ランス・アームストロング 『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』2008/06/30

またまた私の勘違いの話。
題名を「マイヨ・ジョーヌ」ではなく、ダイバーの「ジャック・マイヨール」と思っていました。ハハハ・・・。
出版されたときに話題になっていましたが、読んでいませんでした。
今度文庫本になったので読むことにしましたが、久しぶりにいい本に出会いました。

著者のランス・アームストロングは1971年アメリカ・テキサス生まれの自転車選手。
彼が他の選手と違うところは、25歳の時に睾丸癌にかかり、癌が肺や脳に転移。
生存率3%という驚くべき数字にもかかわらず、癌から生還し、その後ツール・ド・フランスで七連覇という偉業を達成したということです。
彼は「癌は僕の人生に起こった最良のことだ」と言い切っています。
この本は彼の成長の記録です。
彼の言うように、癌にかかる前とかかった後では彼の人生は変わっています。

ランスは父親を知らずに育ちます。
そのため母親とは大の仲良し。
アメリカではマイナーな自転車の選手になって、賞金をかせぎますが、勢いで走っているだけで、頭を使わず、辛抱という言葉はないも同然でした。
これからという時に癌にかかってしまうのですが、いい医師との出会いもあり、癌と闘う決意をし、癌に勝ちます。

これだけを見ると、スーパーマンみたいなすごい人なのだと思いますが、本の中の彼は、私たちと同じ普通の人です。
素直に自分のことを書いています。
もし身内に癌を患っている人がいたら、参考になることがたくさんあると思います。
例えば癌を克服してから、どう生きたらいいのか、方向を見失ってしまうところなどは、なかなかわからないことだと思います。
癌からの再生は、肉体の回復だけの問題ではないのです。
そう「心と魂も回復しなければならない」のです。
癌に関することだけではなく、自転車競技についても知ることのできる本です。
ツール・ド・フランスのことなど、全く知らなかったのですが、本当に過酷なレースだということがわかりました。

最後にランスにある癌患者が書いてきた言葉を載せておきます。

「君はまだわからないだろうけど、僕たちは幸運な人間なんだ」