狂言 「子盗人」、能 「碇潜」を観る2008/05/18

「子盗人」は前に紹介しましたので、省略します。
博奕打ちが盗みに入って、赤ちゃんを見たとたんに笑顔になって、あやし始める。そのところから、本当はいい人なのがわかりますね。

「碇潜(いかりかづき)」は、『平家物語』に由来するものです。
平家一門にゆかりのある都の僧が、一門が滅んだ長門の国へとやってきて、早鞆裏で老人の船に乗せてもらいます。
この船を繰っていた老人から壇ノ浦の軍物語りを聞きますが、語り終えると老人は自分は平家一門の幽霊だと名乗り、菩提を弔って欲しいと頼みながら姿を消します。
僧が一門の跡を弔っていると、海中から一艘の大船が浮かび出て、中から箏の音が・・・。
船中には安徳帝と二位尼、大納言局、平知盛が乗っていました。
知盛は、安徳天皇入水のさまを物語り、長刀を振るって奮戦した様子、碇を戴いて海底に沈んで行った最期の様を見せます。(写真は平知盛の像)

なかなか能は難しいですね。面白さを知るまで時間がかかるかもしれません。
ミュージカルとかバレエとかを観に行った方がわかりやすくてよさそうです。

矢口敦子 『家族の行方』2008/05/19

矢口敦子さんの本は、近くの書店に行くと積んであったので、試しに読んでみました。
若い作者かと思ったら、さにあらず。
1953年生まれで、北海道函館出身の方でした。
心臓病で小学五年生から就学猶予になったそうで、病気が彼女の作品に影響を与えているようだと、後書きに書いてありました。
一見ミステリーのようですが、読んでいくと、深いものがあります。

推理作家の有村靖子は、知り合いの編集者から、黒部美保子と会って欲しいといわれます。
靖子は持ち前の推理力を駆使したために、編集者に霊能者だと勘違いされていたのです。
美保子には、いなくなった息子、高瀬明を捜して欲しいと頼まれます。
断ろうとしたのですが、たまたま側にいた靖子の息子の勇起が余計な口出しをしたために、引き受けざるえなくなりました。
息子の意図がわからないまま、靖子は勇起と共に明の行方を捜し始めます。
始めは勇起の行方を捜すだけだったのですが、はからずしも自分たち親子の関係を見直すよい機会になっていきます。

これ以上書くと、ネタバレになるので書きませんが、よくある二番煎じかな、と思って読んでいました。
失踪者を探すミステリーってよくありますよね。
例えば、佐藤正午の『ジャンプ』とか。
ところが、違うんですよ。一筋縄でいかないところが、矢口さんのすごいところです。
本当のところはどうなの?と思えるところもありましたが、次の作品も読みたくなりました。

矢口敦子 『償い』2008/05/20

『家族の行方』を読んで、もっと読みたいと思い、次は『償い』を読んでみました。
『家族の行方』よりもこっちの方がお勧めですが、出てくる人が私にとっては不思議な人たちです。
何か妙なこだわりがあるというか、なんでこんなこと気にするんだろうという感じです。

主人公の日高は、元脳外科医。
大学病院に勤めていて、教授の娘と結婚し、順調にいくと教授になれるはずでした。
しかし、義父が早くに死んでしまい、大学病院での地位はおぼつかなくなり、そのために一層仕事に熱中し、家庭をおろそかにしてきました。
心配な患者がいた時に、妻が電話をかけてきます。
息子の様子がおかしいから、すぐに帰ってきて欲しいというのです。
日高は妻の要求をはねつけてしまい、結局息子は助かりませんでした。
息子のことがあってすぐに、はじめて執刀医として手術をし、使ったヒト乾燥硬膜に問題がありヤコブ病なってしまったKさんが亡くなります。
そして、その次の日に、他の医師が型違いの血液を輸血した責任を取らされ、大学病院を止めさせられます。
日高が妻に大学病院を首になったことを言うと、妻は十三階から飛び降りてしまいます。
それから日高はホームレスとして、彷徨います。

