堀内都喜子 『フィンランド 豊かさのメソッド』2010/04/16


前にフィンランド関係の本を読みましたが、それは主にフィンランドに留学した高校生の立場からのフィンランドでした。


『フィンランド 豊かさのメソッド』は少し仕事をしてからフィンランドの大学に留学した、オトナの目から見たフィンランド事情です。
前の2冊で教育のことを取り上げたので、今回も別の視点から教育を取りあげてみます。

彼女によると、フィンランドの教育の高い評価はそんなに特別なことをしたからではなく、低学力の子の底上げが大きいということです。
例えば、クラスは25人以下。クラス担任は一人。
体の障害や病気、学習障害の子がいれば、アシスタントがつきます。
科目によっては(手芸など)親がボランティアで手伝いに来るそう。
日本は小学校で30人になっていましたっけ?
中学や高校は40人学級ですよね。
フィンランドでは25人でも多いという意見が多いそうです。
これだけで大きな違いですよね。特に小学生など低学年では。
 
フィンランドで教師になるのは、とっても大変なことだそうです。
教職課程を受講するには厳しい審査があるそうです。
まず、書類審査をおこない、書類審査に通った人に対し、知識だけではなく、教師にふさわしいかどうか、人間性を判断する適性検査を行います。
適性検査は、まず、現役の学校教師と大学で教育学を教える講師の二人一組の個人面接をし、その後グループディスカッションをします。
このグループディスカッションが難しそうです。
どのように議論に参加したらいいのか、考えちゃいます。
でしゃばりすぎても駄目だし、話さないのも駄目だし、私なんか黙り込んじゃいそうです。
教師養成課程は一度で合格する人は少なく、少数先鋭で、大学の定員も多くて20人ぐらいですって。
これでは入ってからも大変そうですね。

教師採用には、日本のように採用試験がなく、教職課程終了=即、教師と認められるので、経験が問われます。
そのため大学で勉強する以外に、短期の臨時教師や産休教師の代わりなどをやって、できるだけ経験を積むんですって。

フィンランドには「教師は国民のろうそく、暗闇に明かりを照らし人々を導いていく」という言葉があり、教師は伝統的に人気が高く、国民から尊敬されてきた職業なんだそうです。
戦前の日本では教師は尊敬されていたそうですが、戦後の日本では違いますね。
いい職業と思う人は少ないのではないでしょうか。

すべてフィンランドがいいとは思いませんが、のんびりと生活を楽しむところはまねしたいです。
なんといっても仕事が4時頃に終わるんですよ!
仕事嫌いの私にとってはうらやましいですわ(笑)。
日本のおじさんたち、仕事中毒の人にとっては困るだろうなぁ~。