矢口 敦子 『証し』2008/05/22

残念ですが、三冊目でもういいやとなってしまいました。
ヒロインがあまりにも現実ばなれしていて、入っていけません。

お金持ちのアメリカ人と結婚し、その人の遺産で食べている木綿子は、ガンで子宮を取ってから、急に子供を産んでおけばよかったという思いに捕らわれます。
そして思い出したのが、アメリカの貧乏生活の中で売った卵子のことです。
その卵子の一つが無事育ち、赤ちゃんが生まれたはずでした。
アメリカの探偵を雇い、自分の卵子の子を探し始めます。
そして、わかったのが、その子が日本にいるということでした。

彼女が子供に会いに行った日に、その子は一家四人惨殺事件の嫌疑のために事情聴取に来た警察から逃れ、自殺をしてしまいます。
自分の子が殺人などやるはずがない。
そう思った木綿子は真犯人探しに乗り出します。

や~、卵子を売っておいて、自分が子供を産めない身体になったからといって、自分の卵子の子を探そうと思いますか?
その上、自殺したその子の家にまで押しかけるんですよ。
押しかけて、他に真犯人がいるから、探させてくれなどと言って、悲しみにくれる母親を丸め込んでしまうんですよ。
この厚顔さに呆れました。
それだけではなく、本を読み進むにつれ、もっと行動がエキセントリックになっていくんです。
このヒロインというだけで、もう駄目です。
一応最後まで読みましたが、最後まで自分のことしか考えていないヒロインが鼻につきました。
私は子供がそんなに欲しいなどと思わない人なので、自分と違うヒロインに嫌悪感を抱くのでしょうか?