お勧めエッセイ2011/07/29

読んだ本が溜まっているので、またまたは一遍に三冊紹介しちゃいましょう。

まず、私の目指せこういう老女!佐野洋子さんの最後の(たぶん)本、『死ぬ気まんまん』


「死ぬことが間近になったら、死んだらお金はかからないということに気がついた」なんて、笑ってしまいました。そうなんだけれど、お金使わないために死ぬ人っていないわよね。
口では(筆では)絶対に死の恐怖を語らない佐野さんです。
本の中に書いてあったので知ったのですが、癌に罹る前に体中が痛くてどうしようもなく、入院したこともあるそうです。世の中に医学でつきとめられない病があるし、精神的な面から身体に影響が出る場合もあるそうですから、入院した頃の佐野さんに何らかのストレスがかかっていたのかもしれませんね。もしくは免疫系の病気だったのでしょうか?
昨日紹介した『困っているひと』は現代っ子のユーモアセンスをきかせていますが、佐野さんも独特の書き方でご自身の苦しみをサラッと書いてらっしゃいます。

誰でもが経験する死をどう迎えるのか、そろそろ覚悟をしておかなければと思いつつも、日常に逃げ込んでいる私です。




『パリでメシを食う。』はパリのレストラン紹介の話ではありません。間違えないように。
パリで働き、生活している人の話です。
何故パリ?という問いに対する答えは本を読んで考えてください。

高校生の時に大学でフランス文学を勉強したいと思ったことがあります。現実的な母親にフランス語ではメシが食えんと言われ、単純な私はそれを信じ、英文科に入学したのですが、後から考えればそんなことなかったですね。
それ以来、パリって憧れの町でした。
でも、旅でパリに行ってからは、それほど暮らしたいとは思わなくなりました。
不当なことをやられ、文句が言えるかどうかで、その国に住めるかどうかが決まってくる気がするからです。フランス語、話せないもの。

東京の夏の暑さや今回の原発のことがあってから、海外に住みたいなと思うことが多々あります。でも、たくましく暮らせるのか?考え中です。



三冊の中で一押しの本です。
出てくる人は学習院初等科の給食のおばさん、横浜フクゾー洋品店の社長、ミナック・シアターを作った女性、魚肉ソーセージを作った男性、自動車のエンジニア、クレーンオペレーター、お赤飯を作る和菓子屋さん、銀座大黒屋店主など、有名な人から普通の人までです。

この人たちに共通することは、決して金儲けのために働いているというのではないということです。どの人も自分の仕事に誇りを持って、お客さんのことを第一に考えているのです。
例えば魚肉ソーセージを作った人は、売って儲けることよりも、「世の中に奉仕する」ことが目的だったそうです。ですから魚肉ソーセージで特許は取っていません。
フクゾーの初代社長は支店を出さず、自分たちの商品に誇りを持ち、どうしたら良い商品を作り、なるべくお安く、お求め頂いたお客様に何時迄も喜んで頂けるかを考えていたそうです。
「金儲けより正しい商品を売り、三度の食事が頂ける事」。
本当のプロとはこういう人たちのことを言うのでしょうね。

イギリスのコーンウォールは、まだ行ったことがないのですが、長期間滞在したい場所です。美しい景色と芸術家たちが住んでいることで有名です。
そこに、ミナック・シアターがあります。このシアターは普通のシアターではありません。海岸に面した崖の上にある野外劇場なのです。もちろん屋根もなにもありません。雨が降れば濡れるし、風が吹けば役者の声が聞こえなくなります。

       (「ウィキペディア」から画像いただきました)

作ったのはロウィーナ・ケードという一人の女性です。
父親の経営していた紡績工場が第一次大戦のために閉鎖になり、コーンウォールに移ってきた人です。シェークスピアが好きな女性で、1929年に地元の劇団から衣装デザインを依頼されてから劇団と接点をもったようです。
劇団が「テンペスト」を上演すると聞き、自分の持っている土地で芝居をさせました。それ以来「テンペスト」上演のために劇場を作ろうと考え、たった一人で、劇場を設計し、海岸から岩を運び、セメントと砂を混ぜて劇場を作ったのです。
シェイクスピアが好きだからというだけで、すごい根性です。
野外劇場で上演される「テンペスト」を見てみたいですね。

この本の中で一番好きなのが、「高倉健が魅せられたレンブラントの模写」の章です。
高倉健って生き方が素敵で、人間的に尊敬できる人ですね。
彼が魅せられたレンブラントの絵は「黄金の兜の男」です。


とにかく私が説明するよりも、読んでもらった方がいいです。
健さん、格好よすぎです。

現在「黄金の兜の男」があるドイツのゲマルデギャラリーの館長さんが教えてくれた、美術館で楽しく絵を見る方法ってとっても参考になります。

「すべての絵を見て、すべてのキャプションを読もうとしてはいけません。それでは疲れてしまいます。見る前にテーマを決めるといい。たとえばレンブラントだけを見る、肖像画だけを見るとか・・・。ひとりの画家を理解しようとか、肖像画のあれこれを見てやろうとする方が絵画をよく理解できます。やたらと長時間歩き回るよりはるかに楽しく過ごせます」


本とは関係ないのですが、この前美味しいホットケーキのお店という評判の神田にある「万惣フルーツパーラー」に行ってきました。


これにたっぷりのバターとメープルシロップをかけていただきます。
ホットケーキって、市販の粉から作ったものしか食べたことがありません。これは外側がカリッとしていて、市販のとはやはり食感が違いました。
シロップが手についてしまい、手拭きがないので手が拭けず、ちょっと気持ち悪かったです。
次回はホイップクリームがついてくるフルーツホットケーキにしようかしら。
私的にはパンケーキの方が好きかも。
パフェやフルーツサンドも食べたかったわ・・・。

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