中山 七里 『おやすみラフマニノフ』2011/10/20

『さよならドビュッシー』の続編、『おやすみラフマニノフ』を読みました。
どうも『さよならドビュッシー』はブログに書いていないようです。読んだのに書くの忘れちゃったんでしょうね。


『さよならドビュッシー』は全身大やけどをしたにもかかわらず、ピアニストになろうと頑張る女の子にまつわるミステリーでした。(簡単すぎかな?)ちょっと私の趣味には合いませんでした。
今度は音大生でヴァイオリンを弾く晶が主人公で、前回謎解きをしたピアニストの岬洋介が音大の講師として脇役で登場します。

家の事情で授業料が払えなくなった城戸晶はプロのヴァイオリニストになるという夢をあきらめかけていました。
ところが彼にチャンスが巡ってきます。
大学の定期演奏会で学長が参加するラフマニノフの<ピアノ協奏曲第二番>を演奏するオーケストラのコンサート・マスターに任命されれば準奨学生になり、前期の授業料が免除されるのです。
その上、コンサートには国内外の音楽関係者が一堂に会するため、学外の音楽関係者にとってオーディションの役割も果たしています。過去の定期演奏会で学長のバックを務めた者の多くがプロのオーケストラに入団しているのです。

一生懸命練習をしたおかげで晶はオーディションに合格し、コンサート・マスターになれました。
ところが、オーケストラの練習を始めてから色々と不思議な出来事が続きます。

まず、ストラディバリウスのチェロが盗まれます。
次に学長専用のスタインウェイ製のコンサートグランドピアノが破壊されます。
そして、大学の公式サイトに学長の殺人予告が・・・。

『船に乗れ!』には音楽家を目指した少年の栄光と挫折が書かれていましたが、この本の中にも、音楽家を目指す少年少女が出てきます。
プロの音楽家になるために、どれほどの努力をしなければならないのかを思うだけで気が遠くなりそうです。どれだけ努力しても才能がないと、真の音楽家にはなれないし・・・。

「科学や医学が人間を襲う理不尽と闘うために存在するのと同じように、音楽も人の心に巣食う怯懦や非情を滅ぼすためにある。確かにたかが指先一本で全ての人に安らぎを与えようなんて傲慢以外の何物でもない。でも、たった一人でも音楽を必要とする人がいるのなら、そして自分に奏でる才能があるのなら奏でるべきだと僕は思う。それに音楽を奏でる才能は神様からの贈り物だからね。人と自分を幸せにするように使いたいじゃないか」

ホント、音楽の才能があったらと思いますわ。

本の中に出てくる曲を聞きながら読んでみてください。後ろの参考文献に出てくる曲が載っています。私は気づかずに読んでしまいました。