日高は埼玉県光市に辿り着きます。
その町で、医学生だったときに、男の子を助けたことがありました。
ある日、日高は火災の第一発見者となります。
この時に知り合ったのが、刑事一課の山岸徹男です。
山岸は日高に警察の犬になるように勧めます。
その頃光市に殺人事件がいくつか起きていました。
日高は何故かそれらの事件が気にかかって仕方がありません。
図書館でいろいろと調べているときに、自分がかつて助けた男の子と再会します。
今は高校生になっているその子は、人の悲しみを感じるという、不思議な力を持っているようです。
調べていくうちに、自分が助けた子が殺人を犯しているのではないかと、日高は疑い始めます。
その子を助けなければ、事件は起こらなかったのでは・・・。
自分が執刀しなければ、Kさんは後でヤコブ病にかかって苦しむことがなかったのでは・・・。
自分が家に帰っていれば、息子は助かったのでは・・・。
日高はそう思って苦しみます。
でもね、そんなこと思ったって、人間には限界というものがあります。
なんでもわかるわけがないしね。
わかると思う方が、傲慢ですよね。
途中から日高の悩みがわからなくなりました。
「ここからは神の領域」というものが人生にはあるように思うのです。
そのことをいくら考えたって、思い至らないものなのです。

日高の立場にどれぐらい感情移入できるかによって、この本の感想が違うと思います。

矢口 敦子 『証し』2008/05/22

残念ですが、三冊目でもういいやとなってしまいました。
ヒロインがあまりにも現実ばなれしていて、入っていけません。

お金持ちのアメリカ人と結婚し、その人の遺産で食べている木綿子は、ガンで子宮を取ってから、急に子供を産んでおけばよかったという思いに捕らわれます。
そして思い出したのが、アメリカの貧乏生活の中で売った卵子のことです。
その卵子の一つが無事育ち、赤ちゃんが生まれたはずでした。
アメリカの探偵を雇い、自分の卵子の子を探し始めます。
そして、わかったのが、その子が日本にいるということでした。

彼女が子供に会いに行った日に、その子は一家四人惨殺事件の嫌疑のために事情聴取に来た警察から逃れ、自殺をしてしまいます。
自分の子が殺人などやるはずがない。
そう思った木綿子は真犯人探しに乗り出します。

や~、卵子を売っておいて、自分が子供を産めない身体になったからといって、自分の卵子の子を探そうと思いますか?
その上、自殺したその子の家にまで押しかけるんですよ。
押しかけて、他に真犯人がいるから、探させてくれなどと言って、悲しみにくれる母親を丸め込んでしまうんですよ。
この厚顔さに呆れました。
それだけではなく、本を読み進むにつれ、もっと行動がエキセントリックになっていくんです。
このヒロインというだけで、もう駄目です。
一応最後まで読みましたが、最後まで自分のことしか考えていないヒロインが鼻につきました。
私は子供がそんなに欲しいなどと思わない人なので、自分と違うヒロインに嫌悪感を抱くのでしょうか?

「ドリームガールズ」を観る2008/05/24

テンポの速い映画です。映画評ではピーコが褒めていました。
もともとはミュージカルというのが、うなずけます。
モデルがシュープリームス。
シュープリームスとは、ダイアナ・ロスがソロになる前にいた女性三人グループ名です。 
「Stop! In the Name of Love (1965)」や「You Can't Hurry Love (1966) 」という歌は誰でも聞いたことがあると思いますが、これらはもともとシュープリームスのヒット曲なのです。
シュープリームスの一員が自伝を書き、それを元にミュージカルが作られ、映画にされたそうなので、脚色をしているとはいえ、ショウビズの裏側が見られる内容です。

<キャスト>
ディーナ・ジョーンズ:ビヨンセ・ノウルズ
ジェームス“サンダー”アーリー: エディ・マーフィ
エフィ・ホワイト:ジェニファー・ハドソン
ローレル・ロビンソン:アニカ・ノニ・ローズ
カーティス・テイラー・ジュニア:ジェイミー・フォックス

