特別展「インカ帝国のルーツ 黄金の都 シカン」2009/10/01

野暮用があったので休暇を取ったついでに、一日ブログ記者をやってみました。
平日なのに上野公園は人が多いです。それも子供が・・・。
今日は10月1日、「都民の日」でした。学校が休みなのです。

「シカン」とはインカ帝国よりも約500年前の10-11世紀、ペルー北海岸のバタングランデ地域にあった都です。
島田泉という考古学者がインカ帝国のものと思われていた、つりあがった目、「アーモンド・アイ」の装飾を持つ金製品はこの地域がルーツではないかという仮説を立てます。
その仮説にもとずき、彼は1991年からロロ神殿東にあった墓の発掘を始めます。
墓からはこの地の支配者と思われる男性4人の遺体と共に、総量1.2tにもなる副葬品が見つかりました。
島田教授はこの文化を「シカン(月の神殿)」と名づけます。

島田教授とシカン文化学術調査団の行った30年間に渡る発掘の様子がこの特別展でみることができます。
展示物はシカンの黄金大仮面やトゥミ(儀式用のナイフ)、金製胸飾り、黄金の御輿など金をふんだんに使ったものや、変った形が彫刻されている土器、ミイラ包み(ファルド)・・・。
私的には魚やカエルの形をした土器がおもしろかったです。何故こんな形の土器を作ったのでしょうか。使いにくそうです。
ミイラはエジプトとは違い胡坐をかいた姿で布で巻かれています。
ミイラもお国によって違うのですね。

今回の目玉は3Dシアターです。たった10分でしたが、発掘の状況や墓の様子がわかりやすく編集されています。
ペルーの自然状況が厳しく、発掘するにも命がけだったり、雨が降りすぎると発掘できなかったりと、発掘も大変なんだなと思いました。
お墓には当時の権力者が入っていたのですが、埋葬の仕方がそれぞれ違います。
何故埋葬の仕方に違いがあるのか解明が待たれます。

結構人が多かったので、初めの方を飛ばして見たのですが、展示品がそれほど多くなかったので、すぐに見終わってしまいました。ゆっくり見るべきでした。
写真も撮ってもいいとのことでしたが、他の方の邪魔になってはいけないと遠慮してしまい、全然いいものが撮れませんでした。
こういう時に小心者は駄目ですね。
とにかく考古学はロマンです。
こういう機会を与えてくださった国立科学博物館のみなさま、ありがとうございました。

そうそう、入り口にあったかわいいアルパカのぬいぐるみはどこで売っていたんでしょう?

「THE ハプスブルク」@ 新国立美術館2009/10/02

金曜日の夜には午後8時までやっているというので、新国立美術館の『THE ハプスブルク』に行ってみることにしました。
夜だからか、まだ始まったばかりだからか、思ったよりも人が少なかったです。
展示数が結構多かったです。
何と言っても有名なのは、「11歳の女帝マリア・テレジア」と「白衣の王女マルガリータ・テレサ」、「オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世」と「「オーストリア皇妃エリザベート」夫婦の絵でしょうか。エリザベートの絵は夫のよりも、ずっと大きかったです。

エリザベートというと、宝塚歌劇団が演じていますね。一度見たいとは思っているのですが、チケットが取れなさそうです。そうそう、マンガ『皇妃エリザベート』(講談社+α文庫)はおもしろいですよ。

絵を見ていてわかったのが、子供の時に男の子も女の子も一緒に女の子の服装をしていたんですね。大人の服を小さくしたものを着ています。さぞ動きずらかったでしょうね。

マリア・テレジアの肖像画を見ると、幼いときから聡明そうな顔をしています。

明治天皇が友好の印としてオーストリアに送った日本の風俗・物語・花鳥図画帖や蒔絵棚が特別出品されています。
棚なんかはなかなか素敵で、日本の畳に合いそうです。一体オーストリア皇室ではどこに置いていたのでしょうね。

今回私が一番気に入ったのは盾と甲冑です。
甲冑は本当に着ていたのでしょうか。日本のものより重そうで、着るとすれて痛そうです。
腕のところなんか、ちゃんと曲がるように考えられています。

