田辺聖子 『残花亭日暦』2006/08/03

お久しぶりのオセイさんの本です。
大学時代に彼女の本を読みあさった覚えがあります。
ちょうどその頃仲の良かった男の子に紹介すると、「駄目だ、合わない」と言われてしまい、なんで彼女の本の良さ、小説に出てくる女の子のかわいらしさが分からないのだと憤慨したものです。
大阪弁は大嫌いだったのに、ちょっぴり好きになったのも、彼女の本のおかげでした。
椎名さんと同じように、長い間会わなかった友だちに会う感じです。

この本は彼女の日記です。
超多忙な毎日の様子がかいま見られます。
しかし、びっくりしました。あのカモカのおっちゃんが車椅子生活を余儀なくされ、その後入院、そして亡くなってしまうのです。
死にそうなおっちゃんのことを思いながら、オセイさんは思うのです。

<かわいそう>と思ってくれる人間を持ってるのが人間の幸福だって。<愛してる>より、<かわいそう>のほうが、人間の感情の中で、いちばん巨(おお)きく、重く、貴重だ。

おっちゃんの死後、さすがオセイさん、こうつぶやくのです。「人生はだましだまし、もっていくべし」 なかなか言えない言葉です。
彼女は「よいことばかり あるように日記」というものを作っているそうです。
厚手の美麗ノートを買って、全ページを二十に分けて二十年日記にして、楽しかった旅行やパーティの写真、押花、スケッチ、観劇のチケットなんかを貼ったり、うれしいことを言われたら、それを書いたりしているそうです。
これはいいかもしれませんね。今5年連用ダイアリーを使っているので、そこにいいことを書くようにすると、運も上がるような気がします。
オセイさんのように、人生を楽しく生きていけそうです。