やっぱり北海道民!2008/09/01

 ウラ県民診断なるものをやってみました。そうしたら結果は・・・。
 「やっぱり、わたし、開放的で好奇心旺盛な、北海道の女性でした」
 つまりませんね。ウラもオモテも北海道民ですか。
 相性のいい男性は東京都の男性。
 夫じゃん。と思って夫に診断をやらせてみると、なんと徳島のタイプだとか。
 なんじゃい、全然合ってないじゃない。


Yahoo!縁結び - ウラ県民性診断 性格から見たウラ県民性は……北海道タイプ
ウラ県民性診断


 だから何?という感じですが、暇ならやってみて下さい。

「海を飛ぶ夢」を観る2008/09/02

「潜水服は蝶の夢を見る」は瞼以外は動かない「閉じ込め症候群」の男性の映画でしたが、「海を飛ぶ夢」は首の骨を折り、四肢麻痺になった男性の話です。

ラモンは19歳の時に船員になり世界の国々をまわっていました。
25歳の時に浜辺の女性に気を取られ、海にダイブしたのが運のつき。
ちょうど引き潮で、海底に頭を打ち付けてしまい、首の骨を折ってしまいます。
この時からベッドに寝たきりの生活を送ることになります。

事故から26年。兄の家族に面倒をみてもらいながら、ラモンは暮らしています。
家族はみな彼のことを大事にし、愛しています。
でも、ラモンは「生きることは権利なのに、私にとって生きることは義務だ」と感じており、尊厳死を望んでいます。

尊厳死を法的に支援する団体のジュネがラモンを助けることになり、弁護士のフリアを連れてラモンの家にやってきます。
フリアは2年前に不治の病、脳血管性痴呆症を宣告されていました。
ラモンとフリアは同じ悩みを持つものとして、いつしか愛し合うことになります。
二人はラモンの本が出版された時に、一緒に旅立とうと約束し合います。

ラモンのことがマスコミで取り上げられ、テレビを見たロサという女性がラモンに会いに来ました。
彼女はラモンが生きる力を与えてくれたと言い、彼に愛を告げ、彼の側にいたいと言います。
しかし、ラモンは本当に愛しているなら、愛している人の望みを尊重するはずだと言います。

フリアは彼との約束を破ってしまいます。
ラモンは思い直したロサの助けを借り、反対する家族を振りきって、自分の思いを全うするのでした。

尊厳死について考えると難しいものがあります。
個人の考えは尊重したいのだけれど、そこに「死」が介在すると、尊重すると言えなくなります。
ラモンの兄は息子ハビに言います。
死ぬと永遠にいなくなるんだと。
父は息子に先に死なれる悲しみを語ります。
兄嫁はラモンの意志を尊重していますが、でも彼に生きていて欲しいと望んでいます。
誰もが彼に生きていて欲しいと思っているのですが、ラモンは死にたいのです。

ラモンと同じ四肢麻痺の牧師とラモンの戦いは見物です。
牧師の言葉の空虚なこと。
兄嫁が「あなたはただやかましいだけ」というセリフには笑ってしまいました。
ロサは押しつけがましくて私は嫌いです。
自分がラモンの家族に受け入れられないことの当てつけに、ラモンの自死の助けをしたようにも思えます。

フリアの症状が進み、ジュネが見舞いに来たのに、彼女のこともラモンのこともわからないフリアには涙が出ました。
痴呆になることはひょっとして本人にとっては救いなのかもしれません。

見る人、一人一人が尊厳死について考えさせられる映画です。

和田竜 『のぼうの城』2008/09/03

あまり歴史小説は読みませんが、『三国志』とか『鬼平犯科帳』などは好きです。
それでもシリーズの半分ぐらいになるとだんだんと飽きてきて、最後は惰性で読んでいました、笑。
男性に歴史物が好きな人が多いのは、戦いの場面があるからですかね。