ハプスブルク家の人に興味があったら、肖像画を見に行くのもいいかもしれませんね。

お腹が空いたので、三階にある「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」でディナーを食べることにしました。
プリフィックスで、きのこのサラダと豚肉のマスタードソース、チョコレートケーキを頼んだのですが、失敗でした。
マスタードソースと豚肉が美味しくなく、チョコレートケーキがベークドではなく、チョコそのもののケーキでとなりにチョコアイスがついていたのです。(イナムラショウゾウさんのチョコレートケーキの方が何倍も美味しいです)
食べ終わると、気分が悪くなりました。
もう私にはこってりしたフレンチなんかは食べられなくなってしまったのですね(悲)。
これからはあっさりしたイタリアンか和食ですね。
今も消化しきれていません。
美味しいものをちょこっと食べる。そういう世代になってしまったんですね。悲しいわ。

タナ・フレンチ 『悪意の森』2009/10/05

久しぶりに本の話題です。何を読んだのか思い出せなくなっているので、昨日読み終わったミステリーについて書きます。

20年前、ダブリン郊外のノックナリーの森で三人の少女と少年がいなくなり、たった一人、少年だけが見つかりました。
その少年は事件の後、名前を変え、イングランドの寄宿学校に行き、アイルランドの警察学校で学び、今は故郷付近に戻り、殺人課の刑事になっています。
彼の名はアダム・ロバート・ライアン。
彼の女性の相棒が麻薬取締課から来たキャシー・マドックス。
二人は息のあった相棒同士でした。

ある日、ノックナリーの遺跡発掘現場で少女の遺体が見つかります。
ライアンは友人二人がいなくなった日以来、ノックナリーには足を踏み入れていませんでした。
見つかった遺体は遺跡発掘現場のすぐ近くに住んでいるバレエが得意な少女のでした。
同じ町に殺人鬼が二人もいるはずはない。
少女の事件と友人の失踪事件には何らかの繋がりがあるのではと考えたライアン。
しかし、事件は袋小路に。
そのため、過去の記憶を求め、ライアンは森へ行きますが、記憶は戻りませんでした。
精神的打撃を受けたライアンはキャシーと関係を持ってしまい、二人の仲に亀裂が・・・。
少女の事件は解決しますが、失踪事件は依然闇の中です。

読みながら幼い日々のきらめきを思い出しました。
彼らのような仲間はいなかったけれど、少年少女の時代には独特のものがあります。
永遠に戻らない日々。人はその日々を糧に生きていけるのかもしれません。
そんなことを思わせられたミステリーでした。

ニューヨーク・シティ・バレエ―プログラムA2009/10/09

昨夜、ニューヨーク・シティ・バレエのオープニングに行ってきました。
オープニングには必ずカンパニーの創始者バランシンの作品を上演するそうです。
なにやらテレビ局らしきものが来ていました。
シティ・バンクが主催者なので、シティ・バンクのお得意様(?)が招待されていたようです。
普通のバレエ団とは違い、コンテンポラリー作品ばかり上演しているのがNYCBで、パンフレットを見ると舞踏家の鈴木さんが「モダニズム・バレエ」だと書いています。
とにかく「意味を考えずに、音楽と同時進行する身体の形と動きを楽しむ」ことがNYCBを楽しむコツだそうです。
昨夜はプログラムA~Cまでのチケットを買ったのでそうなったのかわからないのですが、一番前の席になりました。
人の頭を気にせずに見られてよかったのですが、隣の男性がブラボーおじさんらしく、終わるたびに声を上げていましたし、休憩にはおもむろに大きなカメラを取り出し、オーケストラを写してました。不思議な人でした。

    10月8日(木) 19時開演 オーチャードホール

  《セレナーデ》
 音楽:チャイコフスキー
 振付:ジョージ・バランシン

 アシュレイ・ボーダー
 サラ・マーンズ
 ジェイニー・テイラー

「セレナーデ」は二度目。美しい作品です。
でもなんとなく、前に見た時よりも印象が違うような。
よくよく考えてみると、女性たちのスタイルが逞しいんです。
踊りもしっとりという感じではなくて、はつらつとしていました。
どうもNYCBのバレリーナは、バレリーナというより体操選手のような体型というんでしょうか、ウエストがなくて寸胴で上半身が逞しい人が多いような。
バレエのスタイルの違いで、体型も変るんでしょうか?
男性は背の低い人が多いように思いました。

