五島誠二 『殺人病院』2006/09/15

まったく正反対な医者の本とテレビ番組を見ました。

本の題名はズバリ『殺人病院』。儲けしか考えていない病院や、人の命をあずかっているという自覚のない医者や看護師がこれでもかというように出てきます。
 例えば、癌でもないのに、よく検査もせず、乳房切除手術を勧める医師。手術代で儲けるために、必要でもないのに、帝王切開を強要する医師。埃のついた注射針を患者に刺す看護師。治療費を割り増しして、架空請求する病院などなど。
私たちは医師や病院を信じて医療行為を受けています。しかし、何割かの数少ない(と思いたい)心ない医師や看護師、病院経営者のおかげで、安心して私たちの命をあずけられないという現状があります。患者側も、もっと勉強して、利口になっていい医療行為を受けられるようにしなくてはなりませんね。

こういう本を読んだ後に、いやいや医者にだってこういう人がいると、希望を持てるようになるテレビ番組を見ました。「プロフェッショナル」です。旭川赤十字病院の脳外科医、上山博康医師が出ていました。
ゴッドハンドと言われている、アメリカ在住の福島孝徳医師が、もし手術を受けるとしたら、この人にという人です。彼の姿を見れば、どこのおじさん、といいたくなるほどです。通勤には紙袋を持っているのですよ。
彼は、患者は自分の命をかけているのだから、医師も覚悟を持って言い切ると言います。弁護士には手術をすれば大丈夫ですとは言わないようにと言われたけれど、彼は自分の医師というプライドをかけて、言い切るのです。このような覚悟で患者を診ている医師がどれぐらいいるのでしょうか?
彼は言います。プロフェッショナルとは、「過去を通した生きざまで、自分を好きでいられる生きざまを貫くこと」
昨日も書きましたが、人は理想と現実のギャップに悩みます。でも、何とかそのギャップを埋めようと努力していくのです。この努力を止めると、人は堕落していくように思います。
なんとも対照的な本と番組でした。