横関 大『再会』2010/09/11

第56回江戸川乱歩賞受賞作品です。 
日本のミステリーはあまり読みません。どうしてか考えてみましたら、どうも身近過ぎて嫌になるようです。殺人も現実味があるものね。


夫の圭介と別れた万季子は「シーズン」という美容院を経営し、自らも美容師として働いていました。
いつものように店で働いていると、電話がかかってきて、息子がスーパーで万引きをしたのことを告げられます。
電話をかけてきたのは、スーパーの店長の佐久間秀之で、彼は小学校の同級生だった直人の義兄で、万季子にとって会いたくない人でした。

急いで秀之に会いに行き、息子を引きろうとすると、警察に引き渡されたくなければ30万を用意しろと言われます。 
万季子は元夫の圭介と話し合い、お金を渡すことにしますが、秀之はそれでは満足せず、万季子の肉体を求めてきます。

圭介と再度話し合い、100万円で手を打つように秀之を説得しようと、彼に会いに行くと、彼は何者かによって拳銃で撃たれ殺されていました。
圭介と真季子は息子の万引きで秀之に恐喝されていたことを内緒にしていようと思っていたのですが・・・。
 
圭介の殺害を扱うことになった刑事は万季子の元同級生の飛奈淳一と、切れ者という評判の神奈川県警の刑事の南良でした。
圭介と万季子、淳一、直人は小学校では仲のよい同級生で、彼らはみはる台小学校に通っていました。小学6年生の2月に、4人は校庭にタイムカプセルを埋めていました。
それから23年経って、殺人事件をきっかけに彼らは再会し、タイムカプセルを掘り返すことになります。
タイムカプセルの中には、4人しか知らないはずの物が入っていたのです。

23年前の事件と現代の事件がリンクしていきます。
誰がタイムカプセルを掘り返したのか?そして、誰が秀之を殺したのか?
4人の視点から書かれているので、誰が本当のことを言っているのか、推理しながら読み進むことになります。視点が変わっても、誰のかがわかりやすく書かれているので、違和感なく読めました。
ただし、後半にちょっと上手くこじつけているかなと感じるところもありましたが。
おもしろく読めるミステリーです。