「のぼう」とは「でくのぼう」を略したものです。

豊臣秀吉は天下統一を目前に控え、小田原城を落城せんとしていました。
石田三成は秀吉から「武州・忍城を討ち、武功を立てよ」との命を受け、忍城までやってきます。
忍城は成田氏長が当主で、北条家に使えていたのですが、この戦いは勝ち目がないと密かに秀吉に使者を送り降伏していました。しかし三成はこれを知らされていませんでした。
氏長が小田原に行くため、忍城はその従兄弟の長親にまかされることになります。
長親は表情の乏しい大男で、農作業が好きで手伝おうとするのですが、不器用なため、農民に迷惑がられています。
がその反面、「のぼう様」と呼ばれ親しまれてもいました。
その長親が、三成の使者正家が甲斐姫を秀吉に差し出すように言った時、「戦いまする」と返事をしてしまうのです。
三成率いる二万超の軍勢に対し、成田側は百姓らを徴発して二千強。
さて、勝ち目のない戦いを、彼らはどう戦おうというのでしょうか。

石田三成の性格がおもしろいですね。
周りが何を言おうが自分の我を通し、わざと相手を怒らせるような使者を送ったり、秀吉のまねをして水攻めをしようとしたり、結構理想主義者で頑固な人です。
対する長親も一筋縄にいかない人です。馬鹿なのか利口なのか最後まで分かりません。
こうと決めたら意地でも動かないという三成にも通じる頑固さがあります。

リーダーとはどういう人がいいのでしょうか。
長親のように頼りにならない(ように見せている?)人の場合、この本のように周りがもり立てて、うまくいく場合もありますが、好かれる人柄でなければダメでしょうし。
三成のように、自分の主義に忠実過ぎるのも・・・。

軽く読める本です。もともとが映画化を前提として書かれた脚本を小説化したものだそうで、そんな感じです。

三冊の江國香織の本2008/09/04

なんとなく8月から江國さんの本を読んでいます。
読んだ順番に紹介しますと、まず2007年に島清恋愛文学賞を取った『がらくた』。
島清(しませ)恋愛文学賞なんて知りませんでした。
この賞は石川県白山市が主催している恋愛小説を対象とした文学賞だそうです。
2006年度は石田衣良が『眠れぬ真珠』で受賞。
高樹のぶ子や坂東眞砂子、小池真理子なども受賞しているようです。
選考委員は現在高樹のぶ子と渡辺淳一、小池真理子の三人です。

『がらくた』はあるリゾート地で一組の母と娘が別の一組の父と娘に出会うところから始まります。
恋愛経験の豊富な45歳の女と15歳の少女との関係と女の夫と知り合うことにより、まだ初恋を知らない少女が大人になっていく過程を描いた、ちょっと不思議な物語です。
『がらくた』とは意味深な題名ですが、あまり好きではありません。

二番目に読んだのは、辻仁成との今で言うコラボで書かれ、映画にもなった『冷静と情熱のあいだ Rosso』です。
まだ辻さんの書いた、男の立場からの本は読んでいませんが、ひとつの恋愛を女の視点と男の視点の両方で書かれたということが新しかったのでしょうね。
イタリアを舞台にした恋愛小説です。
主人公はあおいというイタリアに育った女性。
あおいは順正(映画では竹野内豊だそうです。見てみたいわ)と別れ、日本からイタリアに戻り、新しい生活を営んでいます。
しかし新しい恋人と暮らしていても、順正のことを忘れられません。
二人の間にやり残したことがあるのです。
その心模様を淡々と描いた作品です。
何気ない日常生活の描き方が江國さんらしく、好きです。
読みながら、この前DVDで見た映画「恋人までの距離」とその続編「ビフォア・サンセット」を思い出しました。似てるぅ~。

最後の本が今日読み終わった『こうばしい日々』です。
この本は坪田譲治文学賞を取っています。
アメリカに暮らす11歳の男の子の日常を描いた「こうばしい日々」と思春期の女の子の初恋を描いた「綿菓子」の二編が入っています。
坪田譲治文学賞を取っているので、ジャンルとしては児童文学に入るのでしょうが、三冊の中ではこの本が一番気に入りました。

江國さんの本は読み始めは軽い本だと思っても、読んでいるうちに何故かはまりますね。
家にいるのが無性に好きな、紅茶を飲み(絶対に珈琲ではありません)、怠惰に暮らしている女主人公が結構私と合っているのかもしれません。
あ、私そのものかも。といっても主人公みたいにいい女ではありませんが、怠惰なところがね、笑。