  《アゴン》
 音楽:ストラビンスキー
 振付:ジョージ・バランシン

 ウェンディ・ウィーラン
 テレス・レイクレン
 ショーン・スオッツイ
 セバスチャン・マルコビッチ

どうもこういう振付は苦手のようです。
アゴンとはギリシア語で「闘争」という意味だそうですが、う~ん、そうは思えなかった・・・。

 《チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ》
 音楽:チャイコフスキー
 振付:ジョージ・バランシン

 ミーガン・フェアチャイルド
 ホアキン・デ・ルース

なんか古典とは違い、決めのポーズがないですね。
動きが早いので、ちゃんと踊っているのかわかりません。どうなんでしょう?

 《ウエスト・サイド・ストーリー組曲》
 音楽:レナード・バーンスタイン
 振付:ジェローム・ロビンズ

 トニー:ロバート・フェアチャイルド
 リフ:アンドリュー・ヴェイエット
 ベルナルド:アマール・ラマザール
 アニタ:ジェニファー・リンガー
 マリア:キャスリン・モーガン
 ロザリア:グレッチェン・スミス

ミュージカルナンバーをバレエダンサーが踊るとどうなるのかという興味があったのですが、ミュージカルで見た方がもっと迫力があったようです。
もちろんダンスはこちらの方がうまいですが。
素人が何を書いているんだといわれそうですが、期待が大きかった分、ちょっと期待はずれかな?

これといって知っているダンサーもいなかったので、楽しめなかったのかもしれません。誰が一番有名なのでしょうね。
今夜見たプログラムBについては明日書きます。Bの方がおもしろかったですよ。

ニューヨーク・シティ・バレエ―プログラムB&C2009/10/10

途中まで書いたものが消えてしまったので、もう一度書く気力がなくなりました。
取り合えず、簡単に記憶にあるものだけ書くことにします。

   10月9日(金) プログラムB  19時開演
 《コンチェルトDSCH》
 音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
 振付:アレクセイ・ラトマンスキー
 ウェンディ・ウィーラン/エイドリアン・ダンチグ=ワーリング/アナ・ソフィア・シラー/ゴンザロ・ガルシア/ホアキン・デ・ルース

 《バーバー・ヴァイオリン・コンチェルト》
 音楽:サミュエル・バーバー
 振付:ピーター・マーティンス
 サラ・マーンズ/ジャード・アングル/ミーガン・フェアチャイルド/アスク・ラ・クール

 《タランテラ》
 音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
 振付:ジョージ・バランシン
 タイラー・ペック/ダニエル・ウルブリクト

 《チャイコフスキー・ピアノ・コンチェルト第二番》
 音楽:チャイコフスキー
 振付:ジョージ・バランシン
 アシュレイ・ボーダー/ジョナサン・スタフォード/テレス・レイクレン

《コンチェルトDSCH》は元ボリショイ、今はアメリカン・バレエ・シアターの常任振付家ラトマンスキーの作品です。
とってもかわいらしい踊りでした。
《バーバー・ヴァイオリン・コンチェルト》は女性のふくよかさに圧倒され、男性もリフトする時に大変だろうなとかよけいなことを考えてしまったため、記憶にあまりありません。
何と言っても楽しかったのが、《タランテラ》です。
小柄なキュートな二人組という感じのダンサーが、軽快にキビキビと踊りました。一番拍手のあった作品です。
《チャイコフスキー》の時は、ピアノの音が気持ちよく、ついつい眠気が・・・。
前に座ったおじさんは《コンチェルト》の時から寝てくれたので、舞台がよく見えて嬉しかったです。おじさん、ありがとう。

  10月10日(土) プログラムC 13時開演
 《ワルプルギスの夜》
 音楽:シャルル・フランソワ・グノー
 振付:ジョージ・バランシン
 マリア・コウロスキー/チャールズ・アスケガード/アナ・ソフィア・シラー

