はありません。
ルンに赤ちゃんを託されたと思った由香は、赤ちゃんのために不眠不休で頑張ろうとしますが、チーフに諭されます。
由香の仕事はイルカ担当として全体を統轄すること、感情に溺れず、冷静かつ客観的に周りを見ろと。

離されたルンと赤ちゃんんは淋しそうです。
なんとかして2匹を対面させるために、由香はあることを思いつきます。

今回も色々と学ばせてもらいました。
私が知らないだけかもしれませんけど、イルカは共同哺育をすることがあり、保母イルカって珍しくないこと。
イルカも人も、母性は自動的にできあがるものではなく、時間をかけて、作り上げていくものだということ。
赤潮や漂流ゴミのことなど、他にもありますが、とにかく生き物に関わると色々なことが見えてくるのですね。

由香と梶も幸せになりそうです。
こういう本だから恋愛模様も描かなければならないのかもしれませんが、私にしたらどうでもよくて、かわいいイルカたちと会えればいいわ。
ニッコリーには心配させられましたけど。
表紙に惑わされず、読んでみると面白いシリーズです。
次回、イルカビーチがどうなるのか、早く読みたいです。

綾瀬まる 『まだ温かい鍋を抱いておやすみ』2020/08/15

兄犬がトリミングに行ってきました。
ペットクリニックにトリマーさんが来てやっています。
いつもトリミングをしてくれていたトリマーさんがお店を辞めたので、この際、年なので何かあった時のことを考えて、ペットクリニック内でやってもらうことにしました。


耳がいつもより短くなっています。


これぞ折り紙で折る犬、みたいな形の顔ですね。
幼く見えますが、8歳(人間で50歳)のおっさんです(笑)。



6篇の物語。
コミュ障の鳥を体に抱く女。
ウザい家族のいる、初恋の彼の枝豆パンを食べ続ける女。
子育てと家事、仕事でいっぱいいっぱいな平凡な女たち。
夫が鬱で休職中の、浮気をする女。
友人が難病で死にそうな、人の心に鈍感な男。
子を亡くし、生きる気力を失った女。

どの人も知ってか知らずか、心が苦しくてもがいています。
食べることは生きること。
誰かが作ってくれる食べ物が体に心に働きかけて、少しずつ人を癒やしていきます。
それがちんけなラブホのピザであろうが、夫に作らせるパンであろうが、料理人が作る料理であろうが・・・。

「苦しい時間を耐えていく人の食卓に豊かさを作りたい」

そんな気持ちで毎日のご飯を作っていけたらいいですね。
毎日、毎日作り続けていると、献立を考えるのが嫌になります。
せっかく作ったのに、美味しくなさそうに食べられるとね。
私も誰かに作ってもらいたいんですけど(笑)。

長岡弘樹 『119』2020/06/10



電話で119は消防や救急の時の番号ですね。
短編ミステリーの主人公は架空の町、和佐見消防署漆間分署の消防士たちです。
他にも消防士を描いた本を読んだことがあるので、その本の続きかと思ってしまいました(恥)。
長岡さんですから一筋縄ではいかないので、種あかしの時はちょっと頭を使わなければなりません。
メダカのように考えてもわからないことはありませんでしたけど。
登場人物たちの性格が偏っています。
『教場』の時もそうでしたから、長岡さんの持ち味ですかね。

消防士たちは毎日訓練をかかしません。
人の命と自分の命の両方を守らなければなりませんから。
仕事のない日でも色々と目を配って歩いているようです。
自殺しそうな人を見つけ声をかけたり、火災が起こりそうな時は注意しに行ったり、私生活はないに等しいですね。
その上、人命救助に行った際には救助する人に笑顔で接する、なんて私にはできませんわ。
過酷な仕事です。
仕事上で挫折し自殺する人もいますが、あまり公になっていませんね。
人の命を守る仕事をしているせいか、思い直す人も他の職業よりも多いらしいですけど。

へぇ~と思ったのは、「電話機についているボタンを押さなくても、番号に相当する周波数の音を受話器に聞かせてやれば、プッシュボタンをかけることができる」ということです。知りませんでした。
普通の人には無理でしょうけど、オペラ歌手なんかは誰でもできるのでしょうか?

