「海の上のピアニスト」を観る2007/07/16

1900年、世紀の変わり目に、豪華客船ヴァージニア号のピアノの上に、木箱の中に入れられ捨てられていた赤ちゃんがいました。
彼を拾い、育てたのが黒人機関士でした。
彼はその赤ちゃんを「1900(ナインティーン・ハンドレッド)」と名づけ、かわいがりますが、事故で死んでしまいます。

1900は船底でずっと暮らしていたのですが、ある日、音楽に誘われ、船上に行きます。
そこは夢のような場所でした。
ある夜、ピアノを弾いている1900が見つかります。
彼には、ピアノの才能があったのです。
大人になり、船のバンドでピアノを弾くようになった1900ですが、彼が弾くピアノが有名になり、ジャズ・ピアニストが挑戦しにきたりします。

1900と友だちになるのが、さえないトランペット吹きのマックスです。
初めての船旅に、船酔いをして船上を彷徨っているときに、1900と出会います。
1900はマックスにピアノのストッパーを外し、一緒に椅子に座るようにといいます。
船の揺れと共にワルツを踊るかのように動くピアノと1900の弾くピアノは夢の世界のようです。
国籍も市民権も何もない1900は、船から降りることができません。
彼は乗客が乗り降りするのを見ているだけなのです。
ある日、彼の音楽を録音しているときに、一人の女性に1900は引きつけられます。
録音した音楽は個人的なものだからと言って、契約を破棄し、録音盤をその女性に渡そうと頑張る1900でしたが、きっかけを上手く掴めません。
彼女が船を降りる時にやっと話しかけるのですが、録音盤は渡せませんでした。
1900は録音盤を割って捨ててしまいます。
その後、船を降りることを決心する1900ですが、タラップの中間まで行くのですが、地上には降りることはできませんでした。

それから何年も経ち、マックスは船を降り、自分のトランペットを売りに楽器店に行きます。
最後にトランペットを吹かせてもらっていた時に、店主があの無くなってしまったはずの音楽を流すのです。
マックスがピアノの中に入れた録音盤を、店主は丁寧に直していたのです。
マックスは店主に1900のことを話し始めます。

ヴァージニア号はその使命を終え、ダイナマイトで壊されようとしています。
マックスは1900は必ず船の中にいると思い、彼を救おうとします。
店主から録音盤を借り、船の中でかけ、1900を呼び出します。
1900はいましたが、船から降りようとはしません。
彼は自分には船の上の世界で十分だというのです。
地上はあまりにも大きすぎる。その大きさを考えると、彼は外の世界に踏み出せないのです。

あり得ない物語ですが、これが本当の話かどうかは問題ではなく、一つの"Legend"として考えればいいのでしょう。(英語のタイトルが"THE LEGEND OF 1900"です)

映像と音楽の美しさに圧倒される映画です。