 《アフター・ザ・レイン》
 音楽:アルヴォ・ペルト
 振付:クリストファー・ウィールドン
 ウェンディ・ウィーラン/セバスチャン・マルコヴィッチ

 《ダンシズ・アット・ア・ギャザリング》
 音楽:フレデリック・ショパン
 振付:ジェローム・ロビンズ
 イヴォンヌ・ボレ/ジェニファー・リンガー/ミーガン・フェアチャイルド/サラ・マーンズ/キャスリン・モーガン/ホアキン・デ・ルース/ジャード・アングル/アマール・ラマザール/アントニオ・カルメナ/ジョナサン・スタフォード

 《シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメント》
 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
 振付:ジョージ・バランシン
 アビ・スタフォード/スターリン・ヒルティン/ミーガン・ルクローン/アマール・ラマザール/アダム・ヘンドリクソン/エイドリアン・ダンチグ=ワーリング

《ワルプルギスの夜》はコールドの女性たちのピンクの衣装が美しかったです。
《アフター・ザ・レイン》は雨音のようなピアノとそれにかぶさるようなヴァイオリンの音色の美しい音楽です。
男女二人が情緒豊かに踊ります。
《ダンシズ・アット・ア・ギャザリング》はショパンの曲が使われています。
昨夜から疲れがとれていないので、恐れていたのですが、途中から眠気が。次から次へと踊りが続くと、私の集中力は続かない?
《シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメント》では、休憩中に飲んだ珈琲がきいたのか、バッチリ鑑賞できました。
どうしても一部のダンサーが体操選手のようだと思ってしまう、私がいます。男性は小柄な人が多いと思ったのですが、プログラムCに出ている男性は結構背が高かったです。たまたまプログラムAに小さい人が多く出ていただけなのですね。
知っているダンサーが一人もいなかったのですが、気になるダンサーができました。アマール・ラマザール君です。まだソリストのようですが。

三日目は指揮者が女性で、最後に舞台に上がったのを見ると、とっても小柄なかわいらしい方でした。
NYCBを見て思ったのは、私は物語性のあるバレエが好きなんだということです。
「意味を考えずに、音楽と同時進行する身体の形と動きを楽しむ」などというより、ついつい音楽が心地よくなるんです。
やっぱり三日間連続バレエ鑑賞は無理でした。疲れていない時に見たかったです。

ジョディ・ピコー 『私の中のあなた』2009/10/11

今日の散歩は、東大の方まで歩き、途中で白山の「江戸蕎麦匠庄之助肴町長寿庵」という長い名前の蕎麦屋に入りました。
私は海老おろしそばを、相棒は十割蕎麦のせいろ大盛り。海老天がとってもサクサクしていて美味しかったです。
それから急に思い立ち、向丘高校の前からバスに乗って東京駅へ。東京駅から有楽町まで歩き、買い物をしてから上野駅アトレのタイ料理屋へ。
これでどれほど歩いたかは・・・?
途中はとバスの前を通ったのですが、繁盛していますね。なんとキティちゃん・はとバスまであって、思わず写真を撮ってしまいました。(写真)かわいいですね。

ハヤカワ文庫の『私の中のあなた』は映画の原作です。
キャメロン・ディアスが初の母親役で出ているのが話題になっています。
自分がどの人の立場に立つかによって様々なことを考えさせられます。

13歳のアナは両親を相手に訴訟を起こしました。
彼女は、姉ケイトが白血病なので、ケイトに必要な治療のためのドナーとなるべく、遺伝子操作によって作り出された子だったのです。
ケイトにアナから提供されたのは、臍帯血、ドナー・リンパ球、顆粒球、骨髄・・・そして腎臓。
自分は一体何者なのか?ケイトに必要なものを与えるだけの存在なのか?

