「いのちの食べ方」を観る2009/01/18

DVDを貸してくれる人がいたので、「いのちの食べ方(OUR DAILY BREAD)」を観てみました。
監督がオーストリアのニコラウス・ゲイハルターという30代の男性で、ドキュメンタリー映画です。
昨年も餃子事件などいろいろとあり、食に対する不安が増した一年でした。そんな疑問に答えてくれるのが、この映画です。

野菜を作り収穫することや、家畜を育て殺すことが、電気製品を作る工場のベルトコンベアーで行われているのと同じになっていることが驚きでした。
人工授精で産まれ、無機質な部屋の中へ、機械によってぞくぞくと送り込まれ、餌を与えられ、余計なスペースがない部屋で育てられる家畜。
大規模な農場で、機械によって植えられ、飛行機から除草剤が散布され、収穫される作物。
私たちの知らない方法で、私たちの食べるものが生産されているのです。

ダイエットをしようかと伊達式ダイエットの本(『食べてやせる魔法のダイエット』)を拾い読みしたのですが、その中に書いてあったことが、映画を観ながら思い出されました。

「手料理の中にはつくった人の細胞のかけらがスパイスとして入るのです。」
「コンビニなどで買うお惣菜やおにぎりは、衛生面を重視して手袋をはめて調理します。ですから「愛のスパイス」は入らないのです。」
「愛されボディは愛のある食べ物から!」

ちょっと表現が…ですが、でもいいたいことはすごくよくわかります。
無機質な工場からつくられる食べ物を食べることによって、私たちの身体はどうなるのでしょうか。
衛生的には心配がなくても、でも、お百姓さんが愛情を込めて作った作物や牧場主が手をかけて育てた家畜とは、違うと思うのです。
いのちあるものを食べさせていただいているという、そういう思いがなくなっていく気がします。

普通のドキュメンタリーとは違い、ナレーションがはいっていないので、この場面は何?と戸惑うことが多かったのが残念です。(そのためかDVDには冊子がついていたので、その冊子を見ながらひとつひとつ確認しました)
このことに関しては、監督がインタビューで、「先に実際の勤務環境を見せ、その後で何かを想像させるために必要な「間」を持たせようとしています。観客にはただこの世界に飛び込んで、自分なりの受け止め方をしてほしい」と言っています。
語りすぎる「シッコ」のマイケル・ムーアとは違った切り取り方です。
是非観てみてください。