ヴィルジニ・ブラック 『倒錯の罠』2006/09/09

今回の本はフランスが舞台です。考えてみると、あまりフランス人が主人公のミステリーって無いような気がします。(私が知らないだけでしょうか?)

パリ警察に協力するCIP(精神科医派遣センター・架空の組織です)に勤め始めたヴェラ・カブラルという女性精神科医が主人公です。
彼女は両性具有者で、それについては家族の中で暗黙の了解があります。
彼女の初めての仕事は、ショッピング・センターのお客を道連れに、自殺をしようとした双子の片割れを思いとどまらせることですが、上手く行ったのに、結局彼は刑務所で首をつって死んでしまいます。
次の仕事は、代議士兼市長の妻の自殺を止めるというものでした。
これもうまくいきそうだったのに、何かを見ておびえた彼女は屋根から落ちて死んでしまいます。
三件目の仕事は、自傷行為をする女の子を診るというものでした。
彼女は幼いときに、レイプをされていて、そのことが自傷行為に関係していたのです。
彼女はレイプした近所の男を訴えると言うのですが、無理矢理親に家に連れて行かれ、何物かに殺されてしまいます。
何かこれらの事件に繋がりがあるのか…。
事件を捜査しているトマ・スダン警視に惹かれ始め、初めてヴェラは自分の性と向き合うことになります。
しかし、惹かれながらも、スダンには何か隠し事がありそうで、事件に関係しているようにも思え、ヴェラは事件を探っていきます。
真実に近づいた彼女に、危険が迫ってきます。

ヴェラの大家族の一人一人が個性的で、行動がハチャメチャです。
彼女の医者にあるまじき軌道を脱した行動もおもしろいですよ。
性倒錯の世界が書かれていて、ちょっと気持ち悪いですがね。
フランスでは3作目まで出ているそうです。次回作が楽しみです。