使えそうなのが、一番最初の「石を拾う女」に出てくる研修です。
じぶんの大切なものを10個10枚の紙にひとつずつ書いていきます。
書いてから一番優先順位の低い物を選び出し、ぐしゃっと丸めて捨てます。
これを繰り返していきます。
この時に自分がどう感じたかが大事。
ちなみに講師の方はこう言っています。

「これが、生きるということです。生きるということは、裏を返せば、死に近づいていくという意味です。そして、人が死んでいくというのは、いまのように一つずつ大切なものを失っていく過程だということです」(p.9)

大切なものが10個もあるかしら?
やりたいことを100個書こうとして挫折したけれど。
後でやってみます。

村上春樹 『猫を棄てる 父親について語るとき』2020/05/07



久しぶりの村上春樹です。
彼がノーベル文学賞を狙っているというのが出回ってから、あまり読んでいません。彼の小説がノーベル賞に値するかどうかは・・・。

この本は小説ではなく、彼が父親について語るというものです。
村上さんとお父さんはあまり仲の良い親子ではなかったらしく、お父さんから生い立ちや戦争中のこととかの話を聞いたことがないそうです。
大人になってからも親しく交流していたわけではなくて、そんな親子がいても何の問題があるわけはなく、私の中ではそうなのねで終わっています(笑)。
そんな訳で、お父様のことが淡々と書いてあって、物足りなく感じました。
まあ、それが村上さんのテイストなのですが。

今の関心は、村上さんがこのコロナの時代をどう書いてくれるのかということです。彼だけではなく、物書きの方々がどうこれから描くのか、楽しみです。

この頃、楽しみに読んでいるのが、辻仁成さんのエッセイです。
帝京大学が提供するDesign Storiesの中の「JINSEI STORIES」でパリで感じたこと、息子さんとのこと、日本のことなど色々と書いています。
今のパリで暮らすことは大変でしょうが、息子さんのためにコロナに感染しないように頑張っている姿がうかがえます。
まあ、世の中色々な親子がいるもんですからね。

明けましておめでとうございます2020/01/01



「明けましておめでとうございます ワン」

弟に獅子舞の格好をさせたら、何故かマントが横にずれます。


おやつで釣らないと、なかなか二匹は近づいてくれません。


兄の獅子舞バーションではこんな感じに距離があります。
耳が邪魔になって獅子の頭が見えないので、獅子舞マントは今年で終わりにしますわ。


今年のお節です。
某デパートに頼みました。
夫には洋風の方がよかったかも。

さて、昨年読んだ本の中で、私なりに面白かった本を紹介していきましょう。
大分忘れていたので、ブログを見返してみて選んだので、そんなに大したことないかもしれませんが(笑)。

<シリーズ>
・樋口有介の柚木草介シリーズ
・丸山正樹のデフ・ヴォイズ・シリーズ
<日本文学>
・原田ひ香 『ランチ酒』
・砥上裕將 『線は、僕を描く』
 ライトノベルのお仕事本 例えば『これは経費では落ちません』とか『水族館
 ガール』みたいな本多数。
<外国文学>
・ロバート・クレイス 『約束』、『指名手配』
・ロバート・ペイリー 『ザ・プロフェッサー』
<期待している日本人作家>
・若竹七海、中山七里、米澤穂信
<ノン・フィクション>
・宮下洋一 『安楽死を遂げるまで』、『安楽死を遂げた日本人』
<漫画>
・『ゆりあ先生の赤い糸』、『歌うたいの黒うさぎ』、『監察医朝顔』
 まだ続いているシリーズでは『コウノドリ』、『舞妓さんのまかないさん』、
 『病室で念仏を唱えないでください』、『あおざくら防衛大学校物語』、
 『おうちで死にたい』、『おじさまと猫』、『賢者の学びの舎』など多数。

今年は9月から忙しく、11月からは咳で記憶が飛んでいますが、それなりに面白かったことは確かなようです(たぶん)。

今年も本を読み続けていきます。
美術展には最低でも月一回は行きたいです。
映画もあまり見ていませんが、仕事をこれから週0~2日に抑えるつもりなので、もっと見ることができると思います。
バレエもたまに見に行きたいですね。
犬がいるので宿泊をともなう旅行はあまり行けませんが、犬連れでいい所があれば行きたいです。
とにかく世の中にある美しいものを貪欲に見ていきたいです。

健康面では昨年前半は膝が痛く、後半からは週5の仕事をしたため疲れが出て咳が続き、あまり外出できなかったので、仕事をセーブし、ほどよく出歩き、ほどよく休み、体調を整えていきたいと思います。

今年が皆様にとって穏やかでしあわせな一年になりますよう 
心よりお祈り申し上げます。
今年もよろしくお願いいたします。