アナは弁護士のキャンベルを雇い、「医療目的のための能力付与」を請求することにします。

兄のジェシーは、親の目がケイトにばかりいき、彼を見てくれないことに絶望し、飲酒、ドラッグ、そして放火とやりたい放題をやってきました。しかし、妹のアナには優しいのです。彼はどうしようもない子ではないですよね。

父親のブライアンは消防士で仕事に熱中することで、家族の問題を見て見ぬ振りをしてきました。
アナが訴訟を起こしたことを聞き、彼はアナのやったことに理解をしめしました。

母親のサラはケイトのために弁護士を辞めました。
家族がケイトのために何かをするのは当たり前という考えの持ち主です。
だからアナが訴訟を起こしたことを信じられず、アナが家族を裏切ったと怒りを覚え、自分自身を弁護するため、弁護士としてアナと戦うことにします。

普通の本では病人のケイトのことに焦点を合わせて書くのでしょうが、この本はケイト以外の人に焦点が当たっています。病気は病人のみならず、その家族にまで影響を与えるのです。

本質的には、自分の身体のことは本人が決めるということに賛成です。
でも、アナのように自分の家族の生死に関わる時は、本当に悩むと思います。
どれが正解ということはないのですから。
残念ながら、本の最後にはガッカリしました。映画ではどう終わるのかわかりませんが、これはないでしょうと思いました。
近いうちに映画を見に行こうかと思っています。
本自体は最後以外はおもしろいので、お勧めです。

佐藤愛子 『まだ 生きている』2009/10/12

今日の散歩は、家を出たとたんに行くところが変わってしまいました。
何故かまた入谷に行き、途中の手児奈せんべいで「げんこつ」(900円)を買い、イリヤプラスカフェでまたまたパンケーキを食べてしまい、それから足のむくまま歩き、最後は三河島駅に到着。
前に行ったことのある、駅のすぐ近くにある「苺屋」というケーキ屋でケーキを買って帰ることにしました。
人気の苺ロールは11月からということで、今は栗ロール(1995円)があります。一本は結構大きいので、カットされた栗ロールとモンブランを買いました。
せっかく歩いても、美味しいものの誘惑から逃れられませんわ。

佐藤愛子さんと言えば、いつも怒っているおばさんで、北海道に怪しい霊のいる別荘を持っているという印象が私の中で出来上がっているのですが、その後どうなったのか気になっておりました。
この本によると、昼も夜も鳴りしきっていたラップ音は止み、平和な日々になったということではありますが、なんとまだ怪奇現象はあったんです。
物がなくなるんだそうです。
それはどうも狐のせいだとか。
ふ~ん。お狐様は盗みをやるんですか。
なんとも不思議なことがあるんですね。
残念ながら私は霊感とかがないので、わかんないですわ。

とにかく愛子さんは元気です。
私は佐野洋子さんと共に、佐藤愛子さんは、見習うべき老女として尊敬いたしております。

中野京子 『怖い絵』2009/10/13

題名の『怖い絵』から、幽霊などの絵のことを書いた本だと思うかもしれませんが、実は絵の背景にある物語が怖いのです。
例えば、ドガの『エトワール、または舞台の踊り子』。
ドガの一連の有名なバレリーナの絵の中の一枚としてしか知りませんでした。
しかし、ドガの時代には「オペラ座は上流階級の男のための娼館」だったとか。ということは、バレリーナは娼婦と同じ意味合いを持っていたのですね。
そういえば、中野さんが書くように、ドガの描くバレリーナには個性がありません。どの人も同じように描かれています。
ドガはバレリーナに人間としての興味なんかはまったくなかったのでしょうね。
こういう背景を知ってからドガの絵を見ると、怖いかも。

紹介されている絵の中ではクノップフの『見捨てられた街』なんかが好きです。
本当のブリュージュはこの絵とは全然違いますが、絵に描かれた人のまったくいない無機質な都市としてのブリュージュはとても幻想的です。

