レベッカ・ブラウン 『家庭の医学』2006/10/23

『体の贈り物』を書いたアメリカの作家レベッカ・ブラウンが母親の入院から最期までを描いた本です。
本の各章はおもしろいことに、医学用語です。「貧血」、「薄暮睡眠」、「転移」、「無能力」など。
何でも一人でやる、自立した人であった母親が、体調が悪くなり、貧血であることがわかります。
輸血をするのですが、調べていくと内出血をしていることがわかります。
出血を止める手術で腫瘍が見つかり、その腫瘍はいろいろなところに転移していました。
手術ではもはや全部取ることができません。そのために化学療法を始めます。

治療と治療の間隔は3週間。体重は減り、髪は抜け、吐き気と痛みが襲ってきます。
やがて、化学療法がきいていないことがわかり、母はホスピスに面倒をみてもらうしかないことをレベッカ達兄弟は悟っていくのです。
彼女たちは母親の自宅で母親の面倒をみることにします。
やがて母は幻覚を見るようになり、徐々に食欲が落ちていきます。
そして、母親は最期を迎えるのです。
母親が亡くなってから、兄弟は母の大好きだった場所のひとつの渓谷に行き、遺灰を撒きます。

病院で亡くなるのと、この本のような終末を迎えるのと、どちらがいいかと言われると、この母親のように愛する人たちに看取られたいと誰でも思うでしょうね。
彼女たちはホスピスの看護師の助けを借りて、自分たちのできる限りの看護をします。
日本だと看護する人の大変さなどがもっと前に出た内容になるのでしょうが、この本ではそうはなっていません。
いつも思うのですが、この違いはなんなのでしょうね。

私が密かにやりたいと思っていることが、書かれていました。
それは、遺灰を海に撒くということです。
日本では、お役所の許可を取らないと許されないのかもしれませんが、内緒で是非とも海に撒いてもらいたいと思っています。
相棒に言うと、嫌だといいましたが、そこら辺の鎌倉の海でいいの、というとそれならいいのだそうです。
飛行機と船が苦手なので、嫌なのでしょう。

介護という現代の問題をテーマにした「介護文学の先駆的な一冊」だそうです。
まあ、そんなご大層な本ではないと思います。
肉親の最期を迎えることを見据え、読んでおいていい本ではないでしょうか。

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