劇団四季 「トロイ戦争は起こらないだろう」を観る2008/09/06

「トロイ戦争は起こらないだろう」はフランス外交官のジャン・ジロドゥが、世界が第二次世界大戦に向かっている時期に作ったそうです。

トロイでは戦争が終わり、平和への期待に満ちていました。
王子エクトールは戦場から愛する妻アンドロマックの元へと帰ってきます。
しかし、帰国してすぐに弟のパリスがギリシャ国王メラネスの妻、エレーヌを誘拐してきてしまったことを知ります。
ギリシャはエレーヌを返さなければ戦いを挑むと言ってきました。
戦争の空しさを知ったエクトールとアンドロマックは戦争を回避しようとし、エレーヌをギリシャに返そうとします。
しかし、美女エレーヌの魅力のとりこになっているパリスや王プリアム達は返すまいとします。

ギリシャからユリスがエレーヌの引き渡し交渉にやってきます。
エクトールと女達の願いは叶うのでしょうか。

「ハムレット」に出ていた俳優が結構でていますね。
ハムレット役の田邊真也がパリスで、オフェーリア役の野村玲子がエレーヌです。
田邊さんはハムレットやパリスなどがはまり役ですが、どうも野村さんのオフェーリアとか絶世の美女エレーヌは無理があるような。(「李香蘭」はもちろん最高ですが)
アンドロマック役の女優さんの方がよかったです。
あ、「南十字星」の保科役阿久津さんががんばっていました。

絶世の美女に囚われた男たち対平和を望む女性たち。
馬鹿だか利口だかわからないエレーヌ対エクトール。
ギリシャのユリス対トロイのエクトール。
これらの人たちの言葉のバトルの展開がおもしろいです。

エクトールの努力もむなしく、最後は戦争へとなだれ込んでいく様子を見ると、人間の愚かしさを思わずにはいられませんでした。

「リトル・ミス・サンシャイン」を観る2008/09/07

「リトル・ミス・サンシャイン」ってアメリカの美少女コンテストのことなんですね。
このコンテストの場面では、吐き気を覚えてしまいました。
女の子の顔が怖い!
大人と同じ化粧をし、顔に張り付いたような笑顔を浮かべているんです。
だからアメリカは日本より幼児ポルノなどが問題になっているんでしょうね。
子供は子供らしく、素のままが美しいと思うのですが。

兄のプルースト研究家フランクが失恋して自殺を図ったという知らせを聞き、シェリルが病院に駆けつけるところから映画が始まります。
フランクがまた自殺を行うかもしれないということで、自宅に連れて帰ります。

フーヴァー家の人たちはみんなそれぞれに変わっています。
家族はバラバラ。
息子のドウェーンはニーチェに傾倒しているため、無言の行をしています。
パイロットになるために空軍士官学校に入るまでしゃべらないんだって。家族を嫌っています。
夫のリチャードは自分で考え出した成功するための9段階プログラムを本にして出版し、講演などをして勝ち組になりたいと思っています。
自分を棚に上げ、負け組はクズだ。勝ち組になれと強制するやな奴です。
おじいちゃんはヘロインを吸ったために老人ホームを追い出された人で、下品で女好きの毒舌家。
でも孫娘が大好きで彼女にダンスを教えています。(彼がこの映画では、いい味出してます)
娘のオリーブはちょっと太り気味のメガネをかけた女の子。
母の妹が美女コンテストに夢中なのに影響されたのか、ビューティ・コンテストが大好きで、自分もコンテストに参加しています。
こんな変わった家族をまとめようと孤軍奮闘しているのがお母さん、シェリルです。

オリーブがカリフォルニアで開かれるビューティ・コンテストに繰り上げ参加出来ることになったことから、珍道中が繰り広げられます。
父親の独自の理論プログラムにお金を使い果たしているので、飛行機でカリフォルニアまで行くお金がありません。
仕方なくポンコツの黄色いミニバスに乗ってカリフォルニアまで行くことになります。
途中でギアがきかなくなり、みんなでバスを押すなんて場面があって、笑ってしまいます。
バスの中でも喧嘩を始める面々。
互いに互いを負け犬と呼び合い、傷つけ合います。
ところがあの元気なじいさんが、隠してあったヘロインを使ったためか死んでしまいます。
せっかくコンテスト会場まで2時間というところまでたどり着いたのに…。