1960年代、デトロイト。
ライブハウスでオーデションを行っていました。
ディーナ・エフィ・ローレルの三人からなる「ドリーメッツ」もオーデションに参加しました。
たまたま人気歌手ジミーのバックコーラスの女性が辞め、バックコーラスを探していたプロジューサーのカーティスに目をつけられ、彼女たちは週500ドルで雇われます。
しばらくジミーのバックコーラスをさせていたのですが、白人うけがよいことがわかり、カーティスは三人をデビューさせることにします。
しかし、歌唱力はあるけれど、太って見栄えがよくないエフィーをリードボーカルから外し、美人でスタイルの良いディーナをリードボーカルにします。
このことでエフィは不満を持ち、やがてグループを去っていきます。

映画を観ているときに気がつかなかったのですが、ジミー役がなんとエディ・マーフィーでした。
妻がいるのに、女に手を出し、麻薬に溺れ、身を持ち崩していく姿を熱演していました。

エフィ役は新人だそうですが、歌唱力があります。
でも、見ているとかわいそうになってきました。やっぱり見た目がよくないと・・・。
実際、シュープリームスでもリードボーカルをダイアナに奪われ、アルコール中毒になり32歳で亡くなった人がいるそうです。
エフィ役のジェニファー・ハドソンはアカデミー賞助演女優賞を取ったそうです。
夫は側で見ていて、彼女がグループを首になった時にせつせつと歌う姿を見ながら、「この女、うざい」などと言っていまいた。静かに観てね、笑。

昔、夜中に「ソウル・トレイン」などという番組をやっていたのを思い出しました。懐かしい。
今やソウル・ミュージックやR&Bはなくなり、ブラック・コンテンポラリーと言われているんですよね。
一時期のあの華やぎが、よく描かれています。
白人たちの支配する音楽界に入るために、白人向きに音楽を変え、売れるまでは「家族」だとか言って仲よくやっていても、売れ始めると、エゴが出てきて、やりたい音楽性の違いとか言って亀裂が入り、分裂していく様子もさにありなんですね。
純粋にショウを楽しんでも良いし、私のように在りし日の思い出に浸っても良いし、楽しい映画でした♪

パリ・オペラ座バレエ団 「Le Parc」を観る2008/05/25

久々に渋谷文化村まで行ってきました。
恵比寿には行っても、なかなか渋谷までは行きません。
やっぱり若い人が多く、ゴチャゴチャしています。 
渋谷には舞台を見る以外には、これからも行かないでしょうね。

さて、バレエですが、私にはコンテンポラリーはわかりませんと白状させていただきます。
座席が1階後ろから2番目で、オペラグラスがなければ、私の目(緑内障)では踊り手がはっきりと見えません。
東京バレエ団みたいに、前から二番目とは言いませんが、もっと前の席じゃなければ駄目なようです。
オペラグラスをずっと覗いていると、疲れました。

舞台美術は簡素で、スタイリッシュ。
4人の庭師が出てきて、舞台が始まります。
庭師の場面では現代音楽で、他の場面ではモーツァルトなので、ちょっと異質な感じがしました。
フランス式庭園で行われる、男と女のかけひきのバレエです。
庭で椅子取りゲームをする場面はユーモラスでした。
男と女が互いに相手を観察しているところや、二人になって官能的な踊りをする場面など、ちょっと入り込めなかったです。(座席が後ろすぎだから?)

主演はエミリー・コゼットとニコラ・ル・リッシュ。
次は彼らの古典バレエを観てみたいです。 

自分の好みが何となくわかってきました。
ゴージャズで美しいものが好きなようです。
現実とは違う夢を見に行くのですから・・・。

次回は7月、8月にロイヤルバレエ団とKカンパニーで吉田都さんを観に行きます。
人としても好きな吉田さんの踊り、ずっごく楽しみです。

「ジェイン・オースティンの読書会」を観る2008/05/26

こういう映画大好きです。最後に幸せな気分で帰れる映画は、最高です。

ジェイン・オースティンは1775年にイギリス、ハンプシャー州で牧師夫妻の7番目の子として生まれました。
14歳頃から小説を書き始め、この映画に出てきた『分別と多感』や『自負と偏見』、『マンスフィールド・パーク』、『エマ』、『ノーサンガー僧院』、『説得』を書き、41歳で亡くなりました。
一生独身でした。
彼女の本は特に女性に人気があり、『ブリジット・ジョーンズの日記』(小説も映画もお勧めです)では、ブリジットがBBCでドラマ化された「高慢と偏見」を見ていますし、彼女の小説にヒントを得た人物が出てきます。
オースティンの小説は本当に狭い世界を描いていますが、登場人物の心理描写にはすばらしいものがあります。