人間的に興味を持ったのはルドンです。
本では『キュクロプス』が紹介されています。(写真)
ルドンは母に捨てられた子供でした。
兄を偏愛していた彼の母親は、生後二日になるルドンを「荒れ果てた未開の地」ペイルルバードへと里子に出します。
彼は幼少期をそこで独りぼっちで過ごしたのです。
里子期間が終わった後も年老いた伯父のもとにあずけられ、11歳まで親にかえりみられずに育ちます。
こんな彼の生い立ちが後の彼の絵の作風に影響を与えたのだろうと言われています。
モネやロダンと同じ1840年に生まれたのにもかかわらず、光と色彩の印象主義全盛の時代を、彼は木炭画ばかり描く孤高の画家として生きたのです。
彼が黒の時代から脱却するのは、50歳間近になってからです。
彼の傷ついた心を癒すにはそれだけの時間が必要だったのですね。
だからこそ、彼の色には人を引きつける特別な何かがあるのでしょうね。

新国立劇場バレエ団 「ドン・キホーテ」2009/10/15

   10月14日(水) 7時
 《キャスト》
 キトリ:スヴェトラーナ・ザハロワ
 バジル:アンドレイ・ウヴァーロフ
 ドン・キホーテ:長瀬信夫
 サンチョ・パンサ:吉本泰久

「ドン・キホーテ」は一度ボリショイ・バレエのナターリヤ・オーシポワとイワン・ワシーリエフの若者コンビで見ています。
前から4、5番目で見たので、彼らのジャンプのすごさが記憶に残っています。
勢いと技巧に走っていた若いボリショイ・ダンサーでしたが、今度はあのザハロワですから、どんなものか期待していました。
ザハロワは世界バレエフェスティバルでは調子がよくなかったようです。
今回は回転している時に、ちょっと・・・というところがありましたが、後半に行くにしたがいいつもの彼女になっていました。
NYCBでちょっと太り気味のダンサーを見たせいか、ザハロワや新国立劇場バレエ団のダンサーのスタイルを見て、やっぱりダンサーはこれじゃなけりゃと思いました、笑。
ザハロワとウヴァーロフは本当にスタイルがいいですね。
エスパーダや闘牛士、街の踊り子、ジプシーの踊りは、もっと肉感的な野性味ムンムンの人の方がいいですね。
日本人の身体って平坦なので、色気に乏しいのです。
あ、そうそうドン・キホーテの夢の中にでてくるキューピッドたちがすごくかわいかったです。
何と言っても、いろいろな男性ダンサーを見て今回つくづく思ったのは、ウヴァーロフはスタイルといい、踊りといい、素敵だということです。
身長が190cmぐらいもあるのに、全然うどの大木ではありません。すごく身体が柔らかいですね。
ついつい12月の「くるみ割り人形」と1月の「白鳥の湖」を買ってしまいました。

ジェイニー・ボライソー 『ムーアに住む姉妹』2009/10/16

イギリスのコーンウォールに住む画家、ローズの話です。
前作ではいい感じだったローズとキャンボーン署の警部・ジャックですが、まだ元恋人となっています。
本当は相思相愛なのに、夫を亡くしたローズが一歩踏み出せずにいます。
ローズの優柔不断が許せず、ジャックは他に恋人を作ろうとするのですが、相手にまだローズのことが忘れられないことがわかってしまい、振られてしまいます。

ローズにボドミン・ムーアに住む姉妹から、二人の肖像画を描いて欲しいという依頼がきます。一枚のキャンパスに二人を入れるのです。
新たな挑戦に張り切るローズでしたが、なにやらこの姉妹、隠していることがあるような・・・。

たまたま絵画教室で教えていたジョエルから美術大学進学について両親に話して欲しいと言われ、彼の才能をかっていたローズは引き受けます。そこでわかったのは、あの姉妹がジュエルの叔母さんに当たる人たちだったことです。
ジョエルの従姉妹と叔父は行方不明で、叔母達はボドミン・ムーアに引越したっきり連絡もしてきていませんでした。
不審に思ったローズは姉妹の身辺を探り始めます。
何故彼女達には肖像画が必要だったのでしょうか?
何故ジョエルの従姉妹と叔父は姿を隠したのでしょうか?
そして、ローズとジャックの関係はどうなるのでしょうか。

このシリーズを読むとコーンウォールへ行きたくなります。
一ヶ月ぐらい、海の近くの家を借りて、ボーとしていたいですね。なんか引きこもりたく感じるこの頃です。