ここでお父さん頑張る!
娘をコンテストに参加させるために、死んだおじいさんをトランクに押し込め、病院をそっと抜け出します。
車中で病院から持ってきた視力検査をやっていたら、ドウェーンが色弱だということがわかります。
パイロットにはなれません。
荒れるドウェーンを見守る家族。
なんとかドウェーンも落ち着き、コンテストに行くのですが…。

オリーブが着た水着はダサイワンピース型。
ダンスはあのおじいちゃんが振り付けをしたのですから、どういうものかおわかりでしょう。
コンテスト会場は混乱の渦に。

父親に勝つならコンテストに連れて行ってやるが、負けるなら行かなくていいと言われ、心配になるオリーブにおじいちゃんが言う言葉がいいです。

「負け犬とは負けるのが怖くて挑戦しない奴のことだ」

人生で永遠に勝ち続けることはできません。
「勝ち」とか「負け」とかは本当にあるんでしょうか。
その人がどう思うかですよね。
「勝ち」とか「負け」とか思わなければ、「勝ち」「負け」はなくなります。
最初はバラバラだった一家が、最後は団結するというところに、ホッとさせられました。

藤原智美 『なぜ、その子供は腕のな絵を描いたのか』2008/09/08

十代の子が親を殺したり、二十代の男性が町で人を刺したりと、昔では考えられない事件が多く起こっています。
こういうことと、子供達に起こっている変化には関係があるのでしょうか。
著者の藤原さんはある教育研究所で奇妙な絵を見ます。
そこにいるのはお受験をする子達だったのですが、ある女の子が自画像で両腕をつけ根部分からない絵を描いていたのです。
それ以外の絵の中にも変な絵がありました。
川が四角だったり丸だったりするのです。
何故こういうことが起こったのでしょうか。
いろいろな文献に当たってみたり、絵画教室の先生に会ってみたりして、原因を探っていきました。
そうしてわかったのは、1985年を境に育児の方法が変わったということです。

それまでは例えば母子健康手帳副読本に母乳などは生後10ヶ月~誕生月のころまでにやめるようにと書いてありました。
しかし、今はいつまでやめなければならないことはないと書いてあるそうです。
添い寝やだっこも、85年以前は赤ちゃんの窒息の危険があるし、抱き癖がつくとその後の育児に苦労すると書かれていますが、今はスキンシップのために奨励されているのです。
「かつては赤ちゃんとの距離を保ち、乳離れをうながす育児だったけれど、八五年以降は赤ちゃんの欲求を満たしてあげることが最重要になった」そうです。

驚いたのが、専業主婦と仕事を持っている母親に「子育ての楽しさ」のアンケートを取ると、常勤の母親の方が子育てが楽しいと言っているのです。
専業主婦なら子供と常に一緒にいられていいと思いますよね。
ところがこの常に一緒にいるということが、ストレスになっているのです。

90年代以降、育児はスキンシップ育児→圧迫育児→密室育児となっていきます。
一見良さそうな母子の密着した育児が、こどもの自立を阻む過保護を引き起こしているのです。
その上、いきすぎた早期教育が子供の成長をアンバランスなものにし、幼いまま成熟させてしまうのです。

当たり前のことですが、母親だけに育児をまかせるのではなく、昔のようにたくさんの人が育児に参加し、子供が子供らしく生きられるような社会が、子供の望ましい成長には必要なのでしょうね。

三浦しをん 『私が語りはじめた彼は』2008/09/09

なんとも不思議な題名です。
田村隆一の詩、「腐刻画」から取ったようです。

さて、真実はいくつあると思いますか?
真実はひとつだと思う人がいたら、この本を読むといいでしょう。

村川と言う初老の男がいました。
彼は特にハンサムでもないのに、何故か女にもてるのです。
もちろん彼には妻子がいます。
彼の勤めている大学に一通の手紙が来ます。
そこには村川が大学院生をたぶらかしていると書いてありました。
そこから話が始まります。

村川の弟子の三崎から愛人の夫、彼の息子、義理の娘、娘の彼氏、そしてふたたび弟子三崎へと、物語の語り手は変わっていきます。
一体村川はどういう男だったのか。
真実はいくつあるのか。
それはひとつとも言えるし、人がいるだけ真実はあるとも言えます。