脚色・監督:ロビン・スウィコード
<キャスト>
バーナデット:キャシー・ベイカー
ジョスリン:マリア・ベロ
プルーディー:エミリー・ブラント
アレグラ:マギー・グレイス
   グリッグ:ヒュー・ダンシー
シルヴィア:エイミー・ブレネマン

さて、映画ですが、ブリーダーのジョスリンの愛犬が亡くなり、友人たちが慰めに集まってきます。
ジョスリンを励ますために、6回結婚し離婚したバーナテッドが考えついたのが、ジェイン・オースティンの読書会です。
6冊長編小説があるから6人集めようと、仲間を捜し始めます。
ところがシルヴィアの夫のダニエルが他に好きな人ができたからと行って、出て行ってしまい、急きょ読書会はシルヴィアを励ますためにとなります。

メンバーはジョスリンとバーナテッド、シルヴィア、そしてシルヴィアの娘のアレグラと4人までは決まったのですが、後2人必要です。
たまたま行った「オースティン映画祭」でバーナテッドは高校のフランス語教師プルーディーと知り合います。
彼女が5人目です。
最後の一人は、ブリーダー協会の大会に出席したジョスリンが、ホテルで出会ったSFオタク男性でオースティン初心者グリッグです。
それぞれが担当する小説も決まり、一月に一回の読書会の始まり始まり。

ジョスリンは美人なのに、結婚に興味のない(と言っている?)女性です。
グレッグは彼女のことが好きなのを、ジョスリンは知ってか知らずか、シルヴィアとくっつけようとします。
プルーディーは結婚していますが、夫は文学なんか全く興味がない、スポーツ好きの男性。
二人の関係は冷めています。
彼女はなんと生徒に恋しているのです。
大人になれないプルーディーです。
アレグラはゲイで、危険なことが大好き。
ほれっぽいのが玉に瑕。 
スカイダイビングやロッククライミングをしては、事故っています。
夫のことを諦めきれないシルヴィア。
さて、夫とはどうなるのか?

オースティンを読みながら、それぞれが悩み苦しみ、やがて彼女の小説のようなハッピーエンドがやってきます。
こんな読書会やってみたいと思ったのは、私だけではないと思いますよ。
またオースティンを読み返そうと思います。

「パフューム ― ある人殺しの物語」を観る2008/05/27

私って結構勘違いが多い人なんですが、今回の映画もとんでもない勘違いをしておりました。
題名が『パフューム』なので、とっても薫り高い文芸作品だとばかり思っていたら、副題が『ある人殺しの物語』なんですよ。よく見ていなかったわ(恥)。

監督:トム・ティクヴァ<<キャスト>
ジャン=パティスト・グルヌイユ:ベン・ウィショー
リシ:アラン・リックマン
ジョゼッペ・バルディーニ:ダスティン・ホフマン

18世紀のパリ。
貴族は贅沢をして、庶民は底辺の生活をしていた時です。
魚売りの女が、魚を売っているときに子供を産み落とします。
なにげなく産み、すばやくへその緒を切り、子供は魚のはらわたの中に・・・。
どうせ死産だからいいと思ったのでしょうが、ジャン=バティスト・グルヌイユは強かった。
なんと泣き出したのです。
そのため母親は捕らえられ、縛り首になりました。

ジャン=バティストは育児所に引き取られますが、妙に鼻がよいためか、周りの子供達から浮きまくっていました。
そのため13歳で、なめし革職人に売られてしまいます。

ある日、皮をパリの街に配達に行くことになります。
そこで出会った少女の匂いにジャン=パティストは引きつけられます。
少女の後を追っていき、彼女の側にそっと忍びより、匂いをかいでいると、彼に気づいた少女が悲鳴を上げます。
他の人に見つからないようにと、少女の口を塞いだため、あっけなく少女は死んでしまいます。
この少女の匂いを永遠にとどめたい。
ジャン=パティストはその思いに捕らわれます。

