有川 浩 『阪急電車』2008/04/05

有川浩は名前を見ると、男性のようですが、実は1972年生まれの女性です。
この小説は、宝塚市の宝塚駅から西宮市北口駅を経て今津駅を結ぶ、阪急今津線が舞台です。
有川さんが大学時代に住んでいたそうですが、夫のなにげない一言から、このような小説を書くことを思いたったそうです。
調べてみると、宝塚駅から今津駅まで14分と15分という説があるのですが、実際は何分なんでしょうか?
1分ぐらいたいしたことないですが、ちょっと気になりました。
8つ駅があるので、1往復分、16話。
大学生の恋あり、中年女性の悲哀あり、女の執念あり、いじめあり、そして、前に出てきた人同士の出会いもあったりして、どこでどう繋がっていくのか、楽しみです。
日常生活でひょっとしたら起こるかも、と思えることがさらっと描かれています。

特に印象に残った話のひとつが、寝取られ女の話です。
同じ会社でなんとなく仲よくしていた女が、結婚するはずの男を寝取り、妊娠しちゃったというよくある(?)話です。
寝取られた女は、別れる代わりに自分を結婚式に招待するようにと言います。
結婚式の日、彼女は花嫁の色である白いドレスを着ていきます。
周りから見れば、何があったのか一目瞭然。
結婚式を途中で抜け出し、今津線に乗ります。その時にある老女との出会いが…。
自分を裏切った男の結婚式に出るなどということをする女というのも理解できませんでしたが、読んでいるうちになんとなく、彼女の気持ちがわかってきます。
そして、それ以上に彼女が出会った女性の言葉が心に染みます。

どの話もそれぞれに心が温かくなり、勇気を与えられる話です。
ちょっと少女漫画チックかな?