リヴィア・J.ウォッシュバーン 『休日には向かないクラブ・ケーキ』2010/07/17

「お料理名人の事件簿」シリーズの四巻目。
題名のクラブ・ケーキはスウィーツではありません。クラブとはカニのことで、肉の変わりにカニ肉を使ったハンバーグみたいなものです。
このシリーズの主人公は元歴史教師フィリス。夫が死んでから、家に一人で住むのもと思い、退職教師向けの下宿をやっています。


いとこのドロシーに孫が生まれ、夫と共にダラスに行くことになり、彼らが経営しているB&Bの留守をあずかることになったフィリスは、下宿人仲間と一緒にテキサス州フルトンにやってきました。
B&Bには優秀なスタッフがいるので、フィリスは様子をみているだけでいいのです。それよりもフィリスがフルトンに来る気になったのは、海祭りと”ジャスト・デザート”というお菓子コンテストがあるからです。
フィリスと下宿人で友人のキャロリンは、お菓子コンテストで競う仲。今回はフィリスはクッキー、キャロリンはパイで勝負するようです。

ある日の朝、サムが釣りをするというので一緒に桟橋に行ったフィリスは、またまた死体と出くわすことになります。
B&Bのお客で釣りばかりやっているマッケナが桟橋にいたので、サムが彼の肩を軽くたたいて挨拶をすると、なんと彼は海に落ちていったのです。
サムが海に飛び込み、彼を海から引き上げましたが、マッケナは死んでいました。
検死によると、彼は溺死ではなく、前日の夕食に出たクラブ・ケーキの残りを朝食として食べ、その中に入っていた毒のために死んだのでした。
一体誰がクラブ・ケーキに毒を入れたのでしょうか。
B&B存続の危機です。

平和な町フルトンの警察は殺人事件に慣れていないようですし、B&Bスタッフが疑われているので、フィリスはまたまた事件に首を突っ込むことになります。
元歴史教師でコーチをしていたサムとフィリスのカップルがほほえましいです。
犯人かもしれない男と桟橋で会う約束をし、サムに一緒に行って欲しいと言いに来たフィリスに向かい、サムが言います。
「ばくらはパートナーで、きみが脳、ぼくは筋肉だからな」
なかなかいいカップルになりそうです。
 
このシリーズの楽しみは、何と言ってもお菓子と料理です。
今回はメキシコ料理がとっても美味しそう。出てくるのは、クラブ・ケーキ以外にシーフードのケサディーヤとタマーレ・スープ。
お菓子はフィリスのオートミール・ディライツとキャロリンのチョコレート・ストロベリー・パイ。
もちろん最後にはレシピが出ています。誰か作ってみて下さい。私は未だにトライしていません。もっぱら食べるのが専門です。