チャンスはやってきました。
香水調合師バルディーニの所に皮を配達することになったのです。
ジャン=パティストは弟子にしてくれと頼み、人気の調合師グルヌイユの香水を再現してみせます。
上手くバルディーニに雇われたジャン=パティストは、いろいろな香水を調合し、そのおかげでバルディーニの店は繁盛します。
しかし、ジャン=パティストの一番知りたい、人間の匂いを捉える方法は教えてもらいませんでした。
バルディーニは知らなかったのです。
ジャン=パティストは香水の街グラースへと旅立つことにします。

グラースで脂に香りを移す冷浸法を習得したジャン=パティストは、いよいよ究極の香水作りにのりだします。
そう、若くて美しい娘を殺し、その匂いを集め、最高の香水を作るのです・・・。

後味の悪い映画です。
グロテスク。気持ち悪い。なんとでも言えますね。
とにかく汚らしいもの、着ている汚れた洋服とか汚水まみれの道ばたなどがこれでもかってぐらいに出てきます。
700人以上の人の裸のシーンが話題になったそうですが、それも気持ち悪かったです。
たくさん集まれば、人間も虫も同じです。
不思議なことに、映画を観ていると、錯覚だと思うのですが、2回ぐらい香水の匂いが漂ってきました。
この映画に毒されたのかしら・・・

【蝋燭の灯りによる】狂言 「伯母ヶ酒」、能「通盛」を観る2008/05/31

5月29日(木)に企画公演に行ってきました。
前に観た蝋燭能の国立能楽堂版です。
前から2番目だったので、近すぎて燭台と人の頭が邪魔になってよく見えません。
ついでに、またまた仕事の疲れから眠気が襲ってきました。
恥ずかしながら「能=眠気との戦い」という感じになってきました。
一体いつなら疲れていないのかしら?

「伯母ヶ酒」
シテ(甥) 高澤祐介
アド(伯母) 川路雅義

「通盛」
シテ(漁翁・平通盛)  粟谷能夫
ツレ(女・小宰相局) 内田成信
ワキ(旅僧)  宝生 閑

「伯母ヶ酒」は、酒飲みなら絶対に「そうそう」と言いたくなる狂言ですよ。
伯母さんが酒屋をやっているのに、ケチで一度も酒をふるまわれたことがない甥が、今日こそは酒を飲みたいものだと思って、伯母の所に行きます。
いろいろと言葉巧みに言うのですが、伯母もさるもの。
新酒はまだ売り初めをしていないから出せないと、断ります。
頭に来た甥は、そういえばこの頃鬼が出るということだけれど、この辺はどう?などと言って、伯母を心配させます。
そうして、鬼のお面をかぶり、伯母の家に・・・。
怖がる伯母を脅し、今後は甥に酒を振る舞うようにと、わけのわからないことを約束させ、酒蔵に行き、酒を飲み始めます。
いい気になり、飲み続け、ついにはお面を取ってしまい、寝てしまいます。
その姿を見た伯母は・・・。
こんな甥がいて、いつもやってきては酒を飲まれたりすると、商売になりませんよね。

問題の「通盛」ですが、半分寝ていたので、よくわかっていません。
が、とりあえず内容を書いてみますね。

阿波の鳴門で一夏を送っていた僧が、この浦で亡くなった平家一門のため読経していました。
そこへ一人の漁翁と海女が現れます。
彼らにこの浦で亡くなった人たちのことを尋ねると、彼らは平通盛の妻の小宰相の局が夫の討死を知らされ、悲しみの余り入水したことを物語り、波間に消えていきます。
平通盛と小宰相局のために読経をしていると、夫妻が在りし日の姿で現れ、一ノ谷の合戦前夜の悲しい別れと最後の有様を語ります。
やがて二人は、僧の弔いにより成仏し、消え失せていきます。
悲しい話だったんですね。

教訓:能は体調万全の時に行こう。