「エリザベスタウン」を見る2010/07/09

オーランド・ブルームが普通の青年役をやってます。彼って「パイレーツ・オブ・カリビアン」を見た時から私のタイプです。


シューズ・デザイナーとして成功していたドリュー(オーランド・ブルーム)は、新作でどじってしまい、会社は10億円の損害で倒産間近。
ここで、なんでたった一回の失敗で会社が倒産しそうになるのか、疑問に思ってしまいました。まあ、映画だから…。
社長から呼び出しをくらって、社長室に行くと、やっぱり解雇。この社長、ちょっと変った人で、「2」という数字にこだわっています。待つのも2分。そんなくだらないことにこだわるから、倒産するんだよと言いたくなりました。
失意のドリューは部屋中の物を捨て、自転車にナイフをくくりつけ、自殺しようとします。が…そこに電話が。
なんと父親のミッチが、故郷のケンタッキー州エリザベスタウンに行っている時に、心臓麻痺で死んでしまったのです。
母親はショックでおかしくなっちゃったので、仕方なくミッチが父親を引き取りにエリザベスタウンまで行くことになります。 

乗った飛行機はガラガラ。たった一人、エコノミー席に座っていたドリューは、フライトアテンダントから疲れているので後まで歩きたくない。ファーストクラスに座るようにと言われます。
ファーストクラスに座ったのはいいのですが、このフライトアテンダントのクレア(キルスティン・ダンスト)はとんでもないおしゃべりで、おせっかい。隣に座っておしゃべりをし続け、寝させてくれません。

エリザベスタウンまで行くと言うと、地図まで描いてくれます。後で気づいたのですが、地図の裏には彼女の電話番号が書いてあります。ナンパですか。
クレアの地図は全くあてにはならず、迷ってしまったドリューです。

エリザベスタウンに着くと、父親の死を悼むたくさんの人々がいました。親戚中が集まり、歓迎されたのはいいのですが、葬式をエリザベスタウンで行なわなければならなくなります。

その夜、ホテルに泊まったドリューは淋しくなり、元恋人や母親に電話をします。誰も電話にでてくれないので、ふと、クレアに電話をしようと思います。しかし、クレアも出ませんでした。
しばらくして姉(妹?)から電話が来て、母親がおかしいので、早く帰って来て欲しいと言われ、その話中にクレアから電話が来て、その話中に元恋人からも…。
クレアとは話が合い、一晩中話し続け、結局夜明けまで一緒に過ごすことになります。
いつしかドリューはクレアに癒されていくのです。

クレアのセンスがおもしろいです。彼女のくれた金切り声をあげる子供をしつけるビデオってのがあって、それがどんでもないビデオです。

東京でミッチに出会い結婚し、彼をカリフォルニアに連れて行った女ということで、ミッチの親戚中から嫌われていると思っている母、ホリーも、エリザベスタウンの葬式にやってきます。
みんなの前で、ミッチとのなれそめを話し、ミッチの好きだった曲に合わせてタップを踊るホリー(スーザン・サランドン!)の姿は素敵です。
スピーチの後に踊りアリ、歌アリ、火災アリ(!)。こんな葬式なら出席しても楽しいでしょうね。

後から葬式にやってきたクレアは恋人がやってきたので、もう会えないと言い、ドリューに地図を渡します。
この地図がすごい!
車で帰るドリューのために、地図には帰りの道筋に即したお勧め観光場所とその説明、そしてその場所に合った音楽CDが入っていました。これを作るのに、どれほどの時間がかかったの?と聞きたくなるぐらいです。
恋人のいる女性が、ただの友達の男性にここまでしませんよね。
ドリューと一緒に旅している気分になって、このシーンだけでも見る価値があります。
でも、お父さんの遺灰と一緒には旅したくないですよね。(私も死んだら、色々な場所に灰を撒いてもらいたいな)
うれしいことに、キング牧師が暗殺されたロレイン・モーテル306号室が出てきます。そこはそのままで保存されています。いつか行ってみたい場所です。
エルビスはパスして…。
ジェフ・バックリーという名が出てきます。彼はミシシッピー川で若くして溺れ死んだ歌手だそうです。
もうひとつ、気になったのが「サバイバル・ツリー」。1995年4月19日、オクラホマシティーの市庁舎が爆破された事件で、爆破から生き残った木だそうです。
そして、最後は、もちろんハッピーエンド。
書かないでおきましょう。

映画の中で気に入った台詞を紹介しておきます。
"I'm fine."もいいのですが(笑)、自分がシューズ・デザイナーで会社に大損害を与えたとドリューが告白する場面で、クレアは言います。

「大失敗しても根性でしがみつくの。笑って見返してやるの。
 That's true greatness to me.  But don't listen to me. I'm Clare.」
 
最後の"I'm Clare."がかわいいです。

父ミッチの好きだった言葉。

「無難なものだけを求める者に本当の大失敗は起こらない。
”リスクを冒す者が勝利する”(イギリス空軍のモットー)」

仕事にばかり熱中していて、旅などしたことのなかったドリューが、初めて旅をし、つくづくミッチと旅をしておけばよかったと思う場面があります。
人生で一番大切なものって何でしょうね。失って初めて気づくものなのでしょうね。

オーランド・ブルームはどこからみても、素敵です。でもそれ以上に、ちょっと危ないクレア役のキルスティン・ダンストが、きれいではないけれど、キュートでホント、いいです。
でも、映画の本当の主人公は音楽のように思います。サントラ買おうかしら。