ちょっとしをんさんらしからぬ、心理小説でありながら、ミステリ小説でもあります。

西丸震哉 『41歳寿命説』2008/09/10

15年ぐらい前に、西丸震哉という食生態学者が、21世紀初めには環境汚染の影響で日本人の平均寿命が大幅に下がるという『41歳寿命説』という本を出したのを思い出しました。
1959年(昭和34年)以降に生まれた人の寿命は41歳になるという説でしたが、41歳というのは当たってはいなくても、少なくとも若くで病気を発症する人の割合が増えているような気がしてなりません。
食生活を見直し、ストレスとどう付き合っていくのかを考えていかなければならないのでしょうが、そうは言っても今のような時代にどこまで対処出来るのでしょうか。
私としては緑内障はどうしようもないので、ストレスを貯めない人付き合いをし、もっと運動をして痩せようと、切実に思っています。

「ザ・ビッグ・ワン」を観る2008/09/11

1997年の製作。
「DOWNSIZE THIS!」という本をランダムハウス出版社から出したムーアが、アメリカの地方都市を本の宣伝と講演ツアーにまわることになります。
といっても、そこはムーアです。
撮影スタッフを手配し、ツアーの様子を映画にしちゃいました。
でもムーアですから、自分の講演やサイン場面だけではありませんよ。
最初から飛ばしてくれます。

なんと彼は大統領候補者たちに100ドル献金しちゃたんです。
R・ドールには「サタン崇拝主義団体」から。
クリントンには「麻薬を育てる会」から。
ブキャナンには「中絶支持クラブ」から。
R・ペローには「ロリコンの会」から。ハ・ハ・ハ・・・。

最初に現金化したのはブキャナンで、R・ペローからは礼状が来たとか。
これでムーアはホワイトハウス出入り禁止かな、笑。

映画の題名、『ザ・ビッグ・ワン』とは、ムーア流の冗談です。
あるラジオ番組で話していたのですが、国名を変えた方がいい。
アメリカ合衆国なんてよくない。
イギリスを見てみろ。Great Britainだ。greatだぞ。
どうせならThe Big Oneがいい。
ついでに憲法の条文も変えよう。「ガッポリ稼いで小さく施せ」。
国鳥のハゲワシなんて誰も見たことないだろう。
娘が言ったんだけれど「ハゲオヤジ」はどうだい。
国歌も変えよう。「We Will Rock You」なんかいいねぇ。
なんて感じです。

彼が今回、問題にしていたのが、大企業がアメリカにある工場を閉鎖して発展途上国に工場を持っていくことでした。
利益をアメリカ国内の労働者に還元せずに、競争力を高めるためなどといいながら、解雇していくやり方に憤慨を表しています。
収益をあげているのに解雇するのは「経済的テロ」である、と彼は言います。

もちろん突撃アポなしインタビューはありますよ。
やりすぎて、警官に逮捕されそうになってました。
特に印象に残ったのは、あの大手スポーツ用品メーカー、ナイキの会長フィリップ・ナイトとのインタビューです。
コマーシャルのイメージとは裏腹に、ナイキは80セントでインドネシアの14歳以上の少女を使って製品を作っているのです。
ムーアはナイトに航空券をプレゼントするから、一緒にインドネシアの工場を見に行こうと誘います。
しかし、ナイトは忙しいからいけないと断ります。
負けずにムーアはナイトに言います。
20万人以上の人を殺した政府に協力してはいけない。
ナイトはどの国でも革命は起こるからいいじゃないかと言います。
アメリカ国内に工場がないことをきくと、アメリカでは製造業は人気がないからという答え。
ではフリント(ムーアの故郷の町)でナイキの製品を作りたいと言う人を500人集めたら、フリントに工場を作ってくれ。集めるから。
本当に集めたら、失業者ならどんな仕事でもするだろう。
ナイトは全く相手にせず、工場を作ることを断りました。

ネットでナイキを調べると、「劣悪な労働環境」とかで批判されているという記事がありました。
私、これからナイキ製品は買わないことにしますわ。
と書かなくても、一足もナイキ持っていませんけどね、笑。

どこまでもムーアらしい映画でした。